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OX3832のブログ一覧

2024年03月10日 イイね!

走行時の印象と風の影響

走行時の印象と風の影響ブレーキ慣らしの目的で走ってきた先日のTC1000ですが,合わせてトー角のテストもしてきたので当日感じた事を残しておきます.

トー角変更に至った背景としては,ボールジョイントを直してキャンバー角が減った辺りから,ステアリングの切り始めのレスポンスが鈍くなり,これの対策としてフロントのトー角を20'→10'に閉じました.狙い通りコーナー進入時はそれで反応は良くなったのですが,今度はコーナー立ち上がりで踏ん張りが効かず,TC2000ではコース外にタイヤを落とし掛けました.

このため,さすがに10'だと閉じ過ぎと判断し,10'と20'の合いの子という事で今回15'にセットしてみました.



街乗りの印象としては,やっぱりトー角が開いているので,交差点を曲がる時にステアリングが戻って来なくなったりして違いはありましたが,コース上ではどうだったか?というと・・・(赤:10' 青:15'),



  ①1コーナー進入時のブレーキングで良く止まる
  ②1コーナー進入時のステアリングレスポンスは悪くない
  ③但し,ブレーキリリース後,1~2コーナー間でクルマが戻って来ない(アンダーステア傾向)
  ④2コーナー出口で膨らまなくなった

  ⑤ヘアピン進入時のブレーキングで止まり過ぎる
  ⑥ヘアピン進入時のステアリングレスポンスは悪くない
  ⑦更に,進入後エイペックス付近(大舵)までグリップ感がある
  ⑧しかし,出口(立ち上がり)はグリップ感が薄い(アンダーステア傾向)

  ⑨インフィールド旋回中に車体の左側(IN側)が持ち上げられる感触がある

  ⑩左高速コーナー進入時でのステアリングレスポンスが悪い
  ⑪洗濯板進入のブレーキングで若干止まらない感がある

  ⑫最終コーナー進入で縁石につけず,出口も膨らむ(アンダーステア傾向)


①・⑤は今回ブレーキローター&パッドを新品にしているので,そちらの影響な気もしますね(↓).



また,今回はタイヤの状態が酷かったので(↓),



③・⑧・⑫の「アンダーステア傾向」はタイヤが原因な気もしており,ここはタイヤを変更してもう一度試してみないと判断がつかないかなぁ~?と思いました.


あと,判断がつかないと言えば今回の「風」の影響.P8枠(15:20~15:40)の頃は,瞬間最大風速:10.6~12.4m/s(平均風速:8.2m/s)の強さで吹いていました.気象庁の定義によると(↓),



平均風速が10m/s未満なので,アレでも「強い風」とは言わないようなのですが,P8枠を走っていたFR勢はアチコチ(2コーナー出口・インフィールド出口・最終コーナー出口)でスピンしていたので,確実に風の影響は受けていたんじゃないかなぁ~?とも思いました.風の向きは北西~西北西の間でしたので,コースに対して真横から吹き付ける形となり(↓),



1~2コーナー間・左高速コーナーでは向かい風,ヘアピン・インフィールド・最終複合では追い風となっていそうです.
これと前述の印象を照らし合わせてみると,

  ③ブレーキリリース後,1~2コーナー間でクルマが戻って来ない(アンダーステア傾向)
   ⇒ 向かい風でリアのダウンフォースが増えて,アンダーステアが強まった?

  ④2コーナー出口で膨らまなくなった
   ⇒ 横風で押し留められた?

  ⑦ヘアピン進入後エイペックス付近(大舵)までグリップ感がある
   ⇒ 追い風でリアが持ち上げられて,曲がるようになった?

  ⑧ヘアピン出口(立ち上がり)はグリップ感が薄い(アンダーステア傾向)
   ⇒ 追い風→横風に変化し,車体が押し出された?

  ⑨インフィールド旋回中に車体の左側(IN側)が持ち上げられる感触がある
   ⇒ インリフト気味の車体左側に風が入り込み,車体が持ち上げられた?

  ⑩左高速コーナー進入時でのステアリングレスポンスが悪い
   ⇒ 向かい風でリアのダウンフォースが増えて,アンダーステアが強まった?

  ⑪洗濯板進入のブレーキングで若干止まらない感がある
   ⇒ 向かい風でリアのダウンフォースが増えているはず ⇒ 別の要因?

