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2013年12月06日 イイね!

保存版・“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る…第4弾!!

保存版・“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る…第4弾!!“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る、第4弾はこいつも変態車愛好家?には非常にメジャーでオースター/スタンザに負けない変態オーラを放っており必ずと言っていいほど話題に上がるこのクルマを取り上げます⇒『A10/20/30/40型初代ダイハツシャルマン』!!

シャルマン、若き日の小川知子さんが『ウィ?シャルマン!』とCMでやっていたのをアラフォー世代以上では記憶に残っておられるのではないでしょうか…

シャルマンは67年のトヨタ-ダイハツ業務提携(実質的にダイハツのトヨタグループ入り=後年完全子会社化)によりそれまで自主生産していた『コンパーノ、同ベルリーナ』以来久々のダイハツ自主開発車としてデビュー時は結構注目を集めたモデルでした。

業務提携後コンパーノをトヨタP30型パブリカの双子モデルである『コンソルテベルリーナ』としてFMC、それまでのコンパーノユーザー向けにトヨタ製双子モデル(実際にはコンソルテ、パブリカ共にダイハツ工場にて生産=委託生産)もダイハツの看板で細々ラインナップされてはいましたが親会社の~ダイハツは自社が持っていない部門=軽自動車に専念せよ~ 的施策から戦後長く小型も生産していたダイハツから半ばこれを奪った格好となってしまい前作、コンパーノが秀逸な小型車だった事もあり業提携⇒合併を嘆くダイハツユーザーも少なくなかったようです。
コンパーノを知る旧ダイハツファンにはトヨタお仕着せのコンソルテでは満足できず“ダイハツオリジナルモデルの復活”は首を長くして待ち望んだもの、そんなファンの期待を一身に背負って74/11に発売されたのがコンパーノ以来約10年ぶりの自社開発モデルとなりコンソルテの上級=ダイハツフラッグシップモデルの『シャルマン』でした。

それまで頑なに自社開発を認めなかった親会社のトヨタ、シャルマンの開発許可はフラッグシップ設定のダイハツ側の強い要望を聞き入れたモノですが実際、自社開発と言っても当時型遅れとなったE20型カローラのライン、パーツをダイハツに移管、これをベースにダイハツが手を加えており実際シャーシやエンジンは20カローラを流用、Frドアは20そのまま、Rrドアは20スプリンターセダンのものにオリジナルのラインを加工して採用、他外板はオリジナルでありインパネや内装も20の雰囲気は残りながらもここもオリジナリティ度を高めていました。

しかし当時、シャルマンデビューはコンパーノのファンでもあったのでワタクシも嬉しいながら子供ながらにトヨタでは大衆車と言われたカローラがダイハツに来ると“高級車”“フラッグシップ”と宣伝文句にあるのを見て非吸収側メーカーの情けなさを感じてしまいましたねー、“フラッグシップ”なんてのはトヨタならばセンチュリー、日産ならプレジ、三菱デボネアにマツダロードペーサー、いすゞステーツマンデビルなどフルサイズカーの称号だとばかり思っていたGure少年、カローラを少しお化粧しただけのシャルマンにこの称号が謳われた時にはホント、驚きました、まぁ、確かにダイハツ最上級には間違いないのですがたかが1200や1400のクルマでフラッグシップって(*_*;

まっ、そんなある意味驚きを伴ってデビューしたシャルマン、外観はこのクラスでは珍しい“フラッグシップ”らしく?丸目4灯ライトを採用、当時は2灯はファミリーカーや大衆車、4灯は上級車というイメージが確立されていた時代ですのでシャルマンは“上級”を意識させるためカローラでは20どころか当時最新の30型ですら設定がない4灯の豪華な顔付が特徴、全体的には20カローラのそれに限りなく近く20のセミファストバックスタイルも継承、しかしながら独自のボディライン(Rrドア後半~ボディ後半に至る主張の強いライン)をあしらって雰囲気を異にしテールも20より大型化して豪華なイメージの意匠としていました!

尚、20カローラ/スプリンターには2/4ドアセダン(2ドアはカローラのみ)、クーペ、バンの設定がありましたがシャルマンデビュー時は4ドアセダンのみのラインナップでした。

↓丸目4灯の豪華グリルが与えられたダイハツのフラッグシップ『シャルマン』(74y前期1400ハイカスタム)


↓Rrコンビランプも大型の豪華なイメージ『74y前期1200DX』


↓シャルマンのベースとなったE20型トヨタカローラ(70~74y)


このような背景でデビューしたシャルマンは久々ダイハツオリジナルが感じられるクルマとして主にダイハツ支持者には暖かく迎えられまた、豪華イメージながら20カローラをベースにした事から30となり大幅値上げとなったカローラをターゲットにしていた層には30よりはかなり安く伏兵ともなりでデビューから1年(74/11~75年末)では販売が4万台超えいう好成績を記録、横綱のカロスプやサニーには遠く及ばないないながら3位の三菱ランサー(A70系初代)がデビュー3年の商品力低下の時期ながらこれにほぼ並ぶ数字を叩き出しています。

多分、ダイハツというメーカーは当時結構厳しくメーカーもディーラーも親ながらトヨタ車での通勤や営業が認められない事も多くファローMAXやコンソルテを嫌々乗っていた社員が多く購入したのでは?と推測されますがしかし実際当時、初期型シャルマンが街行く姿はそう珍しいモノではなく結構見かけた記憶もあるので残っている販売の数字に疑問はないですね!

余談ですが上記でランサー=ラリーに強かった が出てきましたので記載しておきますがシャルマンもメーカーが意図しない?草ラリーストには結構愛されたクルマでラリーキットも存在、一部は27レビン等のパーツも流用可能で時々車高が上がったガチガチなシャルマンのロールバーを組んだ個体も見かけたりしました、当時の雑誌などを見るとタイム、戦績も悪くなく軽いボディと3Kエンジンの組み合わせがラリーストの歓迎されていたようです!


それではモデル概要に移ります!

[諸元]

(発売)
1974年(昭和49年)11月
(ボディ)
4ドアセダンのみ
(バリエーション)
1200・1400DX/1200・1400カスタム/1200・1400ハイカスタム
(型式)
ダイハツA10型(1200)及びA20型(1400)
(サイズ)
全長3995mm全幅520mm全高1370
(ホイールベース)
2335mm
(車重)
790~885kg
(搭載エンジン)
トヨタ3K型(ダイハツ式エンジン呼称A10K型)1200cc 直4 OHV シングルキャブ グロス71ps/9.7kgm
トヨタT型(ダイハツ式エンジン呼称A20K型)1400cc 直4 OHV シングルキャブ グロス86ps/12.0kgm
いずれも縦置き搭載
(ミッション)
4速MT
(脚廻り)
Frストラット/Rrリーフリジット
(駆動方式)
FR

以上を見てお気づき、と言うか当たり前ながらサイズ、スペック、機構はほぼ20カローラを踏襲、ベースがこれですから当然ですがエンジンも一時ダイハツ呼称を表示していましたが紛れもない20、そしてこの時代のトヨタの小型車には数多く載せられていたお馴染3KとTとなります。

(エンジン、ミッション)
前述の通り何ら20時代から変りない信頼の3KとT型エンジンを搭載、この2つは日産の名機と呼ばれるA型エンジン同様のOHVという当時としても古めかしい機構ながらA型のトドメを知らない吹け上がり!って程ではないにしろOHVとは思えないストレスのないスムーズな回転上昇が味わえるエンジンでした。

トヨタDラー時代、トヨタ車でもシャルマンでもさんざん乗った経験ありますがどれに載っていようがこのTと3Kはフィーリングは同じ、セリカやカリーナクラスになるとT型(3Kは設定なし)は廉価版でコレの上である1600の2Tににはかなりの見劣りでしたが3KとTにそれほどのパワー差は感じた事なく前述の通り“トルクフルで静粛なTにパワフル元気感モリモリの3K”と例えておきますね!

T型は重い分排気量は大きいながら俊敏性は3Kには欠け元気さでは1200ながら3Kが上、但しT型の方が音質は優しく特に回した時は3KはやかましくTはそれに較べ静粛性、高かったです。

↓お馴染のトヨタT型㊤と3K型エンジン㊦



このエンジンに組み合わされるのはデビュー時は4速MTのみ、スポーツモデルの設定が性格上ありませんでしたのでこの時代すでにポピュラーになりつつあった5MTはお預け、ただ、これもE20カローラのミッションをそのまま受け継いでいますが個人的にこの20=シャルマンで一番気に入っていたのがシフトフィール!

この時代ですからFRのダイレクトミッションは当然、リンクを介さずにダイレクトに“カチッ”と決まるのが身上のこのミッションはドライブが楽しくなるものでややローとサードが位置的に遠い感じはKE10時代から引きずっておりますが同年代の日産やマツダがどちらかというとシャキっとしないフィーリングでしたのでトヨタと三菱もですがこの気持ち良さだけで選ぶ価値アリ!と思います、まぁ、現代ではバックと駐車以外シフトレバー(セレクター)を触る事なんてないヒトが多いようなので今となっては太古の感覚ですが(汗)

ただこれはミッションと言うよりエンジンやミッションマウントの問題か?6~7万㎞走ると劣化からなる振動→ギア抜けする個体もありミッションそのものは頑強でもこの辺の耐久力は弱かった気がします、勿論新車時でこうしたトラブルの話は耳にしませんでしたが。

(ボディ)
ボディに関してはラリーに使う位だからさぞ頑強では?と思われるでしょう、ワタシも初めて乗った時はそれを期待しましたが実際は極普通、と言うか74年レベル。
私が乗った頃なんてもう初代シャルマンは解体送りにされる8~9年落ちでしたからね、それなりにヤレていて耐久力は既に低下したモノばかりでしたが当時の水準として良くも悪くもない、ただ、これを競技フィールドに持ち込むならそれなりの補強や対策は必要だっただろうなーと。

まっ、コンセプトが“フラッグシップ”ですからね、しかも純粋なファミーり-セダンがベースですからその目線ならば充分及第点に届いていたでしょう…。

(スタイリング、エクステリア)
前述の通り端正で高級感溢れる顔付にセミファストバックのスタイルは非常にマッチ、ベースの20スプやカローラ以上の仕上がりと個人的には感じます。

絶対的台数が少ないのもありカロスプの面影は感じさせますが嫌味にならない程度にデコレートされたシャルマンは狙ったイメージ通りお洒落感は充分ありました!

↓この「1400カスタム」は20スプリンターHIDXのホイールキャップを流用(74y前期)


ベース的に一世代前のデザインながらダイハツの手直しが効き当時でも古臭さは感じずかえって日産他がこの頃はS10シルビア、210サニー、710バイオレットが“三次局面”を謳う未来的デザインが新し過ぎと後方視界不良でバッシングされる中、オーソドックスで視界も良好なこのスタイルは評論家などにも好評でした。

(インテリア、居住性)
この部分については旧型カローラベースという中で一番欠点が現れていました。
FRの小型クラスですからそう広い室内は期待できませんがやはり時代的に一世代前の居住性、セダンですのでヘッドクリアランスには問題有りませんが前席、後席とも決して充分ではなく後ろに人を乗せる場合は前席も結構前方にスライドさせなければならず前後ともに窮屈感を持たざる得ない感じでしたね。

新型になった30カローラやランサー、グランドファミリアやファミリアプレストな激戦区の中で決して優位な車室空間は誇れずこの点ではやはり凝ったデザインのおかげで窮屈なイメージのあった210サニーとどっこいだった印象があります、サニーよりグラスエリアが広い為、解放感はシャルマンの方がありましたが…。

シートや内張りのデザインも20カローラを彷彿させますが“フラッグシップ”を謳うだけあり最廉価のDXモデルにおいても20の黒一辺倒ではなくブラウン/クリームの明るい内装色が用いられ高級感を訴求、カローラ時代は全面ビニールレザーだったハイバック(Fr)シート、Rrシートともに部分ファブリック(通気性発泡)やモケット織物(部分)シートが用いられこの辺は時代に合わせていました!

↓20カロスプには設定の無かった明るい色彩のシート&内装(74y前期1200DX)


インパネにおいては20カローラからは格段に進化、エアコン(op)装備も可能な吹き出し口&エアミックス式ヒーターも採用、大径角型3連メーターが新鮮な印象を与えていました。

↓最上級「ハイカスタム」のインパネ


↓中級「カスタム」のインパネ


インパネのデザインそのものはクラス的に平凡そのもの、フラッグシップと言えど過度な装飾はなされず奇をてらわないイメージに好感が持てました、最上級「ハイカスタム」には旧20カローラSLやHIDXで採用していたウッド3本スポークステアリングを、中級カスタムにはやはり20系DXのプラ3本スポークを、廉価DXには20STDのプラ2本スポークを採用しこれが内装においてのグレード識別点でした。

(装備)
70年代の小型クラスに当たり前に付く物は全て装備、この点は新型となる30カローラと遜色なかったと思います。
ただ20カローラの悪い部分も継承しており一例がこの頃(20時代)から装備され始めたチャイルドロック!

