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2013年06月19日 イイね!

保存版・燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!…ソアラvsレパード

保存版・燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!…ソアラvsレパード (2013.6/19UP)

燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!今回のお題もベタです(^^;)

『MZ21/20、GZ20型トヨタソアラvsUF/GF31型日産レパード』!!

今や両車とも消滅(ソアラは別ブランドのレクサスSCに継承)してしまいましたがかつては片や“未体験ゾーン”で一世を風靡、片や人気アクションドラマの劇用車に用いられドラマの視聴率に連動して人気もUP!!ドラマ終了後も度重なる再放送の影響もあり人気は衰えず実際、新車販売時以上の人気を継続し既に製廃20年を超えた現在はプレミア価格となっていたりとそれぞれ大きなインパクトを与えてくれたモデルですよネ!

前述の~未体験~はご存じ初代ソアラ(Z10系)、そして劇用車は今回取り上げる片方の主役である2代目F31型レパードとなるのは皆様ご承知の事と思います。

ワタクシらの世代…現在の40代後半~50代前半にとっては若き日にソアラ(1981年)、レパード(1980年)が共にデビュー、一部恵まれた環境の中にいた人間以外どうジタバタしても手の届かない超高級パーソナルクーペであり庶民には縁遠い高級車のクラウンやセドグロの3ナンバーモデル=最上級グレードと大差ない300万オーバー(TOPグレード、他は200万円台)と言う価格でハナから買えない事は承知でもこれらの廉価版(200万前後)ならば何とかなるか!?とまで思いを寄せた憧れのモデルだったですよね?御同輩…。

自動車後進国→先進国に発展したこの時代の日本、それまでには開発も買う側も恐れ多く?手を出せなかった高級パーソナルクーペ=ベンツSLやBMW6シリーズを標的としたソアラ、実際には78年デビュー済のMA40系セリカXXがその発端ではありますがそれとは較べられない位に入魂の作品でした!

この頃から時代はハイソカーブームが始まりソアラはこれにも乗っかり高い人気を獲得、レパードは価格の割にはジャーシが古く搭載エンジンも旧態化したL型搭載でしたので今イチ盛り上がりには欠けましたがそれでも充分、コレに乗っていればステータスを感じさせるモノでした。

新車価格が先記の通りなので若者に手が出せる筈もなくこれらは中古となってから特に市場を賑わせたのも特筆、特にソアラは根落ちは少ないながら3年落ちだと新車-50~80万位に下がりこれならばと出始めたばかりの60回ローンを組んで購入する無謀者?が続出した記憶があります(笑)
金利、今と較べ信じられない高さでしたからね、確か19.75とか20オーバーとか平気でやってましたから若気の至り=この高金利で地獄に片足突っ込んだ苦い思い出がある方も多いのではないでしょうか…(*_*;

ソアラはCMによるイメージ戦略が強烈、79yのセドグロが初の国産ターボモデルを発売以降波に乗る日産ターボ勢の前にDOHCを売りにしてきたトヨタはやや旗色が悪くなっていましたが一気にそれを覆すかのように2.8LDOHC-6 170ps(この時デビューの新開発5M-GEU型エンジン)を武器に“未体験ゾーン”のコピーがクルマ好きなら脳内に強くインプットされワタクシもまんまとやられてしまいました(爆)
また、当時としては斬新なデジタルメーターにも目がテンになったっけなー、このソアラが火付けとなり一時はどれもこれもデジパネが流行り軽4までにもそれがラインナップされたりと…うーーん懐かしい(爆)

特にソアラのTOPに載せられた5M-GEU型2.8LDOHCエンジン、当時は3ナンバーが5ナンバーの倍の税金の時代で“3ダッシュは売れない”が常識の中、受注の80%はコレだったと言うのが驚き!それ位インパクトのあるエンジンで何せ当時は売れ線の2Lターボで145ps、2.8LNAで同等、2LのDOHCが135psという時代にいきなりこれらを圧倒する170psで出られた日にゃ釘付け!売れない方がおかしいですよね(笑)

↓“未体験ゾーン”“2.8DOHC-6 170ps”のコピーが鮮烈で大人気となった初代ソアラ
(81y2800GT)


↓ソアラの最高峰は当時としては破格の300万オーバーであった2800GT-エクストラ(81y)



対するレパード…と言ってもこちらの方がソアラの4カ月前にデビュー(ソアラ発売=81/2、レパード=80/10)
しており910ブルの輸出専用であった6気筒の『G910マキシマ』をベースにした高級パーソナルカーであり比較的このクラスのラインナップが充実していた日産ですが従来にない先進的装備やCD値に優れる空力ボディ、スポーティな中にもセドグロ並の高級感を持つ新ジャンルのパーソナルカーとして高い注目を得ていました!

↓レパードには双子モデルの『レパードTR-X(トライエックス)』もラインナップ!
(㊧レパードTR-X2HT ㊨レパード4HT)


派手なアメリカンスタイル、2HTと4HTを持ち下はリーズナブルな1800(Z18型エンジン搭載)をベースがブルーバードである事を認識させるように搭載、しかし最上級は日産最高峰(ショーファーのプレジデントを除く)であったL28型2.8Lを搭載、高級車のセドグロとローレル、そしてスポーツカーのZにしか載せられなかったこのエンジンによりZとセドグロ系の折中のようなイメージが与えられていました。

下は普及型セダン並~ハイクラスの高級車/高級スポーツカーと言うワイドバリェーションを誇ったレパードでしたが後発のソアラが廉価版と言えども2L 直6を積んでいたのとは対照的でした。
またソアラが2ドアクーペのみだった事に対しレパードはこれに加え4HTもラインナップ、全体的にソアラより幅広いユーザー層に訴求するモデルでしたがそれが仇にになったような気がしますね…。

このクラスにはある程度のハイソサイティ度を満足させるのも存在価値、所有意欲をくすぐるモノでもありこの辺やはり“販売のトヨタ”はうまくワイドバリェーションは十八番ながらソアラには敢えてそれをせず高級クーペのイメージに特化し大成功を収めレパードはソアラ発売までの4ヶ月間の話題のみ、ソアラデビュー後は[撃沈]と言っても語弊はなかったです。。。

ソアラに被る車格にはクラウンやマークⅡ兄弟がおり廉価版ならば1800を揃えるマークⅡに、そして4HTならばクラウンやマークⅡにラインナップがありそれぞれ役割分担させソアラ特有のイメージ作りに成功したトヨタ、アッパレでしたね。

日産も同様にセドグロ、ローレル、スカイラインが同クラスに存在しており4HTや廉価版はこちらに存在していましたからレパード一つであれもこれもと欲張ったのがいかんかった…初代レパードの失敗はそんなところにも個人的にはあると感じます(^^ゞ

さて、両車の誕生経緯をご説明させて頂きソアラvsレパード、第一ラウンドはソアラのKO勝ちと言っても良い程圧勝でした。

そして第二ラウンドが本題となる2代目ソアラvs同レパードとなります!

両車、2代目の発売は共に1986(昭和61年)となりソアラは5年目、レパードは6年目にして次世代型がデビューしています。
ソアラが61/1、レパードが61/2ですからほぼ同時デビューと言っていいでしょう…。

↓2代目ソアラ、スタイリングは大好評だった初代Z10系のキープコンセプト
(61yMZ11型3.0GT-LTD)


↓対する2代目レパードはガラリとイメージを変えソアラ風味にチェンジ!
(61yUF31型アルティマ)


F31レパードで真っ先に思い浮かぶのは冒頭で申し上げた人気アクションドラマ=「あぶない刑事」という方も多いのではないでしょうか?勿論ワタシもその一人です^^;

お洒落な街と言われる我が街横浜で全面ロケしたこの番組、それまでの泥臭い刑事モノとは異なり当時の好景気を表すようにファッショナブルで小気味よいアクションドラマ!
人気絶頂期の舘ひろしと中堅俳優としてシブ味が出て来た頃の柴田恭兵のコンビで大人気を呼びました。

このドラマで劇用車“港303”として登場していたのがF31レパード、ドラマ人気の盛り上がりと共に注目を集め人気ドラマ故に幾度とない再放送やシネマ版の制作もありレパードも高人気を維持、現在でもプレミア価格となっているのはご承知の事と思います。

いくつかのシリーズ化がなされた同番組、途中からは日産が協力を降りてしまい他社製のクルマが使用されていますが急速に人気が盛り上がった初期ではゴールド2トーンやダークブルー2トーンの前期/後期レパードが大活躍、このドラマで颯爽と走るレパードのファンになった方も多いのではないかと思います!

クルマの内容的には後述する諸元を比較して頂けるとお分かりになると思いますが20ソアラと31レパード、初期時代はTOPのエンジン出力や各装備類、脚廻りなどは完全にソアラが勝っておりトータル的販売台数、この型の対決もソアラの勝ちで終わっていますがレパードは後世にも存在感、人気を維持、現在では20ソアラがまだネオヒスにも挙げられたいない中、堂々イベントでも注目を集め一部マニアには絶大な支持を得ていますので新車発売時の状況を知る者からすると不思議な感じがします、現役時代では圧倒的にソアラを見かける頻度は多いも25年以上経過した現在、恐らくはレパードの現存の方が多いでしょうね…

多分、あぶデカで使われていなかったら31レパード、ここまでの神的扱いを受けずに終わっていたクルマと個人的には推測します…。

↓F31レパードと言えばやはりコレですよね(^^)v


それではZ20系ソアラとF31レパード、各項目別で振り返ります。

~先代の大好評を背に出で立ちはキープコンセプト、中身はテクノロジー大幅進化を遂げた新型ソアラ!!~

81年デビュー以来、スーパーグランツーリスモの名声を欲しいままにしたソアラは約5年で次期型にFMC、大人気車のチェンジという事もありこれは大きな話題であり注目の的でした!

先代が卓越した動力性能と秀逸なスタイリング、デザインにより大成功を収めていたので2代目は基本キープコンセプトでデビュー、先代のスタイリングはほぼそのまま残し90年代に向かってやや丸味を取り入れエアロダイナニズムを更に追求、また後発のライバル他車や初代ソアラデビュー後に起こった第二次ハイパワーブームの到来によりデビュー時は他を圧倒した2.8LDOHCエンジンは先代途中で3L迄アップしましたがこれを更に増強し後発ハイパワー車を迎え討ちます。

ハイテク=先進装備や快適装備もより充実、絶対的なスーパーグランツーリスモの存在感をより強調、高人気、高評版は先代からそのまま維持し商業的ににも初代に続き大成功を収めたのが2代目ソアラでした。

~テーマは“アダルト・エリート”パワーエリートを売りにした先代とは方向性を改め“大人”を意識する新型レパード!!~

80年デビュー時は新カテゴリーの高級パーソナルとして大きな注目を集めた先代レパードでしたがソアラデビュー以後はこれの後塵を拝む結果にorz…

“パワーエリート”を合言葉にL28の大排気量エンジンや日産十八番のL20ETターボエンジンで走り的には何らストレスはないもののソアラの新開発2.8LDOHCという看板には見劣りしまた、「高級グライダー」を意とするソアラの大人っぽさ、気品溢れるスタイリングに対しレパードは300万に迫る価格帯のクルマとしてはスポーティではあっても落ち着きや気品は感じられず100万円台のシルビア/ガゼール(S110系)の延長上のような子供っぽさが残るスタイリング、そしてパワーは充分でも旧態化したL型メインのエンジンバリェーションと小型ファミリーカーのブルーバードベースと言う点がソアラデビュー後、マイナスに捉えられてしまい商業的には失敗したのが初代レパードでした。

この点を日産は大いに見つめ直し2代目では先代末期に換装した新開発で当時唯一のV6エンジンを搭載、シャーシも実績高いスカイライン(R31型)にベースを格上げ、そして悪評だったアメリカンで派手な出で立ちはソアラを意識したヨーロピアンテイストの気品溢れる落ち着いたモノに変更、パーソナル性を高める意味で4HTや1800等の廉価版を廃止しV6オンリーの高級クーペとして産まれ変わりました!

2代目レパードは先記のドラマの手助けもあり今でも伝説的人気を持つモデルとして知られ4代に渡ったレパードの歴史上、最も成功したモデルでした。

~諸元比較~

[2代目ソアラ]

(発売)
1986年=昭和61年1月
(ボディ)
2ドアクーペ
(バリエーション)
2.0
VZ/VX/GT/GT-TWIN TURBO
3.0
GT/GT-LIMITED(LTD)
(型式)
2000→トヨタE-GZ20型
3000→トヨタE-MZ20型
同エアサス→トヨタE-MZ21型
(サイズ)
全長4675mm全幅2.0:1695mm 3.0:1725mm 全高1335~1345mm
(ホイールベース)
2670mm
(車重)
1310~1520kg
(搭載エンジン)
1G-EU型 2000cc 直6 OHC EFI 105ps/16.0kgm
1G-GEU型 2000cc 直6 DOHC24V EFI 140ps/17.6kgm
1G-GTEU型 2000cc 直6 DOHC24V 空冷式I/C付TWIN TURBO EFI 185ps/24.5kgm
7M-GTEU型 3000cc 直6 DOHC24V 空冷式I/C付TURBO EFI 230ps/33.0kgm
(ミッション)
5速MT/2ウェイOD付4速AT/ECT
(脚廻り)
Fr/RrWウィッシュボーンコイルorエア4独
(駆動方式)
FR


[2代目レパード]

(発売)
1986年=昭和61年2月
(ボディ)
2ドアクーペ
(バリエーション)
2.0
XJ/XJ-Ⅱ/XS/XS-Ⅱ
3.0
アルティマ
(型式)
2000→日産E-GF31型
3000→日産E-UF31型
(サイズ)
全長4680mm全幅1690mm 全高1370mm
(ホイールベース)
2615mm
(車重)
1290~1460kg
(搭載エンジン)
VG20E型 2000cc V6 OHC EGI 115ps/16.6kgm
VG20ET型 2000cc V6 OHC EGI Jet TURBO 155ps/21.3kgm
VG30DE型 3000cc V6 DOHC24V EGI 185ps/25.0kgm
(ミッション)
5速MT/2ウェイOD付4速AT
(脚廻り)
Frストラットコイル/Rr4セミトレーリングアームコイル4独
(駆動方式)
FR

※ps表示は全てネット値

上記を見ても分かる通りサイズ的にはほぼ同一、まだ税制改革前夜ですから5ナンバーボディが基本でレパードが3Lであっても5ナンバー枠、ソアラは旧税制時代は常識だった水増しモールで3ナンバーサイズとなっています。

~エンジン、シャーシ比較~

この類のモデルでは“命”と言えるエンジン、デビュー当時ではレパード、見劣りしていますね…

エンジンで見ればソアラもレパードも3LのBigトルクエンジンを据えていますがソアラが伝統あるM型の最終進化である24バルブDOHC+空冷I/Cターボで武装、出力も230psという当時としてはTOPとなるハイパワーでファンの期待を裏切りませんでした!

↓ソアラ最高峰に搭載された7M-GTEU型3L TWINCAM24+ターボエンジン


対するレパードの最高峰はY30セドグロでデビューした当時唯一のV6エンジンであったVG型トップのVG30をDOHC24バルブ化したVG30DE型を搭載、7Mのターボ過給がない分出力、トルクは下回りますが素生はベースの設計がM型より圧倒的に新しくターボで水増しされた分、絶対パワーはソアラに譲るも何ら不足もなく文字通り“アダルトエリート”にはこれで充分と言えるエンジンでした!

↓旧態化していたM型ベースの7Mより可能性は無限に広がった?レパードTOPのVG30DE型エンジン


この二つ、ワタシも経験済みですが7M、確かに速かったです!
ただ、低回転時、特にターボが効き始める間ではあまりツインカム24の恩恵は感じず従来のM型にあったモッサリ間も健在、ターボでお茶を濁していた感がアリアリっていう印象を受けたのを憶えています。

VGは回転そのものが軽々しくさすが新世代エンジンというのを体感、但し直6と較べしきりに謳われた静粛性はあまり感じずどちらかと言えばM型や日産の旧世代L型エンジンよりガサツな印象を受けました。
後のVQ等はこの辺の進歩は目を見張るモノがありますがVGはまだまだV6過渡期だったなーというのが本音、ただ、パワーやトルク感に不満はなく極悪燃費さえ気にしなければ回すと楽しいエンジンだったと思います。

しかし時代的に新設計よりもスペック優先の頃、やはり7Mのソアラによりステータスを求めた向きが多かったですね~。

普及型=つまりは2Lバージョンはソアラがお馴染1G系、レパードはこちらもV6のVG20型を搭載、チューンはソアラが1カムNAの1G-EUをボトムにTWINCAM24の1G-GEU、これにTWIN TURBOを+した1G-GTEUの3種をラインナップ、VGは1カムNAであるVG20EをボトムにこれのターボバージョンであるVG20ETを設定していました。

1G系は先代やマークⅡ系で既に広く認知されたエンジンで7Mに較べればそりゃ劣るのは当然ですが1カムを除いてソアラのウエェイトでは充分ソアラらしい走りを提供してくれていました。

↓ソアラの2Lエンジン群(㊤1G-EU㊥1G-GEU㊦1G-GTEU)




VGはJET TURBOと呼ぶVG20ETが特筆で可変ノズル式ターボチャージャーを採用、後年では当たり前な技術ですがこれの走りでした!