  ⑫最終コーナー進入で縁石につけず,出口も膨らむ(アンダーステア傾向)
   ⇒ 追い風→横風に変化し,車体が押し出された?

・・・といった感じで,風の影響と考えると辻褄が合う部分もありそうです.


じゃあ,追い風・向かい風のダウンフォースの増減ってどれくらいなの?と気になったので,ちょっと試算してみました.



まず,ダウンフォースの量は,0.5 × [前面投影面積] × [空気の密度] × [揚力係数] × [速度]^2 という式で求められ,「風」は相対速度という形で影響するため,ダウンフォースに対しては二乗で効いてくる事が分かります.

次に,瞬間最大風速:12.4 [m/s] = 44[km/h] ですので,相対速度の増減は追い風の-44km/h,向かい風の時は+44km/hとなります.先程の印象の中でダウンフォースの影響を受けていそうな③(1~2コーナー間)に着目してみると,

  車速(86km/h) + 向かい風(44km/h) = 相対速度(130km/h)
  速度の増加比 = 130km/h / 86km/h = 1.5

となり,速度が1.5倍 ⇒ リアのダウンフォース量が2.2倍となりますので,こりゃリアが喰ってアンダーステアも強まるのも納得ですね.


以上,走行時の印象と風の影響に関する考察でした.

最後にもう1個変化点の話.今回ブレーキペダルとクラッチペダルのブッシュをリフレッシュしたのですが(↓),



ブッシュ交換時にペダルの脱着をした事もあってクラッチのミートポイントが変わってしまい,加えてペダルの反力も小さくなったので,ミートポイントが感じ取りづらくなってしまいました.私はこれがどうしても気に入らなかったのでクラッチワイヤーを調整してミートポイントを奥に設定したのですが(↓),



どうやら奥に設定し過ぎてしまったようで,クラッチ断→ペダル踏切り→ペダル持ち上げ→クラッチ接の一連の操作に掛かる時間が短くなり過ぎたようで,洗濯板手前でのシフトダウンで2速に入れ損ねる事が何回かありました(↓).



従来の感覚でヒール&トゥをやると,シフトを3速から抜いて2速に入れる前に,クラッチが繋がってしまい,2速に入れようとしても弾かれてギヤが入りませんでした・・・.洗濯板のブレーキングはエンブレも併用する事前提で進入しているので,2速に入れ損ねてエンブレが効かないと思った通りの制動力が出ず,「うわぁ~,止まらないー!!」と一瞬ドキッ!としてしまいました(苦笑).

∑( ̄Д ̄; ) ドキッ!!

幸いにしてフットブレーキだけで止まれる速度だったので何とかなりましたが,あんまり心臓には良くないですね・・・.シフトダウンだけでなく,シフトアップの方でも何回かミスっていたので,次回はもうちょいミートポイントを上にして操作時間を稼ごうと思います.
Posted at 2024/03/11 12:19:22 | コメント(0) | トラックバック(0) | セッティング(空力編) | 日記
2023年08月14日 イイね!

リアバンパー・アップデート

リアバンパー・アップデート2019年にフロントバンパー下へアンダーパネル(ディフューザー),2022年にサイドステップから吊るす形でフロア下にアンダーパネルを追加し,残る最後のリアバンパー下へアンダーパネルを追加してみました.

これでフロア下はやれるだけの事はやったので,エアロキットとしてはほぼ完成型.あとやるとしたらフロントにカナードを追加するくらいですかね?(そちらもフェンダーフラップがあるので近々ではやる気ありませんが)

さて,今回はリアバンパーに行った諸々のアップデートに関して,一連の経緯を纏めておこうと思います.

最初はEF8の先輩のように,ディフューザーを取付けたいなぁ~と考えていた事が発端でした(↓).



しかし,EF8はデッカイマフラーが真横に鎮座しているので(↓),



これを撤去しないとディフューザーは付けられず,これだけ大きい消音タイコを撤去するとなると,その先に待つのは爆音ストレートマフラー・・・という事で,「それはさすがに・・・」という事でディフューザーの追加を諦めました.


ディフューザ―を付けないなら,リアバンパー下部の樹脂部分をパッツンカットして(↓),



パラシュート効果を低減するのが手っ取り早いのですが,コース上ではともかく,「街乗りでそれはなぁ・・・」という事で暫く保留にしていたのですが,無限PRO.2のリアバンパー下部がフラットな平板形状になっている事を知り(↓),



m9っ`Д´)コレダッ!!

