1990年スイス国内S/B選手権、残り2戦の前に。
ホッケンハイムでWSB選手権にスポット参戦して、前回のブログにも書いたマルコム・キャンベルさんに再会した以外にも、自らのピットに招き入れてくれた選手がいました。
その方は、
フレッド・マーケル選手
当時は、WSBでホンダのエースライダーとして活躍されていた選手です。
当時私が、日本から持ってきたチームのつなぎで姿で、ホンダのマシンを整備していた事で、フレッド・マーケル選手の方から、話しかけてきてくれました。
「ホンダのマシンでレースしているならいい物見せてやるから、ピットにおいでよ。」なんて言ってくれたものですから、私の担当するライダーと共にピットにお邪魔させてもらいました。
マーケル選手が、自分のマシンを見せてくれるのですが、「ちょっと、ここ見てみなよ」なんて示している、同じS/Bで使用しているVFR750R(RC30)のENG.の中身。。。。
(私)
え~~~~~~
え~~~~~~
「そんな所、そんな構造になってないよ~~~~~~~~~~。」
(フレッド)
「だろ~~~、にやにや。」
「メーカーずるいだろ?」(笑)
「秘密だぞ~。」(笑)
何て言いながら、日本でレースしている時では絶対見ることが出来ない部分を平気で見せてくれます。(笑)
ちゃんとレギュレーション(規則)に基づいての事ですから違法ではありませんが
メーカーさんは、すごい事やってるんだなぁ~と。
後それを、オープンに出来る海外のレースでの、「おおらかさ」みたいな所。
帰国後日本のレースが全くつまらなくなったのを思い出します。
それと、スイス選手権でも、私たちのチームはチャンピオンを目指しています。
なので、ライバルは少ない方がいいに決まっています。
何戦目か忘れましたが、シーズン後半のレースでチャンピオン争いのライバルのマシンが、決勝スタート直前でトラブルに。
私は「ラッキー」と考えていました。
日本だと、スターティンググリッドから「排除」させられてピットスタート扱いとかになる状態。
ライバルのマシンもホンダ製。RC30のリア片持ちスウィングアーム方式で、リアのスプロケット調整のエキセントリックの締め付けが弱かったらしくチェーンがダラダラ状態に。
するとさぁ、私の担当のライダーが私に「直せるか?」って聞くのよ。
「直せる(調整できる)けどその工具は、ここに持ってきていないよ。ピットだよ」って言うと、他のライダーも含めてスタートラインに着こうとしないのよ。
駆け足で工具取りに行くしかないじゃん。
そうしていると、他のクラスのライダーがスクーターで乗せてピットまで行ってくれて工具を取りに戻れた。
工具取ってきて、ライバルのマシンのチェーン調整して、約20分ほどのレーススタートのロスタイム。
他の選手も誰も文句も言わないし、逆に「グーテアルバイト!(Good Job!)」ってみんなが言ってくれる状態。
多分、この写真がライバルのマシンを調整し終わってのスタート前の時かなと。
トラブルで出走できなくて、勝った!なんて誰も考えていない。
「よーいドン!」で走って誰が一番早いか?
こっちでの(ヨーロッパ)レースが日本と違っていかに根付いて面白くて愛されているかという事を実感した体験でした。
日本での日本のレースで、メーカーの「事情」もあるでしょうけど、こういうの「経験」すると、帰国後のレースに一気に興味が失せた感じになった事を思い起こします。
続く。
Posted at 2023/02/12 01:38:48 | |
トラックバック(0) |
ヨーロッパ | 日記