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銀河遼のブログ一覧

2015年12月11日 イイね!

キングピンオフセットの説明を図解で・・・・。

キングピンオフセットの説明を図解で・・・・。この図はレーシンカーなどのダブルウイッシュボーンサスペンションの前輪の中心断面です。



先日の、キングピンオフセットの説明では、文章だけの説明で多分わかりにくかったと思うので、図を描いてみました。

タイヤが垂直に立っていれば、このようにトレッドの幅が地面に接触していることになり、現在の車にはほぼキングピンは存在しませんが、このように仮想キングピン角度が存在していて、そのキングピン角度の延長線が地面と交わる位置が、ハンドルを切った時にタイヤが転動する中心となります。

この図では4.7mmトレッドの中心よりも、タイヤの転舵位置が外に在ります。この状態のことをネガティブオフセットと呼びます。

一応念のために言っておきますが、前や後ろから見た時にタイヤがハの字になるようなタイヤの取り付けは、ネガティブキャンバーと言って、このキングピンのネガティブオフセットとは関係がありません。

蛇足ながら、F1などでフロントタイヤがネガティブキャンバーになっているのが見られますが、それは限界的コーナーリング時のタイヤの変形が、接地面積を減少させるようなタイヤの性格がある場合、仕方なくネガティブキャンバーにして対処しているもので、理想で言えばサスペンションジオメトリーを走行中に変更して、横Gに応じてキャンバー角だけを変更したいところだと思いますが、アクティブサスペンションが禁じられていて出来ないのかもしれません。

本題ですが、この図のように、トレッドの中心より外にタイヤの転動する中心があるという事は、直進中も常にタイヤの転がる抵抗によってトーインになろうとしているし、ブレーキを掛けた時には、力関係としてボディー側にブレーキ抵抗の中心が来ますから、フロントサス全体として見ればトーイン傾向に僅かに動くことになり(ゴムのロッド端ブッシュの弾性分だけそのように動く)、車としては安定的変化となる。(トーインは直進性が上がり安定すると一般的には言われます。)

またエアーが減った時に車がやや傾いても、このオフセット分だけは接地圧中心位置がまだ転動中心の内側となることで、安定していることになります。

この図は前から見た右前輪の断面図ですが、このタイヤがパンクした時のことを考えると、それでも右側にハンドルを取られなくするにはネガティブオフセットの量がやや足りないと思いますが、車を5年間乗ってもフロントタイヤがパンクすることの確率が殆ど無いような昨今の道路事情を考えれば、パンクした時の安全性のために変更不能な、過剰なジオメトリーを採用する事への是非が、エンジニアの間では問われることでしょう。

その部分を考えれば、超ロープロファイルタイヤは、パンクによるライドハイトの変化が非常に少ないため、ジオメトリーの変化も少なく、ハンドルを取られるような外力も掛かりにくいので、乗り心地はともかく運動性と応答性、対パンク時の操縦安全性は上がると言えるでしょう。

上の図解したフロントサスペンションは、下のレンダリングしたフォーミュラカーの一部ですが、某工業大学のフォーミュラプロジェクトに招かれて、プロジェクトに参加した学生達にフォーミュラ・レーシングカーの設計と、3D・CADでのモデリングなどについて教えた時に、私がサンプルとして設計したものですが、どのカテゴリーにも属さない類のものです。



このキングピンオフセットのことを書いていて、ふと思ったことがあるので以下に記します・・・。


昔から行われていた、「トーインを少しだけつけておく」という事の目的をあらためて考えてみると、ステアリング系の組み付け遊び、特にステアリングギアボックスにはバックラッシがある為、、トーインゼロではニュートラル位置の直進時には、どうしてもふらつきが発生するから、両前輪にトーインをわずかにつけることでその不安定さを軽減させていたのではないか?また、強くブレーキングすると、テンションロッドのゴムブッシュが少し撓み、アライメントがトーアウトになってしまうとその状態でのハンドリングでは、荷重のかかる側(外側)のタイヤがトーアウトからトーインに切り替わることで唐突にハンドリング方向へ曲がる印象を与えるが、それは一般には不安定な挙動と捉えられる為、そうならない様にしてあるという事もあるのではないだろうかと思えて来た。