タイムラグがどうしても大きく安定した加速感覚を掴むのがまだ困難な時代、効率良くターボを働かせ低回転でのトルク/出力不足を補うこのJET TURBOは従来のターボ車の概念とは違う頼もしさを感じましたねー。
控えめな155psとういう数値以上の力強さ、特に低回転での信頼性は非常に好感持てました、但しNAのVG20Eに関しては1G-EU同様廉価版以上に何物でもない退屈なエンジンです(*_*;

↓レパードの2Lエンジン群(㊤VG20E㊦VG20ET)



尚ミッションはこの時期既にこのクラスはイージードライブ化に向かっていましたがそれぞれ5MTも用意、ソアラは3Lは電子制御のECTのみ、2L 1カム(1G-EU)搭載モデルに2ウェイOD付4ATと5MT、1G-GEU以上にECT/5MTが設定されていました。
レパードはALL OD付4AT、2L VG20Eのみに5MTを用意。

後期からレパードも電子制御AT(E-AT)が搭載されますが前期時代はこの分野でもソアラに遅れを取った格好ですね…。

シャーシはソアラが先代の改良型、レパードは前述の通りスカイラインをベースとし専用設計のソアラに対しコストを抑えたのがレパード。
しかしコストダウンとは言いながらもベースのスカイラインが定評あるシャーシでしたからこの分野においてソアラに見劣りするという事はありませんでした。ただ、脚廻りはレパードが先代及びベースのスカイライン同様のストラット/セミトレに対しソアラはこれと同一だった先代からガラリと変更、コスト的には不利ながら重量級ボディではより信頼性の高いALL Wウイッシュボーンを採用、伝説のトヨタ2000GT以来のこれの採用も大きく注目されました。

↓トヨ2以来の高級メカであるソアラのALL Wウイッシゥボーンサス


ストラット/セミトレも決して悪くはなくレパード程度の重量であれば充分な脚、しかしながら高速安定性やパニック動作時の安定感はソアラには譲ります。
ただ、一般的な街乗りレベルでは大差なくこれがレパードの欠点にはなり得なかったのですが大きく差が付いたのはソアラは最高グレードの3.0GT-LTDに世界初の電子制御エアサス仕様を設定、エアサスvsコイルには一長一短がありますが目新しさ、ステータス、そして極限での乗り心地と言う部分ではサス形式以前にこれを採用したソアラが圧勝でした!

↓世界初の電子制御エアサスを備えたソアラ最高峰(画像は後期88y3.0GT-LTDエアサス仕様)


またソアラはサスペンション制御にも電子制御=TEMSを先代から継続採用(エアサスを除くGT系)、レパードもスカイライン以上で既採用の「スーパーソニックサスペンション」とネーミングされた電子制御サスがを採用されています(アルティマ)。

↓レパードのストラットFrサスとスーパーソニックサスペンション



この分野でのガチンコ対決?これはやはりソアラが上でしょう…
この類のモデルは如何にステータスを満足させるかにかかっており互いに高級クーペを名乗る以上、贅を尽くしたソアラにワタクシ個人は大いに魅力を感じます!

~スタイリング、エクステリア比較~

前述の通りソアラは先代のキープコンセプトで日本人好みのロングノーズスタイルでありキャビンを視覚的には小さく見せテールもピンと張った堂々としたイメージ、低く・長く・幅広くを最大限意識、先代で開発に苦労したプレスドアも継承、当時の(初代発売時)技術では長く重いプレスドアはヒンジへの負担が高く耐久力に難が開発時には多発、これを見事克服しソアラの代名詞でもあった大きく長いプレスドアはスタイリッシュなイメージを最大限盛り立ていました!

80年代テイストのペキペキ感を和らげスタイルの要所に巧みに織り交ぜた曲線美が元来のデザインに映えキープコンセプトにありがちな「旧型とどこが違う?」的なネガティブな視覚効果もなくこの点、さすがトヨタと思わせるものでしたねー。
確実にあのスタイリッシュなソアラながら古臭くなくかつ進化している、そんな先進性を見事に表現したデザインだったと思います。

↓見慣れたデザインながら進歩が確実に感じられる2代目ソアラ(86y2.0GT-TWIN TURBO)


↓2代目ソアラのRrビュー、角ばったデザインが特徴的だった先代Z10系のキープながら絶妙に丸味をアレンジ
(86y3.0GT-LTD)


対するレパード、先代ソアラやBMW6クーペのオマージュ?と思われる程の変わりようで先代のいかにもアメリカンな派手さは皆無、一時代前の日産にありがちだったギンギラの悪趣味さは見事に消え失せ大人っぽさを強調し飽きの来ない長く親しめるスタイリングが好評でした!

確かにソアラ的にはなりながらもいかにも大人の気品を感じさせる特徴的なFrが目を惹きまた、敢えてプレスドアを採用せず一般的なサッシュレスにしたのも大正解!!これで一時は検討したと噂されるプレスドアをやっていたらBピラーやCピラーの角度、全体のラインがソアラそのままでしたから何を言われたか解りませんよね(笑)

↓上品なイメージを醸し出す顔付のレパード(86yアルティマ)


この分野については個人の主観ですしどちらも甲乙付けられないですね。
さすが高額車ですし丁寧な造り込み、贅沢なデザインは両者共通ですし個人の感性に委ねたいと思います。

~インテリア、装備、内装比較~

この分野に於いてはさすがに2大メーカーが意地に賭けても造り上げた高級パーソナルクーペだけあり庶民には縁遠い演出、装備がなされています。

ソアラもレパードも自社の最高級車(ショーファーを除く)であるクラウン、セドリック/グロリアの装備に遜色ないモノが奢られ(ある部分ではコレらにもない装備が施されています)大金を払った満足感はどちらも満たしてくれた事と思います。

考えられる装備はパワー装備、電子制御装備はほぼ装着(グレードによる)され取り立てて騒ぐような新装備はこれと言ってなくソアラでは先記のエアサスが大きな目玉!
両車とも先代があまりに装備面でもセンセージョナルでしたからねー、10ソアラでは話題を呼んだデジタルメーターやTEMSも改良、進化しながら20系でも装備、レパードも先代後期に装備され一部では話題だった光通信オーディオステアリングS/Wも健在でした。

↓エアバック前夜でしたからステアリングを変えたい層には不評だったレパードの光通信ステアリングS/W


レパードで目新し装備としては現代のインテリジェントキーの先さきがけである「カードエントリーシステム」の採用が光ります!
クレカ並の専用カードがありこれを持っていればキーを使わずにドア開閉が行えると言う当時としてはハイテク装備でした。

↓レパードの“カードエントリーシステム”


両車、インテリアに目を向けてもこの頃は一時期のケバケバしいド派手さを競う日本的豪華さは治まりどちらもセンスのいいシックさが演出されていました!

廉価版と言えども両車、その豪華さは満足いくものでしたがソアラは最高峰エアサス装着車には本革シート先代GT-LTDから継承して採用、レパードは先代で本革設定ありながらもF31では落とされています。

インパネはレパードが2代目前期ではさんざん揶揄された例の“絶壁”インパネ!
航空機のコクピットをモチーフしたとの事ながら眼前にそびえる衝立のようなインパネはまるで70年代のそれの如く前方視界を遮り個人的には勘弁のレベルでした。

当時の日産は何故かこの“絶壁”が好きでスカイランやセドグロ、ローレルにも採用していましたが31レパードのそれは変に高級感を意識したのか絶壁度が凄くて馴染めませんでしたネ~

↓断崖絶壁とはこの事?っていう位そびえたつ前期31レパードのインパネ


対するソアラはインパネも先代の80年代チックをやめ流麗な柔らかなカーブを描き流れるよなT字で繋がるセンターコンソロールはパーソナル性を演出、ミッションケース上部分を腰高にデザインし短いシフトノブ(セレクター)を採用し見た目にはとてもスポーティで実際に座ると包み込まれるよな一体感が味わえたものです。

↓美しいT字を描きドライバー/パッセンジャーを包み込むようなソアラのインパネ(3.0GT-LTD)


インテリアの色彩は外装色にもよりますがベージュ系の明るいイメージを主軸としたソアラ、そしてこれとは逆に深みのあるダークカラーで落ち着きのある風格漂うレパード、これも主観のレベルになるのでどちらがどうのというコメントは控えます。

↓明るいベージュ系が基本のソアラのインテリア(3.0GT-LTD本革仕様)


↓ダーク系カラーで“アダルト”を印象付けるレパードのインテリア(XS-Ⅱ)


それではここから両車のモデル改歴に入ります。

※両車ともに1回のMCを実施されておりますので前期・後期にて記載、尚、特別限定車などは網羅していない部分もありますのでご承知置き願います。

また、時系列で取り上げていますので一部、先記と重複する説明があります。
(86/1)
ソアラ、FMCで2代目Z20系がデビュー。

先代の81/2誕生以来5年ぶりに一新されるも先代の大成功もありスタイリングはキープコンセプト、内面は90年代に向かって進化を遂げています。

(86/2)
レパード、FMCにて2代目F31型がデビュー。

後発ソアラに叩きのめされた先代から一新、派手さを殺しソアラや欧州高級クーペをリスペクトし指向を大人向けモデルに変更。

先代では1.8Lや4HTも揃えるワイドバリェーションを展開したがF31では2ドアクーペ、V6エンジンオンリーに特化。

↓F31型レパードのバリエーション(上からアルティマ、XS-Ⅱ、XS、XJ-Ⅱ、XJ)






(87/1)
ソアラ、3L(7M-GTEU搭載車)へ5速M/Tを追加、2L 1G-GEUは小変更、部分改良によりトルクUPが施され16.5kgm→17.6kgmとなります。
また2.0GT TWIN TURBOにTEMS装備のエクストラ仕様をラインナップ。

(87/6)
レパード、アルティマとXS-Ⅱにハイテクウールシート、カラーテレビ等の装備を施した「グランドセレクション」追加設定。

(88/1)
ソアラ、MCにて後期型となります。

主な変更はFr/Rrの意匠変更とエンジン出力のUP、これに伴うサスペンションバネレートの見直し強化等。

↓88/1~後期型ソアラ(3.0GT-LTD)


ソアラ、後期型で性格上数が出ない最廉価グレードのVZを廃止、また、2L最高峰となる2.0GT-TWIN TURBO L追加、LはTWIN TURBOにオートドライブ、パワーシートを装着した高級バージョン。

↓新設定のGT-TWIN TURBO-Lのインパネ&インテリア



尚、7M-GTEU、1G-GTEUはハイオクガソリン仕様になり7Mで240PS/35.0kgm、1G-GTで200PS/28.0kgmまで出力UPがなれています。他に内装の一部(タッチ式のマルチコントロールパネル→ボタン式エアコンコントロールパネルに、ステアリングの意匠、デジタルメーターのデザイン等)を変更。

↓後期型ソアラのバリェーション
(上から3.0GT-LTD、3.0GT、2.0GT-TWIN TURBO L、2.0GT-TWIN TURBO、2.0GT、2.0VX)







(88/8)
レパード、MCで後期型となります。

主な変更点はお約束のFr/Rrの意匠変更に加え悪評のインパネ全面見直し、ATの電子制御化(E-AT)そして遂にソアラ3Lを迎撃するVG30DEにセラミックターボを装着したVG30DET型を追加、VG30DE型も出力特性の見直しで185ps/25.0kgm→200ps/26.5kgmにUP、2LターボのVG20ETはDOHC 24V化がなされこちらもセラミックターボとなったVG20DET型に乾燥されています。

新エンジン群の詳細は下記の通りです。

VG20E型 2000cc V6 OHC EGI 115ps/16.6kgm(変更なし)

VG20DET型 2000cc V6 DOHC24V EGI セラミックTURBO 210ps/27.0kgm


VG30DE型 3000cc V6 DOHC24V EGI 200ps/26.5kgm


VG30DET型 3000cc V6 DOHC24V EGI セラミックTURBO 255ps/35.0kgm


VG20Eを除き全てがハイオクガソリン指定となっています。

最上級、及び中間クラスでも前期ではソアラの後塵を仰いできたレパードですがここで一気に攻勢をかけ3L最高峰ではトルクは7Mと同一ながらpsは15ps上回り2Lターボではトルクは下回るもpsでは1G-GTを10ps上回りさぞ日産ファンの胸のつかえが取れた瞬間だった事でしょう(笑)

VG30DETは前年デビューして大きな話題と人気をさらったセドリック/グロリアシーマから移植したパワーユニットで従来の高級車の概念を変える俊足さは大いに注目!!これによりソアラとの差はなくなり互角の勝負ができるようになったレパード、真のガチンコライバルになった訳ですね!

尚、エンジンの大幅変更によりグレード編成も変更、上からアルティマ V30TWIN CAM TURBO(VG30DET)、アルティマ V30TWIN CAM(VG30DE)、XS V20TWIN CAM TURBO(VG20DET)、XJ V20E(VG20E)とされました。

前後の意匠変更は角ばった前期から丸味帯びたデザインとなっています。
個人的には気品溢れる前期のデザインが非常に好きでしたのでこの変更は残念感すら覚えましたし巷でも同様の評価ながら大幅なパワーユニットを得た事によりこのやや失敗気味のフェイスリフトも帳消しといったところでしょうか…

↓空力的には有利になったかもしれませんが31レパードの魅力を大きく後退させた?新Frマスク


尚、VG30DETのアルティマV30TWIN CAM TURBOには久しぶりに本革シートも採用されこの面でもソアラに互角の高級度を得ています。

そして…あの衝立インパネはあまりにも評価が低い為、異例のモデル中間期での全面変更を決断、前期とはまるで別のクルマになったような新設計のインパネが採用されました!

↓カクカクしたそびえ立つデザインを丸味ある優しいデザインに変更した新インパネ、前方視界もUP!!


大幅な形状変更されたインパネ、前期型で人気だった「グラフィカル・デジタルメーター」も廃止され一般的なアナログメーター(ホワイトメーター)になったのもレパードファンには退化に感じたかもしれません、しかし個人的には奇をてらわない姿勢には好感が持て加えて新設計のインパネはデザインだけではなく前方視界も良好となり歓迎すべき改良、強いて言えばレパードらしい個性が消え極一般的でつまらくなったとも言えますが(*_*;

他にこの時から前期ではアルティマ専用であった「スーパーソニックサスペンション」をアルティマ全種とXS V20TWINCAM TURBOまで拡大採用しています。

↓88/8後期レパード(㊤アルティマV30TWIN CAM TURBO㊦アルティマV30TWIN CAM)



(89/1)
ソアラ、エンジン出力の見直し及び換装を行います。
まず、換装は1G-EU(VX)となりこれをGX80系マークⅡで既採用のハイメカツインカムの1G-FE型(狭角DOHC 24V 135ps)とします。
格下が換装によりパワーアップがなされたので1G-GEUは圧縮比変更により140PS/17.6kgm→150PS/18.6kgmに、1G-GTEUはタービン/バルタイ変更により200PS→210PSへそれぞれ出力アップがなされています。

(89/4)
ソアラ、特別500台の限定にて3.0GTをベースにオープンエアモータリングが楽しめる「エアロキャビン」を追加します。
エアロキャビンは後席を潰し(定員2名)折りたたみメタルトップの格納スペースを設け電動式によりボタン一つでルーフオープンが可能なバブリーモデル!
ベースよりは当然高額な上に2人乗りという事もあり真の贅沢モデルですがフルオープンとは違いRrクォーター部はそのまま残る何とも中途半端なもの、デザインも格納スペースの都合上美しいソアラのサイドビューデザインが破綻してしまい個人的には無用なモデルだったと思います。

子供騙しでお遊びにはいいでしょう、注目度もレアモデルのため現在でも高いですが実用上はベース以下ですし珍妙なデザインは全く存在意義を感じませんですね~、まぁ、夢のない貧乏人の発想かもしれませんが(汗)

↓特別限定の「エアロキャビン」


(90/1)
ソアラ、一部変更(3.0GT-LTD/3.0GT/2.0GT-TWIN TURBO Lの装備充実)

(91/5)
ソアラ、Z20系は5年のモデルライフを終えFMC、3代目Z30系がデビューします。

↓91/5、3代目Z30系がデビュー!


初代Z10→キープコンセプトの2代目Z20系からはガラリと変わるイメーシに当初誰もがソアラとは信じられない3代目Z30系、当時のトヨタトレンドだったズングリの丸味帯びたスタイルに一新、スマートな印象が強いソアラ、とても同じクルマとは思えなく当時、ワタシのみならず多くのソアラファンは驚愕をもってZ30系を迎えたモノでした。

(92/6)
レパード、FMCにて3代目がデビュー、ネーミングを「レパードJフェリー」(JY32型)に改めます。
Jフェリーは当初レパードとして開発されたモデルではなく型式からも分かるようにセドグロベースの海外仕様「インフィニティJ30」の国内版。
これはF31レパードのベースであるスカイラインがR31→R32へのダウンサイジングに伴いレパードの開発が中止になった事により車格が上のセドグロベースになりながら名前のみレパードを継いだモノ、このためクルマの性格は180度変わり高級4ドアセダン化、このためZ30系になり大幅にイメージ変更しながらも“高級パーソナルクーペ”のコンセプトに変更がなかったソアラとのライバル関係はココで終了となりました。

↓名前は残るも中身は全く別のモデルである一応?3代目となるレパードJフェリー


~まとめ~

Z20系ソアラデビューの86/1~Jフェリーデビューの92/6での両車の販売台数は次の通り。

ソアラ…約15万台
レパード…約3万4000台

ご覧の通りソアラ、初代に続いて圧勝という結果です。

レパードは搭載エンジンの充実とソアラを一時は超えるパワーアップで販売をこの時に上向きにしますが前期での不調が響いてます、やはりこのカテゴリーでは如何にパワーが溢れ如何に贅を尽くした装備が施されるかが如実に示されていますね。
前期時代はレパードの方がTOPグレードで見ても大幅に安価(86yソアラ3.0GT-LTD 447.9万円、86yレパードアルティマ383.7万円)でしたがこのカテゴリーを選ぶユーザー層にはプライスよりも中身が重要、依ってデビュー時のソアラとレパード、エンジン含めたライナンナップ差がかなり影響したと推察します。

ただ、冒頭申し上げた通り新車時の勝負では負けてもF31レパードの人気は現在に至るまで不滅、人気ドラマという媒体ががあったからこそですが数奇な人(車)生のレパードに思い入れは深くなってしまします^^;

燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝10“MZ21/20、GZ20型トヨタソアラvsUF/GF31型日産レパード”……完
Posted at 2017/08/07 15:09:02 | コメント(0) | トラックバック(0) | ライバル | クルマ
2013年03月08日 イイね!

保存版・燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!…カローラLBvsサニーカリフォルニア 後編

保存版・燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!…カローラLBvsサニーカリフォルニア 後編 燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!”『KE/AE/TE50,60~70系カローラリフトバック/スプリンターリフトバックvsB310~B11サニーカリフォルニア』…後編です!(*^^)v

79/1のカリフォデビューによりいよいよ“スポーツHB、スポーツワゴン”ガチンコが始まりす!

