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2011年09月10日 イイね!

保存版・偉大なる“UP! DOWN! 野郎たち”!!!…ブルーバード編①

保存版・偉大なる“UP! DOWN! 野郎たち”!!!…ブルーバード編①
偉大なる“UP! DOWN! 野郎たち”!!!、前回取り上げたコルト/ギャラン同様、メーカーの屋台骨を支える看板車種でありながらも安定株にはなりれず、激しく人気(UP!!!)不人気(DOWN!!!)を繰り返した“名車”である『日産(ダットサン)ブルーバード』に触れたいと思います!

ブルーバード、ご承知のように昭和34年に発売後最近まで名前は残っていた(ブルーバード・シルフィ)日産の伝統的な車種ですが現行はサニー/パルサー/プレセアの統合モデルとして00yに発売されたもの、従来のブルーバードより下の車格となっておりサニー系=所謂かつては「大衆車」とされたクラス、ブルはその上級で現在で言うミディアムクラス)関連性はなく純粋なる『ブルーバード』としてのモデルはセダンモデルの需要衰退の煽りを受け01yのU14型を最後にピリオドを打っています。

かつては常識だったセダン型で最大のライバル、トヨタのコロナと激しい販売競争が行われ“B(ブル)C(コロナ)戦争”なる言葉まで産まれ後には三菱ギャラン、マツダルーチェ/カペラ、ホンダアコード等新たなライバルとも激しく闘った日産の看板で昭和35年発売の『セドリック』と並んで日産の最大の功労者(車)であったのは間違いないでしょう…

ライバル、コロナはプレミオと名を変えながらも現役ですがブルは上記のように製廃から既に10余年、最終U14型もそろそろ少なくなり淋しい限りなので今回は偉大なるブルの歴史を振り返ってみたいと思います!

ブルーバード、70~90年代にまだまだセダン型が主流の時代には横綱コロナと69年のコルトギャランで第三メーカーにのし上がった三菱ギャランの3車がTOP3であり勿論クラス代表的車種、80年代前半にT社ディーラー(D)に籍を置いた自分はライバル・コロナは直接売ってはいませんでしたがその激戦は目の当たりにしておりまだまだ自動車が“花形産業”だった時代の一人の証人だと思いますネ~、今では部品仕入れに共通下請けを使ったり共同で中古車センターを運営したり随分仲良くなったトヨタと日産ですが90年代まではそれこそ営業マン同士も火花を散らせそこに三菱も巻き込んで値引き、opサービス合戦とその戦略はすざましいもので今では21時にもなればDも電気消えてますがこの頃は0時1時でも光々と明かりが灯るT、Nそして元気だった頃のM社Dさんの姿、懐かしい~。。。

さて、前置きがながくなりましたが早速本題である『ブルーバード』に触れましょう!
と言いながら…ブルーバードに触れるにはその前身である『ダットサン110/210』に触れない訳にはいかずまずはココから…

59yの初代ブルが型式=310を名乗っている事から分かるように本来の“初代”は『ブルーバード』のペットネームがまだない55yに登場したダットサン110型となりますのでまずはこのモデルを取り上げます、 今回の「偉大なる“UP! DOWN! 野郎たち”!!!…11」では初代310ブルまで触れますが解り易いように110/210と分けて記載します!

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【ダットサン110/210】

1955年(昭和30年)、まだまだ戦後を思わせる日本(さすがにこの時代、ワタクシ影も形もないので親他諸先輩からの見聞ですが…) そんな時代、これからの日本の自動車市場にとって重要かつ牽引してゆく車種がトヨタと日産から発売されました。
トヨタからはRS型初代クラウン、そして日産から『ダットサン110型セダン』が華々しくデビューしました。
クラウンは当時の小型枠いっぱいの1.5Lめ一杯のエンジンを載せボディもフルサイズ、まだまだ国内はアメ車を中心にした外車が一部裕福層や公用車を占めていた中、孤軍奮闘でまずは公用車/タクシーからクラウンはこれらの切り崩しにかかりました。
一方の110は個人需要=マイカーをも考慮した860ccの小型セダン、つまりは高級部門=クラウン、庶民的部分=110で棲み分けをしていました。
それでもまだマイカーなんて夢の時代、110は主に小型タクシーとして庶民の足を支えていたとの事です!