と閃きました.


先述の通り,フロントバンパー下とフロア下には既にアンダーパネルを追加してあるので,それなりに整流効果はあります.本当はここからもう一歩踏み込んで,フロア下でダウンフォースまで発生してくれると嬉しいのですが,調べてみたところ「車高を10mm以下まで下げないとフロア下でダウンフォースは発生しない」という事のようなので(↓),


(Aerodynamic Effects of Indy Car Componentsより)

車検対応の90mmレベルじゃ全く効いていない事を知り,だったらディフューザーを追加してもダウンフォースには寄与しないので,空気抵抗軽減を主眼にする事に切替えました.


ノーマルバンパーの場合,折角フロア後端までパネルを張って整流してきても,最後にマフラーを通過した後がこんな形状なので(↓),



「これじゃ台なしだな・・・」と思い,無限PRO.2のリアバンパーを パクって オマージュしてリアバンパー下にもアンダーパネルを設置し,マフラー後端以降も整流する事にしました.


早速,ショップの店長に相談してみると「そこにパネルを張るのは良いが,空気が溜まって抵抗になる」との事で,リアバンパーに開口部を設ける事を奨められました.そこから色んな方のバンパー開口部の画像を調べ,自分でもお絵かきをしてイメージを膨らませました.

一番多いのは,リアタイヤが巻き上げる空気をキレイに抜くためにバンパー左右の両端に穴を開けるケースだったのですが,EF8は元々バンパーの位置が高く,そこに穴を開けても真後ろにフレームがあるので,空気抜きの効果は低いと考え,止めました.


(こんだけ↑バンパー後端が下がっていれば効果はあるんでしょうけどね・・・)


そうすると穴を開ける位置は中央付近となり,「なるべく目立たないように」とリクエストすると,店長から「メッシュを黒に塗るのは当然として,メッシュの穴自体も極力小さい方が良い」とアドバイス頂き,こんな感じとなりました(↓).


(Sさん,災害級の暑さの中,キレイに穴を開けて頂き有難う御座います.<(_ _)>)


こうしてバンパー側のデザインが固まったので,アンダーパネルの製作を依頼.
そこから先はイメージ以上のものを作って頂けました!





パネルはリアバンパーだけかと思いきや,スペアタイヤハウスにまで張ってくれて,マフラーの上も覆うような形となりました(↓).



勿論,ジャッキアップポイントの逃げは完備(↓).



そして,一番の力作はタイヤハウス後端部(↓).



画像だとよく見えませんが,パネル下端とインナーフェンダーが一体化され,隙間のない形状になっています.空気抜きのためにリアタイヤ後ろに開口部を設けるケースが多いのですが,そうするとそこにタイヤカスやら砂利やらが溜まって,走る度にザーザーと煩い!(定期的に掃除する必要がある)というのをよく目にしました.

しかし,今回作って頂いたアンダーパネルでは,エア抜きをバンパー中央部にした事で左右両端に空気の通り道を作る必要がないので,隙間なくピッタリと埋めて頂く事になりました.工場長曰く「ここが一番手こずった」との事ですが,確かにインナーフェンダーの形状に合わせて板を曲げるのは大変だったかと思います.素晴らしい出来栄えで仕立てて頂き,本当に有難う御座います!<(_ _)>


最後はおまけで,リアバンパーを外して加工するので,ついでに劣化してきていたヒートプロテクターのカーボン調耐熱ステッカーを剥がして,黒に塗ってもらいました(↓).



これで「なるべく目立たないように!」というコンセプトはコンプリート.大変満足です♪


以上,リアバンパーのアップデートでした.

相変わらず期待以上の完成度で,これぞプロの仕事!って感じです.
店長,工場長,Sさん,今回も対応頂き有難う御座いました.<(_ _)>
Posted at 2023/08/16 01:23:16 | コメント(1) | トラックバック(0) | セッティング(空力編) | 日記
2023年06月19日 イイね!

リアバンパーでお絵かき

リアバンパーでお絵かき無限PRO.2のリアバンパーの画像を眺めていてふと思いつき,EF8のリアバンパーを撮影してみました

「ああ,なるほどねぇ~」「へぇ~,ふ~ん・・・」「ココをこうすると,ソコはこうなって,コレがネックになりそうだなぁ~」と色々妄想した後,ショップの店長に相談してみた結果,「そういうのはお絵かきするのが一番だよ」と言われたのでやってみる事にしました.


