(この記事は,
負けられない戦いがある‼️ について書いています)
オレさまFD2 vs カワイさんの戦いは,タイヤ性能に差があり過ぎる状況で
オレさまの勝利 となりました.これが僅差であれば違ったのでしょうが,1.7秒差なのでオレさまは余裕しゃくしゃく.「そのクルマで41秒台出したら相手してやるよ!」とカワイさんを挑発します.
さすがのカワイさんも逡巡しているので,「同じ条件で勝負してみては?」と提案し,カワイFD2を使ったドライバー対決となりました.
結果は・・・,
【オレさま:41.957(S1:9.948 S2:18.306 S3:13.703)】
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【カワイさん:41.771(S1:9.708 S2:18.292 S3:13.771)】
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となり,オレさまが41秒台を出したのを見た後,カワイさんが意地の走りで0.18秒上回り,オーナー殺しを見事阻止していました.こんな面白いイベントを指をくわえて見てるのは勿体ないので,勝手にカワイFD2にロガーを乗っけてデータを取ったので,両者の走りの違いを見てみる事にします.
まず,全体のデータはこんな感じ(青:オレさま 緑:カワイさん).
グラフは,上が車速・下がタイム差(上に行くほどカワイさんが速い)です.0.18秒差なので,それほど大きな違いはありませんが,部分部分で見てみると結構違って面白いです.細かく見ていきましょう.
1コーナー
進入速度はオレさま(青)の方が1.5km/h高く,ブレーキング直前で一伸びしている感じです.最初は計測誤差かな?と思ったのですが,車載を見てみたところ,ちょっとした違いがありました.
カワイさん(緑)は1コーナーへの進入からブレーキングまで,ほぼステアリングの舵角が一定なのですが,オレさま(青)は最初に舵を入れて向きを変えた後(↓),
ブレーキングをする直前で一瞬舵を元に戻しているようです(↓).
この一瞬の戻しによって操舵抵抗が減り,1.5km/h車速が伸びているようです.では,この伸びを稼ぐのにオレさま(青)は意図的にそれをやっているのか?というと,そうではなく,どうやらオレさまは舵を入れたままブレーキングする事が苦手なようで(ステアリングが真っ直ぐな状態でないとブレーキを踏めない),この癖がこの後ちょくちょく出てきます.
2コーナー
ステアリングを真っ直ぐに戻してからブレーキングするので,オレさま(青)の方が高い制動力を発揮して一気に減速し,その後ブレーキを緩めています.一方のカワイさん(緑)は舵角一定,ブレーキも一定なので,同じ減速度がボトムまで続きます.どちらが速いか?と言えば,当然カワイさん(緑)の方で,これで0.18秒リードする事になります.
3コーナー
ブレーキング中の途中経過は違いますが,ライン取りは両者一緒で,ボトムスピードも一緒.違いが出てくるのはアクセルONのタイミングです.
オレさま(青)はココ(↓)から踏み始めるのに対し,
カワイさん(緑)はココ(↓)まで我慢します.
正面の白い鉄塔で位置関係を見るとよく分かると思いますが,オレさま(上)の方は4コーナーの縁石が全く見えないところから踏み始めるのに対し,カワイさん(下)の方はしっかりと4コーナーの縁石が見えるところまで我慢しているのが分かると思います.距離にして約16mくらいカワイさんの方がアクセルONのタイミングが遅く,これによってしっかりと向きを変えているようです.ただ,タイム的にはオレさまの方が早くアクセルを踏んでいる分,0.18秒の遅れを取り戻し,瞬間的には追いつくのですが,この向きの違いが次の4コーナーで再び差を生みます.
4コーナー
3コーナー手前で早くアクセルを踏むという事は,それだけクリップから離れるという事なので,オレさま(青)は3コーナーの縁石を踏めず,弱アンダー気味で4コーナーにアプローチする形となります.その結果,4コーナーの切返しで向きを変えるのが苦しくなり,オレさまは4コーナー手前で一瞬アクセルOFFし,加速が途切れています.
一方のカワイさん(緑)は,3コーナーの縁石をきっちり踏んで,そこから5コーナーまでアクセルは踏みっ放し.一直線に車速が伸びていきます.手前でアクセルを開けるのを我慢し,クルマの向きをきっちり変えた上で,それを活かして3~4コーナーのS字区間を真っ直ぐ全開で駆け抜けていく.非常に勉強になる走らせ方です.これで,続く6コーナーのブレーキングまでにカワイさん(緑)は再び0.2秒の差をつけます.
6コーナー
高い進入速度を活かして6コーナーにそのまま飛び込むカワイさん(緑).これによりリードは更に0.25秒まで広がります.一方のオレさま(緑)は,ここでも舵を戻さないとブレーキング出来ない癖が出ます.
折角,いい感じでヨーが出て,リアが巻いていきそうな動きをしているのに・・・(↓),
リアが出るのが怖いのか? ステアリングを戻してヨーを殺してしまっています(↓).
ヨーを殺してしまったらクルマは曲がらないので,オレさま(青)は,この後,しきりにステアリングをコジって,フロントタイヤのグリップだけで強引に曲げようとしていますが,そんなので曲がるはずがない.勢いそのままに,発生したヨーを上手く使って曲げているカワイさん(緑)に更に引き離され,差は0.28秒まで拡大します.
7コーナー
しかし,日光での走り込みの差がここで出ます.どうやらカワイさん(緑)は7コーナーの存在に気づいていないようです.6コーナーのスピードをそのまま維持してコーナリングしているため,7コーナーのクリップにつけていません(↓).
(縁石が見えないくらい,7コーナーから離れてしまっている)
一方のオレさま(青)は,さすが7コーナーのクリップをちゃんと狙いに行っています(↓).