110は戦前からのダットサン乗用車のあくまで延長線のモデルであり梯子型フレームのS/D(サイドバルブ)エンジン、4輪リジットという旧式な設計思想のモノながら完全一体プレス化されたボディとスタイリングは“もはや戦後ではない”と言った当時の時世にも乗っかり本格的な国産乗用車としてクラウンと共に大ヒット!その勢いはUP!!!UP!!!だったようです…

wikiによると当時の日産は従来型乗用車の車体は半数を現在の三菱、旧中日本重工が製作しておりこの110も関東以北のみが日産自製、その他の地域は中日本製となり自製と中日本製では型式や外観も多少異なり後者は型式を「A110型」としていたようです。
現在になって急に関係強化したような三菱と日産の急接近に思われがちですが実は50年以上前にもそれがあったとは驚きですよね~…

尚、「ダットサン」は現在のような単独な専用車名を与えられる以前の日産製小型自動車に名付けられた共通ペットネーム、110以降のフェアレディ、ブルーバード、サニーへと名付けられトヨタの「トヨペット」と同時に日本の自動車創世記に親しまれた愛称、02yのダットラ製廃まで長く親しまれた由緒あるネーミングでアメリカでは「DATSUN」=ダッツンと呼ばれ今でも“NISSAN”より親しまれるブランドかもしれません。(ブルーバードは910迄が正式には「ダットサン・ブルーバード」でした!)

↓今見ればもはや“クラシックカー”ながら当時は近代的スタイルが脚光
 を浴びた「ダットサン110」


110の車両概要は下記の通り。

(サイズ)
:全長3860全幅1466高1540ホイールベース2200(以上mm)
(車重)
890kg
(定員)
4名
(エンジン)
B型 水冷直4 860cc サイドバルブ 25ps/5.1kg
(駆動)
FR
(ミッション)
3速ノンシンクロ
(脚回り)
ALLリーフリジット

モデル改歴

(55/12)
MCにて「112」型へ。
グリルデザインを変更、シートをスライド化しFrフェイスにあったスモールランプをフェンダー上に移動しています。
尚、112からボディを完全に日産内製化。

↓112の梯子フレームと透視図


(56/6)
再度のMCで「113」型へ。
再びグリルデザインを変更、チューブレスタイヤを採用。

↓56/6~の「113」型ダットサン


↓インパネやテールのデザインは初期110を基本、継承。


(57/11)
従来型をグリル変更した「114」型へMCするのと同時に新開発で近代化したOHV機構を採用し1000cc(988cc)、C型34ps/6.6kgを搭載、114のエクステリアをサイドモールやメッキパーツで高級化し4速ミッションを搭載する『210型・ダットサン1000』を追加します。
1000は2速~4速をフルシンクロ化し運転のしやすさを向上させたのが大きな進歩、車重はエンジンの大型化と高級化で925kgまで増加、サイズの割に重く30ps代の時代で走りがどうのこうのとは語れませんが神経遣いながらダブルクラッチで回転を合わせタイミング良くギアチェンジをするのが当たり前の時代、2速以上は余計な気をまわす事なく難なくギアを入れ替えられるようになった元祖“イージードライブ”の実現に当時のドライバーはさぞ歓喜した事でしょう!
少し古めのトラックやバスではノンシンクロもまだ残っていた頃、ワタクシもダブルクラッチでこれらを動かしていた経験を思い出すとMTに対するAT以上にシンクロの有難さを改めて痛感しちゃいますネー。。。