これは今ではお馴染ですが後年~現代はドア内側にこのロックS/Wを設けドアを閉めている限り絶対に子供が触れられない文字通りの装備ですが20→シャルマンは通常のドアロックと並びこのS/Wが設けられており操作性はやや硬くて乳幼児では無理でも2~3歳の子供なら訳なく解除できる代物でこれ見る度に“無意味!”と呟いていました(汗)
まっ、これにより20やシャルマンから子供が転落する事故が多発!!なーんて聞いてませんから大した問題ではなかったですが小さい子供を育てた経験がある方ならこの不完全なロック装置は不安なのが一目瞭然、今ならクレーマーが黙っていない!?って感じがしないでもなしです(笑)

↓チャイルドロック(小さいスライドS/W)がここにあるって?不完全な安全装置は今ならばやり玉に挙げられますね(*_*;


他には間欠ワイパーにフルエアミックス式ヒーター(エアコンop装備可能)など先進の装備は施され最新の30カローラに見劣りないものでした。

(シャーシ、脚廻り、ドライブフィール)
この分野は20カローラそのもの!
80点主義を良くも悪くも主張したカローラのドライブフィールそのまま、と言うかいくらか“高級”を謳う分頼りなささもありました。

ラック&ピニオンなんていう高級メカなんてまだまだこのクラスにはフィートバックされていない時代のボールナット式ステアリングは遊びが大きく応答性も悪いラフそのもの、よく言われる「ゴムをよじる」感覚そのものでした。
当然パワーアシストなんてない時代ですから据え切りなどは重々しいのですが特に1200はエンジンが軽いのもありそれほど苦労は感じませんでした、走行時はスポーティさは皆無ながら誰でも操るのは安心できる水準(当時の)は満たしていたと思います。

脚はこの時代ポピュラーなFrストラット/Rrリーフリジット!今や非エアサスのトラックのみにしか設定はない形式ですがコストが安く構造が簡単でしたからこのクラスはまだまだこれがメイン、サニーやランサーも当然この形式で最新の30カローラも当然これです。

リンク式や独立(ストラットやセミトレ)なんていう高度な脚は比較的Rrサス設計に自由度のあるFFモデルか高価な上級車の装備でありカローラですら79yのE70まで待たなければ設定はありませんでした。

板バネ特有のRrが跳ねるイメージはカローラ以上に“高級”を謳うシャルマンですから柔らかい設定でそれほどは感じませんでしたが限界は低くフニャサスの印象。
ブレーキ踏めば大した速度でもないのに大袈裟にダイブ、少し荒く扱えばすぐにRrは限界が来て尻は廻るし柔らかすぎて体制の立て直しもそう簡単には行かずでorz…
驚く事にラリー出場した27レビントレノ、そしてシャルマンも当然基本的にこの形式でしたからね、やはり当時のラリーストの腕は凄いです(笑)

ただ一度だけシャルマンのガチガチに固めたラリーバージョンをドライブする機会ありましたがLSDとハード化された脚は簡単にテールスライドを助長する代りに修正もたやすいものに変えてくれ構造が簡単な分素直で驚く程コントロールがしやすく限界も高まっていたのが印象深いです。

↓オーソドックスなシャルマンの脚廻り


ノーマルではお世辞にも楽しいとは言えない20カローラ→シャルマンですがこの時代としては誰でも安心して扱える素直さは持っており及第点だったと思います!


それではこれよりモデル改歴に移ります、初代シャルマンは計2回のMCを行っていますので前期・中期・後期の記載となっています。

※特別仕様、小変更など全ては網羅していませんのでご了承願います。また、一部上記解説と重複箇所があります。

(74/11)
シャルマン、ダイハツフラッグシップとして8年ぶり自主開発車として発売。

(74/12)
コマーシャルモデルの4ナンバー、商用バンを追加します。
やはりバンも旧20カローラバンをベースとしており全体的雰囲気はセダン以上にカローラの面影を感じさせますがテールの造形やRrドア~ボディ後端に伸びるセダン同様の太いラインはダイハツの主張を感じ取れるに充分のものでした!

尚、20カローラバンでは2ドアバンも存在しましたがジャルマンバンは4ドアのみの設定、エンジンはセダン同様に1200/1400(バン用は3K-J/T-J型)となります。

↓74/12~追加されたコンパーノバン以来の商用バン=「シャルマン・バン」


(75/12)
1400搭載モデル(A20)がDECS-C方式により50年排ガス規制適合となります。
DECS-Cはダイハツの規制適合システムの呼称ですが内容はトヨタTTC-C方式と同一、T型エンジンに主にエアインジェクション装置、酸化触媒を追加し昭和50年排ガス規制に適合させたもので型式にそれを示すA-が追記されまた適合エンジンのT-U型に換装、出力は補機装置により78psと未対策から8psダウンでした。

↓DECS-Cにより50年排ガス規制に適合したT-U型エンジン


↓DECS-Cの概要図


(76/2)
1200搭載モデル(A10)もT-Uと同様内容ながらEGR(排気ガス再循環装置)を追加し51年規制に適合、こちらはそれを示す型式はB-、エンジンは3K-U型となり64ps、-7psでした。

↓1200シリーズも51年対策の3K-U型エンジンに換装


尚これら対策エンジンは当然トヨタからの供給、一部排ガス対策部分にダイハツオリジナルの部分はあったようですが基本的にはトヨタはもちろんの事、当時大騒ぎになった規制適合のある意味教科書通りの対策を行っています。

基本的にはカローラE30系、パブリカ/スターレット等と同一エンジンですから出力ダウンの感覚も一緒、そのフィーリングはこの話に触れる際幾度も書いてきた通り数値以上の悲惨な状況でもはや元気さが取り得だった1200ではパワー不足でストレスだらけに豹変、1400も重々しくとてもまともなドライバビリティではなかったです。
ただ、車重が軽い分救われ上級のカリーナやコロナに較べれたら実用ユースには耐えられましたがシャルマン、そしてカローラもこの時に大幅に魅力を失っていますね(*_*;

ただこの時に出力不足からなる燃費悪化を避ける意味合いで5速MTが、そして時代のイージードライブ要求に応える3速ATモデルを追加、5MTはハイカスタム/カスタムに(1200/1400)、3ATは1400モデルに設定。

ライバル他社も同様に出力ダウンは免れないながら日産も三菱も富士重も苦労の末、規制適合に不利なツインキャブも残りましたがトヨタは全滅、見かけの豪華さに突っ走ってきた代償がこの時馬脚を現しさんざん苦言を呈されたトヨタ、以後この時の教訓から高性能エンジンや排ガス規制にも貪欲に取り組み後年~現代の地位を築いたと言っても過言ではないでしょう…

(76/11)
MCを施され中期型となります。

大きなイメージ変更は顔付→Frフェイスリフトでより高級イメージを訴求する彫の深いマスクとなりました!

同時に1400、T-U型エンジンも1200と同内容にて51年規制適合となり型式B-A20に変更、これによりシャルマンは全種51年対策モデルとなります。(バンはT-J)

またグレード追加がなされ従来のハイカスタムの上級にグランドカスタム(GC)とスポーツカスタム(SC)を設定、これまでにない超?高級バージョンとスポーツバージョンの2種でユーザー層拡大を図りました!

↓76/11~ の中期型シャルマン(1400SC)


GC/SCは30カローラから流用する13インチキャップレスホイールを装備、GCではホイールリングで更に高級感をアップ、SCはノーズ部にストライプをあしらい黒塗装のタルボ型ミラー(GCはメッキ)装備とスポーティ雰囲気をを演出、従来モデルが最高峰であっても平型ミラー、ホイールキャップだったところに一気にエクステリアを充実させていました。

内装もGCに全面ファブリックシートに高級カーペットを採用、SCはストライプ地の若々しいデザインを表現、SCではシャルマンでは初めてタコメーターも装備、GC/SCともインパネには木目採用も施され高級&スポーツイメージをここでも高めています。

↓中期型で追加された最高峰1400GC


↓1400GCのインパネ


↓中期型となってもテールの意匠はほぼ前期型を踏襲(76y中期型1200カスタム)


尚、この時に3ATモデルを廃止、5速はGC/SCのみとなりこれ以下は廃止となり4MTオンリー(SC/GCの4速もあり)となっています。

(78/3)
2度目のMCを行い後期型となります。

この時点でシャルマンはデビュー4年が経過、大メーカーではFMCが行われるモデル末期という事になりますがダイハツのような弱小&子会社化したメーカーではそれもままならず大幅なテコ入れで延命となります。

外観上の変更はお決まりのFr/Rrのリ・デザインですが顔付は全く別のクルマ?という位手が入れられフェンダーは新たなカタを起こしています。

従来型が前期~中期において逆スラントの顔付を採っていたのに対し一転してスラントノーズ化、当時カーデザイン敵には空力に有利なスラントノーズ化が流行りでこれに倣ったモノでしたが同時の流行りだった角目4灯は採用されていませんでした。

ワタクシ、丸目4灯でデザインされたモノにMCで無理くり角目4灯にするのは反対でしたがこの後期シャルマンのように顔面全面整形し更に流行りのスラント化までやったなら角目4灯にした方がバランス取れてたのでは?と今このモデル見ても感じます、スラウウントの丸目はいかにも中途半端な感じですしね、まぁ、個人的には初代シャルマンの場合中期顔が一番の好みでしたしこれに次ぐのは前期、どうも後期型はこの後このクルマの運命となる“オーバーデコレート”感が鼻に付きゴテゴテとしてしまい前期~中期にあったお洒落感が消え失せた気がします…。

後期となり新たにGC/SCとハイカスタム間に新グレードである『ラグジュアリーカスタム(LC)』を追加、これを含め中期型のインテリア、エクステリアをベースに更に豪華な味付けがなされ最上級のGCとLCはヘッドレスト別体のセパレートシート、GCではこのクラスでは例がないRrセンターアームレストを採用し一段と“フラッグシップ”さを強調しています!

↓GCに装備されたクラス初のRrセンターアームレスト


またこの他ELR付シートベルトやFM付きカセットステレオ(op)などの安全&快適装備もこの時に施されています。

↓時代の要請に応えた安全装備のELR付シートベルト


↓まだまだ8トラも残る時代にopとは言えカセットステレオと言った先進快適装備も用意!


尚、この後期型ではエンジンを換装、1200→1300に、1400→1600となっています。

1300/1600共に同様にトヨタからの供給エンジンを搭載、これも既にスターレットやカローラでお馴染である13004K-U型OHV72psと160012T-U型OHV88psに換装しています。(バン用は4K-J/2T-J)

両エンジンとも三元触媒を用い53年規制に適合したモノ、相変わらずDECSを謳いますが内容はトヨタTTCに倣っています。(型式にE-が付記されます)

↓後期型シャルマンのラインナップ







このMCでGCとハイカスタムに3ATが復活、これとシングレードの追加も併せ後期=最終型シャルマンは本家カローラにも遜色ないワイドバリェーションを実現、またエンジン換装と大幅MCにより型式をA30(1300)A40(1600)に変更しています。

この後期で81年までの3年引っ張りますがベースが70年登場の20カローラでは流石に80年代を迎えどうしようもなく古臭くこれはスタイリングも勿論ながら上述で解説してきたシャーシやハンドリング、脚など全てが時代遅れとなりました。
シャルマンに限らず長く造られる弱小メーカーの長寿モデルの哀しい性ですがベース(20)からは11年、シャルマンとしても7年経過した81/10、新世代の2代目シャルマンにバトンタッチし初代は長き生涯を終えました。

(81/10)
2代目A35/55型にFMC、シャルマン第2世代となります。

↓81/10~2代目シャルマン


(総評)
提携→子会社~合併以後、トヨタの下請けに甘んじてきたダイハツが威信をかけて“フラッグシップ”として誕生させたシャルマン、デビュー当初は予想を上廻る好評と販売台数となりましたが2年目以降はジリ貧、それでも74~81年の全台数で10万台オーバーしていますのでダイハツのような立場のメーカーとしては大いに健闘したモデルだと思います。

モデル途中からは本文記載したようにオリジナルの持つ小洒落た雰囲気はどんどん影を潜めていき分不相応な贅沢さを身にまとう悪い方向の“フラッグシップ”化したのが残念ですがこれも多くの車種を造る事が簡単ではなくましてやトヨタという親の統制下であるダイハツのモデルですから致し方ない部分も多いですからシャルマンのマイナスポイントとして計上するのは酷に感じます。

ただ、素生(前期~中期)がベースの20カローラを超える魅力があったのも事実でこの部分は残念に思います、現在では歴史的価値も見出されずほぼ死滅状態、このシャルマン時代はダイハツも輸出に好むと好まざるは別にして消極姿勢でしたから後進国等での生き残りもまず存在しないでしょう、マイナーメーカーのマイナー車ですがそれが逆に“変態度”は際立ち別の意味で今では語られたりもします(一部のマニアにですが…笑)

量販を望めずある意味カルト的立場のシャルマン、後にアプローズ→アルティスと発展しますがその思想はアプローズで華開いたかに見えましたが不幸な事件によりこれも潰えてしまい現在のアルティス=フラッグシップはカムリのバッジ違いとなりダイハツの意地は感じさせないモノに成り下がりました。

時代的に裏事情がなくともOEMが盛んの現代でもはやシャルマンのような中身は借り物でもオリジナルなモデル、そして完全オリジナルなアプローズや下級シャレードのような車造りはもはや求められないでしょう、しかしダイハツオリジナルまたはセミオリジナルでもいいのです、元々センスあるクルマ造りをするメーカーさんですのでいつの日か“ダイハツスピリット”を感じさせるモデルを見てみたい!と初代シャルマンを振り返ってそんな風に感じました(^.^)/

“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る・『A10/20/30/40型初代ダイハツシャルマン』編……終


※次回は続いて『A35/A55型2代目シャルマン』編を第5弾としてUPする予定ですが時期未定です(^^ゞ
Posted at 2017/12/09 16:59:34 | コメント(0) | トラックバック(0) | 変態車 | クルマ
2013年10月13日 イイね!

保存版・“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る…第3弾!!

保存版・“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る…第3弾!!納得のマイナー・モデル第3弾”も前回から引き続きとなる『日産バイオレット/オースター/スタンザ』となります!!

但し先代デビュー間もなくバイオレットは戦線離脱しておりますので今回からは『オースター/スタンザ』の取り上げになりますネ!

先代T11ではJX/FXなるサブネームが与えられておりましたが3代目T12型は両車ともそれぞれこれが廃され正式名称は久しぶりにシンプルな⇒『T12型3代目日産オースター/同スタンザ』となりました!