その第一章は…79/4、第2世代となる2代目カロスプLBから始まります。

クラスどころか従来にはないシューティングブレークとしてデビューした先代LBでしたが結果はまだこのような形式のモデルが出るには充分な土壌のない日本では苦戦、輸出先の米国ではそれなりに人気/販売も好成績ながら77年のデビューから3年を経てもあまり浸透はしませんでした。
しかし、80年代に向けて日本人の“クルマ”に対する意識も変化、分野は異なりますが1BOXワゴンやボントラ4WDのブームがこの頃訪れRVブーム(当時は“RV"の言葉はありませんでしたが…)も訪れトヨタ、そして日産もRV的要素も強いLB、カリフォは是が非でもこれを浸透させたかったに違いなくカロスプLB、先代で得られなかった評価を新型KE/AE70系に賭けてきました。

(79/4)
カロスプ、FMCにてカローラ4代目、スプリンター3代目(KE15/17カローラスプリンター時代含まず)となる70型が登場、LBは2代目の計算になります!

まずは70系の諸元から入ります、こちらも1度MCしておりますので以後前期・後期で記載。

[ボディ]
3ドアHB
[バリエーション]
1300
カローラ:DX/GL
スプリンター:DX/XL
1500
カローラ:GL/SE
スプリンター:XL/SE
1600
カローラ、スプリンター:GT

[型式]
※カローラ、スプリンター型式統一
1300:E-KE70
1500:E-AE70
1600:E-TE71
※E-は53年規制を表します、全種53年規制適合
[サイズ]
全長4105~4255mm全幅1625mm 全高1330mm
[ホイールベース]
2400mm
[車重]
830~975kg
[搭載エンジン]
4K-U型 1200cc 直4 OHV シングルキャブ 72ps/10.5kgm
3A-U型 1500cc 直4 OHC シングルキャブ 80ps/11.8kgm
2T-GEU型 1600cc 直4 DOHC EFI 115ps/15.0kgm
[ミッション]
4速MT/5速MT/3速AT
[脚廻り]
Frストラット/Rr4リンクリジット
[駆動方式]
FR
※全長はカローラとスプリンターのノーズ形状の違い及びウレタンバンパーの装着モデルで差があります。

ベースとなる70系は歴代カローラ(スプリンンター)にはない80年代らしいシャープなウェッシの効くスポーティなスタイリングが非常に魅力!LB以外に先代から引き継ぎ2/4セダン(2ドアはカローラのみ)、クーペ、HT、そしてバンがラインナップされますがセダンを含めクリーンでスパッとした直線で構成された美しくスポーティなシルエットはカローラのイメージを劇的に変えたモデルでした。
カローラ/スプリンターセダンは逆スラント気味の直立、スプリンターのクーペとLBはは先代のイメージを80年代風にアレンジしたスラントノーズとされていました。
グラスエリアを大幅に拡大し全体的に明るい印象を与え実際中に乗っても視界はどのボディでも広々!スクエアなスタイリングは見切りもよくボディの四隅の把握がたやすい乗り易いクルマに仕上がっていまいた。

LBは先代同様にスポーツモデルのHT/クーペをベースにしています。先代では元々HT(カローラ)クーペ(スプリンター)が別設計ボディでしたのでLBはより低く大きいスプリンタークーペをベースとしましたがコストダウンもあり70系はHTとクーペを共通化、そこにLBも含んでBピラーまでは同一ボディ、B以降をそれぞれに専用スタイルを与え性格を異にしています。
HTは名前通りセンターピラーを持たないモデルですが6ライト形式にしてグラスエリアを拡大したノッチバック、クーペはセンターピラーが与えられていますがテールゲートを備えたセリカLB同様のHBのフルファストバッククーペに変身しています。
元々大きめだったクーペとLBに関してはサイズ拡大はほんの僅かで実際の拡大を感じさせる数値ではないながらやはり視界の広がりは数字以上に広さを感じさせました。

LBのスタイリングはRrサイドウィンドウまではHTと同一、ルーフとクォータウィンドゥをラゲッジルーム分まで延ばしたスタイリングになっていましたがハッキリ言ってHTも、クーペも上回れずむしろこれらのジャープなイメージを削ぐ結果にしかならなかったと個人的には思います。

また、下手に70シリーズ全体にイメージ付けられたカムテール(ダックテール=テールエンドが跳ね上げスパっとテールでラインを落とすスタイリング)にこだわりすぎたためLBもエンドをこれにて処理するもノッチバック(セダン/HT)やファストバック(クーペ)ならば非常にこの処理が映えスタイリッシュに感じましがRrの傾斜が緩やかでルーフの長いLBのスタイルでこれをやると如何にも“取って付けた”的で似合わずこれがあるばかりにせっかくのシャープさが妙にお尻が重々しく感じてしまい個人的にはパス!って感じ。
事実、販売していてもお客さんからは前述の「バンみたい」に加えてこのRrの処理は不評、こうなると先代のボディラインとテールエンドが交わる部分で素直になだらかに落とす処理が美しく思えましたねー、70系のテールエンド処理が違っていたら?まず他にはないHTワゴンですしね、まぁトヨタが新しいデザインに挑戦した努力は認めますが正直、売る立場と乗る立場になって欲しかったですわ^_^;

↓79/4デビューの70系2代目カローラLB(前期1600GT TE71)



↓同スプリンターLB(前期1600GT)


スタイリングはこのように先代以下の評価でしたがシャーシは新設計されており先代とは別物の素晴らしさを感じさせてくれました。

劇的に改善されたのがハンドリングとサスペンション、あのグニャとして応答性が悪く直進さえ苦労するダルダルのステアリング操作感は見事に消え失せておりしっかり地に着いた安心感を得る事に成功しています!
特に1300は先にデビューしているスターレットKP61のラック&ピニオンをそのまま移植した事でサニーを上廻るシャープ&スポーティなステアリング特性が味わえパワーアシストなしでも苦労のない適度な重さ、現代では当たり前なこの方式ですが当時はまだ珍しく先代とは隔世の感がありましたねー…

思った方向にイメージした通り応えてくれるラック&ピニオンは歴代カローラにはない怖い位のシャープなハンドリング、1500と1600DOHCには従来通りのボールナット式でしたので特にDOHCのGTにこれが与えられていたらさぞ楽しいクルマになっていたと今も惜しく感じます。
1500/1600DOHCもステアリングギア比見直しにより先代に較べれたらかなり現代的になり許容範囲の出来になっていましたがGTではやはり重いエンジン+ワイドタイヤによる相変わらずのハンドル重さで走れば問題なくとも据え切りなどは非常に辛かったです、多分今の世代の方はパワステがあって当たり前ですからこれを縦列駐車なんてする羽目になったら涙モノだと思います、女性だと難しいでしょうね~。

↓1300のみに与えられた“新感覚”ラック&ピニオン方式のステアリング


サスは80年手前になってようやくRrがリンク式(4リンク)に改められ商業車的乗り心地よサラバ!となりました(笑)
Frは従来通りのストラットですが先代よりは全体に固めに振られしってかりした感じに仕上がっています。
GTに関しては必要充分にハード化されDOHCパワーに応えますがサニーに較べると限界は低かった?いや、車重のせいかな?同じ領域でもサニーの方が粘り70系は限界は低いイメージがあります。

↓新設計されたFrストラット/Rr4リンクサスペンション


室内&インテリアも非常に質感が上がり先記のように大きいグラスエリアで実際の居住空間はさほど広くはなっていませんが窮屈さはなくなり非常に明るく80年代モデルらしいもの、インパネも視線を下げ立体的機能的なデザインとされ集中メーター、トレイ式のダッシュが前方視界も開くのと同時に新しさを充分に感じさせるものでした。

サニー310と比較して優れていたのはこのインパネだったと思いますね、サニーは70系に較べると視点が高く前方視界には不利で閉塞感も感じさせる造形、決して機能的にもデザイン的にも悪くはないのですが70年代の悪名高き日産衝立インパネを引きずっている感がありました。

↓カロスプのセダン/バンのみ別設計になるLB(HT/クーペ)のインパネ及びLBの室内
(前期スプリンターLB GT)


↓カローラLB、GL(㊤)とSE(㊦)のインパネ、上級には国産初の回転式コンソロールを装備!


搭載エンジンはグッと整理して非常に分かり易くなっています!
先代からのキャリーオーバーは1300の4Kと1600DOHC 2T-GEUで1400T-Uと160012T-Uを統合置き換えにて3A-U型が1500シリーズとして新登場しています。
3Aは78年にトヨタ初FFのターセル/コルサ用に開発された新エンジンの1A-Uの改良型で排ガス対策を設計時から織り込んだ造りで旧T/2Tに較べ別物のように吹け上がり先代では元気さは上ながらヘビーウェイトで本領発揮に至らなかった4K以上のドライバビリティを実現!仕事柄A型を一早く味わったワタクシ、この時にようやく排ガス対策は落ち着いたと実感しました…。

ではここからカリフォを含めたモデル改歴をとします。(一部重複あり)

(79/8)
カロスプに1800モデルを追加します。
これは旧1600モデルの代替ユーザーに対応したものであり1400→1500を置き換えと定義、この為1600ユーザーから「スケールダウンでは?」の声を吸い上げたモノ。
新搭載される1800は上級のセリカ、カリーナ、コロナでお馴染の13T-U型OHVシングル95ps/15.0kgmであり勿論TTC-Cで53年適合エンジンです。
排ガス対策で縮小した自慢の“ワイドバリェーション”が1800シリーズの追加で復活、下は1300~DOHCをも含み上は1800迄とA14型1機種しかないカリフォにこの分野では大差をつけます!
尚、1800の型式はE-TE70となります。

↓1300~1800迄取り揃えたカロスプLBの搭載エンジン群

 
1800は当初バン以外全てに設定、LBは1500同様のGLとSEの設定、しかし実際にはこの1800、これは駄作で古い設計のT型を何故にまた載せるか!って感じでした。
重たさは2T-G並でパワー感は3A以下、吹け上がりも鈍くキビキビ感は3Aとは比較できないモノで排気量が大きいのでトルクフルではありましたがハッキリ言って必要のないモデルでしたね、ドライブフィールが1500以下の1800なんて税金高くなる分無駄!!これは店側も積極的には売り込みませんでしたしワタシも売った経験は僅か1台のみ!
鮮明に憶えていますが1800クーぺSLというの売りましたがそのお客さん、カローラクーペのスタイリングに惚れこみながらも年配だったのでレビンはいらないからという理由でお買い上げ下さいました、後にも先にもこれ1台でしたね(笑)
当時、1800を持つセリカがA40型で人気薄だったので検討される方はいましたがスタイリング重視の方なら間違いなくレビンに行きましたし…
セダンにしても旧1600のユーザー対応という口実ながらそれらユーザーは1800が欲しければハナから上級のカリーナなりコロナに流れておりこれら上級を持たないカローラ店の苦肉の賜物、80年にデビューするカローラ店扱いのセリカカムリまでの1ポイントリリーフであまりにも売れない(売らない)ので80年中にはセダンを残して1800はすぐに消えています。

(79/10)
カリフォ、ベースのセダン/クーペのMCが実施されたのに合わせて早くもMCされ中期型となります。
後期型、カリフォに関してはFrのフェイスリフトとインパネの変更がとなっています。

↓79/10~の中期サニーカリフォルニア(1500SGL)


デビューして日が浅いカリフォですがベースモデルの陳腐化を嫌ったインパネまで変更すると言う割と大掛かりなMCが施され型式をB311型としています!

大きく変わったのはFrが従来の逆スラントからスラントノーズになり丸型2灯ヘッドランプが角型2灯とされFr部だけ見たらまるで別のクルマのような出で立ちになっています。
これは時代的に“角型ライトこそ新しい”という空気になっておりサニーに限らずこの時期は丸2→角2若しくは角4に改めるケースは多かったです。
ただ、このMCはワタシ的には?でして今も当時も圧倒的に前期顔の支持が高いのはご承知の事と思います。事実、当時も現在もまわりのクルマ好き仲間誰しも同意見ですしね、やはり丸目でデザインされたクルマは一部例外を除いて絶対丸目の方がよく時代に迎合せざるを得なかった日産の立場は理解しますがこれ、残念感しかなかったですorz…
ただ、この時にようやくスポーティ色が濃いGXグレードを追加しサニーファン、カリフォファンには喜ばれていた?と思いいます。

↓新追加グレードとなる1400GX



インパネ変更は前期型の一部を残しながらメーターフード~グローブBOXまで大掛かりに変更、ステアリングの意匠も変えられています。
新デザインのインパネはカロスプを意識したか?視点をや下げ前方視界が若干拡大、ただ残念な事に前期よりも造り込みにコストダウン感がモロに表れ前期では標準グレードとGX/SGXのスポーツグレードでは異なるデザインだったものを共通化、これでスポーツグレードの優越感?高級感?は完全に消え失せサニーファンはガッカリしたのでは?と敵ながら心配しました(笑)
デザインは決して悪くなく機能的で好感持ててましたがねー、何だろう?材質の変更なのか?特に低グレードの質感は同じ低グレードでもカロスプの敵ではなかった感じを覚えました。

↓新らたにされたカリフォのインパネ(㊤1400GX/㊦1400SGL)



↓インテリアは基本、ほぼ変更ありません、GXはクーペ/セダン譲りのチェック柄をコーディネート!
(㊤1400GX/㊦1400SGL)



↓中期1400GL(79y~)


(80/3)
カロスプLBにムーンルーフ(ガラスサンルーフ)付モデルを設定。

(80/11)
カリフォ、2度目のMCを実施し後期型となります。
このMCは外見上ではカリフォの場合、Frグリル中央にラインが入る程度のモノですがサニーシリーズ全体が(バン/トラ除く)従来のA12→A13、A14S→A15Sとそれぞれ100ccづつ排気量をアップ、カリファはA15SとようやくEGI付エンジンもラインナップ、セダン/クーペ同様にA15E型を搭載します。
A15Sは83ps、A15Eは92psのスペックとなりますがサニーファン、カリフォファンとしては待望のインジェクション仕様車の登場は朗報だったでしょう。これに合わせて最上級にセダン/クーペ同様に『SGX-E』をラインナプしています。
ただ、くどいですがモデル末期でのEGI設定、カリフォこそ車重もあり当初からEGIが必要だったと感じですがやはり販売が思うように向上せずこれのテコ入れだったのでしょうがこの時期での投入、もはや“遅きに失した”でカリフォ人気のUPという訳にはいきませんでした…。

A15エンジン、1400と乗り較べても正直、気元々が元気の良いA型エンジンなので100ccのUP、それほど手に取って分かる程の劇的性能アップは感じませんでした。
ただ、カリフォでの経験がないので余談になりますがセダンでのA12→A13は低速のトルク太りは実感できましたしありがちなこれによる高回転が犠牲になっている事もなかったので排気量UPは確実にドライバビリティ向上に貢献していたと1500の場合も推測、但しA15体験者によれば1300より吹けはイマイチだったと…。

↓後期型カリフォ(80/11~㊤1500GX/㊦新設1500SGX-E)



(81/8)
カロスプLB、MCにて後期型となります。
こちらは小規模なMCでお約束の前後意匠変更に一部インパネパネル内及びコンソロールの変更が行われています。

↓81/8、後期型となったLB(㊤カローラLB新設1500SX/㊦スプリンターLB1500SE)



意匠チェンジ、カローラは大型角型2灯ライト、スプリンターは異形ライトが装着されそれぞれグリルを高級化、テールはそれぞれ同系列販売店の上級モデルのセリカカムリ(カローラ)、チェイサー(スプリンター)のイメージに合わせた造形に変更されます。
また、インパネは視認性を向上させたメーター、新配列のラジオ装着、そして前期の一つの売りであった回転式コンソロ-ル(上級グレード)をコストダウンのため固定的に変更しています。

↓小変更された後期インパネ(カローラLB1500SX)


このMCではSXなる新グレードを追加、セダンに残る1800を廃止、また3Aと4Kはレーザーエンジンに指定“LASRE”は80年に従来のM型に代る新開発1G-EUエンジンで初めて名乗った当時のトヨタ新鋭エンジンに与えられた称号、3A/4Kとも既存ながら主要部の新設計及び補機類の見直しが行われこれに指定、それぞれレーザー3A-Ⅱ、同4K-Ⅱと呼称しました。

↓“LASER”とされた新鋭3Aと4Kエンジン



(81/10)
カリフォ、サニーシリーズ(バン/トラック除く)が5代目B11型にFMC、カリフォもこれにより第二世代(2代目)となります。

B11、ご承知の通りサニーシリーズ初のFF化となったモデルでこの時期、小型車が従来のFRからスペース効率、コスト面でも有利なFF化に傾いて行った中でチァレンジ精神旺盛な日産らしく保守的ユーザーが多い大衆車も一気にFF化したものです。
当時まだFFは異端児的扱いがあるも古くから富士重やホンダ、そして日産もチェリー→パルサーで一定の市民権は得ており保守層にこだわりなかなかFF化に踏み切れないトヨタに先んじかつ思い切りよくサニーをFF化し“新時代の小型ファミリーカー”をアピールしました!