(7コーナーを意識したライン取りで,ちゃんと縁石が見える)
6コーナーは下りの緩いすり鉢状のコーナーなので,フロント荷重を維持し易く,アクセル踏みっ放しでも曲げれるため,7コーナーを無視して外側に膨らむ方が速いような気になるのですが,実は距離的に損です.速度を維持したまま,7コーナーをなぞるようにクリアしていった方が,この後の車速の伸びにも効いてきます.
8コーナー
6コーナーからの立ち上がりで,途中カワイさん(緑)が2→3速へのシフトアップでレブに当ててしまい,失速してしまった事も手伝って,オレさま(青)がグングン差を詰めてきます.8コーナー進入の時点ではオレさまの方が進入速度が3.4km/h高く,タイム差も0.2秒まで詰められています.
ここからオレさま(青)はステアリングを小刻みに切って,ボトムを維持しつつ旋回しようとするのですが(↓),
ワン・ツー,ワン・ツーって感じですね(笑).この小刻みにステアリングを切っては戻し,切っては戻しってやるの,私はフロントのグリップが安定しない(タイヤの限界が掴めない)ので嫌いなのですが,オレさま(青)とカワイさん(緑)の車載を見比べると一定の効果はあるようですね.確かにオレさま(青)の方がボトムを上げたまま同じラインでコーナーをクリア出来ています.タイヤの捻じれが減っているのか? 操舵を一瞬戻すのでその分クルマが前に進むのか? 原理は今一つ分かりませんが,カワイさん(緑)より高い速度で旋回出来ているのは間違いないようです.
9コーナー
オレさま(青)のワン・ツー,ワン・ツーって切っているのが功を奏するのが,この9コーナーの立ち上がり.アクセルONのタイミングはカワイさん(緑)もほぼ同じなのですが,9コーナー出口でオレさま(青)がステアリングを真っ直ぐに戻せているのに対し(↓),
カワイさん(緑)は,ステアリングを戻せず,コース外へ落っこちてしまっています(↓).
それだけオレさま(青)の方がクルマを前に進められているという事ですね.これによって遂に差は0.15秒まで縮まりました.
10コーナー
カワイさんのFD2だとバックストレートエンドで4速に入るようですが,ほとんど車速が伸びないですね.カワイさん(緑)の方は完全に車速の伸びを失って,133km/hくらいで停滞する波形となっています.一方のオレさま(青)は4速に入れてからもう一伸びしていますが(135km/hまで出ている),その伸びのせいでブレーキング開始のタイミングを逸していますね.
完全な突っ込み過ぎで,タイヤのグリップを縦にフルで使っているのに,もう切らないと間に合わないからと無理やりステアリングを切ってます(↓).
当然,この後はドアンダーな訳で10コーナーのクリップを外し,外に膨らんでいきます.一方のカワイさん(緑)は手前で引いているので,オレさま(青)ほどのドアンダーではないですが,こちらもタイヤは悲鳴を上げているので曲げるのが苦しそう・・・.ZTS-7000だとここは少しグリップが足りないのかもしれませんね.
11コーナー
カワイさん(緑)は10~11コーナーを繋げて1つのコーナーに見立てているようで,ヨーを上手くコントロールしながら,ステアリングの舵角を維持したままキレイに旋回しています(↓).
一方のオレさま(青)は,10コーナーのドアンダーを挽回するべく,10~11コーナー間で再加速し(1つ目の赤丸),そこからブレーキングするのですが,ここでもお約束のステアリングを真っ直ぐにしてからブレーキングです(↓).
カワイさん(上)と見比べると差が明らかですね.同じクルマ・同じコーナーでコレですから完全に癖なのでしょう.オレさまはヨーが出た状態(リアがフラフラしている状態)でブレーキングするのが怖いんですかね? オレさまはいつも「アンダーだ!アンダーだ!」と叫んでますが,これを見ると乗り方がアンダーな気がしてきました・・・.
ただ,日光を走り込んだ経験値は間違いないですね.11コーナーの縁石をカワイさん(緑)は踏めてませんが,オレさま(青)はきっちりとボトムを落とし(2つ目の赤丸),縁石を踏んでいます(↓).
(縁石を踏んでいるので,クルマが左側に傾いてます)
11コーナーの縁石を踏むと,12コーナーに対して真っ直ぐ加速出来るので,オレさま(青)の方が車速が伸びているのが分かります(↓).
ただ,カワイさんに追いつくまでには至らず,0.18秒差で負けとなります.
以上,オレさまFD2の敗れっぷりでした.
総じて見ると,カワイさんは低速コーナーの処理が上手く,オレさまFD2は高速コーナーの処理が上手いようです.高速コーナーは経験値の差が出ますし,各コーナーを最短距離で駆け抜けるライン取りも走り込みの差ですので,この辺りはオレさまFD2の方に軍配が挙がるようですね.ただ,言いかえれば,この辺りは走り込めば勝手に身につく部分でもあるので,折角ライセンスを取った事ですし,カワイさんには日光を走り込んで,ベストタイムでもオレさまFD2を完全に打ち負かして欲しいところですね!
最後に,私はコーナリング時に,ペダル(アクセル or ブレーキ)一定でステアリングで辻褄を合わせるタイプと,ステアリング一定でペダルで辻褄を合わせるタイプの2種類のドライバーがいると思っているのですが,今回の車載を見て,前者はオレさまFD2,後者はカワイさんが当てはまる気がしました.どちらのタイプもタイヤの限界を探って走らせていますし,どちらが良い・悪いというのもないのですが,同じクルマを走らせても,車載から受ける印象が真逆になるので面白いですね(笑).
カワイさん,オレさま,二人の走りから学ぶ点が多々ある分析結果でした.
この度はデータを提供頂き,有難う御座いました.<(_ _)>
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