↓11♯系と較べ心臓も含めより近代的になった210型ダットサン1000




↓現代的OHV機構を採用したC型エンジン

   
新星1L C型エンジンはセドリック以前に日産がノックダウン生産し乗用車造りを学んでいたオースチンのエンジニアによる技術指導から産まれた賜物で30ps超のパンチあるエンジンはかなりの定評と日産の自信に繋がりこの210型が後年で脚光を浴びた510やS30Z、710バイオレット等で快進撃を繰り広げたラリー界での活躍の原点となっていました。
58yにオーストラリア大陸を一周するラリー=オーストラリア・モービルガス・トライアルへ挑戦、大陸一周16,000kmを19日間で走破するこの過酷なラリーへ出走した2台の210、富士号と桜号はそれぞれ完走し、クラス優勝(←Aクラス、総合24位)を果たし日産の、または日本車の成長と実力を実証、大きな注目を浴びたようです!(詳しくは→こちら)

↓50年代からラリーで活躍した210型「富士号」、Rrトランクには日本の象徴
である富士山が描かれていた!



(58/10)
MCでいよいよ最終型になります。
860ccの114型は「115」型へ、210型は「211」型へと進歩、従来のFrグリル意匠変更だけではなくRrもダブルランプへデザイン変更がなされRrスクリーンも大型化、スモールもフェイス内に戻されサイドマーカーやopながらフェンダーミラーも装着されています。(115も211に準じた改良)

↓着物美人も思わず寄り添う58/10~の211型


↓115/210はテールもダブルランプに変更、Rrスクリーンも大型化!


↓211は定評のOHV C型を継続搭載


(59/8)
トヨペットクラウンと並んで戦後初の本格的乗用車として大人気を得たダットサン110/210系は発売以来順調な進化と人気、一定の売り上げを確保、59年8月にこれをより現代的にリファイン発展、FMCとなる310型「ブルーバード」に引き継ぎ製廃となります。


以上がブルーバード以前の元祖ブル、ダットサン110/210型でした!
続いて初代ブルーバード310型に触れていきます。

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【310型初代ブルーバード】

59/8、定評あるダットサン110/210系をFMC、新たなペットネーム=日産の幸を運ぶ青い鳥 という意味合いから『ブルーバード』と名付けられて登場したのが初代310型です!

このモデルは亡親父が20代の若かりし頃、七所借りして中古ながら初めて手に入れた我が家初のマイカーだったとの事、ワタクシは産まれたての赤ん坊で記憶には当然なありませんが7コ上の姉はかすかに記憶があるらしく物置の奥にしまいこんである古~い我が家のアルバムにまだお姉さんぽい今は70代の母親に抱かれたいたいけな赤ん坊のワタクシの傍らにもその姿が写っております、いずれそのお宝写真も公開しようかなー???(^^)

さて、話はそれかけましたが310ブルーバードの紹介でしたね(汗)
310ブルーバード(以下310)は好評だった旧110/210のイメージを継承しながらより近代化しスマートに変身したボディをまとい寸づまり気味だったRrを伸ばしむき出しだったドアヒンジをスマートに隠し(文明開化やね~…笑)スタイリングはヨーロッパ調の伸びやかさを実現します。
110/210時代の57yに発売されたライバルのトヨペット・コロナ(ST10型)の猛追もありましたが310へのFMCで“ダルマ”と揶揄された丸っこく鈍重なイメージのコロナに差を付ける美しいスタイリングは女性をも意識した味付けもなされ110/210の主マーケットだった小型タクシー業界を狙い実用一辺倒だったコロナは足元にも及ばない美しさで310=ブルーバードの人気を不動のモノにしてたようです!
野暮ったいコロナに較べ2トンカラーを取り入れたり後年追加の女性向けグレードの設定など、まだまだ女性ドライバーが少ないこの時代にこのようなイメージ戦略で女性を味方に付けた日産の戦略、“あっぱれ”ですネ!