↓FFとなった2代目B11型サニーカリフォルニア(㊤1500SGX-E㊦1500SGL)




それではB11系の諸元から入ります。

[ボディ]
5ドアHB
[バリエーション]
1300:DX/GL-L
1500:GL-L/SGL/SGX/SGX-E
[型式]
1300:E-WB11
1500:E-WHB11
※E-は53年規制を表します、全車53年規制適合
[サイズ]
全長4255mm全幅1620mm 全高1365mm
[ホイールベース]
2400mm
[車重]
800~855kg
[搭載エンジン]
E13型 1300cc 直4 OHC シングルキャブ 75ps/10.7kgm
E15型 1500cc 直4 OHC シングルキャブ 85ps/12.3kgm
E15E型 1500cc 直4 OHC EGI 95ps/12.5kgm
[ミッション]
4速MT/5速MT/3速AT
[脚廻り]
Frストラット/Rrtレーリングアーム=4輪独立懸架
[駆動方式]
FF

上記の通りシャーシは勿論の事、搭載エンジンも新設計され全てが産まれ変わったサニー(カリフォ)となりました!
B11となって全長は若干短くなりながらもホイールベースは拡大、全幅と全高も拡大されており310では感じられた天井の圧迫感から解放、拡大したホイールベースで前席、後席ともこのクラスとしては当時としては“広大”と言えるレベルだった事でしょう、ドア数は先代を受け継ぎ使い勝手に優れる4枚となっています。

スタイリングはシャープで直線的だった310から一転した丸味帯びたデザイン、機能的実用的であはあるも悪く言えば“ズングリ”というイメージで歴代サニーがやはり丸っこいデザインが不評だった210を除きシャープなスタイリングで人気を博したのに対し個人的には残念な方向に向かってしまった感じがしました。
ただ、先代のイメージとDNAは確実に継承、例のウッドパネルもopで健在です。

ただ、乗ってみると新エンジンであるE型はA型の発展型エンジンだけありA型の身上だった気持ちの良い吹け上がりも健在、そのパワーは1300でも何の不自由もなくファミリーユースには充分以上の実力を持っておりEGIのE15Eならば充分にスポーティレベル、先代ではパワー不足感を持たれるのを嫌いカリフォは1500のみの設定でしたがB11からは1300を設定しています。

↓新開発E型エンジンを搭載!


全車この代からラック&ピニオン方式となったステアリングと4独サスの組み合わせ、そしてパワフルなE型エンジンはサニー(カリフォ)をストレスなく走らせその小気味良さはサニーの伝統を継承していました!

FF化もありFRの70系1300LBやKP61とは当然ながらまた違った感触でチェリー/パルサーで培ったFF技術はトルクステア等のFFの癖はそう気になる程ではなく初代チェリーから較べると隔世の感アリって感じです。
シャープさではライバルに負けます(1300に限って)がパワーアシストなしでも重くもなく軽過ぎでもなくやはりワタシのようにFR育ちには違和感はあれど不快レベルではありませんでした。(GL-LとSGLにはパワステ装備)

脚廻りの味付けは至ってソフト、セダンのSGX-Eの経験しかワタシはありませんがスポーティグレードでももう少し固さが欲しかったと個人的には感じます。
Rrがトレーディリングアームですからしなやかさはないながらも当時のここクラスとしては贅沢な乗り心地だったかもしれません、全体的にFrヘビー感は拭えませんがRrもしっかり地に着いた安定感をもたらしてくれていました。

↓FF、ラック&ピニオン、4独サスと先進機構採用でもはやカロスプLBは勝負にならない範疇に…


室内、インパネは奇をてらわず至ってオーソドックス、インパネは80年代らしく目線を低くまた、FF化の利点を生かすようにセンターコンソロールを上級グレードでも省き足元スペースの広大さをアピールしていました。
ただこのセンターコンソロールレスは豪華好きな日本人には単に“安っぽい”のイメージとなってしまいインパネやシートの造り、材質やデザインがこれは日産全体に言えるのですがFFとかFRとか関係なしにどうしてもトヨタに較べると華奢でオモチャっぽいという声が多くB11と70では一世代違いながら70に高級さを感じるユーザーは少なくなかったと思いますねー。

↓B11カリフォのインアネ&室内(1500SGX)


以上のようにカロスプLBを大幅にリードする先進技術の詰め込まれたB11カリフォ、もはや旧態化のFRとFFの関係となりましたしこの手のモデルとしては走りよりは居住空間、ラゲッジが優先されるのが当たり前ですのでカリフォがこのMCで圧倒的にこの時期のファミリーカー、そしてレジャービーグルとしても大幅なリードとなっていますね。

ただ、そのどことなく野暮ったいデザインが災いした点とまだこのクラスを選ぶユーザーにはどうしてもメインはFRという意識も強くB11の真髄が市場に残念ながら評価されずクルマの出来の割にはライバルとの差は付かなかったのが実情で当時販売の最前線にトヨタ側にいたワタクシですがB11にそれ程の脅威は感じず自社のカローラLBも売れてはいませんでしたが「サニー、FF化でどうサイの目が出るか?」と言う興味はありましたがデビュー後、メインのセダンにしてもそれ程爆発的な新車効果って程でもなくトヨタ側の現場は至って冷静でした…。

↓ベースモデルとなるB11カリフォ1300DX


(82/10)
カリフォ、セダンと同時に1700ディーゼル(以下De)を追加します。
サニー初のDeに搭載されるエンジンは1700cc CD17型4気筒OHC 61ps/10.6kgmという内容、このDeはパフォーマンスに優れたDeエンジンで数値以上?いや、B11の持って生まれた軽快感からなせる技か非常に快適に走るDeで特性上当たり前ですが高回転は苦手ながら低速トルクはもりもりでしたしガソリン車の1300より街中では小気味イイ走りを提供してくれ初めて乗った時には舌を巻くフィーリングでした!
De特有の振動や騒音も極力抑えられその出来は一時代前の上級、ローレルやマークⅡのDeモデルをも凌ぐもので街乗り程度なら至って静か、回すとやはり…って感じはありましたがDe乗用車の進歩を確実に感じられるものでした。

82/5、ライバルのカローラもセダンのみですがDeを搭載、70年代後半からその経済性からジワジワと静かな人気を得ていたDe車、当初はセドリック/クラウン、そしてコロナ/ブルクラスに、80年代に入るとこのクラスにも台頭してきておりカローラに対抗したB11、De搭載となりカローラLBはスポ-ティに相変わらずこだわり搭載には至りませんでしたがカリフォは1歩先んじた訳ですね。

↓カロスプLBにはない武器!1.7Lディーゼルエンジン搭載


(83/5)
カロスプ、5代目AE80系(スプリンター4代目)にFMC実施、これによりカロスプからLBがカタログ落ちします。
2代続けたLBでしたがトヨタが目論んだ“スポ-ティHB”は遂に受け入れられず終了となります。

コンセプトは間違いではなかったと思いますし一部では支持もありましたがカロスプとしてはラインナップし続ける程の販売量は得られずにこの施策を止め80系はセダンのみFF化された事もありLBに変わってよりスペース効率が優れ使い勝手の良い5ドアに変更、メーカーは最後まで決してLBを“ワゴン”とは謳いませんでしたが“ワゴン”の性格は70系を83/8に継続しながら大幅リフレッシュし高級度と遊び感覚=RV色?を強めた新星カローラワゴンに受け継ぎました。
(5ドアはカロスプ、ワゴンはカローラのみに設定)

↓LBに変わる“多用途”をアピールする5ドア(AE80カローラ5ドア㊤1500ZX㊦1500SX)


↓“ワゴン”としては70バンベースのワゴンを充実して継続(83/8~ カローラワゴン1800ディーゼルGL)


この80系デビュー、LB→5ドア/ワゴン化によりこの時点でカリフォに相当する車型がカロスプからは消えましたのでこの時点でこのガチンコは終了となります。
但し行きがかりですからB11カリフォのモデル改歴は続行、その後の両車の展開を簡単に時系列でご紹介しますネ!

(83/10)
カリフォ、MCにて後期型となります。
主な変更はフェスリフトとE15E搭載モデルの廃止。

↓83/10~カリフォ1500SGX


(85/9)
サニーシリーズが6代目B12型にFMC、カロスプはFMCにより売れ行き不振のLBをカタログ落ちとしましたが4ドアHBである程度の需要があったカリフォはこの代でも無事ラインナップしており“スポーティHB”はこの頃になると“スポーティワゴン”としてメーカーもアピールしていました。

↓B12型サニーカリフォルニア(㊤1700GL-D㊦1500SGL)


~カロスプ、カリフォのその後の展開~

[カローラ/スプリンター]

(87/5)
6(5)代目E90系がデビュー、80系を継承する5ドアは『シエロ』のネーミングでスプリンターのみに設定、カローラはワゴンのみになり87/8迄70系を生産し新たに90系をベースにFMCしています。

↓唯一のLBの継承!?はスプリンターのみに設定された5ドアの『E90系スプリンターシエロ』


↓87/8~はバンと共に8年ぶりの新ボディとなった『E90系カローラワゴン』


(91/5)
7(6)代目E100系がデビュー、シエロは廃止となり91/9セダン系に遅れてFMCしたカローラワゴンにRV要素モデルは集約されます。
シエロは輸出用では設定されるもやはり国内での5ドア販売不振により廃止、尚、100系カローラバン/ワゴンと双子となる『スプリンターバン/ワゴン』が設定されますがスプリンターワゴンは所謂バンの1年車検を避ける為の“ビジネスワゴン”でありカローラワゴンのように一般向けモデルではありませんでした。

↓91/9~はE100系カローラワゴンに集約


この後2000年に8代目カローラE120系デビュー時にスプリンターは消滅、カローラワゴンも消滅しバンをプロボックスに分離、完全なるファミリー&スポーティワゴンとなる『カローラフィルダー』が登場して現在に至ります…。

以上の歴史を振り返ると現行カローラフィルダーの先祖がE50/60系カロスプLBとなるのがご理解頂けた事と思います(^^)v

[サニーカリフォルニア]

(90/1)
セダン系がFMCし7代目B13型がデビューしますがカリフォはB12のまま継続。

(90/10)
カリフォはサニーから離れ別設計(但し基本シャーシはB11~共通でパーツ類も共用多数)であるADバン/ADワゴンとボディ共用化がなされたためネーミングは『サニーカリフォルニア』を継承するも型式はAD系のY10型となります。

↓90/10~はY10系サニーカリフォルニアとなりました!


その後カリフォは96/5にベースのADワゴンと統合、大幅なMCを受け『ウィングロード』とネーミングを改め現在に至ります。

この96/5限りで『サニーカルフォルニア』は17年の歴史を終えその後をウィングロードに託す訳ですね…。


以上“カロスプLBvsサニーカリフォ”でした!

長々読んで頂きましたが今回は前編冒頭に記載した通り純粋にはガチンコにはできないと思います。
やはりFMCにタイムラグが大き過ぎ片方が新型になると片方は急速に旧態化、日進月歩にクルマ造りが変わる時期でもありましたから…50/60LB及びB11後期は唯我独尊でしたしB11前期にしてもFRの70と対決させるには適さないでしょう、公平な対決はは70と310全般とするべきでしょうね。

さて、これに限って言えばお互いの存在期間が79~81年の僅か2年半が対象となりますネ…
販売台数的には残念ながらワタクシ、現在ではLBとカリフォを抜き出した統計は取れないのでカローラ/スプリンター、サニー全体の販売台数で見るとカローラが786,000台強、スプリンター310,300台強(カロスプ計110万台強)サニー473,500台強となっていますからこのうち約1割をLB/カリフォと考えてもこれはカロスプが圧勝でしょう。
ただ、あくまで印象ですがサニーの場合、カリフォの割合はカロスプLBより多めに感じましたのでこれを独断で2割としても…あっ、どっちにしてもLBが勝ちですね(汗)

まぁお互い販売的には芳しいモノではなかったですし純粋にクルマの出来として考えると非常に難しいです。
クルマとしての全体のバランス、ドライバビリティ、ユーザーに何を訴求したいのか?がカリフォの方が明白でありLBは最初から最後までイマイチ中途半端。DOHCを載せ必死にスポーツHBをアピールするも果たしてこの類のモデルに当時としてはDOHCは大袈裟ですしね、まぁ、これがあるからこそのLBの価値とも思えます、とにかくDOHCエンジンが希少で当時としては他にないハイパフォーマンスで魅力のある『GT』モデルではありましたから…

これ、やはり選ぶユーザーニーズによりどちらがいいか?は大幅に異なると思います、ある程度の積載、多用途も欲しいが走りも重要と思う場合はLBのDOHCでしょうし多人数の乗降が多く使い勝手優先ならばカリフォでしょう、ただ、決して310カリフォのドライバビリティが特段劣っていた訳ではないです。
非DOHC以外のLBでも使い勝手も乗降もほどほどでいいという感じであればリーズナブルな1300を選べるLBだって価値はある訳ですし結果、甲乙は付け難いですがね~~。

まっ、そんな訳で『走り』重視ならLB、ワゴンらしく使い勝手に優れるのはカリフォと言った感じで結論付けたいと思いますm(__)m


燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝“KE/AE/TE50,60~70系カローラリフトバック/スプリンターリフトバックvsB310~B11サニーカリフォルニア”……完
Posted at 2017/08/24 20:09:37 | コメント(0) | トラックバック(0) | ライバル | クルマ
2013年03月07日 イイね!

保存版・燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!…カローラLBvsサニーカリフォルニア 前編

保存版・燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!…カローラLBvsサニーカリフォルニア 前編“燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!”今回はベタ中のベタである『カローラvsサニー』です!

あっ、でもコレをまともに取り上げると両車デビューの1966年~サニー製廃の2004年、実に38年の歴史があるのでいつになったら終わるのか見当も付きません、依って両車の中から苦し紛れ見え見えですが(汗)特定の車型をガチンコさせてみたいと思います^^;

但し、特定車型と言えどもいきさつ上、計5年~分ですので長くなりますので前編・後編に分けてUPさせて頂きます(汗)

題して『KE/AE/TE50,60~70系カローラリフトバック/スプリンターリフトバックvsB310~B11サニーカリフォルニア』…そう、車名を見ればツウな貴方ならお分かりの“スポーツワゴン対決”です!

“スポーツワゴン”と言えば89年デビュー以降、当時としてはズバ抜けた動力特性(水平対向4発DOHCターボ+4WD)を持ちさりとてワゴンの実用性を最大限に生かした従来型のような商用バンを持たない初代スバルレガシィワゴンを思い浮かべる方が多いでしょう…

古くから存在するワゴンモデルですが商用バンのイメージを脱却できない日本人のステーションワゴンへの捉え方が災いし成功例は殆どなかったのが実情、ところがレガシィは前述の通り従来型ワゴンのイメージを覆し大人気を博しこれ以降、他社も対レガシィ車種を増発、トヨタカルディナ、日産アベニール、三菱レグナム等々、90年代にはワゴンブームを構築させ今でも一人勝ちのレガシィですので“ステーションワゴン/スポーツワゴン=レガシィ”は誰の頭の中でも印象強いのでは?と思います。

ただ、“スポーツワゴン”(的?)モデルはこのレガシィの遥か前、1976年(昭和51年)にデビューした当時の3代目カローラ/スプリンター(以後カロスプ)に設定されたリフトバック(以後LB)が元祖となるんです、絶対!

このLBに対抗したのが後発のライバル、サニーカリフォルニア(以後カリフォ)でありそれまで商用バンのボディを借りてきて内外装を飾り足をソフトに(車によってはサス形式も変更)し5ナンバーにした程度の言わば”ついでに造っている”といった扱いであったワゴンをバンモデルとは関連のない専用設計でレガシィの約10~15年も前にデビューしたのがこの2車でした。

↓1976年にデビューした“元祖”スポーツワゴンを謳った『カローラLB』
(77y前期1600GSL)


↓カロスプに3年遅れでようやく設定されたサニーのスポーツワゴン『サニーカリフォルニア』
(79y前期1400GX)


カロスプLBは76/1、カリフォは79/1デビューなのでライバルながら3年サニーが出遅れていますので実際のガチンコ開始はカリフォデビューの79~となりますね、期間はカロスプが5代目80系に83/5、移行した時点でLBは廃止されますので永い両車の歴史では“一瞬”かもしれません、僅か4年と少しです…。

複雑なのはこの時期のカロスプ対サニーは約2年程のFMCにタイムラグがありましてこれはデビューはお互い66年で同じでしたが2代目(カロスプKE/TE20系)、サニー(B110系)までは慣例通りの4年目でのFMC(70y)ながらサニーが110系を3年で諦め73yにB210型にFMCした時から狂いその後カロスプが3代目のKE/TE30,40系は規定通り?の74年に変わるも排ガス規制期のゴタゴタでFMCが遅れ3代目が5年の生産となっておりここで2年狂った訳です。
サニー3代目310は通常通り4年の77年FMCを行いこの時からサニーの新型はカロスプ旧型後期と、カロスプ新型はサニー旧型後期と対決するという図式が出来上がっていました。

一時カローラ店に在籍したワタクシ、これは2年ごとに対サニー戦争が激化しサニーの新型が出ると急速に型遅れ感が強くなるカローラはエクストラ仕様だの特別仕様だのを出し派手な展示会、豪華な景品でお客を逃すまいと必死になっていた会社(メーカー&ディーラー)を懐かしく思い出します。
まぁ、これはあちらさん(サニー)もスプリンターのオート店も同じでしたからね、当時は三つ巴+伏兵でランサーEXやミラージュ、シビックやファミリアなんかも巻き込んで如何に“型遅れ”のカローラを売るか!必死でした(笑)

そんな訳でこのガチンコ、正確には79/1のカリフォデビュー期からの開始ですのでカロスプは初代50/60系LBの末期、そしてこれがFMCした79/3~は新鋭70系LBが310カリフォ生存期間の~81/10迄、これ以降は2代目カリフォ(サニー5代目)B11型と70系がガチンコし70系→80系FMCの83/5でENDとなります。

以上から一番ガチンコ期間の永い70系LBと310カリフォ(79/3~81/10)2年半に絞られますが両車の特色や開発経緯、人気/販売を語るにはこの前後モデルも必要不可欠ですので76/1の50/60系カロスプ~83/5の80カロスプデビュー(LB廃止)迄を取り上げたいと思いますのでお付き合い宜しくお願いしますm(__)m

さて、いつものように長い前置きはここまで!
カロスプLBvsサニーカリフォ、行ってみましょー!!

【新時代の多目的多用途スポーツHB、カローラLB/スプリンターLB登場!】

76/1、上辺の豪華装備やらNEWモデルの開発ばかりに気を取られたトヨタ、排ガス対策では他社の後手に廻り開発にも苦労、他社パテントを模索したりとさんざんでしたがようやく自社開発に光を見出し余裕ができたこの時期、当時のドル箱であったカローラ(スプリンター)に新モデルを設定、これがLBでした。
常にNo1でいなければいけないトヨタ、売れる=NEWモデル=旧態化、陳腐化は最大の敵!と言った感じですので3年目に入る当時の3代目カロスプ、幸い当時のサニー210型は不人気で販売的には安心ながらもサニーの新型がデビューするのは時間の問題でしたし来る53年規制パスという目標もありまだFMCは先延ばしにせざるを得ないトヨタ、カロスプにカンフルを打った感じですね!

