事前のシミュレーションで7秒差だったFD2.ウェットコンディションであればパワー差も少しは縮まるか?という事でロガーを貸してデータ取らせてもらいました.
今回FD2の方は,2年越し(?)の公約をようやく果たしてニュータイヤ(RE-71R)を投入.今年に入ってワンランクレベルが上がった感のある某FD2との決戦に挑むようです.
ミニサーキットであれば何とか追走も試みるのですが,さすがに国際コースでは速度レンジがEF8と違い過ぎ,またウェットコンディションでヒヨるようなドライバーでもないので,追走動画はありません・・・.
それでは,まず,実際の差がどれくらいだったのか?をLAP+の比較動画でご覧下さい.
はい.圧倒的ですね! タイム差は・・・,
FD2 ・・・ 2'33.790
EF8 ・・・ 2'44.696 (+10.906)
という事でパワー差が縮まるどころか,余計引き離されました.
通常であれば車速のデータで細かく分析するのですが,これだけ差があると比較にもならないので,今回はライン取りの方で分析してみます(赤:FD2 青:EF8).
①1~2コーナー
1コーナーの進入速度は,EF8が152km/hであるのに対し,FD2は167km/h.ブレーキングポイントは,この車速差なのでEF8の方が僅かに奥でした.
EF8の車載で確認すると,ブレーキングポイントは大体130m手前くらいでしょうか.
ライン取りは大きく異なりますね.FD2(赤)の方は1コーナーのクリップを無視して1コーナーのアウトで止めるような印象です.こちらの方が2コーナーに向けて早くアクセルを全開に出来ますし,2コーナーの立ち上がりはEF8(青)と同じラインになるので,こちらの方が正解でしょう.
②3~4コーナー
ここも進入速度は,EF8が140km/hであるのに対し,FD2は164km/h.同じく車速差があるのでEF8の方がブレーキングは奥です.
1コーナーと同じく,ブレーキングポイントは130m手前といったところでしょうか.
多少のズレはありますが,ここは,ほぼラインが同じですね.
③5コーナー
進入速度は,EF8が154km/h,FD2が167km/h.この3つのストレートの中で最も差が小さいですが,これは4コーナーの立ち上がりから踏めているからでしょうか?
ブレーキングポイントはちょっと分かりづらいですが,150m手前くらいでしょうか.5コーナーは出口がタイトなので速度を落とすために手前から踏んでいるのだと思われます.
FD2(赤)の方がしっかりとアウト側から進入しているのに対し,EF8(青)は中途半端な位置からターンインしています.この差が立ち上がりで全開に出来るポイントの差として表れており,このコンディションでも幅をしっかり使えるのはドライバーの腕の差ですね.
④S字カーブ
私にとって,もてぎで一番好きなコーナーなのですが,このコンディションでは楽しめず,本当に残念です.手前に川があるので,そこを渡ってからのブレーキングとなりました.
ブレーキングポイントは,ほぼ100m手前.進入速度はEF8が140km/h,FD2が148km/hといったところです.
ここはFD2(赤)のラインが非常にきれいです.EF8(青)の方は進入でアウトに寄せれていませんし,1つ目のコーナーで突っ込み過ぎています.走行中は突っ込んでいる意識はあまりなかったのですが,挙動が乱れるのを嫌って早めにアクセルを入れていたのでアンダーを誘発していたのかもしれません.
⑤V字コーナー
ここは,ちょうどブレーキングを開始するポイントに川が流れているので,非常に神経を使いました.
ブレーキングポイントは70m手前ぐらいでしょうか.EF8が121km/h,FD2が134km/hです.
EF8(青)は川を嫌ってアウトに寄るタイミングが遅いですが,そこから大きめにステアリングを切り込んで行くのでインに寄せるのは早いです.ただ,これが寄せ過ぎとなってラインを苦しくしてしまい,立ち上がりはアウト側まで目一杯使っています.
⑥ヘアピンカーブ
GT6でも苦手だったコーナー.
ブレーキングポイントは110m手前.ドライであれば3速 or 4速で悩んだのでしょうが,このコンディションでは3速一択でした.EF8が130km/h,FD2で138km/hです.
ここは奥にクリップをとって,少しインを開け気味に進入したかったのですが,出来ていませんね・・・.FD2(赤)のラインが理想的です.
⑦90°コーナー
ダウンヒルストレートエンドの最も度胸が試されるコーナーです.
何とか150mまで頑張ろうと思いましたが,やっぱり恐怖感が強いので,ほぼ200m近辺からブレーキング.ロガーで見るとFD2も同じくらいのポイントで,車速はEF8が172km/h,FD2が184km/hでした.
EF8の方が少し切り込みが遅いですが,立ち上がりに差がないので同じラインと言って問題ないでしょう.
⑧ビクトリーコーナー
ドライであれば,色々なライン取りを試せるのですが,このコンディションだと選択肢はあまりありません.FD2(赤)がカクカクしたラインを描いていますが,これはセカンドアンダーブリッジでGPSを一瞬ロストしているせいでしょう.
余談ですが,今回,EF8は747Pro(LAP+),FD2はデジスパイスⅢで計測しました.他のサーキットだと概ねデジスパイスの方が精度が良かったのですが,こういうブリッジがあるところではLAP+の方が自然に補完してくれて,妥当なラインを描いてくれますね.デジスパイスにそういう機能がないのは少し意外でした.
話を戻して,今回,セカンドアンダーブリッジを抜けた左コーナーで,ちょうどインに切り込むポイントに川が流れており,何度も外に飛ばされました(DC2がスピンしてました).このため,私は進入で少しアクセルを抜き,飛んでもコースに残れるように意図的にインに寄せて走りました.FD2(赤)の方は「飛んでも気にしない!」そうなので,大胆にアウトから進入していますが,立ち上がりのラインに差はないですし,ボトムスピードもほとんど一緒なので,ここは安全策をとっても問題なかったと思います.
以上,比較結果でした.
全体的に言えるのは,「やっぱりパワー差が顕著に出るなぁ~」と(笑).ストレート1本で10km/h以上離されたら,やっぱりついていけません・・・.ブレーキングの面では,こういうコンディションではABSの恩恵が大きく,ABS(ALB)のないEF8では,かなり神経を使ったブレーキングを強いられました.それでも車速と重量の差の分だけFD2よりもブレーキングを遅らせ,飛び出す覚悟でチャレンジした
1回以外はミスをしなかったのですから,その点は良くやったと思ってます.
ライン取りの面では,全体的にFD2の方がコース幅をきっちり使って,立ち上がり重視のきれいなラインを描いています.V字にターンする事が得意なスタイルとコースレイアウトが合わさって,非常に気持ち良く走っているのがデータからも分かります.車両の安定感というのも要因の1つとは思いますが,FD2のドライバーが車速レンジが上がろうとも,コンディションが悪かろうとも,持てる性能を十二分に引き出して走っている点には,素直に敬意を表したいと思います.
なお,FD2対決は,この動画の先頭走ってる方の勝利でした!