まずは作業的に一番簡単なホールソー(パターンA).



手作業感満載だから,それよりスリット(パターンB).



3本だとアレなので,2本にしようぜ(パターンC).



もうちょっと長い方が良いかな?(パターンD).



なら,中心寄りでも良いんじゃないか?(パターンE).



それだったら全部開けちゃえ!(パターンF).



さすがに,もうちょっと大人し目に・・・(パターンG).



いやいや,それなら上じゃなく下だろ(パターンH).



下ならもうチョイ下げても?(パターンI).



それは強度が出ないぜ?(パターンJ).



面倒だ.切っちゃえ!(パターンK).



切るんだったら,樹脂部全部だろ!(パターンL).



まぁまぁ,ちょっと落ち着こうか(パターンM).



それだったら,ココまでやろうぜ(パターンN).



いや,だから落ち着こうか(パターンO).



縦型もアリ?(パターンP).



内側寄りでも,ソレはないな(パターンQ).




以上,リアバンパーでお絵かきでした.

EF8の場合,リアバンパーの真裏にフレームがあるので,あまり高い位置に穴を空けても意味がないんですよねぇ(穴越しにフレームが見えてあまり格好良くないし).空力優先ならリアタイヤの真後ろにスリットを入れるのが正解にも思えますが,そこにもフレームがあるのでEF8の場合はあんまり意味がない.じゃあ,低めの位置で~と言うと,パッツン!と下側を全部カットした方がイイと言われ,それで街乗りでさすがにチョット・・・という感じで,堂々巡り(笑).

ま,お絵かきするだけならタダなので,他車種のを色々見てみます.
Posted at 2023/06/20 00:36:11 | コメント(3) | トラックバック(0) | セッティング(空力編) | 日記
2023年05月06日 イイね!

NACAダクトのお勉強

NACAダクトのお勉強こもりん.さんがダクトのアップデートを行っているのを見て,「そういえばダクトって,凹型と凸型はどっちが性能良いんだろう・・・?」と気になりました.

気になったら調べずにいられないのが性分なので(笑),早速調べてみると,凹型の代表格としてやはり「NACAダクト」が出てきたのですが,これに対する凸型の代表格は何だろ?と思ったら,「エアスクープ」でした.

「NACAダクト」というのは,こういう形状(↓)のダクトで,



NASAの前身である「National Advisory Committee for Aeronautic(アメリカ航空諮問委員会)」で開発されたダクトだから「NACAダクト」なのだそうです(ちなみに,私はコレを「ナ・カ・ダクト」と読んでいたのですが,正しくは「エヌ・エー・シー・エー・ダクト」と読むのだそうです).

一方の「エアスクープ」は,こういうヤツ(↓)ですね.



両者の違いをざっくり言うと以下だそうです(↓).

  NACAダクト  ・・・ 空気抵抗(ドラッグ)が小さいが,流入量が少ない
  エアスクープ ・・・ 空気抵抗(ドラッグ)が大きいが,流入量は多い

そして,もう1つこんな特長もあるのだそうです(↓).

  NACAダクト  ・・・ 低速域では機能しない
  エアスクープ ・・・ 低速~高速まで安定して機能する

なので,低速域が中心で車速を問わず冷やしたいラリーカーでは「エアスクープ」,高速域が中心でドラッグを気にするル・マンカーでは「NACAダクト」を用いる事が多いのだそうです.


ふむふむ.なんとなくは分かりましたが,もう少し原理的な情報がないかなぁ~?と調べてみたところ,CFD(Computational Fluid Dynamics)で比較しているサイトを見つけました.これを意訳しつつ読み解いてみると,


(XPLR//CREATE:NACA Duct vs. Scoopより)

「エアスクープ」は多かれ少なかれ空気を開口部に「押し込む」のに対し,「NACAダクト」は独特の形状によって低圧域を作り出し,空気を「吸い込む」という違いがある.両者の風量を比較すると「エアスクープ」の方が吸入量は多い.


(XPLR//CREATE:NACA Duct vs. Scoopより)

つまり,「NACAダクト」は「エアスクープ」の約半分しか吸い込めないという事だが,これイコール「エアスクープが優れている」とはならない.「エアスクープ」はより多くの空気を押し込む事が出来るが,気流を乱し,ドラッグを発生させるからである.