LBは73年のセリカで初めて命名された当時のトヨタハッチバック(HB)のネーミングでありセリカに続いてこのカロスプ、後年(78年)にはコロナにも設定されますが共通するのは単にHBという事だけでありセリカはフルファストバックのHBクーペ、コロナは4ドアセダンベースの5ドアHBであり趣も性格も各車異なるモノでした。
ただ、この時期に3モデルに設定されたネーミングであった為、「トヨタのHBはLBなんだ」と浸透し知名度も広がったのも事実、対する日産は210サニーでセリカLB同様のHBクーペを出しながらも単なる“サニークーペ”とし特徴のアピールには欠けていたような…
この為、日産も77yからの2代目バイオレット/オースターA10型でHBクーペ設定時に「オープンバック」(バイオレット、「マルチクーペ」(オースター)とネーミングしましたがこれ限りで終わり浸透には至りませんでした。

カロスプLBはご承知のように双子兄弟ですがベースの3代目カローラとスプリンターは先代20系の前後意匠を変えただけの単なる双子ではなく共通パーツ(外板)も使いながらオリジナルティ溢れるものでしたので一見すると別のクルマに見えた程です。
3代目はカローラが2/4ドアセダン、HTを、スプリンターは4ドアセダンとクーペを設定していましたが被る4ドアセダンですらカローラはセミファストバック、スプリンターはノッチバックの出で立ちでカローラに及んでは排気量(1200/1400/1600)で前後デザインを分けるという凝りよう(スプリンターは共通)でした。

尚、型式はベースのカローラが50年規制モデル(~76/12)まではKE/TE30、スプリンターはKE/TE40となっていますが51年規制モデル(77/1~)以後はMCのみの小規模変更ながら型式改定がなされそれそれKE/TE50系、同60系になっております。
LBは77/1発売で既に51年対策モデルですのでデビュー時から50/60系となりますね!

カロスプLBは40系スプリンタークーペをベースにしてルーフを延長、そしてテールゲート、スプリットシート(分割可倒式Rrシート)を備えるものですがクーペベースだけあり使い勝手の優れる4(5)ドア形式ではなく2(3)ドアタイプ、また車高もベースのクーペそのままなので外見上は従来のバンベースのワゴンやセダンベースの5ドアとは異なりスポーティさを醸し出し国内では類のないシュ-ティングブレークモデルでした。
スプリンタークーペはシリーズ中でサイズは一番大きく唯一、4m台を超える長さと1320mmという低い車高が非常にスポーティ、FrグリルはS30ファエレディZ調にえぐれたライトに薄いグリルというマッシブさが受けカローラのスポーティモデルであったHTを遥かに上回る人気を獲得、このクーペをベースにしたカロスプLBですから低く長くのワイド&ローのプロポーションも自慢でした。

このように外観は“スポーティなLB”(この時代、トヨタは“LB”を浸透させたく“ワゴン”“HB”の名称は使いませんでした、中身は完全なるHBorワゴンですが…)で売りHBと可倒シートで多用途性をアピールしたLB、ようやく働きバチの日本人に初めて洒落たレジャービーグルとして訴求したモデルではなかったか?と思います。

↓レジャー、多用途性をアピールするカローラLB



スプリンターLBはクーペのBピラーより前半はそのまま従来のスプリンタークーペを使用、カローラLBは輸出用にスプリンタークーペのボディを使いマスクのみオリジナルの3分割タイプとしたカローラクーペが存在しておりこの顔をスプリンターに付けカローラLBとしたものでして顔付は当時の米・マスタング風のなかなか迫力があり国内では初お目見えでしたのでデビュー2年を経過した3代目カローラでは新鮮でした。
この代のカロスプはボディだけではなくインパネも限りなく似てはいますがカローラとスプリンターで若干リ・デザインされていましたがカローラLBではスプリンタークーペのボディが基本の為、インパネもこれに準じます。

↓スプリンタークーペのインパネをカローラLBに使用(カローラLB1600GSL)


アピールではカローラLBをファミリー層に、スプリンターLBを若年層にというう戦略が取られ特にスプリンターLBは当時若い男性に絶対的人気のあったハワイ産まれ、ハワイ育ちの今で言うグラビアアイドル?のアグネス・ラムを起用、若い女性に人気の近藤正臣とカップルを演出したCMはクルマ以上に人気となったモノでした!
いやー、ワタクシもラムちゃん、大好きでしたねー、当時まだ小学生(高学年)だったにも限らず、、、ん?どこが!?…ご想像にお任せします(爆)

↓このラムちゃんはTシャツ着てるので拝めませんが(動画でお確かめ下さい…笑)
「光の中を走るサンデッキ」なるコピーにトヨタの期待が込められていますネ!


このように鳴り物入り!?でデビューしたカロスプLBですが正直当時の空気では「バンみたいでカッコ悪い」が多数の意見であまり商業的には成功しませんでした。
現代目線で見れば明らかにバンとは違うのですが当時、まだまだ日本人の固定概念にはない車型だった事もあり受け入れ度合いは低く“出るのが早過ぎた”感がありますね。
従来型ワゴンですらまだ遊びに使いこなす、なんて洒落た事ができない日本人でしたしRVなんて言葉は見た事も聞いた事もない時代、カロスプLBを受け入れる土壌がなかったのは間違いないですorz…


【“遊びのベースキャンプ”を謳い決してバンでもワゴンでもない「5ドアスポーツセダン」、サニーカリフォルニア登場!】

カロスプLBから3年遅れの79/1にデビューしたカリフォ、一早く単なるファミリーセダンの領域から脱出したカロスプ=最大のライバルでありながらこの分野にこれだけ遅れたのでカリフォは全てカロスプLBを上回る並々ならぬ入魂でデビューしました!

ベースは77/11に4代目にFMC済のB310型サニーでこれのセダンがベース、しかしながらクーペ並に低い全高や各部味付けもスポーティでボディベースがクーペだったライバルより居住性を重視しながらのスポーツワゴンでした。

ライバルとの最大の違いは“5ドアスポーツセダン”とアピールするようにドアが4枚(ゲートを除く)だった事でこれにより乗降性はカロスプLBの比ではなく後席の居住性もこれを上回り使い勝手、多人数乗車にも優位な点を武器に一気に3年の遅れを取り戻そうと日産は計算していたと思います、但しそうは甘くない市場の反応に後に苦しむ事となりますが…。

4ドアHBにライバル同様のスプリットシートも装備(上位グレード)、ドアが2枚多いだけで使い勝手は著しく向上したのは言うまでもないのですがその分見かけは頑張った割にはカロスプLB以上にバンに見えてしまうのが市場の多数共通した意見、テールランプ形状がバン同様縦型だったのも大きな要因に思います。
ライバルより3年遅れながらもまだこういった“スポーツワゴン”を見る目は冷ややかでありカリフォもライバル同様、気張った割には最後まで人気は得られませんでした。

カリフォもカロスプLB同様にどう見てもワゴンでありながらこれを一切コピーやカタログには謳わずライバル同様に“スポーティ”をアピール、4枚でありながらやはり低い全高としバンとの差を出す為にRrウィンドゥの傾斜も強くしバンとは異なるオリジナルなスタイリングを採っています、ワゴンの本場、米国で流行っていたウッドパネルを日本初でOP装備設定しそれまでにない高級感をもアピール、デビュー当時はこのウッドパネルでカリフォは注目を集め後年シビックカントリーを始めとした後発ワゴンモデルに影響を与えました!

しかしこうして見るとカロスプLBもカロスプもワゴンでありながらそれを名乗らない=如何に当時の空気がワゴンを受け入れていなかったかがご理解できる事と思います。

↓カリフォも遅ればせながらレジャービーグル及び多用途性を最大限アピール!
(80y後期型カリフォルニア1400GX op装着モデル 2枚目奥は兄弟!?のバネット)



尚、カリフォはベースのサニー310デビューから1年2カ月近く経ってからのラインナップでしたので前期型となる初期モデルは僅か9か月の存在、79/10にはベースであるセダン/クーペが通常通り2年でMCを受けるのと同時にMCされており前期型カリフォは当時でも稀有な存在でしたが新型車効果と以後のカリフォ不人気もあり何故か?個人的には当時、前期を多く見かけていたような気がします、もっともワタシがドライブ経験あるのが前期なのでその印象が強いのかもしれませんが…。

ここまで両車のデビュー期を記載しましたが読んでお分かりのように発売時期がかなりズレているので直接両車を単純には比較できません、ガチンコできるのは前述の通り70系LBと310カリフォ(79/3~81/10)になりますので各部比較は後としていつもとは順序が異なりますがモデル改歴から入りたいと思います。

但し直接比較はできないながらも進化の過程をご理解頂く為にこの期間に入らないカロスプLBの50/60系、カリフォ2代目(5代目サニー)B11型も仕様解説を記します!

~モデル改歴~

※一部特別仕様、限定車や小変更は省いているケースがありますのでご了承願います。
また、LBとしては初代となる50/60系、ベースとなったスプリンタークーペのデビューの関係でカローラLBは小変更程度でMCなしながらスプリンターLBは2度のMCを受けていますのでスプリンターLBのみ前期・中期・後期と記載します。

(76/1)
カロスプLBが従来型セダン/HT/バン(カローラ)、セダン/クーペ(スプリンター)に追加設定されます。
76/1デビュー時の諸元は下記の通りです。

[ボディ]
3ドアHB
[バリエーション]
1200
カローラ:DX/HiDX/SL
スプリンター:DX/XL
1600
カローラ:DX/HiDX/GSL
スプリンター:DX/XL/GS
[型式]
カローラLB1200:B-KE50
カローラLB1600TTC-C:B-TE51
カローラLB1600TTC-L:B-TE52
スプリンターLB1200:B-KE60
スプリンターLB1600TTC-C:B-TE61
スプリンターLB1600TTC-L:B-TE62
※B-は51年規制を表します。
1200は酸化触媒(TTC-C)方式による51年規制適合
1600はTTC-Cと希薄燃焼(TTC-L)方式に2通りを設定、いずれも51年規制適合
[サイズ]
全長4120mm全幅1600mm 全高1320mm
[ホイールベース]
2370mm
[車重]
870~955kg
[搭載エンジン]
3K-U型 1200cc 直4 OHV シングルキャブ 64ps/9.2kgm(TTC-C)
2T-U型 1600cc 直4 OHV シングルキャブ 90ps/13.0kgm  同
12T型 1600cc 直4 OHV シングルキャブ 85ps/13.5kgm(TTC-L)
[ミッション]
4速MT/5速MT/3速AT
[脚廻り]
Frストラット/Rrリーフリジット
[駆動方式]
FR

以上を見て頂ければ分かるようにバリェーションはベースが元々少数であるスプリンター、やはりLBでもカローラのSLに相当するグレードが省かれます。
搭載エンジンはベースが積むT-U型1.4Lが何故か?両車とも省かれ1.2と1.6の2種の搭載…
未だにこれは七不思議の一つでクーペやHTよりも重量増になっていたLBなので廉価版としてもむしろ1.2を落とし1.4をラインナップした方が正常では?と感じます。まぁ、この時期は排ガス対策の混乱もあり1.6では触媒のその後に自信がない時期(燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!…7後編のカリーナの項で解説)でTTC-CとLの2通りを用意した位ですからこの辺の事情があったのかと推察されます。

ミッションは1200と1600TTC-Lは4/5MTのみ、1600TTC-CにMTに加え3ATが用意されています。

↓77/1デビューのスプリンターLB1200XL(前期)


そうそう、余談ですが刑事ドラマ好きのGureですからこれは語っておかないと!!^^;
スプリンターLBと言えばトヨタが車輛提供していた人気刑事ドラマ『太陽にほえろ!』の劇用車としてデビュー直後から登場しておりグリーンのLB1600GSが颯爽と走りまわっていました!
ゴリさん(竜 雷太)やスコッチ(沖 雅也)がよく乗っていたイメージがあります…。

↓『太陽にほえろ!』で活躍するスプリンターLB1600GS!!(前期)


(77/1)
カロスプシリーズ全体がMC、LBにはセダン/HT/クーペと比較して唯一抜けていた1400シリーズを追加します。
1400はTTC-Cにより51年規制に適合したT-U型OHV シングルキャブ82ps/11.6kgmエンジンを搭載、型式はB-TE50(カローラLB)及びB-TE60(スプリンターLB)となっています、1400シリーズのグレードは1200に準じミッションは4/5MT。
尚、他1200/1600も51年規制に適合(スペック変更なし)型式の排ガス規制記号がB-になっています。

またカロスプで排ガス規制により途絶えていた1600DOHCの2T-Gエンジンが未対策時のソレックスツインキャブ→EFI化、酸化触媒と併せ51年規制に適合、2T-GEU型とエンジン型式を改めて復活しました!
75yまでカローラのHTにレビン(TE37)、スプリンタークーペのトレノ(TE47)に専用がラインナップされていましたが復活2T-GEUはLBにも搭載されトヨタDOHCの象徴グレード『GT』が与えられました。
2T-GEUの諸元は1.6L4気筒DOHC-EFI 110ps/14.5kgm、当時は希少なクラス唯一のDOHCの搭載によりこれまでのスポーティは名だけだったLBも名実共に“スポーツHB”となった訳でHTやセダンにはラインナップされずLBにこれを設定したトヨタのLBに賭ける情熱が伺えますね。

2T-GEU、スペック的には未対策時代のレギュラー仕様と同一(ハイクは115ps)ですがそのフィーリングは“スペック詐欺”を疑うに充分なモノでソレックスの勇ましい吹け上がりは消え失せ排ガス補機装置に余分に力を取られた2T-GEUは旧2T-Gと比較してストレスの多いDOHCになり下がっていました。
27レビントレノとは比較対象できないのは勿論、37/47レビントレノと較べても10%以上の重量増しであるLBでは本格的スポーツ走行には荷が重い部分もありますがそれでも従来搭載の1200~1600と較べればその走りは月とスッポン!また、当時他社含め(マツダREを除く)軒並み目の充てられない対策エンジンのヘタレぶりの中では光る存在でした!

↓LBには新搭載となる2T-GEU型DOHCエンジン!


↓2T-GEU搭載の新追加、カローラLB1600GT


↓旧TE47トレノと共通するGTのインパネ


尚、このMCでにてカローラにスプリンタークーペの双子となるカローラクーペを、スプリンターにカローラHTの双子となりスプリンターHTを新設、これにより74年デビュー以来LBを除くオリジナリティを誇ったカロスプが先代20系と同様に前後意匠違いだけの完全双子となります(セダンを除く)。カローラクーペはLBの顔をスプリンタークーペに移植、つまりは従来の輸出専用モデルの国内市販化、スプリンターHTはカローラHTにスプリンターの顔を移植したモノでした。
セダンのみ従来通りRr部のボディラインが異なるモノを継続しますが“リ・デザイン”を強調してデビューしたこの代のカロスプは3年で限りなく“同じクルマ”となってしまいました。

これによりLB以外で2T-GEUを搭載するモデル(カローラレビン、スプリンタートレノ)は両車ともクーペに設定、未対策モデル時はレビンはHT、トレノはクーペと棲み分けていましたがレビン/トレノも先代TE27以来の完全双子化がなされています。

↓77/1時点での2T-GEU以外のLB搭載エンジン群


カロスプ共LBのMCはカローラLBに対してはデビュー間もない事もありMCまでは行われませんが小変更を実施、上位グレード、GSLの装備充実(ホイールリング、モールの新設)や他グレードのホイール変更(ホイールキャップ→キャップレスホイール)程度ですがスプリンターLBはベースのクーペが74yデビューですのでカローラLBに対し小規模ながらMCが行われここから中期となります。
内容はカローラLB同様の内容とフェイスリフト、大きく印象は変わりませんがFrにエアダムが装備されグリルデザインが若干変更されています。

↓高級感を高めた77/1~のカローラLB1600GSLのFrと室内



↓スプリンターLB、GTデビュー時は中期型になります!


(77/8)
1600、TTC-Lの12T型とTTC-Cの2T-U型に分かれていたましたが三元触媒の開発に成功、これを使用し53年規制に適合化した12T-U型(TTC-C)に統一、12T-Uは2T型改良エンジンでありスペック等は旧2T-Uから変更はありません。

(77/10)
1200のMTのみ排気量を100cc拡大した4K-U型に換装、1300シリーズが追加されます。
新搭載されたエンジンは酸化触媒方式の4K-U型OHV シングルキャブ(TTC-C)72ps/10.5kgmとなりカロスプシリーズ初の53年規制適合モデルでした。
型式はE-KE55(カローラLB)及びE-KE65(スプリンターLB)。

↓新グレード!?になるカローラLB1300SL(前期)


(77/11)
ライバルのサニー、4代目B310型がデビュー(セダン/クーペ/バン/トラック ※トラックは従来型B120を継続)

(78/4)
カローラLBは再度の小変更、スプリンターLBでは2度目のMCにて後期型となります。
再びスプリンターLBのみグリルがリ・デザインされていますがRrは変更ありません、カロスプLB共に一部グレードにエクストラインテリア仕様を追加。

尚、この時にカローラはセダンH/TをMC、セダンとHTは74yの30系デビュー以来続けていた排気量別のリ・デザインされた前後意匠を変更、セダンとHTで分ける形にしています。

↓後期型スプリンターLB1600GS


また、この時同時に2T-GEUを酸化触媒により53年規制に適合、出力を110ps→115psへアップしています。
またATモデルのみここまで1200でしたがこれも1300の4K-U型に換装、これにより全種53年排ガス規制に適合し従来設定のなかったATモデルが1600にも広げられています。
53年規制となった2T-GEUと4Kはかなり以前の元気さを取り戻してきており同じ形式(4K=旧3K)ながら別物に近いドライバビrティを実現、ようやく排ガス規制の完了を予見できるに充分な力強さを感じました!

これにて初代カロスプLBは79/3迄変更なく進みますが79/1に“クラス唯一のスポーツHB”だったところに最大のライバルとなるB310型サニーカリフォニアがデビュー、この分野でもいよいよSC戦争が勃発する訳ですネ!