↓59/8に登場した初代310ブルーバード(前期1000DX)


Frフェイスは110/210を彷彿させるデザイン、Rrビューはそのテールランプの形状から親しみ込めて「柿の種」と呼ばれ今でもOLDファン以外でも有名な“愛称”です。

↓「柿の種」が有名な前期型のRrビュー(1000DX)


それでは車輛概要です。

(サイズ)
:全長3860全幅1496高1480ホイールベース2280(以上mm)
(車重)
860kg(1000)890kg(1200)
(定員)
5名
(エンジン)
C型 水冷直4 1000cc OHV 34ps/6.6kg
E型 水冷直4 1200cc OHV 43ps/8.4kg
(駆動)
FR
(ミッション)
3速MT
(脚回り)
Fr:ウイッシュボーン
Rr:リーフリジット
(バリェーション)
1000STD/1200STD/1200DX

サイズ的には全長は110/210と同一ながらホイールベースは延ばされているので居室は拡大していますね、80mmのホイールベース拡大は後席足元にかなりの余裕を産んだのでは?と推測できます。
定員は5名に増加、高さは抑えられ現代的スタイリングに貢献しています。
グレードは1000/1200のSTDと1200DXの2種、1200DXではメッキパーツやバンパーオーバーライダーが装備され豪華さを演出、1200はグレードに関わらずルーフ部とボディ部を塗り分ける2トンカラーを採用していました。
搭載エンジンは定評あるC型を継承しながらこれの拡大版である1200ccのE型も新搭載され余裕あるパワーを得ています。
従来型から較べての大きな進歩はFrに独立懸架式サスを採用、そして梯子型フレームを継続しながらもセミモノコック化したボディと合わせて乗り心地が大幅に向上した点でしょう!
悪路大国と外国からまだまだ揶揄されていたこの時代に1200という高出力と徹底した振動、騒音の軽減に努めた310は記録的な販売を果たし正に爆発的人気で110/210をも軽く上回るUP!!!UP!!!で自信を得た日産は自動車大国のアメリカにもこの310は日産初の対米輸出が行われ一定の成果を収めたとの事です。

↓最高グレード「1200DX」


↓1000STDのインパネ


それではモデル改歴に移ります。

(60/7)
国産初となるエステートワゴンを追加します。
110/210時代からCMカーとしてパーツ共有をする「ダットサン・バン/トラック」が存在しており310となってもこれは同様、しかしながらエステートワゴンは後年の常識であったバンボディを乗用車に焼き直した流用ボディではなく専用ボディを持つという気の入れよう、まだアメリカ的に週末に荷物を大量に積んでレジャーに!なんて考えがなかった日本ではバンと混同され売り上げや人気には結び付かなかったようですが当時の庶民に贅沢な夢を描かせたモデルだった事でしょうねー…

↓“国産初”のステーションワゴンもブルーバードから!!


(60/10)
エンジン出力向上が行われC型→C1型に変更、34ps→43psに E型→E1型となり43ps→55psへそれぞれ換装されています。(型式→311型となる)
尚、この時にミッションを遂に国産で初めてフルシンクロ化、グリルにはこれを示すように誇らしげに『full synchro』のエンブレムが装着!

(61/2)
女性向けグレードである「1200ファンシーDX」を追加。
80~90年代にAT限定免許の創設もあり莫大に女性ドライバーが増えた頃、各社各モデル、特に軽やリッターカークラスに女性向けグレードが増殖した時期がありましたが60年代、女性ドライバーなんて数える程しかいない時期にこのようなグレードを設定した日産、戦略違いも指摘されながら少しづつながら増えるマイカー需要の中で家族の中での女性=主婦に決定権が大きい事に目を付けた日産の戦略は鮮やかだったと思えますね~。
実際このファンシーDXが310の販売にどれだけ寄与したかは不明ですがイメージ的には非常貢献していたと当時の希少な女性ドライバー→うちの母は申しておりました(笑)
外装も赤とクリームで塗り分けられたファンシーDX、この種のモデルのパイオニアですネ!