T12のデビューはまずオースターが先行して86/10にFMC、スタンザは翌86/6にFMCされました。

これまでバイオレット含め一斉にFMCしてきた両車ですが今回のタイムラグは異例で先代が81年デビューでしたからね、売れないT11は半ば放置気味でありオースターですら5年、スタンザは6年という不人気ながら長寿という珍事が起きていました。

これはちょうど両車のFMC期に充る85年はスカイランやローレル等のbigネームのFMCに重なり売れなくて手を焼いたT11は後回しになったというのが実情のようです(*_*

さて、先代は初のFF化、そして専門家はベタ褒めだったヨーロッパ調の飾り気なのない質素な出で立ちが大きな要因で目も覆う程の不人気であり実際下らないトラブルも多く後の評価は悲惨なモノ、あまりの売れなさ過ぎでデビュー早々に本家であった『バイオレット(リベルタ)』は廃版、そしてMCでは残るオースター/スタンザは慌てて金襴豪華な味付けに変更したりしましたがそれがかえって上級であるブルーバードとキャラが被ってしまい明確なコンセプトを示せず埋没、稀代の不人気車になってしまったのは前回で語りましたがこの事を反省、T12では特にブルーバードとの差別化を念頭に入れかつオースターとスタンザのキャラ分けもより鮮明にしたのが特徴でした。

初代A10から示されたオースター=スポーティ スタンザ=高級 とイメージはそのまま踏襲していますがその度合いがこれまでにない位差別化、オースターはやたら欧州車風味を効かせそれまでどちらかと言うと日本のスポーツモデルはアメリカ的な派手さを強調してきたのに対して英国風の大人でシックさを感じさせる演出がなされました。
ある部分ではブルよりも格段に豪華、そしてある部分はブルにないシックな大人の味付けを施していましたね、ただ市場的にはやはりブルとの差別はそれほど実感できず結果的にはやはりT12もブルーバードに埋没した感が否めませんでした。

↓86/6、欧州風スポーツをコンセプトにFMCした3代目オースター
(前期1800ツインカムターボRttユーロフォルマ)


一方のスタンザは当時のC32ローレルやY30セドリックに通じる派手なギンギラのエクステリア&応接間風インテリアが与えられておりこれは初代A10からの伝統ながら派手さ度合いは更に深まっています。

オースターがシックなイギリス調スポーツの味付けに対して同じボディでココまで違うか?位スタンザはアメリカ的なこれ見よがしのセンス悪い当時の日本人好みの高級度合いでバブル幕開け期に相応しくそして人気のトヨハイソカー軍団を目一杯ターゲットとしてたのが特長ですね…。

先代がスタンザ(FX)と言えども質素にして評価を得られなかった分、T12では“これでもか!”と言う位に豪華さは惜しみなく投入された感じでした。

↓欧州風スタンザに対するアメリカン調でコンセプトを分ける3代目スタンザ
(1800スプレモツインカムターボ)


オースターとスタンザ、歴代同様紛れもない双子車でしたが景気のイイ時代でもありコンセプトをより鮮明にする意味で双子ながらボディは分けられリ・デザインされていました!

Fr/Rrドアだけは共有しますが顔と尻のデザインだけ異なるというあんちょこな差別ではなくノーズとトランク部、そしてそれに付随してボンネットや各フェンダーは専用設計が施されています。

ただ、この時期の日産お得意の富士山型キャビンにペキペキカクカクスタイルは共通なのであまり差は感じないながらも歴代に較べたら相当コストをかけて差別化がなされています。

Frは欧州車を意識、スラント気味の落ち着いたマスクのオースターに対しスタンザはこれ見よがしの逆スラントの派手な顔立ち、Rr部はラップアラウンド気味に広いグラスエリアを持たせたスタンザが特徴的でテールの形状もFrに倣いオースターは落ち着いた嫌味のないデザイン、スタンザは大型コンビランプを採用しココも派手目にコーディネイトされていました。

デザインに関しては主観ですし感じ方は千差万別なのでどっちがどうとは言えませんがあくまで個人的感想ではシックな中にも日産の謳う欧州風スピリット?が感じられどことなく日本車離れした感のオースターが好きでした!

スタンザはいかにもやり過ぎ感がありこの出で立ちで本物アメ車並みにデカければサマにもなったでしょうがどうしてもこのサイズでゴテゴテやられると貧乏臭くて嫌なんですよね、こういった類、当時日産は好きでしが^_^;

両車、先代で車運を賭けた?FF方式を当然継承、FR→FF化も落ち着いた時期でしたし元は先代T11から始まったFF化もその後サニー、ブルーバードと進みまだライバルトヨタはFFとFRを両方ラインアップする(コロナ、カリーナ、カロスプ)という変則的車種構成を採る中、すっかり落ち着いた感じでしたね。

ただT11ではこのFF化に少なからずトラブルが発生、耐久力の無さ、信頼性の欠如が先代の悪評をもたらしたのもありT12ではその後のサニーやブルに倣い完璧にFFを手なずけた?仕上がりで発売されたのは言うまでもありません、後述しますがドライブフィールでもそれは実証されていましたし…

それではモデル概要に移ります!

[諸元]

(発売)
オースター:1985年(昭和60年)10月 スタンザ:1986年(昭和61年)8月
(ボディ)
オースター:4ドアセダン、5HB(86/6~)
スタンザ:4ドアセダン
(バリエーション)
オースターセダン
1600Vc/1600Mc/1800Vi/1800Mi/1800Xi/1800Xt/1800Xtt/1800Siユーロフォルマ/1800Rttユーロフォルマ

オースターユーロハッチ(5HB)
1800タイプⅠ/1800タイプⅡ

スタンザ
1600・1800GLサルーン/1600・1800SGLサルーン/1800スプレモ/同スプレモターボ/同スプレモツインカムターボ

(型式)
日産E-T12型
※E-は53年規制適合記号
(サイズ)
全長4410mm(スタンザ)/4515mm(オースター)全幅1690mm全高1390
(ホイールベース)
2550mm
(車重)
1070~1495kg
(搭載エンジン)
CA16S型 1600cc 直4 OHC 電子キャブ グロス90ps/13.6kgm
CA18i型 1800cc 直4 OHC Ei グロス105ps/16.3kgm
CA18ET型 1800cc 直4 OHC EGI ターボ グロス135ps/20.0kgm
CA18DET型 1800cc 直4 16V DOHC EGI ターボ ネット145ps/20.5kgm
いずれも横置き搭載
(ミッション)
5速MT/3速AT/4速AT
(脚廻り)
Frストラット/Rrストラット
(駆動方式)
FF

※搭載エンジンのps表示はCA18DETのみ登場時期の関係上ネット表示となっています。

~車輛概要~

(エンジン、ミッション)
上記を見ての通り搭載エンジンは基本T11と変更はないCAエンジン。
但しチューンはCA16Sを除き変更、CA16SもT11時代は単に“CA16型”の表記にSを追加、キャブも電子制御とされています。
エンジンバリェーションは前述の通り1.6Lをベース=廉価版に据えメイン/普及を1.8Lの3種としています。

まず新たに加わったCA18i!これは構造が単純化されコストを抑えたシングル・エレクトロ・インジェクションを採用、EGIのよりきめ細かい燃料噴射はできないながらも比較的安易に電子燃料噴射を実現、安価にキャブレターの約5%増のパワーアップを実現、これを普及版と位置付けしています。

↓新設定の1800ccシングルポイントインジェクションのCA18iエンジン


そしてU11ブルーバードで既に馴染みある1.8LEGIターボと同DOHCターボもラインナップしスポーツ派にも対応しています。

↓U11ブルの最高スペックを持つ1.8L 4バルブツインカムターボのCA18DETも搭載!


↓廉価版/ベースのCA16SとSOHCターボのCA18ETエンジン!!


かなり豊富になったエンジン群ですが高性能エンジンの充実化が顕著、一般ユーザーが選ぶのはCA16SとCA18iで充分なモノでオースターはともかくスタンザには正直ターボやツインカムターボは必要ない設定に感じました。

まぁ、世は第2次ハイパワーブームが継続中の時代ですから例えツインカムターボでもそれ程目立たなかったの事実ですがつい数年前まで排ガス規制で苦しみ載せるエンジンがない!と騒いでいたのが嘘のようなエンジンラインナップ、セダンオンリーのこのクルマ、しかも決して“速い”といイメージが歴代にもないこのモデルに平然と搭載されていたのですから時代は正に“狂乱”でしたね(笑)

ただこれほどの高性能エンジン、脚廻りや搭載に関連する各部機構もT11より格段に煮詰められていて性能的な問題は皆無ですが果たしてオースター/スタンザにツインカムターボまで必要だったかどうか?明らかなオーバースペックの感が強いです。
上はブルーバードに、下はサニーにも高性能エンジンが与えられたいましたのでもう少し落ち着いた、トルク重視の実用型エンジンこそ似つかわしい思いをこのクルマ乗る度に感じましたねー…

勿論、不足や不満はないのですがね、個人的な意見でどうもこのクルマには似つかわしくなかったです、所詮はファミリカーというクラス分けがなされるこのモデル、ライバルのカリーナもDOHC16バルブやらDOHCターボも持っていましたからこれの対抗なのでしょう、ブルーバードよりも若年層を狙っていた事もあるでしょう、しかし車格的にオーバー過ぎる!が素直な感想でした。

組み合わせはベースor普及型となるオースターセダンのXi以下並びにSiとユーロハッチタイプⅠ及びスタンザスプレモ以下にCA16SとCA18i、オースターセダンXtとスタンザスプレモターボにCA18ET、オースターセダンXtt/Rtt及びユーロハッチタイプⅡ、スタンザスプレモツインカムターボにCA18DETを搭載しています。

ミッションは4速MTが廃止、この代わりにOD付4速ロックアップATが新追加、多段化するイージードライブにT12も加わっています。
果たして全段にロックアップが必要なのか?という疑問は残りますが永い事トヨタに出遅れた4速AT化は日産ファンとしては大いに喜べるモノでしたね~。

↓新追加のOD4速ATとMTは5速に統一!


(ボディ)
ボディバリェーションはシンプルでオースターデビュー時はセダンのみ、翌年86/6のスタンザFMC時にオースターのみに5ドアHBである『オースター5ドア・ユーロハッチ』を追加しています。

先記の通り若干味付けの異なるスタイリングとなったセダンは両車とも当時の日産トレンドである直線を基調にしたスクエアなデザインで嫌味がなく軽快感溢れるスタイリッシュなモノでした。
富士山型と揶揄されるとんがった感じのキャビンをベースにロングノーズ、ショートデッキの教科書通りのワイド&ローのプロポーションでスタンザはややこれを大袈裟に強調しています。

オースターのみにラインナップされたユーロハッチは何故か日産や三菱、売れない5ドアセダンを執拗にラインナップしていましたがヨーロッパでは人気の車型でしたしどうせ輸出用に造っているのだからと果敢に何度もチャレンジしていましたね、よせばいいのに(爆)

特にオースターは初代A10の時代からスタンザリゾートから始まる5HB、T11ではオースターのみラインアップされませんでしたが兄弟ではしっかり5ドアも残っており更に後続となるプリメーラにも逆車ながらプリメーラUKなる5ドアが設定されており兄貴分のブルーバードもこれまた逆車のブルーバードオージィなる5HBが健在でしたからエテルナとかギャランスポーツとか売れないながらこれをラインナップし続けた三菱とどこか被る“意地”を感じたモノです(^^ゞ

↓歴代で売れた試しもないのに性懲りもなくまたも5HBを懲りずにラインナップ!
(86yオースターユーロハッチタイプⅠ及びタイプⅡ)


T12はシャーシをU11ブルから流用、このためボディは5ナンバー枠の上限まで広がり車幅が繰り出すトレッドの安定感、延長されたH/Bも後席足元の拡充が肌で感じられスクエアなスタイルからなるセダンとしては充分以上のヘッドスペース等とても秀逸!

ただこれがかえってよりブルーバードとの車格差が曖昧となりbigネームのブルに対するオースター/スタンザがまたしても不利な展開になったのは皮肉ですねー、価格も少しこちらが安い(同じようなグレードで)ながらやはりブルーバードのブランドは偉大、更に87年にブルも新世代のU12にFMCしてから大好評でありこの時点で既に旧U11テイストのT12は見向きもされない存在になってしまいました。

秀逸な真面目なセダンながらあまりにもブルに近くなり過ぎ、と言うかシャーシ流用=同じ車格になってしまいもはや存在する意味さえ曖昧になっていましたねー、こうした例は他社にもあります(古くはGファミリア対カペラ、トレディアやカリスマ対ギャランなど)が流石のトヨタはカリーナやコロナ、カムリやビスタも加えれば混線状態と言ってもいい程の同クラス乱立でもそれぞれを順当に捌くトヨタ販売店の力、大したモノでした!

(エクステリア)
冒頭で申した通りヨーロピアンなオースターにアメリカンなスタンザと言うテイストです。
どちらも限りなく?上級車の匂いを感じオースターはU11ブルの後期(T12デビュー時の現役)、スタンザはC32ローレル(やはりT12と同時期)のキャラを彷彿させました。

当時、それぞれのパクリカー(リベルタヴィラ、ローレルスピリット)が存在しましたので明確にそれを意識させるイメージ戦略や記述はなかったですが見るヒトが見ればウリ二つ!って部分も多くパクリカーと併せてこのモデルを見ると何故か滑稽でしたね(笑)

しかし中でもオースターには認可されたエアロパーツ装着モデルである『ユーロフォルマ』シリーズは結構スポ車好きには注目されこの後各車、エアロパーツを純正で装備する事が多くなりましたがオースターはその走りと言ってもいいでしょう、大型のFrリップ、サイドスカート/サイドシルプロテクターに当時としては大柄なRrスポイラーは文句なくカッコ良くそのネーミングも斬新でした!