(XPLR//CREATE:NACA Duct vs. Scoopより)

なるほど,なるほど.これでメカニズムは大分理解が進みました.やはり「エアスクープ」の方が「流入量は多いが,ドラッグも大きい」で間違いないようですね.まぁ,形状から想像すれば当たり前と言えば当たり前な気もするので,もう少し「NACAダクト」の方の理解を深めみようと調べてみたところ,こんな解説を見つけました(↓).




「NACAダクト」は,元々「エアスクープのドラッグを減らしたい」というニーズから生まれたそうで,使いこなすには色々と制約条件があるそうです.

1つ目は,入口に段差を設けない事.



入口に段差があると,それで渦が出来てしまい,狙い通りに空気を吸いこめないのだそうです.


2つ目は,取り込み口の上部に丸みを持たせる事.



丸みをもたせず,単なる先の尖った開いたにすると,それで渦が出来てしまうのだそうです(↓).




3つ目は,取り込み始めのサイド形状は切り立った形にする事.



これによって,下に引き込む渦を作り,真ん中部分で吸い込む流れを作れるためだそうです.


4つ目は,取り込み口の周辺は逆に形状を滑らかにする事.



これによって,取り込み口周辺は渦をなくし,気流がなるべく中央に集まるようにするのだそうです.


こういった機能を確実に発揮させるために,寸法に対しては以下のような注意点があるそうです.



  ・ダクトの開始点は,ダクトの横幅の2倍の距離を取る
  ・取り込み口はなるべく深くし,剥離が起きないようになだらかにする
  ・ダクトの深さは,ダクトの横幅の1/5は必要

なお,「NACAダクト」は吸入口としての用途以外に,排出口としても使う事ができ,ディフューザー下面等に使うと効果的なんだそうです(↓).




以上,「NACAダクト」のお勉強でした.

昔のスポーツカーは「NACAダクト」をよく使っていましたが,最近は見ないなーと思ったら,こんな違いがあったのですね.きちんと使いこなすにはそれなりの知識が必要なようですが,上の画像のように現役のレーシングカーでも使われていますし,適材適所で使えば効果的なんでしょうね.
Posted at 2023/05/07 00:24:23 | コメント(1) | トラックバック(0) | セッティング(空力編) | 日記
2023年04月21日 イイね!

シェブロンのお勉強

シェブロンのお勉強FL5がニュルブルクリンクのFF車最速タイムを記録」というニュースが流れてきましたが,最初見た時,「えっ!? あの反則級なメガーヌのタイムを超えたの??」とビックリしました.

よくよくニュースを読んでみると,メガーヌR.S.トロフィーRのタイムは2019年以降に制定された新計測方式の方で,おまけにFL5も軽量版の「TYPE R-S」仕様との事.「S」の詳細は明らかにされていませんが,FK8→FL5の伸び代を考えれば妥当な数値なんですかね?

ちなみに,ニュルブルクリンクの新旧の計測方式の違いは,最終コーナー部分を含むか? 含まないか?だそうで,コチラに詳しく纏められていました(新方式は含む).


さて,そんなFL5ですが,ホンダアクセスが昨年ドライカーボン製のリアテールゲートスポイラーを発表していました.当時は高額な事で話題になっていましたが,私は興味がなかったので「ふ~ん」で流していました.

最近になって,ふとしたきっかけでホンダアクセスが掲げる「実効空力(日常の速度域でも味わうことができる空力効果)」の話を目にして,少し興味が湧いたので調べてみたら,先述のスポイラーが出てきました.



この中で一番気になるのが,ウイング裏面に取り付けられたノコギリ歯形状の「シェブロン(↓)」.



曰く「直進から旋回に移った際,通常のスポイラーでは空力的に追従出来ない部分があり,左右輪のダウンフォースにズレが生じるのだが,(シェブロンを加える事で)旋回に対してスムーズにダウンフォースが発生するようになった」との事.この文字だけ読んでると何を言っているのかピンと来ないですが,意訳するとこういう事(↓)なんじゃないかと思います.