↓女性向け新グレードの「1200ファンシーDX」


↓ファンシーDXにはBピラー内側に花瓶、後席には化粧テーブルやポーチを装備、ハイヒールスタンドや傘立て、そして後年お馴染バニティミラーまでもが既に装備されていました!!


(61/8)
MCにて中期型、型式312型となります。
MCではFrグリルとテールの意匠変更及びインパネのデザインが変更されています。
大型化されたFrグリルで顔はより逞しい印象、テールはあの「柿の種」がレッド一色でブレーキ/ウインカー/スモールを兼用させていたのに対しD30セドリックばりに大型化したテールランプに変更、アンバーを入れウインカーを独立させています。

↓中期型1000DX


↓大型テール&時計まで組み込まれた中期型のRrビューとインパネ



(62/4)
イージードライブの走りである「サキソマット」のオートクラッチがop設定。

(62/9)再度のMCにて最終型となります。
好評の為、変更は目立たないモノでグリル内格子状の意匠変更とテールランプのアンバーとレッドの位置を逆転させています。尚、Frサスにスタビライザーが追加されより脚の信頼性を高めています。

↓最終型1200ファンシーDX


↓最終型1000STDのRrビュー


(62/12)フロントセパレートシート付モデルを設定。

(63/9)次期型の「410型ブルーバード」にFMC、310系は4年のモデルライフを順調にUP!!!にてまっとうしました!

↓63/9に華々しくデビューした次期「410型ブルーバード」


以上のように110/210→310ブルーバードと順調に発展したこのモデル、特に初代310ブルではライバルをも寄せ付けない圧倒的UP!!!人気で“ブルーバード、日産にアリ!”と言う感じで日産自動車の名声をも高めました、ただ…
ライバルのトヨタも王者ブルを指をくわえながら見ている訳はなく次期410時代から激しいBC戦争へと突入してゆきます、310までに築いた不動の人気と販売力!410でもそのUP!!!UP!!!は継続されるのか!乞うご期待です!!!!

(次回410型2代目ブルーバードに続く)
Posted at 2017/07/30 12:40:02 | コメント(0) | トラックバック(0) | UP!!DOWN!! | クルマ
2011年09月10日 イイね!

保存版“華麗なる一発屋!!!”…スバル1000/ff-1/1300G編

保存版“華麗なる一発屋!!!”…スバル1000/ff-1/1300G編 “華麗なる一発屋!!!”、今回はコレです→『A552/A512/A12型スバル1000、スバルff-1、スバルff-1・1100/1300G』となります!

このモデル、名前がチョロチョロ変わっていますがマイチェンor排気量UPの度にネーミングチェンジしてるもので基本同じクルマです。
現代のインプレッサ、これの前身であるレオーネのまた前身に当たりコレ(レオーネ)のフルチェン→ネーミングチェンジとも考えられますのでこの場合、一発屋には当てはまりませんが1000/ff-1/1300Gをあくまで一つの車種と捉えココで取り上げさせてもらいます!!
尚、これも長くなりますのでスバリスト以外の方はつまんないかもしれませんがご了承願います(;^_^A

まず最初に発売されたのが66/5の『スバル1000』になります。
軽自動車「スバル360」でそれまでの飛行機メーカーから転身した富士重、360の大ヒットで4輪での勝負を決意し次に挑戦したのが初の市販普通車である『スバル1000』でした!
1000や360以前に富士重はプリンス製エンジン(前半開発)と自社製エンジン(後半開発)を積んだ「スバル1500 P-1」(54y)という普通車を試作していますが採算面で問題があり数台を販売したのみで泣く泣く市販を諦めた経緯があり1000はこれ以来の普通車への挑戦でありその分持てる技術、アイデアを総動員して開発されたモノでした。
このクルマの独創性、優秀性は広く認められその後のFF開発に大きな影響を与えた他海外のアルファロメオ等もお手本にしたという話は有名ですね!