↓エアロパーツで武装した“ユーロフォルマ”シリーズ(オースターSi/Rtt)



(インテリア、居住性)
こちらも上記のテイストで味付けを分けていました。

オースターはシックな大人ムードのインテリア、スタンザは日産得意のルーズクッションの応接間風インテリア!
スタンザはこの時代のお約束であるワインカラーのケバい内装もふんだんに用意、最廉価のGLサルーン以外は全てこれ(一部外装色によってはダークブルー)が奢られると言う充実ぶり?でした。

インパネはやはり当時の日産トレンドである“絶壁”調ですがさんざん揶揄されたF31レパード(85y)やR31スカイライン(同)程はその絶壁度は抑えられており機能的かつ前方視界も確保された嫌みのないデザインが好感持てます、インパネに関しては両車共通でした。

↓時代のお約束であるケバケバしいワインカラーのインテリアを殆どのグレードに採用したスタンザ
(前期1800スプレモ)



↓外装色によってはダーク系の色彩を採用
(スタンザスプレモツインカムターボのホワイト/グレー2トーン)



↓シックなスポーティさを演出するオースター(前期1800Xt/1800Xtt)



居住性に関してはこのクラスのセダンとしては及第点、5ナンバーフルサイズ化によりフット、レッグ、ヘッドスペースに何ら窮屈さは感じず後席の広さはFFの特権でもあり上級FRのスカイラインやローレルに較べても広さを実感できましたね。
トランクに関しても車格的には充分な容量を得ておりオースターのユーロハッチに関しては広大なラゲッジは日本では難しかったながら利便性、合理性を重視する欧州では高い支持を得た程でした!

(装備)
車格が既にブルーバードと同等にまで登りつめた両車ですからフル装備モデルが充実、エアコンこそまだop装備の時代ながら廉価版や低グレードを除き各パワー装備や時代の流行りであるデジタルメーターを採用(オースターXtt、スタンザスプレモツインカムターボにop設定)、U11ブルーバードからのフィートバックである電子制御サスペンション(スーパーソニックサス)もopながら設定、R30スカイラインで好評の可変ダンパーもオースターXtt/Rttに奢られています。

↓流行りのデジタルメーターも採用


↓U11ブルからフィートバックされたスーパーソニックサスペンションと3段階可変ダンパー


(シャーシ、脚廻り、ドライブフィール)
シャーシは先記の通りU11ブルを流用、色々問題有った旧T11のモノは1代限りでした。

脚廻りはFrストラット、Rrにはパラレルリンク式のストラットを採用、T11に較べ格段に熟成されたこの脚廻りは日産らしく秀逸と言って遜色ない部類、スタンザでは性格的にツインカムターボでも柔らかな設定と以前何かのインプレを見た記憶があります。
対するオースターのツインカムターボ(Xtt)はそこそこしっかり固められパワーに負ける事なくしなやかにかつねばりも当時の水準では高得点だったと思います。
この煮詰めがあったからこそ脚廻りで高い評価を得た後続P10プリメーラが完成したのでありこの点は脚がやや弱い印象のあった歴代のオースター/スタンザに対して飛躍的な進歩を感じさせました!

↓Allストラット4独の脚廻り


このクルマの乗車経験はあまりなくオースターのXttのみですのでこれのインプレしか書けませんが同じクルマ?のU11ブルはさんざん色んなグレードに乗っていますので推察はできます。

Xttに関しては先記の通り大袈裟すぎのエンジン、ツインカムターボと言っても当時でも控えめなpsが示すようにジャジャ馬的で扱いにくい印象は皆無、勿論その気になれば充分以上に速く信頼性の高い脚廻りも相まってかなりイイ走りができたのを憶えています。
可変ダンパーの有難みも随所に感じられファミリーユースと気合い走りとTPOに応じて選べるのは既にスカイラインやマークⅡ兄弟でお馴染でしたがこのクラスで味わえるのは少なかったです。

その気になって走って何ら不安や不満はないですがどうしてもイメージに合わないのが正直な感想、つまりこのクルマでこれ程のエンジンや装備が与えられても何か走る気がしない、逆に言えば走る楽しさや緊張感が味わえずやはりオースター/スタンザは大人しいエンジンでファミリー然として走る方がシックリきましたね、もちろん個人的な思いですが…。

T12のCAエンジンはがさつさは引きずるもNAやSOHCでも格段にフィーリングは向上、元気があり大袈裟なターボやDOHCまで持って来なくても充分このクラスならば実用的で魅力ありました。
街乗りならこれで充分と感じましたし走る気持ち良さは全体的にスカイラインやかえって下級のサニースポーツモデルの方が楽しめましたから無用…までは言いませんが必需性はなかったと。

まぁ、時代が時代ですから『これにもこんな高性能モデルがあります!』というアピールは欠かせなかった点、充分理解してますがね(^^ゞ


それではこれよりモデル改歴に移ります。

※特別仕様、小変更など全ては網羅していませんのでご了承願います。また、一部上記解説と重複箇所があります。

(85/10)
3代目となるT12型オースター発売。

(86/6)
3代目スタンザ、先にデビューのT12型オースターをベースに発売、同時にオースターには5ドアHBセダンとなるユーロハッチを追加。

(87/2)
特別仕様としてオースターに『Xiブリティッシュ』、スタンザに『エクストラサルーン』を追加。

(88/1)
両車MCで後期型となります。

MCはお約束の前後意匠変更、オースターはより欧州車を意識しヨーロピアンテイストを高めFrを鉄仮面方式の分割グリルを採用、スタンザは大きなイメージ変更はなくグリル形状をリファインしセンターオーナメントを装着、両車前後バンパーの意匠変更がなされテールも小変更、全体的にオースターはやや流麗さを取り入れカクカク度合いを薄めています。

↓88/1~の後期オースター㊤とスタンザ㊦



↓鉄仮面調の独特な顔付になった後期型オースター


↓前期後半に特別仕様で追加されたオースターXiブリティッシュは固定グレードに!


↓後期型オースターXtのRrビュー


この時オースターのユーロハッチは前期で2種のラインナップがなされていましたが案の定?売行き不振によりモノグレード化され整理されています。

↓後期オースターユーロハッチ


尚、後期型ではCA18ETのSOHCターボエンジンを廃止、代ってCA18DETからターボを廃したCA18DE型(16V DOHC ネット135ps/16.2kgm)を新搭載。

またまた個人的見解で恐縮ですがこのMC、スタンザは大きな変化がないのでまだ理解できましたがオースターに限っては“改悪”としか映りませんでしたねー。

前期のスッキリした嫌みのない印象からゴテゴテとオーバーデコレートされてしまい“ヨーロピアン”を叫びながら欧州車のシックさは皆無になってしまいました。
元々マイナーで人気も薄かったですがこのMCでそれが上向いたという事もなかったです…。

(90/2)
77年に初代が発売依頼13年3代に渡り存在したオースター/スタンザは新開発の初代『プリメーラ』にバトンを渡し製廃となります。

↓新開発のプリメーラがオースター/スタンザの後続に!!


以上にて“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る…第3弾!!はここまでとさせて頂きますがT12型3代目日産オースター/同スタンザの総評を…

(総評)
三つ子の魂ではないですが初代デビューから一度も浮揚できなかった不運のオースター/スタンザ!
元が急増寄せ集めの710バイオレットと言う稀代の悪評、不人気車でしたので生まれながらにして運の無かったモデルと言えましょう…

しかしT12に関しては市場の無反応ほど悪いクルマではなく歴代の中でも真面目に煮詰めたクルマだと思います。
ただ本文で記載した通りベースをU11ブルに持っていったところが失敗かな?
僅か2年後にベースのブルがU12のFMCしてしまい先代のT11後期同様、またしても一気に古臭くなりかつメジャーなブルーバードに埋没してしまい存在価値が希薄になったのがこのモデルのマイナーさを決定したと思います。

生まれながらにしてしかも3代続いてマイナーというモデル、そう滅多には存在せずBigメーカーの日産では珍しいケースでしたがこれの失敗を大きく研究、車格の近いブルーバードとキャラクターを鮮明に分けた後発プリメーラが爆発的なヒットと日産最後の良心と言われるまでの評価を得たのは永いオースター/スタンザの苦労があったこそだと思います。
逆に言えばプリメーラの下敷きとされた両車の悲運は目頭が熱くなりますが(嘘!!…笑)ネーミング変更がこれほど成功した例もなかなかないでしょう。

今やセダン人気の低迷からそのプリメーラも消えて久しいですが名車に上げられるP10プリメーラを思う時、自然とこのオースター/スタンザ、そしてルーツのバイオレットも思い出されある意味現代では最もメジャーなマイナー車?になりつつある感じがします。

後続に恵まれたからこその現代での振り返りがなされる訳ですしね、変態車と呼ばれ一部ではアツい注目を集めるオースター.スタンザ!苦節13年の人(車)生も今となってはムダではなかった!と信じて疑いません(^.^)/

“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る・『T12型日産/オースター/スタンザ』編……終
Posted at 2017/12/09 16:29:23 | コメント(0) | トラックバック(0) | 変態車 | クルマ
2013年07月23日 イイね!

保存版・“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る…第2弾!!

保存版・“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る…第2弾!!“納得のマイナー・モデル第2弾”は前回から引き続きとなります=『日産バイオレット/オースター/スタンザ』!!

この代よりそれぞれサブネームが与えられておりますので今回取り上げるモデルの正式名称は⇒『T11型3代目日産バイオレット・リベルタ/2代目オースターJX/同スタンザFX』となります。

※FXは「Future X」、JXは「Jump X」の略

バイレットは初代710、そして前回取り上げた2代目A10がオースター/スタンザと兄弟を増やしながらも決して商業的には成功と言えない中、日産は3代目(バイオレット…オースター/スタンザは2代目)はもう失敗は許されないながら80年代半ば、世界的にFR→FFにスモールクラスが移行してゆく中で日本に於いてはこれを真っ先に取り入れると言うある種の賭け?に出ました!

この時代、世界の流れを見ていると確実に今後はFFクラスが主流になる!と業界関係者はそれを察知していましが乗用車というモノがそもそも米国から入った日本では大型車(日本ではという意)主流のアメ車が採っていたエンジンFr縦置き、FRレイアウトが“常識”でありまだまだ80年代ではこの固定概念が抜けていませんでした。

しかしFF方式は日本でも古くはスズキのスズライト(後のフロンテ)、富士重のスバル1000、ホンダN360などが採用、しかしながらスズキは軽4ですのでスペース効率という部分、スバル/ホンダは技術屋集団の革新的機構で“特殊”と受け止められ悪く言えばゲテ物扱いでした。

多くの自動車メーカーはドライブ機構の複雑化がコスト高を招きスペース効率とユーザー訴求を天秤にかけて割が合わないと判断、FF化は消極的な姿勢を60~70年代、メーカーによっては80年代ですら崩しませんでしたが日産は比較的早い1970年、前述の3メーカーに次いで大手としては初めて初代チェリーでこれを採用、サニーというBigネーム稼ぎ頭のFRモデルがありましたのである意味サニーに保険を掛けた格好でのチェリーの存在でしたしチェリーは決して広く受け入れられるモデルではなかったですが一定の評価を得ておりこれの次期型であるパルサー(78yデビュー)ではチェリーを上回る高評価!これに自信を付け経験を活かし開発され81年に発売されたのが新型T11型でした!!

スペースの厳しい軽や大衆車クラスでは先人の例もありFF機構が断然有利なのもあり日産はこの分野でT11を最大にアピール、FFに消極的姿勢をまだ崩さないバイオレット系の最大のライバルであり初代710デビュー以来、苦渋を舐めさせられてきた憎きカリーナをこれにより一気上回りかつ引き離そうと企んでいたに違いありません!!

しかしその結末はorz…

結論を先に言えば大惨敗(*_*;

これの大きな要因は日本では試みが殆どなかった完全なる欧州車風の出で立ちが日本人にはソッポを向かれた点でしょう…。

クルマ的には非常に真面目に造られたモノだと思いますがいかんせん素っ気なく野暮ったいスタイリングは日本人の感性には合わず本物の欧州車であればそれでもそのブランドで支持するマニアも存在していましたがわざわざ日本メーカーが造る欧州車もどきを選ぶユーザーは殆どおらずFF化の先陣を切った!という点で発売時は多少注目されながらも皆一様にスタイリングを見ていかりや長さんの如く“ダメだこりゃ!!”と嘆いたとか嘆かなかったとか(爆)
いや、冗談抜きで知人の当時の日産セールス氏曰く、社内での内見会で見た瞬間に“こりゃ売れん”と思ったそうでした。

今見ればそれほど特異でもないんですが当時はまだまだロングノーズ、ショートデッキの低く・長く・幅広くそして大きく見える! というスタイリングが一番イイと言われていた時代にそのどれも当てはまらないどころかズングリしたデザインからなる車格以上に小さく見えるT11の出で立ちは全否定、専門家筋には“これからの日本の大衆車のお手本”等、絶賛されていた感じながら残念ながら『評論家の褒めるクルマは売れない』のジンクスそのものでしたねー。
本来は褒めるべきかもしれませんがアメ車風ギンギラが好きだった当時の日本人には最上級グレード以外は質素過ぎる装飾も嫌われ下手すると下級のサニー以上に安っぽいという意見もあったようです。

ワタクシもこの時の空気はよく憶えていますが時代的に革新的過ぎて大衆はついて行けず“何じゃコリャ?”以外何者でもなかったですネ。。。

↓3度目の正直にはならなかった3代目バイオレット・リベルタ(81yセダン1600GLカラードBP付)


そんな暗雲がまたしても垂れ込めたT11ですが兄弟のコンセプトは先代A10を継承しバイオレット・リベルタ(以下リベルタで記載)を基本ファミリー向けとしオースターをスポーティ、スタンザをラグジュアリーに設定、扱いもリベルタがブル系列、オースターがパルサー系列、スタンザがサニー系列と同一です。

3兄弟の相違点は例によって顔付とお尻のリ・デザイン、それぞれのコンセプトに合わせリベルタの基本にスタンザはメッキ処理を多目としオースターは黒系のややヤンチャ風味の味付けがなされていました。

それではモデル概要です!

