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今日の珍車はこれ。初代ランエボを産んだCB型ランサーに影ながら設定されていた実に珍グレードのV6 MX EXTRAです。

このCB型はデビューが1991年と仕込み時期がバブル真っ最中。それだけあって、金のかかり方は尋常じゃないです。エンジンだけ見ても1.3LのSOHCキャブ、1.5LのDOHC ECI-MULTIとキャブ、1.8Lのディーゼルターボ（後期は2.0L）、1.8LのDOHCターボ。特色あるのが1.5LのMVV（当時珍しいリーンバーン）と後期になって1.6LのMIVECとMIVEC-MD（日産でいうNEO VVL）と数えるのもイヤになるほど。

そして、極め付けが「量産世界最小」と謳った「1.6LのV6 DOHC 24VALVE」エンジンです！　この少し前にマツダがユーノスプレッソで1.8LのV6を造り、同じことを謳いましたがソッコーで三菱に抜かれたわけです…

こんなアホなことを思いついた三菱、さすがです。こんなことが許されたバブルの時代、すごかったですね～。

で、この1.6LのV6ですが、140PS/7,000rpm・15.0kgm/4,500rpmのスペックです。V6化にともなって、そこそこのスペックではありますがいかんせん車重が…他グレードですが、1.5LのECI-MULTIと比較すると＋90kg。このクラスでは車重がものを言うので、V6の良さは重さと引き換えにあまり無かったのではないかと思われます。

これだけでも珍車に値するのですが、さらに笑えるのがラインナップ。前期はまだまともで、MX LIMITEDとMX SALOONの２グレード。これが後期になるとROYALとMX SALOON、そして今回取り上げるMX EXTRAの３グレードになります。ROYALとMX SALOONは分かるのですが…

MX EXTRAは1.5Lのキャブ仕様に用意されている廉価グレード。そのグレードをV6にまで設定しちゃいました（笑）

当然、このランサー６はコストパフォーマンスがお世辞にもいいとは言えないので売れてませんでした。三菱としては元を取るために意地でもこれを売りたかったのかもしれません。でもねぇ、エンジンだけが高級で装備が悪いグレードを買うなんて物好きな人…のり番長以外にいませんよ（笑）スポーツグレードなら分かりますが、このV6はスポーティに振ったものではないですし。

このV6 MX EXTRAは1.5Lよりは装備が良く、1.5Lには設定の無いタコメーターがさすがに付いてます。あとはエンジンパワーに見合ってリヤディスクブレーキとサイズアップしたタイヤ。でもリヤヘッドレストレスで良好な後方視界を提供しています（笑）このアンバランスさがいいんです。

さすがにこのエンジンに対してはかの徳大寺からも酷評され、「いくら何でもやり過ぎ」という意見が多かったようです。三菱もちょっとは反省したというか諦めが悪いというか…次の型では1800のV6を設定しました。これも不評というか売れるわけもなく、マイナーチェンジで消滅。ランサーの６気筒はバブルの崩壊とともにその命を終えました。