↓富士重初の量産市販普通車として登場した『スバル1000』


1000は来る高速時代に対応かつゆとりある室内を実現する為、当時の日本では珍しいFF駆動方式を採用、開発に当たってはこのFFと静粛性と徹底した振動を抑えるという見地からエンジンは水平対向式を採用する といったテーマが掲げられていました。
FFは一部軽自動車には採用があったものの普通車では技術的(主に動力伝達系)に困難な部分も多かったものの富士重の地道な研究と幾度となる実験にてようやく市販化されたものであり血と努力の結晶であったようです。
360のRR(リアエンジンリアドライブ)で定評のある富士重ですが ~乗員最優先の乗用車に於いて動力伝達装置が室内を狭くするのは言語道断~ というような哲学がありRRやFFしか考えなかったとの事、1000の場合はこれからの時代長距離、連続高速走行をする という部分を重要に考え直進性に優れるFF方式をとった訳です!
FFによりライバル他社とほぼ同様のサイズながら室内は1500クラスの広さを持ち特にフロアトンネルのないRrの足元は信じられない余裕を見せていました、重ねてプロペラシャフトが当然ない事によりホイールベースの制限を受けない事から後輪を可能な限りボディ後端までもってゆく事で外寸からは想像できない広さを実現していました。

↓当時としてはフロアトンネルがなく後席足元の広さと見かけは驚愕モノ!


余談ですがこのクルマ、最終の1300Gを運転した事あるのですが現代基準で見るとそう驚く程の後席の広さではないながら当時のスタンダードであるカローラ(KE10)やサニー(B10)に較べるとその差は歴然でしたねー。
ロングホイールベースからなる乗り心地はフワンフワンと独特な浮いているような感じ、ただ決っして不快ではなく“ゆりかご”とでも言いましょうか…
ただ長いホイールベースが故、コーナーはあまり得意でなかった気がします、後のレオーネにも共通していましたがFFの悪癖はそれほど出ていないながらやはり慣れたFRとは違和感アリアリで曲がりにくく後輪の動きを意識したドライビングが慣れるまでは必要でした。

↓1000のRrビユー、Rrから見ると長いホイールベースが一目瞭然!


脚廻りも当時は殆どなかった4輪独立サスを持っていたのも驚きでFF化により空いたRrも独立式を採用、Fr:Wウィッシュボーン Rr:トレーディングアーム式。
ステアリング形式はシャープなハンドリングを実現するラック&ピニオンをこの時代で採用、同様メカのいすゞベレットと並んでその先進性は注目すべき点だったと思います!
また冷却(水冷)を低負荷時と高負荷時で別々に分担させるデュアルラジエーターを採用、冷却ファンを廃しパワーロスを抑え軽量、静粛性が高くまたヒーター機能も強力、従来の水冷エンジンのように冷却装置がバカにならないスペース確保の必要がなく限りある1000のエンジンルームの効率化に役立っていました。

もう一点、独特な技術がこの1000では採用されておりこれは「センター・ピボット式ステアリング」という機構、FFはフロント・アクスルが駆動と操舵という2つの役割を受け持ちどうしても影響から前輪の操舵角がFRに較べ少なくなるのを抑える為のものでこれによりFrブレーキは通常のホイール内には設置されずエンジンルーム内、ミッション側に付けられるという凝りぶりでした!

↓緑の→部がFrブレーキ!!


スバル=低重心 という有名な文言は最近のモノではなくこの1000から既に意識されており新開発の水平対向式4気筒OHV 55ps 1000ccのEA52型エンジンも大きくそれに貢献していました。
様々な研究と工夫から極限までコンパクト化されこrによりスペアタイヤまでもがボンネットに収めるという技もこの時から既に披露してました~。
今でこそ所謂“ボクサーサウンド”を抑えてきていますがスバルの普通車、最近のインプ/レガにに至るまで ~♪ドコドコドコ~ という独特なエンジン音、これもこのEA52型から始まったものですネ、個人的には好きな音ではありませんが自動車ファンなら誰しもそうであるようにこの音が近づいてくると「あっ、スバルだ!!」と即座に判断できる特徴、個性的でした~。
尚、EA52型は広大な室内、FFという大前提から逆算して水対のコンパクトさという面で採用、これを生かし縦置きに搭載されています。