[諸元]

(発売)
1981年(昭和56年)6月
(ボディ)
バイオレット・リベルタ/スタンザFX:4ドアセダン/5ドアHB
オースターJX:4ドアセダン/3ドアHB
(バリエーション)
バイオレット・リベルタ
1600T-DX(セダンのみ)/1600・1800GL/1600・1800GF/1800SX/1800ZX-E
オースターJX
1600T-DX(セダンのみ)/1600DX(セダンのみ)/1600CS/1800GS/1800GS-X/1800GT-EX/1800GT-ES
スタンザFX
1600T-DX(セダンのみ)/1600・1800GL/1600・1800SGL/1800Z-E/1800Z-Eマキシマ(セダンのみ)

(型式)
日産E-T11型
※E-は53年規制適合記号
(サイズ)
全長4280mm全幅1655mm全高1365(3HBクーペ)1385mm(セダン/5HB)
(ホイールベース)
2470mm
(車重)
870~990kg
(搭載エンジン)
CA16型 1600cc 直4 OHC キャブ 90ps/13.6kgm
CA18型 1800cc 直4 OHC キャブ 100ps/15.2kgm
CA18E型 1800cc 直4 OHC EGI 110ps/16.5kgm
いずれも横置き搭載
(ミッション)
4速MT/5速MT/3速AT
(脚廻り)
Frストラット/Rrストラット
(駆動方式)
FF

※搭載エンジンのps表示はグロス値

~車輛概要~

(エンジン、ミッション)
エンジンは一新されT11用に開発された新エンジンであり後に日産小型クラスの主軸となるCA型が搭載されました!

CA型はFF化による横置き搭載の為旧L/Z型エンジン外寸を小型化、シリンダー肉厚などを薄く設計した日産プラズマエンジンの走りで旧Z16/18に比較してpsは大差ないながらトルクは大幅に向上しています!

↓新開発CAエンジン(CA18E型)


このCA型、悪夢の排ガス規制後のそれを盛り込んで造られたシンエンジンだけあり吹け上がりは軽々しくL/Zにあったような息継ぎするような苦しさはなく軽快な部類でしたがこれは後続搭載のブル他では感じられなかったのですがT11ではやたら振動が気になりガサツな印象。

まぁ、エンジンそのものの出来は及第点だと思います、しかしマウントや動力系全体的の設計に難がある?って感じで特に古くなった と言っても3年程度のモノでもガコガコとなってしまう個体が多かった気がします。
特に8~10年落ちですと「これはディーゼルか?」って位酷いのも多くこの辺もT11のウィークポイントでしたね!

ミッションは上記の通り3種、4MT/5MTとも1:1がなく4速でオーバードライブになっています。
先代まで設定されていた直結パターンはここで廃止、ATは3速でO/Dはまだ付かない時代です。

(ボディ)
ボディは4ドアセダン/3ドアHB/5ドアHBの3パターンを用意、先代のA10にあった商用バンは廃止され後のADバンに継承しています。
ラインナップはリベルタ/スタンザFXにセダンと5HBを、オースターJXはスポーティ担当のため5HBを設定せずに3HBとセダンという布陣!

↓スタンザFX(㊤セダン1600T-DX㊦セダン1800Z-Eマキシマ)




↓オースターJX(㊤HB1800GT-ES㊦セダン1800GT-EX)



5HBは旧スタンザリゾートやバイオレット/オースター5ドアの継承でしたが不人気の原因である何の変哲もなく地味なセダンをベースにラゲッジ優先のまたまた日本では売れない5ドアセダンであり先代でも決して売れた訳でもないのによせばいいのに懲りずにラインナップという感じ、当然の如くただですら少なかったT11の中でも最も見るのが困難なモデルでした(笑)

↓バイオレット・リベルタ5HB1800SX


↓スタンザFX5HB1800Z-E


個人的にはオースターにだけ用意された3HBがこの中では一番マシ!?
実用も兼ね備えながらもRrウィンドゥ形状も割となだらかでサニー(210/310)やセリカLB、ランサーセレステ等に見られた所謂HBクーペではありませんでしたが一定のルーフ長さを保ち居住/積載性とスタイリングの分岐点を微妙なところでわきまえておりかつスタイリングの破綻がなく3ボディの中では唯一、主張があり“普通”に見えた気がします…。

↓オースターJX HB1800GT-ESのRrビュー


(エクステリア)
この部分は前述の通りT11の最大の失敗要因、くどいですが欧州車では“シンプル・イズ・ベスト”と受け取られる質素さも日産がやると単なる“安車”としか映らずこの点、T11は悲運でしたね…

前後のデザインを絞り車幅よりも顔と尻が小さくなる独特なスタイリングは後に一般化するデザイントレンドながら時代が早過ぎた!の一言で丸めながらスラントするノーズにおさまる異形ライトなど斬新でもあり空力には有利なマスクでしたがグリルの処理は未成熟な印象、このためこれといった主張がなく地味でありココでも派手さをあえて抑えた施策が裏目に出た感じです。

りべルタは横線グリルに1本モールが、オースターJXはモールの代りにオーナメント、スタンザFXは格子状のやや豪華なデザインでしたが大きな印象の差はなくテールも何の特徴もない質素なデザイン、オースターJXのHB、特にrrの処理は他シリーズがヨーロッパ風味の中、唯一アメリカン的なイメージを与えられていましたがノーズとのバランスが悪く個人的にはこれも“ブサイク”の範疇ですね~(*_*)

(インテリア、居住性)
居住性は先代から較べ、また同クラスのFRモデルと較べ大いに飛躍した部分でさすがFF!って感じです。
外寸やW/Bも大幅に拡大していますから居住性は当時としてはクラスを超えたモノでまだこの時点ではFRだった上級のブルーバード(910)を優に上回る空間を持っていました!
後席の足元は更に上になるローレル/スカイラインクラスと比較してもそう違いはなくこれがこのクルマの最大の売りでありました。
ただ、広さを強調するためにあえた小型化したセンターコンソロールやRrシートに3人座った時の横方向の広さを叶えるRrドアのトリムを抉らせるなどの工夫がこれもアダになった感じでとにかく悲運でしたが。

↓ライバルはいない!とばかりに広さを最大にアピール!(スタンザFX1800Z-Eマキシマ)


センターコンソロールは大きく立派なモノがまだもてはやされていた時代、これは足元と前席の横方向を狭める元凶である事は皆解っていながら視覚的効果を優先させてきた日本では画期的でしたがこれもご多分に漏れず華奢で頼りないコンソロールも悪評しか聞きませんでしたしRrドアトリムにしても見慣れない形状から嫌われる傾向の方が強かった感じです。

↓独創的な工夫のされたインテリアだったのですが……


インパネは先代がまだ70年代特有の目線の高さが気になる覆いかぶさるような形状だったものから80年代らしいスッキリとした目線が低いFrの見切りが良いデザインに変更されています。

先代ではメーターフード等にオリジナルとスタンザでやや意匠違いを採用していましたがT11は全車共通デザインでコストを抑えます。

↓スタンザFX1800SGLのインパネ


後のB11サニーにも相通じるデザインは素っ気なさを感じますが嫌味がなく視点移動も少ないあ配慮があり長時間の運転でも疲れにくかったのでは?と感じさせます。
ただ、これはT11に限りませんがインテリアの質感は日産の場合、トヨタ、三菱、マツダの比ではなくいかにもプラスチッキー!
まだ珍しいプッシュ式空調S/W等の先進装備もありますがこの安っぽい質感が全てを台無しにしているのが惜しいですね。

これは前回も記載していますが内装担当の下請けメーカーの技術力の差があり経年変化による色褪せも日産は早く当時のウィークポイントでT11もご多分に漏れませんでした。

(シャーシ、脚廻り、ドライブフィール)
シャーシ、脚廻り共に当然の如くFFで新設計、永らく基本サニーのシャーシを使いまわしたこの3兄弟、初めて専用シャーシが与えられています。

足はALLストラットの4独、振り返れば4独がないばかりにさんざんだったバイオレット、FF化によりようやくそれを手にしたと言う感じでしょうか(笑)

↓T11はコストが安くバネ↓重量も有利なALLストラットを採用!


この脚廻り+新開発CAエンジン+新時代を告げるラック&ピニオンにステアリングによるドライブフィールは現代目線で言えば残念ながら最悪です。

まずせっかくのラック&ピニオンが活かしきれておらずFFの悪癖を余計際立たせる効果はあれどシャープさは感じずやはりパワーアシストがないと辛いレベル、70年代のFF車(チェリーやスバル1000系)に較べればかなり弱まったとは言えトルクステアやタックインも充分認識させ「やっぱりFFだー」と。

これがほぼデビューが変わらないB11サニーですとかなり意識はせずに済みましたし2年後のU11ブルでは殆ど感じないレベルになっていましたからT11、煮詰めが甘い!としか考えられませんネ。

サスも性格上仕方ないのですがフニャサスは健在で先代からの進歩はあまり感じず4独になり逆にフワフワと落ち着かない印象、この部分こそ“欧州車”をもっと研究して欲しかったと感じます。
加えてCAエンジンのフィーリングは前述の通り!ワタシの経験したのはオースターJXのGT-ES、つまり最もスポーティに振られたモデルですらこの印象が鮮明に残っていますので他モデルは推して知るべしだと思います。

それではココよりモデル改歴に移ります。

※特別仕様、小変更など全ては網羅していませんのでご了承願います。

(81/6)
バイオレット・リベルタ/オスターJX/スタンザFX発売

(81/10)
「中級以下グレードでも質素過ぎる」と言う多くの意見から下級ながらエクステリアを充実させたテコ入れモデルを追加=『オースターJX1600CS-X』及び『スタンザFX1600/1800GLエクストラ』を追加設定。

(82/6)
深刻な売れ行き不振のためバイオレット・リベルタ、僅か1年で製廃となります。

これは販売店の扱いの関係もありリベルタだけになされたリストラ!
元々バイオレットから始まったこの3兄弟ですが少し意味は異なるながら結果的には“軒先貸して母屋取られる”状態(*_*;

パルサー販売店ではパルサーとオースターJXの、サニー販売店ではサニーとスタンザFXの棲み分けができており今後も拡販が望めるもブルーバード販売店ではブルーバードとの差別がはっきりしなくリベルタに存在意義を見い出せなくなったのが大きな要因ですね。

先代では1400も存在していましたがT11になりこれをカット、1600/1800となったリベルタはブルーバード910とモロに車格が被ってしまいただでさえ人気薄なところに稀代の大人気であった910に全て顧客は流れリベルタの売れ行き不振は深刻でありFF/FRの違いはあれど次期ブルーバードがFF化される事もあり初代からあまりいいイメージのなかったバイオレット(リベルタ)が犠牲になったモノでした…。

尚、“リベルタ”の名称は新車種である『リベルタ・ビラ』が入れ替りに発売されネーミングのみ継承されていますがビラはパルサーの兄弟車、型式もパルサーの『N』が与えられていますのでT11系とは別車種となりますからココでは割愛させて頂きます。

この施策によりT11系は販売店内に於いて全てに下級クラスを持つ事と整理がなされた訳でこの段階からオースターJX/スタンザFXの2兄弟に縮小となった訳です。

(83/6)
両車(JX/FX)共にMCを実施、後期型となります。

このMCでは一向に人気の上がらない両車の大整形を実施!欧州風のシンプルさが最大の失敗であると判断した日産はここで方針転換を行い教科書通りの日本人受けするアメリカン的味付けにチェンジします。

Frは丸いスラント、異形ライトをまとった先進的?な顔付は一新、人気の910ブルーバードをモチーフしたような絞りをなくし薄い角型ライトにバーチカル(直立)させ豪華に立派な印象に変更、Rrもテールラインプのみ大型としFr同様に豪華さをアピールします!

↓後期型オースターJX/スタンザFX(㊤JXセダン1600LE㊥FX3HB1800RX㊦FXセダン1800Z-EX)




この大幅整形、これは日産の立場としては“何とかしたい”の思いが痛いほど感じますが明らかに前期よりもおかしな方向に行ってしまいこれによりますます販売不振になったのも頷けます。

元々『丸』でデザインされた全体のスタイリングバランスを崩し頭だけ妙に豪華になりFrドアから後ろが別のクルマって感じでアンバランスの極め!Frをバーチカルさせた事によりロングノーズになりますがそれが目立ちRrが明らかに寸足らずの印象になってしまいました。

日産はかつて710バイオレットのセダンも視界の悪さが酷評され後期では頭そのままにRrだけファストバック→ノッチバックに手直し、販売回復を期待しましたがこの時もその取って付けたようなアンバランスさが余計に不評で回復どころか撃沈といった経験があるにも関わらずまた同じ失敗を!!何と言う学習能力のなさか!と当時ワタクシも嘆いたモノです(嘘!!…笑)

ここまで弄るならせめてRrもFr同様に絞りの形状を止めておけばまだ見れたのですがね、ただ、これができなかったのは4カ月後デビューするU11型ブルーバードのスタイルとウリ二つになっしまうからに相違ありません!