いよいよカリフォデビューですがその前に補足として初代カロスプLBのインプレなんぞを…
これ、営業時代は既に旧型でしたが下取りその他で数多く乗っているので語らせて下さい^^;

カロスプLBは広大な居住空間も一つの売りでしたが実際、それはクーペと較べればという話しで実車は天井が低くて圧迫感があり174cmのワタシの頭かろうじてグーが入るか入らなかったって感じ。
後席もFRのこのクラス、しかもクーペベースですから決して広くはない、いや、狭いです。ただヘッドスペースは後席乗員の真上でルーフが下がってくるクーペとは違い充分余裕があるのでこれに関しては上々です(笑)

インプレは30/40カロスプそのもので70年代とカローラ政策の“70点主義”が丸出し、ダルなハンドリングとプアなサスペンションはいただけない味わいでしたねー、GTですらハンドリングは最悪、良く言う“ゴムをよじる”感丸出しでしかも重い2T-GEUにワイドタイヤですからパワステなんてこのクラスには考えられない時代、狭い駐車場では殺してやろうか!と難儀したものです。

1200や1300にしても軽さは皆無でちょいと飛ばすとヨロヨロ…までは大袈裟ですが常にハンドリングに神経は集中しないと不安があるモノでした。まぁこれは70年代のトヨタ車にはベタだったので当時は慣れていてかえってシャープなハンドリングを持つクルマ(同じトヨタでしたら格下のKP61スターレット)や70年代ではこれに定評のあった三菱系に乗るとその鋭さにビックリしましたが(笑)
KPはその後主流になるラック&ピニオンを先取っていましたから納得ですが三菱のギャラン系やランサーは当時常識のボールナットながらトヨタとはこれだけ違うか!という気持ち良さでた!!

パワーは2T-GEUの際にお伝えした通り、このクラスとしては大柄ボディでしたし重量もありますので1200~1600非DOHC以外はファミリーユース以外、何者でもなかったです。
ただ、50→51→53年と進んだ排ガス対策でベースが同じK及びT型でも確実に新しい規制にパスしたタイプのエンジンがフィーリングは良かったのは間違いありません!

一番のウィークポイントは脚廻りでFrはともかくRrはこの時代ですら旧態化のリーフリジットでしたからね、GTはそれなりに強化もされてはおりましたがゴツゴツとし路面の震動を見事に拾うリーフ特有のがさつさは他グレードの乗り味と大差なかったです。

↓70年代後半、後輪既にリジットでもリンク式が主流でしたがカロスプLBはベースが古く後輪は時代遅れのリーフ!



さぁ、日産ファン、サニーヲタ?(笑)の方、大変長らくお待たせ致しました!!
サニカリフォルニアを取り上げて頂きたいと思います(*^^)v

約3年、ライバルの存在を横目で見ていたサニーですが思っていた程ライバルが評価を得られず余裕の様子見!?だったかもしれませんね(笑)
ライバルの不調を3年間、じっくり見据えたのでしょう、カロスプLBのいい部分は見習い更にこれを超える部分をアレンジし77/11にデビューした4代目B310型サニーセダン/クーペ/バン/トラック(B120)に79/1、追加設定されました!

カロスプLBの思ったよりの不調はスポーティを強調したかった為の施策が裏目に出た事だったと思われます。
クーペをベースにした事により居住性、そしてせっかくのHBの利便性を活かしきれずまた、その当時としては奇異なスタイリングも市場に受けなかった部分がありました。
HBとしても不完全、スポーツワゴン(メーカーはそう謳いませんでしたが…)としてもシャーシが古く不完全、どこか中途半端な部分がウけなかった要因でしょう、そこでカリフォは同じようにスポーティさを醸し出しながらもHBワゴン(こちらも当時は“ワゴン”としては売っていませんでした…)としての利便線も深めた仕様でデビューしています。

↓ライバルに3年遅れてデビューしたサニーカリフォルニア(前期1400SGL)


それではサニーカリフォルニアを諸元から入ります。
カリフォは2度のMCが行われてていますので前期・中期・後期にて以後記載します。

[ボディ]
5ドアHB
[バリエーション]
1400DX/GL/SGL
[型式]
E-WHB310
※E-は53年規制を表します。
日産NAPS(酸化触媒)方式による53年規制適合
[サイズ]
全長4160mm全幅1595mm 全高1345mm
[ホイールベース]
2340mm
[車重]
875~975kg
[搭載エンジン]
A14S型 1400cc 直4 OHV シングルキャブ 80ps/11.5kgm 
[ミッション]
4速MT/5速MT/3速AT
[脚廻り]
Frストラット/Rr4リンクリジット
[駆動方式]
FR

カリフォはカロスプLBの失敗?に学びベースはセダン、しかし310そのもがセダン/クーペともに全長もホイールベースも共通ですのでこの表現は適切ではないですね。
但し、カリフォもスポーティを謳いますので基本である“ワイド&ロー”を表現するために全高はセダンよりも抑えクーペ並(クーペ1340mm)としいます。このため全体フォルムは確かに低く、長くを実現しましたがあくまで個人的ですがカロスプLBにはない5ドアを採用した事もあり利便性はこれの比ではないのは当然ながらスタイル的にはよりライトバン的なイメージになってしまい逆にルーフが低い分、同じB310のバン(VB310)の4ドアバンをチョッピングルーフにしたような感じのような印象でこれもイマイチな感じでした。
市場の反応もほぼワタクシの感覚と同じだったのでしょう、カロスプLB同様に「バンみたい」の声、かなり聴かれたかも…。

サイズ的にはカロスプLBとほぼ互角、天井低くて圧迫感があるのも同じですが後席ドアがあるのとテールゲートの傾斜もライバルと比較して緩い分、積載効率と積載性は高かったと思われます、これも何回か乗りましたのでインプレは書けますがフル積載の経験、ましてやその部分でライバルと比較した事はないのであくまでも想像です。

グレードは3種でライバル並ですが搭載エンジンは何故かA14の1種のみ、セダン/クーペは勿論バン迄含め伝統のA12型1200をラインナップしていましたしセダンとクーペの上級スポーティグレード(GX-E/SGX-E)にはEGI付A14Eが最強エンジンとしてラインナップされていたのにも関わらずカリフォはA14のみ、しかも最もスポーティなSGXグレードはなし…
憶測ですが高級感とスポーティ感を強調するのと車重がセダン/クーペに較べ重いので1200の設定は避けたのでしょうがその割にEGIモデルの設定がないのは?で何を訴求したいのかイマイチよう分からん位置付けでした。

↓NAPSでも元気なA14型エンジンを搭載!


ただ、インプレ的にはサニーらしく至って軽快!ライバルはもうモデル末期ですから比較は酷ですがB10以来歴代サニーに受け継ぐDNAが310にも確実に引き継がれ名機と言われたA12のスケールUP版のA14も排ガス規制を受けても未対策には及ばないながら元気でトヨタT-U型1400はお話にならない実力でした。

カリフォは開口部が多いので致し方ないですがややボディ剛性が弱い感じで攻めるとヨレが感じられました、しかしこの時代のHBではどこでもあった症状、致命的な欠点ではなかったと思う程度のものです。

シャーシはやはりライバルのカロスプが74年デビューですから3年新しい310、脚廻りも旧態以前の後輪リジットのライバルに差を付け時代にそぐった後輪4リンク式を採用、カリフォのGXとセダン/クーペGX/SGXではハードに固められておりパワーに見合う味付けはややハードに攻めても音を上げずなかなか出来栄えの良いサス、そしてハンドリングもこれも伝統ですね、パワーアシストなしでも重過ぎず、かつ軽過ぎずシャープ…とまでは言いきれないながらもスポーティ度合いは高くカロスプに較べたら格段に運転が楽しいい!そんな印象でしたねー。

310はとにかく全てがかつてのB10や今や名車扱いのB110同様に大したパワーやシャーシでなくてもバランスに優れ軽快でドライブィングが飽きない、そんな魅力があるので今でもファンが多いのでいょう、カリフォは重い分、少しそれはスポイルされるも素生がいい310ですから充分その魅力は感じ取れます。

↓80年代に相応しい後輪4リンクを採用したカリフォのサスペンション


↓インパネや室内は基本的にセダン/クーペ同グレードと同様の味付けでした。(SGL前期)


カリフォのデビユーで役者は揃った?大衆車スポーツワゴンガチンコはここからが本番!
79/4にはライバルであるカロスプLBがカリフォを待っていたようにFMCし迎撃態勢を整えます。


“燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝9!!!”『KE/AE/TE50,60~70系カローラリフトバック/スプリンターリフトバックvsB310~B11サニーカリフォルニア』…後編に続く(^.^)/
Posted at 2017/04/12 21:29:11 | コメント(0) | トラックバック(0) | ライバル | クルマ
2013年02月16日 イイね!

保存版・燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!…ローレルvsルーチェ (後編)

保存版・燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!…ローレルvsルーチェ (後編)全編より続く

~エンジン&脚廻り(ドライバビリティ)対決!~

搭載エンジンはボトムが1800OHCのキャブタイプでスペックもほぼ一緒、2LはローレルがL20のキャブとEGI、ルーチェはMA型キャブのみでこれはL20キャブと、EGIはRE12A、ローレル2800がルーチェRE13Bという具合にスペック的にはガチンコになりますね!

ローレルは2000EGI、ルーチェはRE12Aを普及拡販モデルと位置付けていました。

↓ローレルはお馴染、L20E型エンジンがメインに!


↓ルーチェは十八番である普及型REである12A型エンジンをメインに据えています!


後年ですがこの両車、ドライブ経験はありますが全てではありません!
ローレルは1800~2000EGI、レガートはレシプロ2000、REは12Aのみですが同じエンジンを似たような車重での経験から言わせて頂くと全てに当てはまるかな?
因みにローレルの場合は330の2800の経験がありますしレガートの場合はCDコスモやLA2ルーチェで13Bや1800の経験は豊富ですのでこれを参考にしたいと思います。

ハッキリ言ってエンジンフィールはレガートの圧勝でした!
ローレルの場合、NAPS(酸化触媒)による51年規制モデルは最悪の一事でまぁ、何とか我慢できるレベルでL20Eが最低限、満足なローレルらしい優雅な走りを得るにはL28が不可欠でありL18やL20キャブは“酷い”と言っていいでしょう、それはオーバーウェイトなんてモノではなくホントに走らずL20キャブなんて登坂で冗談抜きにトラックに煽られます(汗)
L18なんてのは廉価以外何物でもなく未だにローレルに必要だったか?と思う程酷い…
ブルやスカイラインTIが下にありましたからねー、いくらかサイズの小さいこれらの方がまだマシでしたし1800のローレルなんてそのイメージを崩すだけだった気がします、燃費も表記上は上級エンジンよりは好成績ながら実燃費は非力で回しまくるのでこれとて優位ではなかった…。
同じようにアンダーパワーのL20キャブは取りあえず6発の恩恵でパワーのなさから回してもローレルとして我慢できる騒音レベルですがL18はやかましい、がさつ、振動の印象しかなく外見の見栄だけで選んだらさぞかし後悔しただろうなー、と感じた物です。もっともワタシが経験したC230の1800は6万㎞位は確か走ってましたからヤレも当然ありますがそれでも同じように経年している6発と較べるとNGでしたねー…

一方のレガートですがこれもレシプロは1800は勿論2000もこのボディでは非力!しかしそれはあくまでREと比較するとって感じで日産L型に較べればかなりマシだったように思います。
同じカマ付き(サーマルリアクター)で排ガス規制をパスしていた三菱のMCA-51である4G52(2000)や4G51(1850)と較べても静粛性では劣るもパワー感はマツダの方が上でレガートには似合わないガサツさを除けばマツダのレシプロはREの影にどうしても霞んでしまっていましたが排ガス対策エンジンとしてはなかなかのフィールでしたね、ただやはりレガートは荷が重過ぎ下級で同じエンジンを積むカペラやLA2ルーチェほどの活発さはありませんでしたし高級車然としながら非力から“ブォーっ”と唸るのはイメージ崩れました…

REに関しては12Aでも13Bでも何の問題もありません、燃費以外は(爆)
何度もここでREのフィーリングは書いてるので割愛しますがレガートにはRX-7とはまた違ったREの一つの生き方がコスモと共に示されていたと感じます。

さて、エンジンフィールでは歯が立たないローレルですが脚廻りでは初代から定評のあるローレル、この分野ではこちらが圧勝だったかもしれません!

歴代ローレル、そしてスカイラインで熟成されたFrストラット/Rrセミトレの4独サスの味わいは健在でスカイラインよりは性格上柔らかめなセッティングながら“やはり4独は違うなー”と感じさせるに充分な味わい、全体的にアンダーパワーなのでそれこそパワーにシャーシが勝っていて安心してドライブできる感じがしました。
路面への追従性、悪路での乗り味も当時のレベルでは及第点!惜しむべきはその脚を生かせないフカフカで腰のないシートの出来が残念でしたが(汗)
尚、サスは廉価版(4気筒シリーズ)及びセダン全般はRrリンクリジット、HTの6気筒以上が4独の設定となりリジット版は大して印象に残っていないので可もなく不可もないモノだったのでしょうね^_^;

↓ローレルの脚廻り(㊤Frストラット㊥Rr4リンクリジット㊦Rrセミトレーリングアーム)


レガートの脚廻りはこれまたマツダの伝統?レシプロはそれでもいいですがかなりフワフワ!
REでその気になってドライブすると安定性に欠け相変わらずシャーシがパワーに負ける印象は拭えず13BのLTDでは怖くて直線以外ではアクセル踏み込むのを躊躇する感じです。
加えてハンドリングもあまり応答性のいい方ではなくこれ、LTDを友人の親父が乗っていて時々友人が乗ってきた時に借りて運転しましたが速いのはもちろん速いですがこれも直線番長でしたねー、峠道なんかはグルグルと大袈裟にハンドル回すのを要求された記憶が…(*_*;

レガートはFrストラットにRr5リンクのリジットとの脚廻り、この時点でローレルとは差があり過ぎで廉価版はともかく上は200万になろうとする高級モデル、せめてREだけでも4独を持っていたらまた印象は変わったと思います。
但し当時FRで4独という高級な脚廻りはローレルとスカイライン、ブルーバードとマークⅡ/チェイサーの一部のみでセドグロもクラウンもデボネアもΛ/Σも全て後輪はリジットでしたからこれをマツダの欠点とは言えません、少なくてもセドグロ(330)やクラウン(S80~S100)よりはしっかりした脚だったと思いますしシートの出来は当時から人間工学を真剣に取り入れていたマツダですからローレルを上回っており見かけは豪華でいかにもフカフカそうでしたが(上級グレード)座ると意外にシッカリしていた印象が残っています!

↓レガートの脚廻り


~インテリア対決!~

お互いがこの頃になると“ハイオーナーカー”を飛び越えた“高級車”を名乗るようになりインテリアは上級になる程豪華絢爛!装備も当たり前のようにパワー装備が施されこの分野に関しては現代車とそう変わらなくなってきていますネ、それよりこの頃はこれらパワー装備(パワステ、P/W、集中ドアロック他)に目を見張ったものですが今や軽にも当たり前に付いていますからね、その方が驚きです^^;

↓高級車の証?ローレルの後席シガーライター&オーディオS/W、パーソナルランプ



↓こちらはレガートの後席ライタ、オーディオコントロールにパーソナルランプ



インテリアは前述の通り廉価版と最上級では両車とも“同じクルマか?”と言う程違い低グレードはお約束のビニールレザー(一部繊維)にブラック主体の内装、グレードが上がるにつれモケットやファブリック、起毛など材質が使われ内装色も明るくなるいつものパターンでローレルSGL系とレガートLTDはこれの上級であるセドグロやロードペーサー(77y廃版のVIPモデル)をやや小さくした室内に押し込めた感じとでも言いましょうか?
ローレルSGLはセドグロ330で人気のルーズクッションシートを採用、見た目はセドグロの内装と見間違える程の豪華さでした。
インパネは70年代デザインの域を超えず新しさは皆無ながら先代の頃の日産トレンド=目線の高さにメーターが来てる!(大袈裟に言えばですが…)って感じの圧迫感はなくなり視点が下げられ前方視界の向上がまず感じられ好感を持てた部分でした。

↓最上級ローレル4HT2800SGLのインパネ&インテリア


レガートもローレル同様に廉価版と上級の差は激しいですがマツダらしく上級であっても日産やトヨタ程“これでもか!”という成金的な豪華さではなくシックなイメージ、まぁ、大多数のこの頃の高級車好きには物足りなかったかもしれませんが個人的には嫌味のないマツダらしいセンスには非常に好感持てました。
コスモのLTD等もそうですがマツダのインテリアって質感もそれなりに感じシックながら安っぽさもなく非常に好きでしたねー…。

インパネもローレルよりは新しさを感じ高級感を持ちつつ使い易く視界もいい、保守層には日産やトヨタ式が豪華、マツダや三菱は安っぽい!という意見が多かったと思いますが個人的にはいかにも!!っていう鼻に付く嫌味がない両社のデザイン、好きでした。

ただ、あまりにトヨタ日産が支持されるものだから両社とも後年はこれらを模倣し“らしさ”を見失った時期もありましたがorz…

↓レガートLTDのインテリア&インパネ




それではここからはモデル改歴に移ります…。

(77/1)
3代目ローレルC230型デビュー

(77/10)
2代目ルーチェLA2系の上級位置付けとされるルーチェレガートがデビュー

(78/7)
ルーチェレガート、前代未聞の凡ミスから名称変更。
時の運輸省にマツダは“レガート”名を発売時、新型車型式登録を『ルーチェ』で行っており『レガート』を届け忘れたためお上の指導から使用不能という事態!このため急遽名称変更→レガートを外し『ルーチェ』とします。
この時これも一因だったと囁かれましたが発売以来5年となり売れ行きも芳しくない従来型LA2系は廃版、併売終了となり旧レガートが正式に3代目ルーチェとなっています。(これより以下“ルーチェ”にて記載)
LA2系はLA4系にない2HTが価値ありましたが既に2ドアクーペのコスモがデビューしこちらが比較的好調であった為が実際のところでしょう。

尚、この時に普及型としていた12Aを廃止、イメージリーダー的な13BをHTのみに残してセダンはレシプロモデルのみとしています。
RX-7やコスモと違いやはり4ドアのルーチェはレシプロの受注率が高かったとの事、この為REはスポーツ&パーソナルの7/コスモ及びルーチェHT上級に任せ普及型をMAのレシプロ2000に置き換えたものでした。
新グレードとしてセダン1800カスタム、HT2000SE-スーパーカスタム、2000ATを追加、従来の12A搭載グレードはHTの13Bに移行。


(78/11)
ローレル、早くもMCにて後期型となります。
お約束のFr/Rrのお化粧直し、Frは流石に流行の角4が遅まきながら採用されイメージを大幅にチェンジ、テールは小規模ながら変更されFrと合わせて直線が強調されるキリっとしたイメージとなります。

↓角目4灯でイメチェンした後期型ローレル(78y2HT2000GL-6)


この時同時に53年規制に適合、この為L18型はツインプラグのZ18型(105ps/15.0kgm)に換装、また新たにSD20型ディーゼル(4気筒 60ps/13.0kgm)がラインナップされます。
『NAPS-Z』と呼ばれるZ18は810ブルーバードでデビューしたツインプラグ+三元触媒で53年規制にパス、残るL20/L20E/L28も三元触媒にて同様に適合しています。

尚ディーゼル(以下De)はセダンのみ、Z20は全てのボディに搭載。

↓DeセダンDX


↓810ブルより移植のツインプラグZ18型エンジン、相変わらず長いファンシュライドが笑えます!


