TC1000で感じた不可解な挙動の原因を突き止めるべく,似て非なるコーナーでテストしようとTC2000に行って来ました.
テストするコーナーは80Rと最終コーナー立ち上がり.いずれも舵角を保持しつつ,アクセルを全開にするコーナーで,旋回速度はTC1000の2コーナーより遥かに上.これで出なければクルマのセッティングの問題ではないと証明出来るかと思います.
更に今回はドライバーの問題かどうかも確認するため,レーシングドライバーの野間 一さんにもEF8に乗って頂き,比較を行いました.
結果から先に報告すると,
現象は再現せず.
野間さんからも問題ない旨のコメント頂いたので,足回りの状態やドライバーの操作に起因したものではない事が確認出来ました.「じゃあ,何なの?」という点に関しては,まだ特定出来るだけの材料が揃わず(ホントに親切な小人さんのせいかも・・・笑),継続調査にしたいと思います.
さて,折角プロに乗って頂くのに,単なる挙動チェックでは申し訳ないので,この日,
どうあがいても届かなかったタイムを出すために,今後EF8をどう変えていったら良いか?を 野間さんに限界時の挙動を探って頂きつつ,アドバイスを頂きました.
以下に頂いたコメントを纏めます.
・(この状態でも)目標タイムには何とか届いた(↓).
・ただ,フロントとリア両方のグリップがもう少し欲しい感じ.
・でも,とにかく乗ってて楽しい.いやぁ~,ホント楽しかった!
・改善点としては,最終コーナーの進入でリアのスタビリティが足りない点.
・ウイングを1ノッチ立てるか,リアのキャンバーをもう少し付けた方が良い.
・前後バランス自体は問題ない.ヘアピンでもよく曲がる.
・ヘアピンの良さを残しつつ,最終コーナーのスタビリティを確保するにはウイングで対処するのが良い.
・空力はミニサーキットでは分からないので,そこが今後詰めるポイント.
・ウイングを立てるとストレートが遅くなるかもしれないが,それは最終コーナーで十分取り戻せる.
・3速のシンクロがダメージを負っているようだ.4速は問題ないのでクラッチは問題ない.
・そのシンクロも致命傷ではなく,一呼吸置いてシフトすれば大丈夫だろう.
・EF,EGの世代は3速のシンクロが弱いので,ダメージは仕方がないかもしれない.
・あと,この気温(20℃オーバー)だと,油温が厳しい.
・ラジエターにシュラウドを付けると効果的なので,是非試してみて欲しい.
・そうすれば,もっと連続周回出来て楽しめる.
・ブレーキは正直好みではないが,これは本当に好みのレベル.
・もう少しリアの効きが欲しい気もするが,これ以上はロックするかも・・・.
(↑確かに,2ヘアでロックさせてバランスを崩したりして,合わせるのに苦労していたようです)
・足回りは良く出来ている.CR-Xはリアがピーキーなのだが,それを見事に消してある.
・メーカーのテストドライバーが仕上げたような感じ.君はそういう仕事をしているの?
・もし,CR-XにTYPE-Rがあれば,こんな仕上がりになるんじゃないかと思ったくらい良い出来.
・(ロールが大きくないか?と尋ねると)確かに大きい.でも,それが良い.
・レーシングカーも実はロールは大きい.
・それはタイヤが新品だろうが,摩耗した状態だろうが,路面がウェットだろうが走れるようにするため.
・確かに1発の速さを求めれば,もっと固い方が良いが,この状態の方がオールマイティ.
・君の走りを見た事はないが,恐らくロールを使った丁寧な走らせ方なんじゃないかと思う.
・操作が荒い人だと,反応の良さを求めて闇雲に足を固くするため,こういう仕上がりにはならない.
・国際コースに合わせるなら,もう少し固い方が良いが,TC2000までならこれで十分だろう.
・玄人好みなセッティングで,個人的にもこれが好き.非常に気に入った!
・・・という感じで絶賛頂きました(有難う御座います!).
ちなみに,当日,私がどう足掻いても出なかったタイムを,野間さんはきっちり上回って,ドライバーの鍛錬が足りていない事を示してくれました.後学のためにLAP+で比較しておきます(青:私 緑:野間さん).
①1コーナー進入(1つ目の赤丸)
私(青)の方がトップスピードが2.2km/h遅いです.これはそのまま最終コーナーが遅いという事ですね.
②1コーナー立ち上がり(2つ目の赤丸)
ブレーキを徐々に緩めながら,エイペックスまでブレーキを残す野間さん(緑)に対し,私(青)は同じ踏力のまま早めにブレーキングを終わらせ,フロントタイヤのグリップを確認しつつ,早めにアクセルを踏むようなイメージです.ブレーキング~エイペックスまでの間で瞬間的に野間さんから0.15秒引き離されるのですが,立ち上がりで早くアクセルを踏む事で,これを帳消しにし,差はありません.
③1ヘア進入(3つ目の赤丸)
アクセルコントロールする私(青)に対し,踏み切る野間さん(緑).終端速度で1.4km/hの差がつきますが,タイム的には違いはありません.
④ダンロップ(4つ目の赤丸)
ここは今回,私(青)がかなり頑張ったポイントで,ボトムスピードを100km/h以上にする事を心がけました.これが功を奏し,瞬間的には0.15秒リード出来ています.
⑤2ヘア進入(5つ目の赤丸)
80R後に,7600rpmくらいで3→4速にシフトアップする私(青)に対して,7900rpmまできっちり引っ張ってシフトアップする野間さん(緑).この僅かな差で0.05秒差を詰められます.
⑥2ヘア立ち上がり
私(青)がボトムを落とし過ぎてしまったため(6つ目の赤丸),瞬間的に差がゼロに・・・.ただ,クルマの向きは私の方が変わっているようで,その後の加速ではこちらの方が上.3速エンドまでに0.05秒稼ぎ出しますが,その後の3→4速へのシフトチェンジで,再びきっちり8000rpmまで引っ張る野間さん(緑:7つ目の赤丸).これでもう一伸びをひ捻り出し,最高速153km/hをマーク(8つ目の赤丸).再び差はゼロとなりました.
<⑦最終コーナー(最後の赤丸)>
結局,差がついたのは最終コーナーでした.ブレーキング開始のポイントに大きな違いはありませんでしたが,ブレーキリリースとアクセルONのタイミングに違いがありました.
【ブレーキリリースのポイント(上:私 下:野間さん)】
早めにブレーキをリリースしたものの,車速が高い(120km/h)のでリアが不安定でアクセルを踏めず躊躇する私(上)に対し,野間さん(下)は限界を見切って,そのポイント(116km/h)へピタリ!
【アクセルONのポイント(上:私 下:野間さん)】
リアが安定するまで待っている間に114km/hまで失速する私(上)に対し,シビアにアクセルONのタイミングを見計らって踏込む野間さん(下).
最終コーナーの前半部分で処理をしている私に対して,コーナーの奥で処理をしている野間さん.
この違いが最終的に0.2秒の差となって表れたようです.
なお,Sec3の公式タイムで比較すると以下の通り.
野間さん ・・・ 12.265
私 ・・・ 12.489 (+0.224)
今回,走っている最中は「最終コーナーの攻略方法を掴んだ!」と思ったのですが,この結果を見るとまだまだのようですね・・・.先述の不可解な挙動の解明と平行して,ドライバーの鍛錬も引続き行っていきたいと思います.
野間さん,今回は色々とアドバイス頂き有難う御座いました!