U11は売れに売れた910をキープしたスタイリングを採用、元々顔だけ910チックになった後期T11ですからU11のデビューでT11の命は終わったも同然でした。

U11は当然T11と変わらない角ばった立派な顔に後ろもピンと張り全体的バランスも910から継承して均整取れていましたしU11発売後のT11を買うユーザー、いたのか?って感じです(笑)

事実U11発売後はFrから見るとTかUか判断するのに苦労する程の似て蝶でしたしそれならお尻もピンとしたバランスいいナイスバディがいいのが人情ですしね^_^;

尚、このMCにて売れ行き不振のスタンザFXの5HBはカタログ落ちし代ってオースターJX3HBとボディを供用するFX3HBを設定、グレード編成も一部見直されています。

個人的にはこれ、悪あがきとしか思えませんでしたが…(汗)

(83/11)
ここからモデル末期の怒涛の新グレードを売れないヤケクソのように追加してゆきます、売れなさ過ぎてボディが余ってしまったか!?(爆)
まずはオースターJXセダンに1800GS-Xエクストラを追加。

(84/5)
オースターJXセダンに1600GSスーパーサルーン、1800GS-Lスーパーサルーンを、スタンザFXにセダン1800SGXエクストラを追加。

↓オースターJX、スーパーサルーン系追加時のCM画像


(85/1)
スタンザFXにセダン1600/1800LXサルーンを追加。

(85/10)
まずはオースターのみ4年4カ月ぶりにFMCが行われ3代目かつ最終型のT12型がデビューします。

↓3代目オースター(85y1800ツインカムターボユーロフォルマRtt)


(86/6)
オースターに遅れる事8カ月、5年ぶりにスタンザもFMCが施されオースター同様3代目かつ最終型のT12型がデビューします。

↓3代目スタンザ(85y1800スプレモ・ツインカムターボ)


このFMCにてサブネームが廃されA10以来の『オースター』『スタンザ』となっています!

以上にて“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る…第2弾!!はここまでとさせて頂きますがT11型3代目日産バイオレット・リベルタ/2代目オースターJX/同スタンザFXの総評を…

(総評)
本文でさんざん記載しました通り残念ながらT11は稀代の不人気車、販売不振車輛でした…

同じ不人気ながら歴代710、A10よりもその不信は深刻で80年代初頭から始まった小型クラスのFF化の先陣を切りなかなかの意欲作であった筈ですが全体的に煮詰めが甘くまた、エンジン設定の見誤りからなるカテゴリー選択の失敗は救いようがなく今でもこれを知る者は“FFセダンの最大の失敗作”と言わしめる程です。
煮詰めさえしっかりとしていれば決して目指した方向は間違いではなく大元(リベルタ)が僅か1年で廃版となる事もなかったでしょう。

数ある国産車、数ある双子三つ子モデルの中で大元が派生を残して消えると言う数奇な運命を歩んだT11、途中の大整形も含め意欲だけが空廻り、そしてBigネームのブルーバ-ドのご機嫌伺いを常にする哀しい、そして痛々しいモデルでしたがこの経験がFF転換に一早い行動を取った日産の指針にもなったと思いますし決してムダな存在ではなかった!と締めさせて頂きます。

“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る・『T11型日産バイオレット・リベルタ/オースターJX/スタンザFX』編……終


※次回は続いて『T12型日産/オースター/スタンザ』編を第3弾としてUPする予定です(^.^)/
Posted at 2017/12/09 16:09:28 | コメント(1) | トラックバック(0) | 変態車 | クルマ
2013年07月03日 イイね!

保存版・“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る…第1弾!!

保存版・“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る…第1弾!!新企画の始まりっす(^^)v

まぁ、新企画と言いましても相変わらずカタログ他資料から写真の羅列、筆者の記憶、体験にそれら記憶の危なっかしい部分は各文献の力を借りて今回はライバルとか1発屋に関係なく俗に言う“マイナー車”“変態車”を取り上げて行きたいと思います。

まぁ、こんな感じで代り映えしない<新企画>ですがマイナー/変態=不人気旧車にソソられるワタクシめのヒマ潰しによろしかったらまたお付き合い下さい<(_ _)>

“納得のマイナー・モデル第1弾”はこのクルマから取り上げてゆきます=『日産バイオレット/オースター/スタンザ』!!

ねっ、往時を知る世代には納得でしょ!?(汗)

今では存在した事も忘れられたようなバイオレット兄弟、1973年(昭和48年)にこのシリーズの元である710型初代バイオレットが誕生し1990年(平成2年)、後続のP10型プリメーラが誕生する17年、計4代に渡り生存しましたが遂には1度も脚光を浴びる事なく常に“不人気車”のレッテルを貼られた陽の当る場所を知らないマイナーモデルでした。
それでも天下の日産車ですから第3勢力の同様モデルよりは確実に多く走っていたのは間違いないのですが大メーカーの車種が故、余計にその目立たなさが今となっては郷愁を誘ったり…。

それではそんな哀しい人(車)生を歩んだバイオレット一族の軌跡を振り返ってみたいと思います(^^)v

今回の第1弾ではバイオレットは77yにFMCし2代目となったA10型、そしてこれをベースに派生した初代オースター/スタンザを取り上げます。

※前述の通りバイオレットは73yに既発売ですがこれに関しては過去ブログの “偉大なるUP! DOWN! 野郎たち”!!!…14ブルーバード610型編 にて詳細を取り上げていますので今回は2代目A10型からのスタートとさせて頂きますが710を語らずに流れを表現できない相変わらずの文章能力の低さもあり触りだけ710にも触れておきますね(^^ゞ

~名車、ブルーバード510再来の十字架を背負わされた悲運のバイオレット~

60~70年代初頭のベストセラー小型ファミリーカーだった名車510ブル、71年に市場、ユーザーの贅沢指向に合わせて従来の車格をUPし1.8L級に移行したブルは610型となり従来のカテゴリーにはデビュー以来高い人気/販売を誇る先代510型を車種整理しながら引っ張ります。
しかしこのカテゴリーに70年から参入したライバルのトヨタカリーナが高人気を得、さすがにデビュー6年となる510ではこれに太刀打ちはできなくなり新たに510に変わって発売されたのが初代バイオレットです。

↓510ブルからバトンタッチされ激化する1.4~1.6Lクラスに投入された初代バイオレット710型
(73yHT1600SSS)


当時の多くの自動車ファン、日産ファンは名車“510の再来”を期待し新型車であるバイオレットの発売に大注目しましたが蓋を開けてビックリ!って感じで…

スーパーソニックラインが醸し出すクリーンでシャープなデザインが魅力だったスタイリングは妙にウネウネ!
性能的には510に見劣りする事はなくむしろ610よりは俊足ながらも全ては当時としては受け入れ難いヘンテコなデザイン、ブルとサニーの寄せ集め的な機構面がこのクルマの評価を台無しにしライバルのカリーナは勿論、人気/販売は旧型モデルの510にも及ばない“駄作”として捉えられてしまったのが不幸の始まりかもしれませんorz…

時は流れ4年後の昭和52年5月、スタイリングや後方視界の悪さ、評論家の酷評もありさんざんだったバイオレットもFMCの時を迎え自動車ファンは510の再来“今度こそ!”の心境で2代目バイオレットの発売を見守りました、結果は…

うんうん、確かにスタイルだけ見れば510の再来に間違いない、しかし何か違う といった感じだったでしょうか?

↓スタイリングに関しては“公約通り”?510再来を果たした2代目A10型バイオレット
(77yセダン1600GL-E・L)


510の最大の特徴である“スーパーソニックライン”こそ主張はしていないながらもそのシルエットは510そのもの!
先代のズングリムックリとは180度異なる見切りのいいスパッとした直線で表すクリーンなスタイルは嫌味がなく日産としては510ファンに「どうだ!」的気負いだった筈です!

しかし意外にも2代目バイオレットも殆ど話題にされないという哀しい現実、それは何故か?

バイオレット、710が型式から見ても分かる通り完全なるブルーバード一族だったのに対しA10は独立した新型式を与えられ(実際はB210~310サニーの拡大版に近かったですが…)ブルの呪縛から逃れようとする姿勢を感じました、しかし反対にあんちょこにスタイルだけは510から借りてきており中身はそれの“技術”“魂”を感じさせる事がなく単なるサニーに毛が生えた程度のモノ と大多数のファンは受け止めていました。

また、それほどブルに思い入れがない層には当時の空気、既に510は単なる型遅れの太古のセダン扱い、ブルは既に810型となっており2世代前のモデルですから致し方ないですよね、後年~現在にかけてこれほど神的扱いを受けるクルマになるとは当時は誰も想像はできなかった筈ですし。

日産としては「そんなバカな!」的思いがあったのでしょう、日産を代弁するとすれば「アンタらが望んで止まない510をもう一回造ったのに何で買わんの?」って感じだったかと(笑)
この点は一部同情しちゃいますねー、何せ飽きっぽい日本人、あれほど510と違い過ぎる710を反省しスタイルのみとしても510再来を実現させた途端、“古臭い”“地味”とかケチしか付けられずでややバイオレット、気の毒ですらありました(汗)

皮肉ですよね、スタイルは全く異なりながら中身はほぼブルーバードだった710、そしてスタイルのみ510ながら中身は全く別物で下級サニーに近いA10、共に失敗作マイナー車、どうすりゃ買うの?メーカーはそんな感じだったのではないでしょうか(笑)

510同様にラリーに参加し好成績をおさめその部分をイメージ戦略にしてみたりさんざん言われた極悪視界を改善しそれをアピールしたり頑張りましたが510のように支持されなかったのは510にあった野性味が微塵とも感じられずまた510では最大のアピールだった秀逸な4独サスをA10には与えなかった点でしょう。

※市販A10とラリー出場のA10はカタチは同じでも中身はまるで別物のモンスターでした。

510がファミリーカーでありながらサファリラリーでの大活躍からスポーツモデルの『SSS』が大きなイメージリーダーになっていた点、そしてラリーでの勇姿の全てはあの脚廻りにある!と信じられていた中、先代ですら継承していたSSSを設定せず、また本来のバイオレットの立位置的には後輪リジットでコストを抑えるのも一つの生きる術ながら下手に510を意識し過ぎ(させ過ぎ)たのが仇となりクルマ好きは「SSSも、4独でもないバイオレット=510に非ず」の判定を下しました…。

77yと言えばまだOILショック→排ガス対策の後遺症が残る時代、この頃はスポーツモデル=悪 みたいな空気も多少残っておりそんな中でのバイオレットのカラー付け、日産としては大いに悩んだでしょう。
アピールでは510や710のスポーツなイメージを踏襲しながら実車ではあまりにファミリー路線とコストダウン(適切ではありましたが)に特化し過ぎたのがA10の失敗要因の大きな部分だったと感じます。

↓コピーでは510同様にラリーシーンの野性味を訴えますが…


ワタクシもここでのお題のモデル、全てドライブ経験ありますが510や710、場合によっては610も含んでラリーで実証した技術力や耐久力を肌で感じる事はありましたがA10にはそれがない!

乗っていてもサニーの標準モデル=大衆車と何ら変わるところがなくハンドリングやサスも610はともかく510の楽しさは皆無、これではコピーでの訴求と実際の車のギャップが激し過ぎですした…。

こんな感じでしたのでA10型バイオレットのデビューは暗雲垂れ込める?って感じだったのが印象深いですが明るい話題もありました、それはA10と同時にデビューした派生車種となる『バイオレット・オースター』です!

~派生車種の誕生!!~

A10バイオレットがファミリー路線に特化したのは実はオースターの存在があったから!

当初オースターは『バイオレット・オースター』のネーミングでデビュー、この時代は当たり前だった双子車、例えばカローラ/スプリンターやセドリック/グロリア等同じクルマであっても最初から違うクルマとして販売されるのとはやや異なりオースターは当初、あくまでバイオレットのスポーツバージョンという位置付けだった訳です。

↓A10バイオレットのスポーツバージョンでデビューした『バイオレット・オースター』
(77yマルチクーペ1600CS-E・L)


バイオレットのFr意匠や内装をスポーティに味付け、大人しいファミリーグレードと高級グレードのみのバイオレットに対しそれこそ“SSS”風に若々しく彩られたバイオレット・オースターは廉価版とスポーツグレード(とそれの豪華版)のみのラインアップでした。

因みに他社双子のように何故か販売店は分けられバイオレットがブルーバード系列、同オースターがチェリー系列で販売されておりこの事からいくらSSS風味でもバイオレット・オースターにはブルーバード(あるいはブル販売店の武器)専売特許?である名誉ある冠(sss)が与えられなかったのです…。

“♪~南の風、晴れ、遠い海~”の唄に乗ってトロピカルで若々しいCM展開がなされたバイオレット・オースターは個人的には非常に好きでした!

地味な印象のバイオレットに較べ原色カラーが施され少し悪っぽい?Frグリルはそれこそかつての510の雰囲気を醸し出しておりこれでもう少しインパクトあるエンジンや“SSS”のグレード名だったならもしかしてオースターのみはマイナー車ではなかったかも?個人的にはそんな風に思えます。
上級スポーツグレードのCS系にはさんざんの言いいようだった後輪リジットにスタビが設けられ強化された脚を持つのもバイオレットにない魅力でした。

そして…

A10バイオレット/同オースター発売に遅れる事3か月となる77/8にもう一つファミリーが加わりバイオレット一族は三つ子となります!

新たに加わったのは『スタンザ』と名付けられたバイオレットベースの高級バージョンでこれでバイオレット一族は バイオレット=ファミリー向け バイオレット・オースター=若者向け スタンザ=高級指向ユーザー向け という明確な性格分けがなされました。

↓77/8に追加サレタバイオレットの高級版『スタンザ』(77yマキシマGT-E)


スタンザは後に日産が凝りだした良く言えば“小さな高級車”=小さいサイズで安価に高級車の雰囲気が味わえる 悪く言えば“上級モデルのパクリカー”の元祖的存在!