Deの追加はOILショック以降、燃費節約志向の高まりから以前は営業用を主に台頭しながら騒音と振動で嫌われ一時は途絶えた乗用Deモデル、いすゞフローリアンや前述のセドリックDeがきっかけとなりこの時期、オーナーカーにもDe需要が発生しその要望に日産がよりオーナー指向のローレルにこれを与えたモノでした。

尚、53年対策となったL系ですが明らかに51年適合とはドライブフィールは異なりL20キャブは相変わらずのパワー不足丸出しながらL20Eに関してはストレスは減っていましたね!
L28の53年対策はは330セドの経験ですがこれはもう大排気量がなせる技で51年以上にストレス皆無で走れました!!
ローレルはこの時から従来の最高峰、SGL及びSGL-Eを更に上回る最上級『メダリスト』というグレードを追加しています。
メダリストは2000と2800に設定、このため2800SGLは廃止となっています。

より豪華絢爛度合いを増したメダリストは一番のライバルでX31/41系マークⅡグランデに対抗したモノ、“グランデ”の名前が浸透しローレルはかなりの苦戦を強いられたためのイメージUP戦略でしたが内容はグランデが上級クラウンの最上級であるロイヤルサルーンをそのまま移植したインテリアで人気を博していたのに倣いセドグロの最高峰、ブロアムをそっくり持ってきた“ミニ・ブロアム”と言っていいでしょう。

↓新たに追加された最上級の『メダリスト』(78y4HT2000メダリスト)


↓“ミニ・ブロアム”的なメダリストのインテリア&インパネ



メダリストは全ボディに設定されましたが少なくともワタシ、2HTのこれは見た事なく殆どが画像のカッパーブラウン、4HTでした…。

(79/2)
ルーチェ、商用バンを従来型LA2系ベースを現行LA4系ベースにFMC。

(79/3)
ルーチェ、RE13Bを皮切に順次53年規制適合化。

(79/10)
ローレル、910ブルやS110シルビア/ガゼールに搭載していたZ20型110ps/16.5kgエンジンを移植、2000 4気筒シリーズ並びに2000Deに上級グレードのSGL、DeのATモデルをラインアップします。

↓出揃った新エンジンを含む230後期ローレルの搭載エンジン群


この新エンジン、元々ローレルに4気筒はいらんだろ?が持論のGureですからZ20の追加も!?って感じです。
しかしL20は重いですからねー、Z20の経験はないですが同じ2Lながら軽量ですし対L20(キャブ)という部分では存在意義を認めたいと思います(汗)
少なくともL20キャブ以上にドライバビリティは良かったでしょう、騒音と引き換えだったでしょうが…。
Deは一度だけ経験ありますが330からの移植でこれと較べ重量がいくらか軽い分、スペックから想像する以上に快適に走れました。しかし当然回せば五月蠅いですし振動もそれなり、ただ永年セドリックでDe乗用は地味に造っていましたからねー、クラウンDeや後発のマークⅡDeよりはまだ我慢できた乗り味だったかも…

しかしDe、いや日産のATはこの時代まだ3速でしたからね、飛ばせば最悪だったです、はい。
クラウンやマークⅡは既に4ATでしたから高速になれば断然こっちが有利だったのは言うまでもないでしょう!
これはガソリン車にも言えますが230ローレルは最後まで3ATでしたのでこの時期のATの差がトヨタの独走に弾みを付けたと今でも思います、協力メーカーの技術力の差がイージードライブ化に加速してゆく中でのトヨタの一早い4ATラインナップはこの時に決定的な差をつけていますね。

(79/10)
ルーチェMCで後期型となります。

MCにてあの特徴的でアクの強かったFrマスクとショボイ?テールが全面意匠変更されイメージを一新します。

↓79/10~の後期型ルーチェ(4HT LTD)



これからですね、“広島ベンツ”と言われだしたのは…
そう、見事なまでのベンツマスクは当時のベンツ450等とソックリさんでしたしアクは強いながらも最大の特徴だった縦角4つ目が消えてしまい個性は大幅に薄れてしまっています。
個人的にはこの顔の方が好きですが個性は前期に軍配でしょう!

後ろ姿はテールランプが大型化されて立派になりようやく高級車を名乗るに相応しい出で立ちになったと思います、ただ…コイツもやってくれました~、日産パクリ、よせばいいにボディ同色ホイールキャップ(汗)

後期型はインパネの小変更(パネル内)やLTDを中心にインテリアを高級化、LTDのリアシートはコーナーピローが設けられ同様にコーナーピローが設けられたルーズクッションシートのローレルメダリストと何ら遜色ない金襴豪華さが取り入れられ前期では見た目の豪華さで1歩譲っていたルーチェも富裕層にアピールを強めています!

↓後期LTDのインパネ&インテリア


↓LTDの後席、メダリストやブロアムも真っ青な豪華仕様に変身!!


このMCでは最高峰LTD以外はグレード名が改めらています、新グレード及び搭載エンジンは下記の通り。

13B搭載:HT LTD/SE-GT/GT
2000MA搭載:HT及びセダンSG-X/SG/ST
1800VC搭載:セダンSG/GL/DX

上記の通り大幅にバリェーションを整理、何かトヨタと日産のグレード名を借りてきたような感じになってしまいましたが前期に較べ理解しやすくなったのも確かです(笑)

↓後期セダン2000SG-X


尚、余談ですが関東ではRX-7や後年のBDファミリア以外は少ないマツダでしたがこの後期ルーチェは比較的多かったです。何でもクラウンやセドグロが欲しくても所謂3K業種と言われた企業の経営者などはトヨタ、日産がローン審査が厳しく信用不足で通らない事が多かったようですがマツダは甘い!という実情が一時期拡販のためか?首都圏ではありクラウン/セドグロの代りにこれが普及した事実があります、その時は○○屋さんの社長さん、とにかくルーチェに乗っていましたからね~。

(80/2)
ローレル、HTのメダリストにサンルーフ付モデルをラインナップします。
流行のサンルーフ、ローレルでは初設定でした。

(80/3)
ルーチェ、マツダ60周年記念特別仕様車を設定。

(80/7)
ローレル、限定モデルとなる『ゴールドメダリスト』をラインナップ。

(80/9)
ルーチェ、HTに2000MA型にインジェクション(EGI)と遅まきながらセダンにディーゼル(De)エンジン搭載モデルを設定します。
MA-EGIは旧RE12A並の120ps/17.0kgmを誇る高性能レシプロを売りにコスモと同時にデビュー、マツダとしては初のEGIですが既に多くのメーカーが実用化しているため新鮮味はなく注目はそれほど集まりませんでした。

Deはこのクラスも続々Deモデルがデビュー、ローレルに続いてマークⅡ、Σ/Λetc…
ローレルのDe追加時に述べました通り一つの市場を形成したDe乗用マーケットにマツダも名乗りを挙げたものですネ。
尚Deは1BOXのボンゴに搭載していたS2型直4OHV 2200cc 70ps/14.5kgmを換装。

(80/11)
ローレル、FMCし4代目C31型がデビューします。
C230はそれなりの成果は出しました最大のライバル、マークⅡに先んじて4HTまで用意するもマークⅡの販売台数の約半数であるトータル約35万という成績、この為日産は80/10に4代目にFMCしたマークⅡ(X50系)に照準を合わせ4年を待たずにFMCしています。

↓80/11、4代目C31型となったローレル(81y 4HT2000ターボGX)


尚、X50系マークⅡ及び兄弟のチェイサー、クレスタは4HTモデルをデビューさせましたからこの時点でローレルvsルーチェの図式は終了となりますね!
マツダも以降81y~コスモに4代目ルーチェと兄弟の4HTを設定、日産は格下ながら82y~ブルーバード910に、三菱はやや出遅れますが84y~ギャラン/エテルナΣで4HTをリリース、こうして4HT市場も下剋上へとなだれ込んでゆきました…

(81/10)
ルーチェ、通常スパンの4年でFMC、4代目となるHBS系がデビューします。
HBS系は完全にコスモと双子モデルとなりますが非常に個性的で今も賛否両論があるモデル、LA4と同様にサルーンとネーミングを変えた4ドアセダンと4HTのラインアップ(コスモは2ドアクーペも設定)、LA4の高級車イメージからコスモと双子化された事もありスポーティで前衛的なイメージに変化していました!

↓81/10発売の4代目HBS系ルーチェ(手前サルーン:奥4HT)


因みにLA4系ルーチェ(レガート時代も含む)の累計は約18万台でガチンコさせたローレルC230の約半数なのでこの対決、売上的にはローレルの勝利ですね!
但し両モデルともにセダン、HTも含めた数字ですので4HTのみで見たらどうなるのか?ワタシもそこまでのデータは取れませんので不明です(^^ゞ

まずハイクラス(クラウン/セドグロ)でデビューした4HT、これをオーナーカークラスに普及すべく一早くこの車型で勝負したローレルとルーチェ、販売的には大メーカーである日産が勝利していますが内容はどちらも甲乙付け難いと思います。
力はないながら脚がよく2.8Lのトルクフルが魅力でもあるローレル、5ナンバーながらオーバー2Lの性能が味わえるRE設定のあるルーチェ、センスの良いインテリアも魅力の一つでそれぞれ分野は違えど捨てがたい魅力がありました!
依ってこの勝負はワタクシの独断と偏見でドローとさせて頂きま~す(*^^)v


燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!
“3代目C230系ローレルvs3代目LA4系ルーチェ”…完
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2013年02月16日 イイね!

保存版・燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!…ローレルvsルーチェ (前編)

保存版・燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!…ローレルvsルーチェ (前編)(2013.2/16UP)

燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!
第8弾はこちらの対決です⇒『日産C230系3代目ローレルvsマツダLA4系3代目ルーチェ(レガート)』!!

さて、これも?と思う方多いですよね!? そりゃそうです、ローレルの最大のライバルはそう!マークⅡですから・・・
ただ、ワタクシがこの対決を選んだ根拠としてはこの代のローレルとマークⅡ(3代目X30/40系)はポピュラーな4ドアセダンではもちろん立派なライバルですが派生モデルのオーナーカー色がより鮮明で売れ線であるHTに関してはローレルが4ドア、マークⅡが2ドアだったと言う点なんですよねー・・・そこで他社も見まわしましたがこのクラス=所謂当時の言葉で“ハイオーナーカー”で4HTをラインナップしていたのはルーチェしかない!

※230ローレルには2HTの設定もありますのでこの部分ではマークⅡとガチンコしますがローレルは4HT人気が高くこれをメイン化、2HTは非常に販売は少なく衰退期に入り先代とは打って変わって不人気モデルでした・・・。

2HTと4HTじゃ色んな意味で勝負にならない、当時4HTに惚れたユーザーはこの対決を選択せざるを得なかったのでは?という視点に立ち今回は4HT限定の対決とさせて頂きます。(但し2HTやセダンも存在していたので便せん上これらも記載しています)

同じ3代目になるローレル、ルーチェ共に77年(昭和52年)にデビュー、3代目マークⅡは前年76年デビューですからまだ2HTの影響のある時期、仮に3代目マークⅡのデビューが1年遅ければもしかしたら流行の兆しが見え始めた4HTがラインナップされてかもしれません、しかしがマークⅡにこれが加わるのは3年後の80年、4代目FMC以降のためで“3代目”という観点からしても4HTではマークⅡvsローレルはこの時期、当てはまりません!絶対!!(爆)


~国産車におけるHT(ハードトップ)モデルの誕生・発展・推移・衰退~

ここで本題からやや外れますが国産車のHTのこれまでをおさらいしたいと思います。

HTとは元をただせばスポーツカー=オープンカーのルーフがスチール製かソフトトップ(幌)かの区別でスチール製をハード(固い)トップ、幌製がソフト(柔らかい)トップと呼ばれていました。
日本におけるHTの定義としてはアメリカ文化がそのまま入りセンターピラー、ドアサッシュをレスしサイドウィンドゥをフルオープンした時にオープンカーのハードトップと同等の解放感が得られる!という事から由来、事実、ハードトップのオープンカーがクローズした場合での見た目は変わらず解放感も同じ。
実際当時は手動(デタッチャブルトップ)で取外し外したルーフを格納する手間等、使い勝手から手軽なアメリカ式HTに支持は集まり日本もこれを導入したという所から始まりました。

日本におけるHTはまず2ドアから始まり65年の『RT50型トヨペットコロナHT』が初!!

↓国産初のHTは65yの3代目コロナRT50型


Bピラーが廃止されサイドウィンドゥ部がスッキリした印象である事、見た目も非常にスタイリッシュでスポーティ、実用的にも従来のクーペや2ドアセダンと比較してエアコン普及前の時代ですから後席の窓開閉が大きく文字通り解放感も得られる事から人気を呼びコロナ以降急速に普及、トヨタではコロナに次いでクラウン、コロナマークⅡ、セリカ、カリーナ、カローラなど主要車種にラインナップ、トヨタ以外では三菱がギャラン、日産がローレル、マツダがルーチェ、富士重がレオーネに最初にライナップしその後あらゆるモデルのHTがデビュー、そのブームは軽自動車界にも波及するなど一時代を築く人気ボディになってゆきました。
ここまでは当時ポピュラーな2ドアHTですが73年、日産が『230型セドリック/グロリア』にて2HTを発展させた4ドアHTを国内初採用、これもアメ車フルサイズセダンでは既に多く実用化されていましたが2HTのスタイリッシュさ、解放感はそのままに乗降性をも格段に向上させた画期的モデルとしてこれも大人気となりました。

↓そして国産初の4ドアHTは73y230型3代目セドリック/グロリア


74yにはセドリックのライバル『4代目S90系クラウン4ドアピラードHT』も登場、これは摩訶不思議な本末転倒のモデルで本来“センターピラーがない”のが売りだったHTにセンターピラーを付けたモノ。
しかもそれまでのHTはもちろんセダン以上にセンターピラーを太く強調するデザインは名前の通りでいいのですがこれがHTとはどうしても納得できなかったワタクシです。
ボディ剛性は日産と較べ非常に有利ながらRrウィンドゥの傾斜角度が2HT並、ドアサッシュはレスという部分を除くと何らセダンと変わりなく当時の評論などを見聞すると「高い金出していくらスタイリッシュでもセダンと変わらず、いや、居住性は2HTをベースにしているので屋根が低い分、セダンを買った方が良く意味不明のモデル」と手厳しい意見もチラホラ・・・

↓出た当初は本末転倒で?だったピラードHT初モデルの74yクラウン(MS95)


まぁ、あまり剛性がどうの、という時代ではなかったですしね、当時子供ながらワタクシもピラーのあるHTなんて邪道と思いましたが意外にも市場にはすんなりと受け入れらていました。

以後80年代中頃まではスポーティな外観ではやはり分がある2HTと利便性+スタイリッシュな4HTは共存しますがエアコンの普及でフルオープンにする事が殆ど無くなった事、やはり乗降性の問題から4HTには敵わない事、スポーツモデルとして見たらボディ剛性の不安がありフルオープンしないならばセンターピラーのある従来型クーペが剛性の部分で圧倒的に優れる点等、2HTは前述の理由から4HT、クーペに吸収される形で80年代半ばには衰退してゆきます。

その後4HTは車種によりピラーレス、ピラードの2パターンにて順調な人気に支えられますが90年代後半には側面衝突時の耐久度に不安が多いセンターピラーレスは衰退、ピラードタイプのみとなりますが結局はこれですとセダンとそう変わらない点や衝突安全基準の見直しも要因となり廃止→セダンに集約というカタチになり現行モデルで“HT”を名乗るモノは皆無となっています。

尚余談ですが当時はメーカーもユーザーもHTとは認識していませんですが実はピラードHTの元祖は72y発売の『スバルレオーネセダン』だと個人的見解ながら信じて止みません!
当然、レオーネは名前にも“セダン”と謳っていますから当時も後年も『セダン』には間違いないのですが形状は2年後に華々しくデビューしたクラウンピラードHTと全く同じ、つまりピラーはあるもドアサッシュのない4枚だった訳で振り返ればこれがピラードHTの元祖であるとワタクシは信じて疑いません(^^)v

まぁ、後年メジャーになるピラー付4HTの元祖が伏兵レオーネだったとは!驚きでしょ!?(あくまで個人の持論です・・・笑)

↓元祖ピラードHTはこれでしょ!? 72yスバルレオーネセダン



それでは『ローレルvsルーチェ』、いってみましょう~…!