  ①直線を走っている時は,リアウイングには空気は真っ直ぐ当たるので形状通りのダウンフォースが出る
  ↓
  ②その状態からコーナリングを始めると,角度がつくのでリアウイングには空気が斜めに当たる
  ↓
  ③ウイングに対して斜めに空気が当たると,ウイング下面に空気がキレイに流れない
  ↓
  ④ウイング下面にキレイに空気が流れないとダウンフォースが減る
  ↓
  ⑤一番欲しいコーナリング開始時にダウンフォースが減るのは困る
  ↓
  ⑥ウイングに対して斜めの角度で空気が当たっても,キレイに空気を流したい
  ↓
  ⑦シェブロンを付けるとそれが出来る

ここで言っている「キレイに流す」というのは,「気流がウイングから剥離しない」という意味になりますので,「シェブロンを付けると気流が剥離しにくい」という効果を得られるのだと推測しています.


効果が何となく分かったところで,そもそも「シェブロン」って何なの?と調べてみると,「騒音低減のため,いくつかのジェットエンジンの排気ノズルの後縁部に使用される鋸歯状のパターン」だそうです(Wikipediaより).



・・・してそのメカニズムは?と更に調べてみると,「低減の物理的なメカニズムについては未解明の部分もあるが,排気流れに縦渦構造を積極的に導入することによるせん断層の混合促進効果や,衝撃波セル構造が明確に形成されない事による発生音低減効果などが要因と考えられる」そうなのですが,正直,何言ってるんだか,私にはさっぱり分かりません(笑).

図解の説明はないのか~?と更に探してみると,ようやくこんな図(↓)にお目に掛かれました.


(Gauss Centre for Supercomputing:Reducing Jet Noise with Chevron Nozzlesより)

左が通常のノズル,右がシェブロンノズルです.この両者の比較を化したのがこんなイメージ(↓).


(Gauss Centre for Supercomputing:Reducing Jet Noise with Chevron Nozzlesより)

上が通常のノズル,下がシェブロンノズルです.通常ノズル(上)の方は「ザ・ジェットエンジン!」という感じで勢い良く気流が後方に向かって噴き出していますね.これに対してシェブロンノズル(下)の方は途中で勢いが弱まってヘニャヘニャと気流が混ざっているような感じです.この「混ざり」がジェットエンジンの騒音低減には効果的なんだそうです.

騒音観点ではそれで良いとして,性能的にはどうなの?とよく見てみると(↓),



ノコギリ歯の直後の気流(赤丸部分)が中心方向に引き込まれている様子が読み取れます.従って,この図で言うと「通常は横方向に流れるはずの気流が,縦方向に引っ張られてノズルの形状に沿って気流が流れるようになった(剥離しにくくなった)」という事のが「シェブロン」の効果なんだと思われます.


こういう気流の剥離を抑制する装置としては「ボルテックスジェネレーター」が有名ですが(↓),


(三菱自動車テクニカルレビュー:ボルテックスジェネレーターによる空気抵抗低減の研究より)

「ボルテックスジェネレーター」は気流が真っ直ぐ当たっている時にしか,効果を発揮しないのに対し,「シェブロン」の方は気流が斜めに当たっても同様の効果を得られるというのが違いのようです.


なるほど.なかなか良さそうなデバイスですが,今回のFL5が自動車向けとしては世界初なのか?と調べてみると,エンジンルームの熱抜き用途でアンダーパネルに採用している事例(↓)とか,


(wonder driving:究極の空力性能! SiFo ルノークリオRS CUP試乗レポート(1)より)

ボディ一体のテールスポイラーとして採用した事例(↓)とか,




(ITmedia ビジネスオンライン:シムドライブのEV「SIM-CEL」、「突き抜ける加速感」でクルマの魅力を追求より)

他にも事例はあるようです.


最後に,「シェブロン」のデメリットはないのか?と調べてみると,先程のジェットエンジンの説明の中で「巡航時の圧力損失が増加する」というのを見つけました.これは先程の気流の絵を見れば分かる通り,エネルギーが全て横方向に排出されるのではなく,縦方向にも使われるので,イコール抵抗増加となるんだと思われます.

なるほど.だから「実効空力(日常の速度域でも味わうことができる空力効果)」なんですね.


以上,「シェブロン」のお勉強でした.
Posted at 2023/04/22 19:52:41 | コメント(1) | トラックバック(0) | セッティング(空力編) | 日記

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「[整備] #CR-X フロントスプリング交換 https://minkara.carview.co.jp/userid/1684331/car/1250119/7767117/note.aspx
何シテル?   04/26 23:09
EF8乗りの先輩にタイムアタックで挑んでいます.現在までの通算成績は9勝20敗.GPSロガーを使ってマシンとドライビングの問題点を洗い出し,アップデートさせなが...
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