↓低重心に貢献した♪ドコドコ~の水対4発のEAエンジン


スタイリングはヨーロッパ調の派手さのない落ち着いたモノ、直線ベースながらFrエンド、Rrエンドは丸みを付けアクセントを加えていました。
ただこのスタイリング、見慣れないロングホイールベースがワタクシ正直子供の頃はこれ“奇形”にしか見えずタレ尻の胴長ダックスフンドに見えました(汗)
市場的にも同時期に発売されたカローラKE10とそう変わらないセミファストバックのスタイリングでありながらやはりこの奇異なロング車軸スタイルは不評だったようで好評カローラに較べその販売は数パーセントという状況、確かに子供の頃の街中でスバル1000を見かけるのカローラの1/10位?という感じだったような。。。
しかし後年のレオーネに至るまでスタイルよりも中身、技術屋精神てんこ盛りのスバル車はこの頃から“スバリスト”に愛され頑固に代替わりしてもスバルを乗り継ぐ方が多かったですね、友人の父もこうしたタイプで最近までランカスター、サブにサンバーと典型的なそれでした(笑)

インパネも独特な形状で違和感アリアリ、ダッシュボードが奥に寝てる感じが何とも奇妙でしたが広い前方視界とより室内を広々感じさせる効果は高かったと思います。

↓スバル1000インパネ


スバル1000の概要ですがボディはモノコック、当初4ドアセダン(A522)のみで発売、67/2に2ドアセダン(A512)追加、その後型式をA12型に統一後に商用バン(67yに4ドアバン、68yに2ドアバン)を追加しています。
67/11、時代の要請や流行もありスポーツグレードの2ドアに「スポーツセダン」を設定、それまでFFの広さを生かすためコラムシフトしか設定していなかった同車の初めてのフロアシフトモデルでした。スポーツセダンはラリーでも好成績を収める見かけによらないスポーティさ、後のレガシィやインプでの国際ラリー活躍の下地を造っていました!
エンジンはEA52をツインキャブ化したEA53型を搭載、出力を67psに高めています!

↓67/11追加のスポーツグレード「スポーツセダン」


↓スポーツセダンに搭載されたツインキャブEA53型エンジン


このように独創性に優れスポーツモデル、CMカー(バン)等の追加によりカローラ・サニーには遠く及ばないながらも高い評価と一定の販売台数(月/4000台)を得た1000は発売約3年となる69/3、初めてのマイチェンを受け車名を『スバルff-1』となります!

ff-1はFr/Rrの意匠変更、エクステリアは70年代に向け豪華なイメージを持たせていますが室内やインパネは1000を踏襲しています。

↓69/3~、ff-1(写真はスポーツセダン) 


ff-1は65yから始まった1Lカーブーム以降次々に発売されたライバル各車に対し前身のスバル1000が独創性では1歩も2歩もリードしながらそれらに対し販売面ではかなり苦戦、これは見かけの素朴さや質素なイメージが災いしていると分析した富士重は豪華路線に向かったモノ、造形豊かなグリルやスポーツセダンでは1000時代以上にスポーティイメージが高められ69/10には最上級で豪華版の「スーパーツーリング」が追加されています。
ff-1には1000のEA52/53エンジンを100ccボアアップしたEA61型 62psとこれをツインキャブ化したEA61S型 77psを搭載し走りも豪華になっていたようです!!

しかしff-1へチェンジ以後(以前も含む)もライバル各社が排気量UPを次々に行い(サニー1000→1200)カローラ(1100→1200)ホンダ(1300新発売)ファミリア(1300とRE発売)コルト(1000→1100→1500→ギャラン1300/1500発売)と更なる激戦になり戦力増強、僅か1年強の70/7に再度マイチェンを実施、ネーミングを『スバルff-1・1100/1300G』とします!