そう、ご存じパルサーをスカイライン風味にした『ラングレー』、サニーをローレル風味にした『ローレルスピリット』、パルサーをブルーバード風味にした『リベルタ・ヴィラ』からなるシリーズ?のTOPバッターだった訳です。

スタンザの思想はズバリ“ミニ・セドリック”!!
後に続パクリカー、もとい「小さな高級車」同様にバイオレットの顔を当時のセドリック風味とし内装もこれに準じて絢爛豪華に飾るというセド/グロユーザーから見たらとんでもないモデルでした^_^;

仮に自分が当時としては高額な200万超を払いセドリックを乗ってる横で顔面そっくりさんの約100万近く安いスタンザに並ばれたら嫌になりますしその逆だと気恥かしい、車庫スペース、道路事情他の関係からこのようなモデルを選ぶ層は結構当時はいましたが個人的には否定的な車種ですネ、まっ、そんな事言ってたらパクリだらけだった当時の日本や現在の隣国は成り立たんでしょうが(@_@)

↓スタンザはこれをモチーフしていました(76yセドリック4HT2800Fタイプ)


スタンザは77yのFMCにて廃版になったサニーの高級バージョンであったサニー・エクセレント(B210)の後継という側面もありサイドのターンシグナル形状にB210エクセレントの面影を継承、当然扱いはサニー店となります。

それでは3兄弟が出揃ったところでモデル概要を振り返りってみます!

[諸元]

(発売)
バイオレット、同オースター:1977年(昭和52年)5月
スタンザ:1977年8月
(ボディ)
バイオレット、同オースター:4ドアセダン/2ドアHBクーペ
※クーペの名称はバイオレットがオープンバッククーペ、同オースターはマルチクーペ
スタンザ:4ドアセダン
(バリエーション)
バイオレット
1400STD(セダンのみ)/1400・1600DX(セダンのみ)/1400・1600GL/1600GL-L/1600GL-E・L
バイオレット・オースター
1400・1600DX(1600DXはセダンのみ)/1600CS/1600CS-E/1600CS-E・L
スタンザ
1600ラグジュアリー/1600エクストラ/1600エクストラE/1600TS/1600TS-E/1600マキシマ/1600GT-E
/1600マキシマGT-E

(型式)
バイオレット、同オースター1400→日産B-A10型
同1600及びスタンザ→日産B-PA10型
※B-は51年規制適合記号
(サイズ)
全長4080mm~4260mm全幅1600mm全高1350(クーペ)1390mm(セダン)
※全長はスタンザ4150mm、バイオレット、同オースターセダン4080mm、同クーペ4260mm
(ホイールベース)
2400mm
(車重)
875~970kg
(搭載エンジン)
A14型 1400cc 直4 OHV キャブ 80ps/11.5kgm
L16型 1600cc 直4 OHC キャブ 100ps/13.5kgm
L16E型 1600cc 直4 OHC EGI 110ps/13.8kgm
(ミッション)
4速MT/5速MT/3速AT
(脚廻り)
Frストラット/Rr4リンクコイル
(駆動方式)
FR

※搭載エンジンはNAPSによる51年規制適合、ps表示はグロス値

~車輛概要~

(エンジン、ミッション)

上記の通り3兄弟、基本は同じながらその性格により設定は異なり高級感を増すためにスタンザは1600オンリーの設定、バイオレットオースターは1400と1600を用意、オースターをスポーツグレード中心のバリェーションとしバイオレットは廉価~ファミリー層中心にターゲットを絞っています。

搭載エンジン、1600は先代710からのキャリーオーバーとなりブルーバードやスカイラインにも搭載されていたL16型NAPS、1400は先代まではL14型でしたがこれをサニーのA14型NAPSを移植しています。

主に触媒方式(NAPS)にて51年規制に適合するA14/L16はトヨタの同クラスエンジンに較べれば元気な部類でしたがそれでも未対策に較べるとかなりストレスある心臓。
L16は上級モデル用として電子燃料噴射装置(EGI)付も設定しておりこれに関しては及第点の走りを得られていますしキャブのL16も車重の軽いA10ですので810ブルやケンメリ/ジャパンのスカイライン1600に較べストレスは大幅に軽減されていました。

↓3兄弟でのNo1パフォーマンスエンジンはお馴染L16型EGI


ただ、A14に関してはやはりオーバーウェイトを感ずる部分はありこれもかつて下取りやら何やで何回か乗りましたがサニーでは元気そののものA型もさすがにA10クラスではやや荷が重く発進、加速などサニーでは感じないもどかしさはついてまわりましたねー…
しかしカリーナの1400(A30)や1クラス下になるカロスプの1400(E50/60系)のT-U型1.4Lと比較すればそれでも元気!名機と謳われたA型の面目は保っていたと思います。

ミッションは3兄弟ともに4速MTを標準とし上級に5速MTと3速ATを用意、マニア的に歓迎なのは5速モデル(1600スポーツ系)には伝統の直結5速だった事ですね!
B110~310サニー、710バイオレット、610ブルSSSの売りだった1速が左下に入るこの直結パターンは一般的ではないながらも非常にスポーツマインドをかき立てられるモノでした~。

(ボディ)
ボディはバイオレット/同オースターはセダン、クーペ、バンを、スタンザはこれも高級度合いを高める意味合いでセダンのみを設定。
クーペはセリカLBやB210サニー、ランサーセレステが既に採用していた単なるクーペに“第3の扉”という付加価値を付けたHBクーペとしバイオレットを『オープンバッククーペ』、オースターに『マルチクーペ』の名を与えています。

↓バイオレットオープンバッククーペ(77y1600GL-E・L)


↓バイオレット/同オースターは当時の同形式モデルで必ず添付された“多用途性”をアピール!


クーペとスタンザにはこれも高級/スポーツマインドの意味か?立派な大型バンパーを採用、当時はアメリカではこれが法制化されており輸出仕様には必需だった5マイルバンパー=大型バンパーが見た目の迫力、充実度合いもあり国内仕様にも採用されるのが一種のブームでトヨタのセリカ(A30系)から始まり各社追従、バイオレット3兄弟もこれに倣っていました。

ただここで所感を述べさせてもらえばスタンザは置いておきましてバイオレットとオースターに関してはクーペのみ、しかも低グレードにも採用しながらセダン上級グレードには非採用、これはどう見れもおかしな感じでボディに限らずに上級に装備するのが一般的でしたから非常に違和感を感じます。
日産は時々こういう?な設定をし例えば上級のローレルや810ブルーバード、先代710バイオレットでもそうでしたがボディによって高級な4独脚廻りを与え分け通常ではグレードで差別するのに高価なセダン高グレードがリジットで安いHTやクーペのが4独だったりと…
これにより車輛価格、上級メカが高い設定ならば理解しますが価格設定はあくまでグレードで分けており採算という部分でもですがユーザー側にも費用対効果の部分で大いに疑問が残るやり方でしたねー。

まぁ、A10の場合は脚廻りほどの差がある訳ではなかったですが大型バンパーですらね、見かけだけではなく低速時の衝撃度合い=安全性も異なりますので低い金額(クーペ低グレード)を払った者が高額(セダン高グレード)を支払った者より守られるというのは当時も今も首を傾げるところです、後に改善策がとられましたから取りたてて目くじら立てることではないのですが該当時期のセダンを購入したヒト、気の毒ですよね~…。

↓大型バンパー付のバイオレットオープンバッククーペ低グレード(77y1400DX)


(エクステリア)

冒頭部分で述べました通りエクステリアはかつての510セダンの再来と言ってもいいでしょう、それほどA10は似ていました。
サイズは510より格段に大きくなっていますがまだ大きさによるクラス分けが忠実に守られていた時代ですからサニーよりは大きくブルーバードよりは小さいという法則は710から継承。

3兄弟ともに510を継承する逆スラントの顔はなかなかイケメンで特にバイオレットはワタクシ好みの逆スラ2分割!!
ファミリー向けのバイオレットですから地味目なデザインでしたがこれも好きでした…。
スタンザは330セドリックを意識した顔付、メッキモール類の多用によりベースのバイオレットセダンとは大幅に異なる印象でこの類はパス!なんてワタクシ先に書きましたが実は一番気に入ってました(^^ゞ

“「男と女とバラとスタンザ」”なる日産得意のややエロいキャッチフレーズがいかにも大人のセダンって感じで
スタンザの性格をよく表していたと思います、悪く言えば同じクルマながらバイオレットの貧乏臭さ、オースターのガキっぽさが消えており当時の30~50代が乗ってもサマになる感じと言いましょうか…

そしてシリーズで最もスポーツマインドの高いバイオレットオースター、セダンボディを最大限売りにしたスタンザとは異なる方向性でこちらはクーペがメイン。
何となくながらかつての510クーペの勇姿も重なる直線美を強調するスタイルはこの手のデザインに長けているトヨタのような流麗さはなかったかもしれませんが男っぽく硬派な味付けでこれも個人的には好感触でした!
ワタシ好みの“逆スラント”もオースターの顔に一番それが映えていたように感じます。

↓バイオレットオースター最高峰である1600マルチクーペCS-E・L


惜しむべくはクーペの名称をバイオレットと同オースター、ひいては日産のこの手のモデルで統一しなかったのがイマイチ知名度に欠けたのでは?と…

トヨタは車種に限らず“リフトバック(LB)”でHBを統一ネーミングとしていましたからね、トヨタ的やり方を使わなかった日産のプライドを褒めるべきかもしれませんがトヨタはこの統一により広くHBをユーザーに広めていましたし商売的には日産、下手だなー と。

ある意味日産の大衆迎合しない“骨”がまだ残っていた証拠でもあるので取り立て騒ぐような事でもないですがね(笑)
しかし例えばサニークーペ、チェリー/パルサークーペやHB、S110シルビア/ガゼールHBクーペに日産独自のネーミングが付いていたとしたならもっと普及していたのでは?と感じます。

(インテリア、居住性)

この分野でも3兄弟の性格分けが強く表されスタンザは別格の味付けでさすが“小さな高級車”を謳う上質なインテリアをまとっていました。

ベースのバイオレットが当時日産の悪い癖?でトヨタやマツダと較べ車格以下の安っぽさを感じさせてしまう部分(例えば低グレードでのシート材質やセミトリムなど)がある中でスタンザはセドリックそのまま…までは言えないながら上級ブルやスカイラインクラスの上質感は持っていたと思います。

↓スタンザは廉価版でも部分ファブリック、フルトリムでバイオレット/オースター廉価版とは
差が付けられています。(77y1600ラグジュアリー)


ただスタンザと言えども当時も後年も付きまとう日産独特な質感のなさは内装造りに定評があったトヨタやマツダの同クラス以下でしてこれは下請けメーカーの力量にも大きく左右されますが“おもちゃっぽさ”で特に年配層は日産を避ける傾向があったような…

インパネは基本共通デザインですがスタンザのみメーターフード部がやや盛り上がる形状です。
先代では目線の高さにメーターがそびえ後方ばかりか前方ですら見切りの悪い閉塞感を伴うインパネデザインでしたがこれを解消しダッシュ全体を低めに下げ510同様に広く明るいグラスエリアに見合うスッキリとしたデザインになっています。

装飾はバイオレットを標準としてオースターは黒基調にスポーツマインドを強調、スタンザは他2車とは異なる高級材質(メッキ処理等)が採用されており見た目の華やかさで訴求しています。

↓広く明るいキャビンを実現したインパネ(77yバイオレットセダン1600GL-L)


↓バイオレットGL-Lのインテリア


↓黒基調/木目でスポーツマインドを推し出すバイオレットオースターのインパネ&インテリア
(77yマルチクーペCS-E)


↓“ミニセドリック”のキャッチフレーズに相応する豪華な味付けのスタンザのインパネ&インテリア
(77yマキシマGT-E)


各装備も先代からは格段に向上、70年代丸出しのノブ式ライトやワイパーS/Wはマルチ式に改められ空調もエアコン装着前提のモノに進化していました。

居住性はこのクラスのFRセダンとクーペですからたかが知れています、ただ、当時の水準からすればセダンも狭いには間違いないですが広いガラスエリアのおかげで閉塞感はありません、後席はフットスペースが不足するのはこのクラスでは致し方ないながらも大人4人ならばFRファミリーセダンとしては水準を満たしていたと思います。

クーペに関しては後席のヘッドスペースが不足、この類のモデルですから前席優先なのは致し方ない所でそれでも実用には使えるレベルでしたし分割可倒式RrシートとHBによる幅広い使い勝手は他のHBクーペも同様ですが魅力的でした。

(シャーシ、脚廻り、ドライブフィール)

A10で一番不評だったのがこの部分…。
前述の通り脚廻りは当時としては極平凡なFrストラット/Rr4リンクリジットというもので先代710HTやブル、スカイラインで熟成されたRrセミトレと較べるとどうしても見劣りするものでした。

↓Frストラット/Rrリジットに“退化”?したA10の脚廻り


何せライバルが“足のいいやつ”をコピーとしていましたからね、ブル対コロナ他でいつも脚廻り部門ではトヨタと較べ先進的イメージの強い日産でしたからA10でもこの部分で優位に立ちたいのが日産ファンの願いだったでしょうがコストダウンという現実の前にその夢は実現しませんでした。

ただ、ライバルのカリーナにしても4独ではない後輪リジットですからね、実際乗り較べてもA10が劣っているという感覚はそれほど感じませんでしたが腰はなくストロークも不足し少し攻めればすぐボトムという頼りなさはライバル以下だったかもしれません。
まぁ、カリーナのGTやSRのハーダーサスに比較してA10は一番それらしきハードモデルのオースターCS系でも柔らかく頼りなかったですがカリーナのようにDOHC(GT)を搭載するでもなく乗り心地重視のA10の方向も間違いではなかったでしょう、特にバイオレットとスタンザ゙では。

シャーシは基本210サニーの発展型、ボディ含めて剛性もこの程度のパワーでしたら可もなく不可もないレベルだったと思いますがトレッドが不足していたのか?あまり直進性はよくなくハンドリングにしてもボールナットの悪い癖が顕著、重さはパワーアシストのない時代でもそれほど苦労した感じはしませんがフニャサスと相まってグルグルと回してようやく行きたい方向に曲がるという応答性の悪さが嫌いでした。
トヨタにしてもこの時代はこんな感じ、この分野で秀逸だった三菱(ランサー、ギャラン)のシャープなハンドリングは70年代後半と言えどもまだまだ光っていましたねー…。(ってまた菱ヲタの悪い癖が…汗)


それではココよりモデル改歴に移ります。

※商用/営業グレードや特別仕様、小変更など全ては網羅していませんのでご了承願います。

(77/5)
2代目バイオレットA10型発売、同時にスポーツバージョンのバイオレット・オースターも新発売。

(77/8)
バイオレットセダンをベースにした高級バージョンであるスタンザ新発売。

(78/4)
3兄弟揃って53年排ガス規制に適合、同時に一部小変更を実施。

主に三元触媒方式と1600は従来のL16を改良しツインプラグ方式により燃焼効率を高めたZ16型(Z16E)エンジンに換装『NAPS-Z』と命名した53年規制に適合し型式頭がB-→E-となっています。
Z16系は既にブルーバード810で搭載していたモノを移植、ベースは従来型ながらドライバビリティは向上し加えてブルより軽量なA10では未対策時代に近いレスポンスが戻ってきた感すらありました!