特にフロントサスペンションの形式がローコストで容積効率の高いストラット式が多く採用されるようになった頃、ワイドなタイヤを使おうとした車では、キングピンオフセットをネガティブにするということはサスペンションとしては作りにくい方向であったし、そうした設計思想が広く普及していない時代でも、トーインやトーアウトにせずに真っすぐ転がるようにセットする方が、タイヤも長持ちするし、走行抵抗も少ないので良いことは解っていたはずだが、直進時のふらつきや、ブレーキをかけるとトーアウトになろうとする力が働くため、カウンター措置としてトーインをつけることが常識と化したのではないか?(少なくともハンドリング特性はマイルドになって行く)

直進ふらつきと、ブレーキを強くかけるとトーアウトになってしまうという事さえなければ本当は、トーインをつけなくてもキャスタ角だけで十分直進性は確保できるはずなのです。(電動式パワーアシストステアリングがついていることで得られる直進性もあるのではないか?、また私のDJデミオのハンドルのニュートラル位置の遊びの少なさは、トーインによるふらつき防止を必要としていない様にも感じる。)

そう考えれば、現在の車ではネガティブオフセットされたキングピン角度を持つのだし、タイヤの寿命や省燃費を考えると、わざわざ普通の状態でトーインをつける必要はないのではないかと思えて来たのだが、如何だろう?実際私はTE47トレノに乗っていた時は曲がり易さを求めて自分でトーインを調節してゼロにセットしていたが何の問題も感じることは無かったのだ。

現在のネガティブオフセットされたフロントジオメトリでは、ブレーキング時にはトーインとなるような応力が働き、たとえトーインをゼロにセットしていても強くブレーキをかけた時、実際は若干トーインになってしまうはずです。

それと、タイロッドエンドがアップライトに取り付く部分のナックルアームの角度を、上から見て進行方向とは平行でなくすることによって、ハンドルを切った時に、イン側のホイールは大きく角度を変え、アウト側のホイールは少し小さく角度を変えるように設計されているのですが、(アッカーマン・ジャントウ式)それによって、内輪差による曲がり易さを作り出して無駄なスリップアングルが付かない様にしますが、つまりそのハンドリング時の動きはトーアウトにして行くことを示します。

トーインセットアップからトーアウトセットアップ方向への接近は曲がり易さを増すことになり、ハンドリングをクイックにすると言えるのです。クイックなハンドリング特性が嫌いでなければ問題はトーインゼロがどの程度ニュートラル位置での直進安定性に影響を与えるかと言うことだけですから、実際やってみる他ないと思います。

今度の整備で私はDJデミオのトーインをゼロに調整してもらって見よう。きっとタイヤの損耗も減り、走行抵抗が減少してわずかながら燃費も良くなるかもしれませんよね、もともとDJデミオのハンドルに遊びは殆ど無いのですから良いのじゃないでしょうか・・・・笑



追記

今後の一般車を考えれば、トーインをあえてつけることは無くなるでしょう。(もしかするとそういう車はすでに存在していて、私が知らないだけかもしれません)理由は、無駄な抵抗となる要素は排除されることと、ステアリング系の部品の加工精度も高まって、バックラッシが殆ど無いステアリング系を作れるようななり、パワーステアリングの技術を応用すれば直進でのふらつきは無くせるだけでなく、レーンキープ自動制御が多くの車に取り付けられる時代も目前であり、すべての車はネガティブオフセットされたキングピン角度を与えられて、トーアウトを抑制する必要性などとっくに無くなっているためで、ハンドリングの落ち着きと言った味付けも電子制御でドライバーに気づかれない様にサポートするようになると考えられるからです。(すでになっている車も有るのでしょう・・・笑)

そうした時代はもうすぐ目の前であり(とっくに始まっているか?)、これまで黙認されていたタイヤ直径とオフセットの変更などがもたらすキングピンオフセットの変化が、車の安全運用の視点からみれば後退とみなされ、今よりも厳しく制限されるようになるかもしれませんね。

この記事を書くことで、私自身キングピンオフセットを意図せず結果的に変更することになってしまうパーツの使用がもたらすリスクを再考させられる結果となりました。

Posted at 2015/12/11 16:03:11 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2015年12月11日 イイね!