【日本初のハイオーナーカーを名乗ったローレル!】

1977年、開けてすぐの1月にまずローレルが長く苦しい排ガス規制という荒波ををようやく超えてところで3代目にFMCしC230型がデビューしました!
230の大きな特徴は73yにセドリック/グロリアでデビュー以来、高い人気を誇る4HTボディをラインアップした点で最もガチンコターゲットとしていたトヨタマークⅡが76/12にやはり3代目にFMCしていますがこれは従来通りのセダン/2HTのみのラインナップ、このためマークⅡに先んじて流行の兆しが見え始めた4HTボディをいち早く採用しマークⅡに大差を付けようと日産が目論んだ設定でした。

初代C30/2代目C130の豪華さの中にも若々しさを表現してきた味付けを3代目では若々しい部分を大幅にセーブ、日産が謳う~4HTこそ高級車の証~という主張から“ミニセドリック”的に大幅な高級路線に舵を切ったモデルでした。
330セドグロで話題を呼んだボディ同色のホイールキャップも最上級SGL系で採用、個人的にはこれ、大嫌いでよほどアルミにした方が高級だしスポーティにも感じましたが日産、この頃凝ってましたネ(汗)

↓77/1デビューの3代目ローレル4HT2000SGL-E


ローレルは68/4に我が国初の“ハイオーナーカー”としてデビュー、それまでオーナーカーとしては上限でありまだまだ公用車需要が殆どであったセドリックの下級に設定、従来セドリックのすぐ下であったブルーバードとの間に割り込ませ多様化、贅沢化するユーザーニーズに応えて確固たる地位を約半年遅れのライバル、マークⅡ(68/9発売)と共に切磋琢磨しながら築いてきました。

↓68/4、日本で初めてハイオーナーカーを名乗った初代ローレルC30型(68y DX-B)


72/4には2代目C130がデビュー、先代がブルーバードに近い立位置=ファミリー/スポーツイメージを盛り込んだ味付けだったモノをセドリック側に傾斜させ高級度合いを高めていたのが特徴。
ボディサイズもほぼセドリック並に拡大、今では“ブタケツ”の愛称で名車とされている2HTもこの代のモデル。
ライバルの2代目マークⅡが初代同様スポーティ路線で売りこんでいたのに対しローレルはセドリックの気品と高級感をうまく表現しながらも若々しくスポーティイメージも表現し特にHTは同時期の伝説的な人気モデルであるケンメリHT(スカイラインGT GC110系)に次ぐ人気を獲得、後年80年代以降にはケンメリをも上回る支持を得て一時はプレミアが付くほどの人気を集めました。
これは70年代後半~80年代に隆盛を極めた暴走族からの支持が始まりでしたがその後これが沈静化、以降はマニアに愛され続け現在でも名車として高い人気を誇っているのはご承知の通り!

↓大人気を博した2代目C130系ローレルHT(75y 2800SGL)


C130のHTに関しては現役時代もマークⅡをリードするもケンメリの存在が大きくそれほど目立つような“大人気”ではなかったのですが日産車のよくあるパターンで製廃後に人気が盛り上がるという元祖だったかもしれません。77年の230デビュー以降から火がつき80年代初頭では特に未対策時代(72~75yモデル)のL20ツインキャブエンジン搭載の2000SGXは既にプレミアが付きとても手の出ない金額になっていたのも懐かしく思い返されます・・・。

尚2代目C130は時期的に排ガス規制に苦労したモデル、この為FMCが遅れ72~77年という通常のスパンより長く生産されています。

以上のような経緯、歴史を経て77/1に3代目C230ローレルが誕生します!


【本格的に高級車市場に名乗りを上げたルーチェ!】

ルーチェ(SUA/SVA型)は66/8に発売、当時のマツダは普通車はファミリア(初代)のみの存在ながらこれがが大衆車として高い支持を得ており市場の多様化に伴いファミリアの上級を望む層に応えて開発されたものでした。
ファミリアの800~1Lに対し一気に1.5Lエンジンを搭載した初代ルーチェ、立位置的にはトヨタコロナ(3代目T40系→4代目T50系)、ニッサンブルーバード(2代目410系→3代目510系)にガチンコでしたがこれらよりやや大柄なボディはJアローデザインの気品溢れた美しいデザインが売りで同じJアローデザインのいすゞ117クーペに通じるこれまでの国産車にはない個性溢れるセダンでした。

↓Jアローデザインの美しいスタイリングが特徴だった初代ルーチェ(67y 1500SS)


大柄ボディ生かしライバルモデルが5人乗りを標準としていたところ上級クラウン/セドリック並にベンチシート6人乗りをメインとして展開(セパレートシート5人乗りもあり)、その点からタクシーなどに流用されるケースも多くワタシも幼少の頃、オーナーカーと言うよりは数は少なかったですが小型or個人タクシーで見た印象が強いです。

69年にはそのボディラインを生かしたロータリー(RE)クーペも追加されますがガワは確かにルーチェながらも中身はFF機構、エンジンもセダンには設定のないRE搭載という事でセダンとは全くの別物!このルーチェREクーペ、一番REの実力を誇示できるのはスポーツカー!というマツダの判断からコスモスポーツでデビュー、普及型として次に大衆車ファミリアに載せた後、マークⅡHT、ローレルHTに対抗しハイオーナーカーとしてRE第三弾でてデビューしたものですがこれらと較べ凝った内容が故、少量生産で高額となり殆ど普及せず幻の存在、試作?的な扱いとして現在は捉えられている向きも多いようです。

初代ルーチェ(セダン)は68yには1.8Lも追加し高級化、これは車種の少ないマツダですのでコロナ/ブルーバード~後発で1.8~1.9Lをメインとしていたハイオーナーカー、マークⅡ/ローレルをも射程に入れた措置ながら既に発売2年を経過していたルーチェ、新鋭マークⅡ/ローレルの敵にはならずその存在は地味ながらも堅実なクルマとして評価は決して低くなく72/11迄6年間生産されました。

72yに2代目にFMCしたルーチェLA2系型、初代のコロナ~マークⅡクラスをカバーするテイストは変わりませんが当時のマツダトレンドを鮮明に打ち出し先発のカペラやサバンナ/グランドファミリア同様にマッシブで獰猛さすら感じさせるボディライン、彫が深い派手なFrマスクが特徴的で初代の地味なイメージから脱却を図るかのようにスポーティイメージを強く打ち出しメインもREを据え従来のセダンに加えて量産型のHTもラインアップしています。

↓初代とは打って変わり派手で獰猛なイメージになった2代目LA2系ルーチェ(74y HT APグランツーリスモ)


2代目ルーチェはレシプロ1.8L~125psを誇るRE12A型(73yからは13B型135psも追加)を取り揃えファミリー~高級/スポーツチョイスも可能としたワイドバリェーション、既にマークⅡやローレルが6気筒を搭載していた事に対してREで対向、マークⅡのDOHCであるGSS(145ps)やローレルの2.8L(140ps)に13Bで対向しマツダ最高峰モデルとして面目を保っていました。
また、2代目ルーチェは発売時から50年排ガス規制モデルも他社に先がけてラインナップしOILショックで地に堕ちかけたマツダのイメージ回復に取り組んでいたのも注目されました。

尚2代目ルーチェは本題である3代目LA4ルーチェのデビュー(77/10)後も併売、これは新鋭LA4は更に上、つまりはクラウン/セドグロまでをも標的にしたモノであり当初はLA2をそのままルーチェ、LA4を『ルーチェレガート』としてデビューさせています。
これはLA4の設定によりクラウンクラスも標的に据えた事により車格をLA2系ルーチェより上げレガートのサブネームを与え老舗に挑んだ訳ですね!
但しLA4レガートにはレシプロ1.8LもLA2から継承して設定されていましたので当時発売5年を経過していたLA2に代って従来通りマークⅡ/ローレルに対抗させる役目も持っており、つまりはLA2がコロナ~マークⅡをターゲットとしていたのに対しLA4はコロナ~マークⅡ~クラウンというようにライバルを幅広く設定かつグレードアップしたという事になります・・・。

このような経緯、歴史を経て77/1に誕生した3代目LA4系ルーチェレガートはVIPモデルの ロードペーサー(75y発売)を除きマツダ初のオーナーカーとして初めて高級車市場に名乗りを上げたモデルであったと思います!

↓クラウン/セドグロ迄射程に入れた77/10発売のルーチェレガート(後の3代目ルーチェHT LTD)


※尚、ルーチェレガートのネーミングについては複雑な?事情もあります、これはモデル改歴の項にて述べてゆきますが以下解説では2代目ルーチェを便せん上レガートと共存期間を『ルーチェ』、ルーチェレガートを『レガート』と呼称、併売終了後はそれまでのレガートを3代目『ルーチェ』と呼称します。


それではここから出揃った同じ3代目のローレルとレガート(3代目ルーチェ)のガチンコ比較を見てみたいと思います。

[諸元比較]

~ローレル~

(ボディ)
4ドアセダン/2ドアHT/4ドアHT
(バリエーション)
セダン:DX/GL/GL-6/GL-6・E/SGL/SGL-E
2/4HT:カスタム/カスタム6/GL/GL-6/GL-6・E/SGL/SGL-E
(型式)
日産C-C230型
(サイズ)
全長4525mm全幅1685mm全高1395~1405mm
(ホイールベース)
2670mm
【車重】
1110~1295kg
(搭載エンジン)
L18型 1800cc 直4 OHC シングルキャブ105ps/15.0kgm
L20型 2000cc 直6 OHC シングルキャブ115ps/16.5kgm
L20E型 2000cc 直6 OHC EGI 130ps/17.0kgm
L28型 2800cc 直6 OHC シングルキャブ 140ps/22.5kgm
(ミッション)
4速MT/5速MT/3速AT
(脚廻り)
Frストラット/Rr4リンクリジットまたはセミトレーリングアーム独立
(駆動方式)
FR
(価格)
1,089,000円(セダン1800DX)~1,976,000円(4HT2800SGL)

~ルーチェ(レガート)~
※以下従来型LA2系との混同を避ける意味で「レガート」と記載します。

(ボディ)
4ドアセダン/4ドアHT
(バリエーション)
セダン1800:カスタムスペシャル
セダン2000:カスタム/スーパーカスタム
セダンRE12A:カスタムスペシャル/カスタム/スーパーカスタム
セダンRE13B;リミデット(LTD)
HT2000:カスタム/スーパーカスタム
HT RE12A:カスタムスペシャル/カスタム/スーパーカスタム
HT RE13B;リミデット(LTD)
(型式)
1800:マツダC-LA4VS型
2000:マツダC-LA4MS型
RE12A:マツダC-LA42S型
RE13B:マツダC-LA43S型
(サイズ)
全長4575mm(LTD4625mm)全幅1690mm全高1385~1410mm
(ホイールベース)
2610mm
【車重】
1105~1225kg
(搭載エンジン)
VC型 1800cc 直4 OHC シングルキャブ100ps/15.2kgm
MA型 2000cc 直4 OHC シングルキャブ110ps/17.0kgm
12A型 573×2cc 2ローター シングルキャブ 125ps/16.5kgm
13B型 654×2cc 2ローター シングルキャブ 135ps/19.0kgm
(ミッション)
5速MT/3速AT
(脚廻り)
Frストラット/Rr5リンクリジット
(駆動方式)
FR
(価格)
996,000円(セダン1800カスタムスペシャル)~1,980,000円(HT RE LTD)


以上が両車の主要な内容となります、ではここから各項目別にローレルvsルーチェレガートを見てみたいと思います。

~バリェーション対決!~

バリェーションでは基本ローレルが3種(DXorカスタム、GL、SGL)レガートが4種(カスタムスペシャル、カスタム、スーパーカスタム、LTD)となりそれぞれこれに搭載エンジンとボディを組み合わせワイドバリェーションとしています。

ローレルは廉価版を1800としセダンがDX、2/4HTがカスタムを設定しこれの上位となるGLは1800~2000の6気筒キャブ及びEGIに設定、上級SGLは6気筒2000キャブ/EGI及び2800に設定、ボディバリェーションは初代から引き継ぐセダンに2HT、そして前述の通り230から新設された4HTとなっています。

↓ローレル、4HT以外のボディはセダンと2HT(㊤77y2HT1800GL㊦77yセダン1800GL)


レガートの場合はセダンのみ1800カスタムスペシャルを廉価版、HTは2000カスタムが最廉価、最上級LTDは13B専用でセダン/HTの両種、これ以外のグレードを2000~12A、セダン/HTに設定しています。
レガートはセダンと4HTのみ(このためレガートでは4HTも単に「HT」と表記)ですがこれは2HTが従来型ルーチェLA2系に設定されている点と75yに2ドアクーペのCD系コスモもデビューしていたためレガートに2ドアモデルは設定不要との判断があったものと推測しますし当時、2HTの需要低下が見られた時期でもあり「2HTが欲しい方は従来型ルーチェをどうぞ!」という感じだったでしょう、事実うちの親が冷やかしで当時レガートを見に行った時のマツダのセールス氏、そのように答えていた記憶があります^_^;

↓レガートのボディは4HT以外はセダンのみの設定(77yセダン1800カスタムスペシャル)


両車とも廉価~最上級では同じクルマながら約100万円の差がありこの数字が示すようにエンジンやボディ差はもちろんですが装備群にも大差があり同一ネーミングながらも大衆車並みのショボさからVIPカー並のハイソ仕様まで取り揃える(価格的にもカローラクラス~クラウンクラスでした)のはこの時期の国産上位モデルの特徴でして特に廉価版はタクシー仕様も考慮に入れこのような施策を各社、このクラスでは行っていました。
現在はコンフォートやセドリック営業用等、タクシー専用モデルが存在するため同じ車で100万の開きがあるというのは滅多にありませんがこの時代はこれも常識だった訳です…。

~スタイリング&エクステリア対決!~

ますはローレル…

比較的人気の高かった先代のイメージを消し70年代スタイリングから脱却を図り先代に較べグラスエリアを拡大、ボディラインは直線的でクリーンなスタイルを採っています。
セダンはオーソドックスなシャキッとしたノッチバック、HTは2/4ともセミファストバック形式でRrウィンドゥ部分に遊び心を見せており角を大きくRさせお洒落さをアピール!

↓2/4HTはRrウィンドゥにお洒落さを演出!(77y4HT2000SGL-E)


全体的にこのクラスを選ぶ日本人好みのロングノーズ、ロングデッキで構成されハイオーナーカー/高級車らしく四隅をピーンと張ったデザイン、この時代ですからサイズの秩序は守られており長さ、横幅は限りなくセドグロに近いながら僅かに小さく下級のスカイライン、ブルーバードよりは当然大きくなっています。

Frマスクは彫の深い高級感を演出する二分割のバーチカルマスク、ライトは流行に乗らずに丸目4灯でした。
テールは個性的だった先代のアメリカンな印象は影を潜め高級車らしく落ち着いた造形、最上級の2800SGLのみ木目のガーニッシュが奢られ高級感を増しています。

ボディデザインは先代にあった特徴的なサイドのラインが消えスポーティで派手な部分はなくなり個人的感想としては大人しいイメージに変更、素っ気ない印象すらするイメージですが良く言えば大人に、ジェントルになりながらも悪く言えば何の特徴もないおもしろくもおかしくもない?デザインって感じです。
但し2HTに関しては一見しては4ライトながらルーバーの奥にオペラウィンドウが隠れる6ライト方式とされ3ボディの中では性格上遊び心が与えられています。
尚、おもしろくもないデザインなんて言いましたがこれが故に先代のウィークポイントだった後方&側方視界の悪さは改善され室内は明るい印象になっていました。
それでも2/4HTはセミファストバック形式の為、クォータピラーが太く視界晴れ晴れ!って程ではなかったですが先代C130の後方視界、その時代の日産2ドアモデル全てに当てはまりますが“穴グラ”でしたのでC130を知る者にとってはかなりの改善に映りました(笑)

続いてレガート…

サイズを見て解るように幅は5ナンバー枠いっぱいにフルサイズ化、長さもクラウンなどよりは短いながらもローレルやマークⅡよりは長く威風堂々といった感じでしょうか?LTDのみ前後オーバーライダーでより全長は長くなっています。
ただ、W/B(ホイールベース)が長さに対して若干短い印象、レガートより全長が短いローレルよりW/Bが短いですし…。
このため前後オーバーハングが異様に長く感じスタイリングにどことなくアンバランスな印象、実際取りまわしでもこの辺が障害になったりと。
W/Bが短い=小回りが利くと言うのが利点ですが長い前後のオーバーハングが仇となりW/Bの長いローレルより取りまわしは悪くこの部分ではセドグロ並に神経遣ったかもしれません…

スタイリングはセダンもHTもオーソドックスなノッチバック、HTがややRrウィンドゥが寝ておりデザイン上でのスポーティ感の向上に訴求しています。
セダンは何の変哲もない4ライトサルーンでこれといった特徴もない代り嫌味もなし、4HTに関しては74yにピラードHTとして先発したMS90系クラウン4HTにウリ二つと言っていいでしょう、太いセンターピラーを強調したそのデザインにマツダのオリジナリティは感じずデビュー時は「クラウンのパクリだ!」と思った方は多いのではないかと推測します(汗)

しかしレガートの本領はスタイルよりもそのアクの強い顔にあったと言っても過言ではないでしょう!
角目4灯を縦配置とし大柄なグリルをドーンと据えたそのマスクは非常に個性的かつ印象的で好き嫌いの分かれる造形、個人的にはワタクシはあまり好感を持てませんでしたねー、怪獣みたいな顔?って感じが苦手で(汗)

↓レガートの最大の特徴である縦角目4灯とクラウン譲りの?ピラードHT


ただこの顔、見慣れると不思議に違和感なくなり少なくとも現代の車のように対向で走ってきても「?…何のクルマ?」って事は絶対なく間違いなくルーチェレガートと一発で解るインパクト、今になれば偉大に思います。

これに較べてRrは非常に頼りないというかショボイと言うか…大きな車幅に対して可愛らしいテールランプがいかにもアンバランスで安っぽくてこれは如何なものか?と思いました、テールに関してはローレルやマークⅡ、下手すれば下級のコロナやブル、同じマツダのカペラの敵でもなかった印象でよほど従来型LA2系の方が高級感かつ個性的だったと個人的主観ながら未だに強く思っています。

↓テール、ショボすぎませんか?(77yセダンLTD)



(後編に続く)
Posted at 2017/08/13 15:19:33 | コメント(0) | トラックバック(0) | ライバル | クルマ

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