
珍車604ももうすっかりと見なくなったモデル。
トヨタとしては珍しく?マジメで商品企画からしっかりしたスタンスを取り発売後も地味ではありましたが堅実なサルーンとして一定の支持を得、街中でもそこそこ見れたモデルでした!
私もこれ売ってましたんでね、正直スタイルはイマイチでパッとしませんでしたが転がすと当時のトヨタらしくなく大衆迎合せず5ナンバーセダンとして使い勝手に優れ可能な限り室内を広くする設計者の努力が手に取るように解り煮つめて造られたクルマだと思います!
⇒『昭和59年(1984)2代目SV10型カムリ1800XTサルーン』!!
SV10の型式が示すようにカムリのネーミング的には2代目ながら初代がカリーナのボディを使うセリカの派生=セリカセダンであり型式もセリカ/カリーナのA(RA/TA)でしたしネーミングも正式には『セリカ・カムリ』、この事からSV10は実質的にはカムリとして独立=初代と捉えるのが本質だと思います。
セリカカムリが“セリカ4ドア”をコピーにしていたように味付けはセリカのスポーティな雰囲気を受け継ぐスポーティセダン、本来この役割はセリカ/カリーナが初代デビューした1970年からカリーナが担ってきましたが代を追うごとにカリーナはお買い得モデルの乱発などもありカローラ〜コロナ間を埋める中級ファミリーセダンというもう一方の側面が強くなりかつ79年に発売された日産ブルーバード910型(SSS系)が久々の“スポーツセダン”の性格を色濃く表し大人気を得たためカリーナのボディにチョチョイと手を加えトヨタ2000GTやMA45/55セリカXXのT字グリルを与えた非常にスポーティなエクステリアを持たせて910に対抗したモノでした。
↓“スポーツセダン”を銘打って79年にデビューしたセリカカムリ
セリカカムリは当初はコロナ/セリカ/カリーナから流用の12T-U/13T-UのOHVエンジンのみでデビュー、見せかけだけのスポーティでしたが80年には21R-Uの2000SOHC、18R-GEUの2000DOHC-EFI、3T-EUの1800OHV-EFIを一気に追加、21Rは高級モデル2000SE、18R-Gは兄弟でお馴染み2000GT、そして3Tは1800SXという布陣。
これらにはベースのカリーナですら与えられていないRrセミトレの脚廻りが与えられ4独の脚を日産にかなり遅れながらもこのクラスに採用、ライトスポーティのSXと当時トヨタの最大の武器であるDOHCはエクステリアにようやく追いつくスポーティな性能を得ておりこれには私も憧れましたねー…
しかし82年にFMC、SV10となった新生カムリは先代のイメージは全く継承されず新時代のFFサルーンに生まれ変わりました。
時代は既にこのクラスでもFF化の波に逆らえませんでしたがあくまで保守を貫くトヨタはFF化には慎重、初のFFモデルであったAL10ターセル/コルサがそうだったように主力のカローラはあくまでFRで残しAL10をまずパイロット的に出す、SV10もこれに倣い主力のコロナのパイロットモデルの役割をSV10に与えた訳ですね!
尚、SV10になってからは販売店違いの双子兄弟である『ビスタ』もラインナップ、暫く(〜5代目)までは兄弟モデルでしたがビスタ店の店名変更やら何やらで現在はカムリだけ存命です。
さて、現車ですがSV10は82〜86年までのモデルライフ、出品車は84年MC後の後期になりますね。
例によってマスクとテールの意匠違いですがこの頃になるとFFもかなり浸透してきており後期には前期になかった3S-GELUの16バルブDOHCが搭載されたりとワイドレンジ化したのが特徴。
↓総評3.5、実走行10万少し出た程度でまだまだ現役を続行できます!
SV10になった時は既にカローラ店で営業やっていてコイツに最初に触れた時は正直、先代のイメージとはあまりにかけ離れてしまいガックリきたのを鮮明に憶えています。
あの素敵にさり気ない“大人のGT”的存在だったセリカカムリのスポーティさは皆無、見るからにファミリー然となってしまいスポーツ心は微塵もくすぐられませんでしたネ〜
しかし乗ってみると「ん?他のヨタ車と違う」という感触でまずダッシュの肉厚まで削ぎ落とし極限まで室内長にこだわりFr/Rrシート形状も工夫、見せかけギミックの得意なるトヨタにしてはセンターコンソロールにまで気を使い無駄なく効率的に広大な車室空間を追及している点にまず感心、エクステリアもトヨタらしくない地味な出で立ちながらスクエアなデザインに6ライト形式を採用し視界良好、見切りも非常に良く長時間の運転も苦にならない、そんな配慮がなされたマジメなクルマ造りをすぐに感じました!
「やればできるじゃん!トヨタ!」と思いましたがね(笑)
先代と違い決して速そうなイメージは皆無でしたが新エンジンでこのSV10でデビューしたレーザー1S 1800OHCエンジンは従来のOHVだった13Tとは較べモノにならない程軽快、設計が古く後付け排ガス対策された13Tのドライバビリティは目を覆うものがありましたが同じ1800か!と思うほど良く廻り気持ちのいいエンジン、旧型1800よりは格段にシャープな走りでしたね。
第2弾となるFFはAL10→20で採用した独特な縦置きFFとは異なり横置きFFとされ後にオーソドックスとなるFFの基本形を採用、トヨタらしくFFの悪癖は可能な限り現れないようにうまく造られていましたがトルクステアは若干意識させられましたし元気なエンジン+FFに13インチのタイヤはトルクを吸収しきれずに少し荒く乗ればホイルスピンとアンダーステアはお約束、当時はまだインチアップとかの文化なかったですからね、脚も少し腰砕けとストローク不足を感じました。
まぁ、これも後期になり特にツインカムモデルなどはタイヤ容量も上がりかなりマシにはなりましたが前期モデルは見かけと違い飛ばすとじゃじゃ馬の部分もありましたっけ〜…
↓FFを活かすためにセンターコンソロールを潔く廃したインテリアはトヨタとしては英断!!
SV10もデビュー時はトヨタ内でも孤高の?FFセダンでしたがこれ以降カローラ、コロナ、カリーナも続々とFF化、後期の時期には身内ライバルがひしめき苦戦を余儀なくされましたがサイズの異なるカローラはともかく、同じクラスにいるカリーナとコロナがスタイル優先な部分があったためそういう色気のないSV10は先発ながらも室内空間は一番、三菱ギャラン/エテルナΣFMCによりE10系になりこれも驚く広さでしたがΣが出るまではSV10が一番広かったと思います、Rrシートの足許は冗談抜きにセンチュリーより広かった(*^^)v
↓セダンらしい端正で無駄のないスタイルが後席の広大空間にも寄与していました!
今でこそミニバン文化でセダンの後席広さを競うなんてナンセンスかもしれませんがこの時代は大〜小までカタログには必ずそれを謳う記述がなされていたのも懐かしい…
↓外装評価は記載なしですが前後共問題なくC評価は間違いないでしょう!
人気車でもなく名声もなかったので落札額は希少車ながら解体価格+αでしたが機関にも大きな不具合もなく部品供給の不安を別とすればまだまだこれは現役で日常使用にも耐えうるレベルだと思います。
年式的に輸出は難しいので国内での存命が期待できそうなSV10カムリでした(^^)v
Posted at 2017/11/30 17:49:02 | |
トラックバック(0) |
トヨタ | クルマ