ホイールの設計時のレンダリングモデルとカワサキZ1のフレーム

ホイールの設計時のレンダリングモデルとカワサキZ1のフレーム古いデータを入れてあるハードディスクの中を見ていたら、今作っているホイールのデザイン開発をしている時のフォトレアリスティックレンダリング画像や、カワサキZ1のフレームの解析画像などが出てきたので、ちょっと紹介しようと思う。バイクに乗る方はぜひZ1の解析の記事を読んでみてください。







約8年前に、デザインレビューのために作った評価用のレンダリングCGですが、ある程度リアリティーが出ていると思う。レイ・トレーシングを使って反射の映り込みを再現しているから、リアルに見えるのです。




下の画像は、カワサキZ1のフレームを採寸し、正確にモデリングしたものをメッシュ切りしたものですが、このモデリングは難しいですし、メッシュに切るのもなかなかエラーが出やすく大変でした。



その下の画像は解析の応力分布。Z1のスチールパイプフレームを有限要素法による応力解析をしたのだが、Z1が開発されたころにはこうした解析ツールは無く、手計算と破壊テストで強度を確保していたものと思われるが、この時(。(2009年)私がやった解析は、恐らく初めて、Z1のフレームでコンピューターによる解析を行ったものだろうと思う。



応力のかかり具合がよくわかる大きく誇張されたアニメーションはここをクリック

以下は当時、私が書いたBlog記事。(2009年6月)

ここ数日、カワサキZ1のフレームの応力解析をやってみて、スチールパイプフレームの優れた強度に驚いている。

オートバイはコーナリングする時、車体を傾け、遠心力と重力でつりあった状態である一定の傾きを維持したまま進むので、その状態と言うのは、垂直に立っている状態で、向心加速度のかかった分だけ重くなったような状況で推移していると言える。

つまり、オートバイが走行中に受ける力は、殆どは加速GとブレーキングG、そして垂直の重力荷重とコーナリング時の垂直Gであると言えるのです。

そこで私はコーナリングの時にどれくらいの荷重がかかっているかを考え、200kgのバイクなら、人間を乗せて265kgと仮定し、高速コーナーを走行したイメージで考えてみた。

バイクが走行状態で45度の傾きで走れると言うことは、重力と遠心力でちょうどつりあうと言うことだから、合成されたバイクの垂線にかかるベクトル力は総車両バネ上重量の1.414倍となって、サスペンションスプリングを圧縮するはずです。

バイクのバンク角が直立に対し、もし60度に達したとすればバイクのサスペンションにかかる力はちょうど直立状態の2倍になる計算ですから。仮にバイクのシート上にライダーのほかに人間4人を乗せてみた時と同じ荷重と考えてみれば、前後のサスペンションの沈み具合が、コーナリングでそこまで沈むことが殆ど無いであろうことが理解いただけるだろう。

そういう大きな荷重でカワサキZ1のフレームにどれくらいタワミが生じるものか解析してみたわけなのです。

Z1はフレーム剛性が決して高いと評判があるわけではないのだが、なんと2Gで計算して0.035mmしかタワミが起きなかったのです。言い換えれば35ミクロンしか動かないのです。

実は私も今まで勘違いをしていたのですが、これでバイクのフレームは捩れたり撓んだりすることは殆ど無いと解ったのです。

では、私も嘗て経験した高速コーナーでユラユラと揺れるあの感覚の原因は一体何なのか?ツインショックのアンバランス説もありますが、私の乗っていたバイクはヤマハRZ350で、モノショックですから、左右に分かれたショックアブソーバーがあるわけではなく、その左右バランスが悪くてスイングアームが捩れているわけではないのが解るし・・・・。

解析の結果からフレーム剛性が低いと言うことは殆ど無いと解ったので、それはライダーである人間の錯覚ではないか?と言う方向を強く意識できるようになったので、今日、その謎の訳に気が付いたのです。

バイクをフルバンクさせてコーナーを曲がっている時、人間の頭はどんな角度になっているか想像してみてください、バイクは今にも倒れんばかりに傾いていても、人の顔と頭は路面になるべく垂直になろうと努力しているのがレースシーンの写真などを見ても解ると思います。
これは人間が直立して歩いたり走ったりするように進化してきた中で、平衡感覚や横滑りなどを敏感に感じ取る為に、頭は地面に対して垂直なほうが横滑りGを重力を感じる方向と分離できてセンシング感度が良い為で、ライダーはそうして転倒に繋がるタイヤの横スベリに神経を集中しています。
そういうわけでバイクの傾きと同じように頭もバイクの直立角度と共に傾けてしまうライダーはあまり居ないはずなのです。