尚、A14型も三元触媒方式によりZ型と同時に53年規制に適合しています。

↓1600シリーズはツインプラグのZ16型を搭載!


出力はA14は変わらずながらZ16で95ps、Z16Eで105psとそれぞれ5psダウン(トルクは変更なし)とされますが前述の通りダウンよりもむしろフィーリングは向上した感があり低速でのトルク感、そして吹け上がりはL型と比較して粘りや気持ち良さ、格段に差がありました。

小変更はバイオレット/同オースターのセダン系に実施、ボディ項で述べました大型バンパーがここからセダンにも設定されています。

またこの時点からオースターは『バイオレットオースター』→『日産オースター』に名称変更、バイオレットのスポーツモデルという位置付けを離れあくまで別のクルマとしての立位置が与えられバリェーションも拡大します。(ノンEGIの高級グレードCS-L追加)

↓セダン/クーペ同一の大型バンパー採用となったオースター(78yセダン1600CS-E・L、クーペ同)


↓低グレードセダンにも立派なバンパーを装着!(78yオースターセダン1400DX)


↓大型バンパー装着のバイオレットセダン(78y1600GL-E・L)


この小変更及びエンジン換装により3兄弟、型式をA11型と改めています。この変更は日産社内ではMC歴扱いですが巷ではあくまで小変更レベルでの受取りでした。

(78/9)
バイオレットにオースターを分離した事による穴埋めとしてスポーツグレードの『1600GX』シリーズを追加します!

GXはサニーやかつてのC30ローレルのスポーツグレードで浸透したグレード名、バイオレットにはいよいよ『SSS』を再度名乗るチャンスだったににも関わらずGXグレードを与えたのが災いしたか?若しくはオースターでこちらの需要は吸収していたのもあり殆ど話題にはなりませんでしたねー…
これがもしSSSと名付けられていたらもしかしたらバイオレットの運命、また違っていたかもしれない、そんな風に感じるのはワタシだけでしょうか!?

尚、GXはセダンとクーペに設定、Z16型搭載の『GX』、Z16E搭載の『GX-E・L』とされ後者は従来の最高峰GL-L/GL-E・Lに倣った高級装備が奢られています。

↓バイオレットには久々の?スポーツグレード誕生(78yクーペGX-E・L)


バイオレットGXは従来のオースターCS系の意匠が基本ながらインパネやシートはバイオレットらしくオースターまでのスポーツマインドは表現せず地味めのスポーツグレードでした。
対象となるオースターCSのビニールレザーの硬派イメージのシートや木目インパネは不採用、モケット張りと従来グレードと大差ないおとなしいイメージのインパネのバイオレットGX、オースターの存在が控えめな訴求に留まる、と言ったところでしょうか。

↓バイオレットGXのインパネ&インテリア(クーペGX-E・L)


(78/11)
スタンザのみに1800シリーズを追加設定。

より高級度合いを高めたいスタンザは上級ブルーバードやスカイラインに搭載されていたZ18型及びZ18E型エンジンを換装、バリェーションはエクストラ、マキシマ(Z18)とマキシマGT-E(Z18E)の3シリーズをラインナップしています。

↓3兄弟で最高峰となるスタンザ1800(78y1800マキシマGT-E)


Z18型エンジンの概要は下記の通り

Z18型 1800cc 直4 OHC キャブ 105ps/15.0kgm
Z18E型 1800cc 直4 OHC EGI 115ps/15.5kgm

ミッションは1600同様でエクストラに4MTと3AT、マキシマと同GT-Eには4/5MT、3ATを用意。

スタンザの1800、特にEGI付きは車重1t未満で115psですからね、ワタクシ残念ながら乗車経験はありませんが上級ブル810SSS-Eやスタンザ1600EG付きでも当時の水準では充分なパフォーマンスを持っていましたからZ18E搭載のマキシマGT-E、経験してみたかったです。

すって飛んで行く、という速さはZ系エンジンの性質からなかったかもしれませんがトルクフルで5速ならば高速クルージングにより余裕が生まれたのでは?と推測します、ややスタンザにはオーバースペックですしブル810との棲み分けが曖昧になり絶対的知名度でブルのような普及には至りませんでしたが仮に今残っていたら間違いなく“変態車”に認定でしょう(笑)

↓スタンザはZ18/Z18Eの追加で4種のZエンジンを搭載!


(79/6)
3兄弟揃ってMCを実施、後期型となります。

ライバルカリーナの好調を横目に商業的にパッとしないA10(A11)型、人気/販売のテコ入れで特にバイオレットとオースターは大幅なMCが施されます、お約束の前後の意匠変更も従来型の面影はほぼ感じず顔と尻だけ見ればまるで別のクルマになったの如くイメージ変更がなされました。

バイオレットは流行の角目4灯、オースターは角型2灯+フォグの顔付となっています、スタンザはセドリック顔がそこそこ好評だったのもありグリルデザインの変更程度です。

↓角目4灯とされた後期バイオレット(㊤新追加グレードのセダン1600SGL㊦クーペ1400GL)



当時流行の角目4灯になったバイオレット、角目2+角フォググリル埋め込みになったオースター、時勢からして仕方のないMCですが明らかに丸目の方が個人的には似合っていたと思いますのでこれもこの時期多くのモデルが時流に乗り丸目→角目に移行し残念感が殆ど残ったうちの一つでした。

この時にバリェーションの一部名称変更、新グレード及びグレード整理やエンジン換装が行われており各車概要は下記の通り。

(バイオレット)
1600に豪華装備のこれまたローレルチックなグレード名であるSGL/SGX-Eを設定、これに伴い従来のGX/GX-E・LはZ18キャブのGXに1本化、1400の最高峰となる1400GL-Lを設定、これにより従来1400には設定のなかった5MTをGL-Lに搭載しますが直結5速パターンではなく通常の慣れ親しんだローが左上に設置されるタイプとなっています。

↓今では考えられない贅沢さの3パターンのバイオレットのMT設定


(オースター)
1400を廃版とし新たにスタンザ同様のZ18/Z18Eの1800GTシリーズをラインナップしています。
従来のCS系に豪華さを充実させたのが1800GTシリーズでZ18キャブのGTとZ18EのGT-Eの2種をセダン/クーペの両モデルに設定していました。

↓新追加の1800GT(79yクーペ1800GT-E)


尚、従来での廉価版だったDXは1600に格上げされた事により『1600カスタム』に名称変更、CS系はCS-Eを廃止してCS-LとしCS、CS-L、CS-E・Lの3モデルとなっています。

↓新追加のオースターセダン1800GT-Eと後期オースタークーペのバリェーション



(スタンザ)
グレード編成でTS/TS-Eを廃版、ベロア地シート、シャギーカーペットや3兄弟唯一のパワーウィンドウを装備した最高グレードのマキシマX-Eを追加設定しています。

↓新設マキシマX-EのRrビュー及びインテリア




X-Eはセド/グロブロアムやローレルメダリスト、ブルーバードG6など上級豪華仕様車となんら遜色ない豪華な演出が施されライバルやその上級であるカリーナ/コロナの豪華仕様“エクストラインテリア”を上回るモノ、当時これ見た時は目がテンになる車格に対する不釣り合いさ、いまでも衝撃を憶えています。

オーバーデコレートと言えば簡単ですが例えば三菱やマツダ、ダイハツや富士重などには車種が少ないという事情から下級モデルで他社上級と勝負する事もありこのような例は多く見られましたが自社にいくらでも高級車を持つ日産としてはやり過ぎ感が強くまたこの頃の豪華=悪趣味って感じは当時の高級車好きな層の好みだった(この時代の高額所得者は戦後のアメ車に憧れた世代にあたりアメリカン、キャデラック的な絢爛豪華さを好む傾向が強かった)とは言え元は大衆車のバイオレットをここまでお化粧する気合が時代を象徴していますね(笑)

(79/8~80/4)
スタンザを皮切りに5ドアHBモデルが順次追加されます。

TOPとなったのは79/4の『スタンザ・リゾート』と名付けられたスタンザ5HB、79/1デビューの下級サニーカリフォルニアと同様にレジャーの多様化に訴求したモデルでした。
カリフォルニアの手法をそのまま用いバンと差別化させるためクーペ並の低い全高としスポーティさを強調、カしかしリフォルニアほどのワゴン形式ではなく4ドアセダンの延長上の5HBでした。

↓スタンザにまずはデビューした5HBのリゾート!(㊤リゾート1800X-E㊦リゾート1600S)



この類のモデルはスタンザ以前にRT40コロナや三菱コルト11で既にお目見えしており目新しさはないですがセダン+広いラゲッジが80年代を前に余暇の活用に敏感になってきた日本人に訴求、先人は時代が早く商用バンと混同され商業的に失敗作となってしまいましたが日本人のライフスタイルの変化に日産が注目、MCでも一向に人気/販売の上向かないA10のテコ入れとして再び提案したものでした。

但しこの5ドアHBという車型は日本では“鬼門”でして先人同様にA10も結果的には撃沈、しかし合理的で実用性を重視する欧州では人気あるボディであったため各社、各車がA10以降もどうせ輸出用に造っているのだから!って感じで度々ラインナップに加えていましたがどれも成功した試しがなく2002年、ようやく5HBとしては例外的にスタイリッシュだった初代マツダアテンザで支持を得た感じの日本市場には誠に古くからありながらも難しいボディでした。

尚80/4からはバイオレット/オースターにも5HBを追加、ネーミングは単に『5ドア』でリゾートに当るネーミングは与えられていません、しかし当然ながらスタンザリゾートの顔をそれぞれ付け替えたモデルです。

↓80/4~新追加のバイオレット5ドア(1600GL)


↓オースター5HB(80/41800GT-E)


3兄弟の5HBはセダン/クーペよりは狭いグレード設定ながらそれぞれ高級グレードやスポーツグレードもラインナップされていました。
スタンザのみリゾートは別名称のグレードになりS(Z16)L、G(Z16/Z18)X-E(Z18E)の設定でした。

尚、この時バイオレットに女性向けグレード『ファンシーGL』『5ドアGL-A』、スタンザに同趣向の『4ドア1800エレガントエクストラ』及びサンルーフ付の『リゾート1600SX/同1800SX-T』、オースターに1800の廉価/普及版である『セダン1800CS』が追加設定されています。

(81/6)
ライバル、カリーナに3兄弟合わせても10万台以上の差が付いたA10系バイオレット3兄弟はここで終了、バイオレットは3代目、オースター/スタンザは2代目となる次期型T11系にバトンタッチされました。

↓次期型T11型(81yスタンザFX)


“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る…第1弾!!はここまでとさせて頂きますがA10(A11)の総評を…

(総評)

先人(ブルーバード510)があまりに偉大で苦労した先代710バイオレット、2代目では兄弟を増やし710で散々指摘された欠点をできる限解消し比較的真面目なクルマ造りをしていたとは思います、ただ本文で触れたようにバイオレット(兄弟)としてのこれと言ったアピールはなくあくまでサニーの延長モデルとしか映らず煮詰めもほぼサニー、同じならば車輛価格の安いサニーに行くのが世の常、ライバルのカリーナがカローラにないスポーティさとコロナにない若々しさを持って支持を得ていたのとは対照的だったと。

加えて79/11にデビューした上級の6代目ブルーバード910型は稀代の人気車種、バイオレット3兄弟に少し足せば(グレードによっては安い!)910が手に入るとなっては既にこの時にA10の商品寿命は尽きており910デビュー直前に行われたMCや5HBの追加も全ては910に埋没してしまった感がありました。

個人的には決して嫌いなモデルではなくいや、むしろスタンザやオースターマルチクーペ(いずれも前期に限りますが…)は好きなクルマ!
ただ名車510をあまりにモチーフしたカクカクしたデザインは個人的には好みでしたが70年代後半は既に角→丸のデザイントレンドになっておりそんな部分でも今一つ新しモノ好きの日本人には支持がなされなかったのかな~と感じます。

“変態と呼ばないで!”納得のマイナー・モデルを振り返る・『A10型日産バイオレット/オースター/スタンザ』編 ……終

※次回は続いて『T11型日産バイオレット・リベルタ/オースターJX/スタンザFX』編を第2弾としてUPする予定です(^.^)/
Posted at 2017/12/09 15:44:43 | コメント(0) | トラックバック(0) | 変態車 | クルマ

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