↓70/7~ ff-1・1300G(写真はスポーツセダン)


1100/1300Gとなりよりエクステリアを豪華な派手なイメージとしインパネも一新、より豪華な現代的デザインとなります。
エンジンは旧ff-1のEA61シングルキャブ版を残しこれをff-1・1100(廉価版)に搭載、新設定の1300Gには1.3Lまで排気量UPを施したEA62型 80psとEA62S型ツインキャブ93psを搭載しました。
先にも触れましたがワタシが経験したのはシングルキャブ版でした、シングルながらパワーは充分でpsと言うよりトルクもりもりで元気に低回転から俊敏な走りができましたが癖のある機構から早く走るのには少々コツがいる、そんな感じを憶えています。

↓インパネも通常(?)なデザインに一新!
(㊦1300Gカスタム ㊨1300Gスポーツセダン)

    
1300Gで一つ特筆したいのは現在の 4駆乗用車=スバル のイメージを決定付ける元祖となる「1300G・バン4WD」が8台程度の製作→販売(5台=東北電力、1台づつ長野県自治体、同検農協と自衛隊納入)がなされたという事です。
FFはその構造から比較的簡単に4駆を造り易い部分に富士重は着目、豪雪地帯のパトロールや作業にそれまでジープを使っていた東北電力から厳冬時の快適性を得られる乗用タイプでの4WD車の製作依頼を受けこれに応えたという事、1300Gバンにプロペラシャフトを通しRrデフを設けトランスファ切り替えのパートタイム式4駆にしたもので当初はRrデフ/アクスルは日産ブルーバード510の物を流用したとの事です!
この1300G・4WDバンは後に話題となる国産量産初の4駆乗用(実際には貨物)のレオーネ4WDバンの先行パイロットモデルであった訳ですね。

↓スバリストには涙モノの“幻”の1300G・4WDバン


71/4には早くもお決まりグリルとテールのマイチェンを実施しますが1000発売から既に5年を経過してライバルが次々とモデルチェンジしてゆく中、どうしても古さは隠せなくなり71/10、次期型になる『スバル・レオーネ』(A22型)を発売、まずはレオーネはスポーティ度が高いクーペのみで登場、この為1300Gのスポーツセダンをこの時に廃止、72/2にレオーネセダンが発売され1300Gを廃止し廉価グレードの1100のみがレオーネと併売されますが同年9月で完全に製廃となりスバル初の独創的FF普通車、スバル1000の系統はこれにて終了し実質的にレオーネにバトンタッチされます。

↓71/10には後継となる『レオーネ』がデビュー


新星レオーネは独創的な機構は従来の1000~1300Gを継ぎながらスタイルは流行のウェッジシェイブを効かせロングノーズ、ショートデッキのアメリカン的出で立ちとなりどこか野暮ったい従来型から大幅にイメージを一新、しかしこだわりの水対エンジン&FF、ロングホイールベースは踏襲し個性派依然、頑固なスバリストを納得させるモノでした。
個人的にはスバルらしくないスタイリングやトヨタを意識し過ぎたエクステリア、インテリアが鼻に付きましたがドライビングフィールは従来型の乗り味を維持、もちろんボクサーサウンドも健在でこのレオーネも人気は低迷しますが2回のフルチェンを経て71y~92y(バンは94y)迄の21年間、富士重のメイン車種として頑張りました!

現在もラインナップされ高い人気を誇る89/2発売のレガシィ、92/11のインプレッサの高評価と実力も“元祖”があったからこそのもので不人気だった(カルトな人気はあったようですが)1000~1300G、華やかな人(車)生ではありませんでしたがその独創性は素敵であり華麗だったと思います、このクルマは『華麗なる独創一発屋!!!』として忘れてはいけません・・・(笑)!
Posted at 2017/03/19 15:30:52 | コメント(1) | トラックバック(0) | 一発屋 | クルマ

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