バンクした状況の中で路面に少しうねりがあるとき、バイクは路面の起伏に対してに垂直に動くわけではなく、やはりサスペンションはバイクの直立角度に対してストロークして路面のアンジレーションに追従して行くしかないわけです。
フルバンクしたバイクは、サスペンションの動きにつれてバイクの垂線の方向に動いてしまうわけですが、ここで、仮に路面に50mmの緩やかな起伏があるとき、そのふくらみの真上をバイクがフルバンク状態で通過すればサスペンションのストロークはその傾きの分大きくならざるを得ないことが解ります。もしバンク角が60度まで達していれば1.73倍のサスペンションストロークを強いられることになります。つまり垂直に超えれば50mmのサスペンションストロークで済むアンジレーションもバイクが60度傾いていれば、理論的には86.5mmと、より大きくストロークせざるを得ないわけですが、実はサスのスプリングを介してボディーも動いてしまう為実際のサスペンションのストローク量はそれほど大きくはなってはいないのです。

サスが沈んだり伸びたりするのがコーナリング中のバイクの動きなので、僅かな起伏でも、それを超える度に突入してくる相対的エネルギーでコーナリングGも変化していることになりますが、その挙動は接地圧も同時に高めるので即スリップダウンすることは無く、バイクのボディーが動く分人間の頭にもその動きと変化するコーナリングGが伝わって来ることになるのです。

そして問題はそこで起きています。人間の体は、倒れんばかりに横に傾いてバイクと一体になっているとしても、頭は垂直に近い角度を保ってコーナリングしている為、バイクのサスペンションが上下に動いているのを頭の角度では上下よりも左右に大きく動いているかのような入力が有るということなんです。バイクが殆ど真横に近く傾いている時、サスペンションが動く方向は、頭(三半規管)にとっては殆ど横に動くと言うことが解るのです。

バイクは大きく傾いていても頭は地球重力に対して垂直に近く起きているから、バイクの垂線の動きは頭の左右の揺れの方が大きく感じられるために、ユラユラと横に揺れたような印象を持つことになったと言うのが私の理解であり、錯覚の原因であったと気付いたのです。

バイクのフレームは充分剛性があって、フルボトムするほどのコーナリングでタワむ量が僅かに35ミクロンと知った故に、人間の錯覚に違いないと思ったところから気が付いたと言うことなんです。

スチールのパイプフレームは悪くない!!決して剛性が無いわけではないのです!!スチールパイプのフレームは強度がなくて捩れたり撓ったりすると言うのは、どうやらまことしやかなガセであったと言って良いと思います・・・。

しかし、私はそこまで考えて、バイクのサスペンションは通常縦荷重しかかからないと考えて来たのですが、実はフルバンク状態等、傾き角の大きな状態で起伏に乗り上げる瞬間に横方向の力をかなり受けることも発見しました。これはスイングアームの捩れ剛性やフロントフォークの横剛性がコーナリングフィールに関連していることを意味するので、フレーム剛性よりも、実はフロントフォークやリヤスイングアームの剛性がライディングフィールに大きく関与していると理解することが出来ました。

それは、フロントのフォークでは横剛性がありすぎればフルバンクでの起伏乗り上げで簡単に跳ね飛ばされて転倒に繋がるので、もし剛性が充分あるとすればサスの瞬間的な動きを強く要求するし、リアスイングアームの捩れ剛性も、ありすぎれば同様にサスペンションの動きだけでその突入するエネルギーを吸収しなくてはならず、両輪共にダンパーセッティングと言う立場からは大きな矛盾を抱え込むことになるのです。
つまり、適当に横方向に「しなる」という必要性があるのだと解るわけです。そしてそのしなり方は前後のバランスがかなり重要になり、前後のサスペンションのバネ定数やダンパーの減衰特性のシンクロと共にセッティングの要となる要素であると感じることになりました。

そうして考えれば、バイクのコーナリング時の接地性は現在のF1のサスペンションと同じで、タイヤの柔軟性とリジットマウントされたアームのしなりを利用していることとよく似た話と極論できなくも無いと思う私なのです。





Posted at 2015/12/11 02:51:21 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記

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