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OX3832のブログ一覧

2022年02月20日 イイね!

トライ&エラーの繰返し

トライ&エラーの繰返し前回のTC1000ではダイレクトイグニッション化して,フィーリングの確認も終わって,「さぁ,ここから!」というところでハーネス脱落のトラブルが発生し,強制終了となりました.

初回の脱落時と異なり,この時はクルマに何の衝撃も与えていないのに外れたので,イヤ~な予感がして走るのを止めたのですが,その後,家に戻って確認してみたら案の定でした.




GND側のハーネスをバッテリーのマイナス端子にかしめる部分があるのですが,ここが摩耗し切っていて,MAXまで締め上げてもガバガバ・・・.手で引っ張っても簡単にスポッと抜ける状況でした.「こりゃダメだ」と思い,ショップに相談したところハーネスを作り直せばOKとの事だったのですが,必要な部品の納期が長く,TC2000の走行会をパスする事になりました.

しかし,それだけ待った甲斐もあって,改修後はかなりスマートな感じに!



振動にも強くなっていそうで摩耗量は低減しそうです.これ以外にもボンネットステーが外れ掛かる等,プチトラブルはありましたが,不具合は解消したので再びTC1000へと向かいました.


この日は筑千職人 冬ノ陣最終日でしたが,前日の夜から降り続いた雨で路面はウェット.



気圧も低いのでタイムを狙える状況ではなく,常連さんもほぼ皆無でしたが,ロードスターのパーティレーサーが大勢いらっしゃって,そこそこの台数が集まっていました.午前中は二輪の走行枠だったのですが,さすがに走る人がいなかったようで,こもりん.さんは20分かけてコースを1周歩いたそうです.


(さすがは筑波の主,いいアングルから写真撮ります)


この日はダイレクトイグニッション化に対応したECUのセッティングを詰める事が目的だったので,タイムは気にしておらず,別にウェットでもいいや~と思って来たのですが,私が走ったP3枠(13:40~)の頃にはレコードラインは乾いていました.


(どうやら,新名称は午前中がAMの「A」,午後がPMの「P」を意味しているみたいですね・・・)


どの枠も10台近くコースインしていて,冬の日曜日らしい,なかなかの混み走でしたが前述の通りタイムは気にしていないので,走っては変更して,走っては変更して・・・を繰り返し,それに釣られるかのようにタイムも右肩上がり.

 P3枠(13:40~) ・・・ 41.556
 P6枠(14:40~) ・・・ 41.415 (-0.141)
 P9枠(15:40~) ・・・ 41.226 (-0.189)

最終的に,12月に出した冬ノ陣ベスト(41.228)と同等のタイムを出せるところまで仕上げる事が出来ました.




12月とのコンディション差を見てみると,以下のような感じ(↓).

         12月        今回
 気温 ・・・  4.4℃    vs   9.3℃  (+4.9℃)
 湿度 ・・・  29%     vs   76%   (+47%)
 路温 ・・・  8.7℃    vs  14.6℃  (+5.9℃)
 気圧 ・・・ 1010.6hPa  vs 999.4hPa (-11.2hPa)

ここから気温・湿度・気圧の出力補正値を算出してみると,

 気温差(-0.98%)+ 湿度差(-1.88%)+ 気圧差(-1.12%)= -3.98%

コンディション的には約4%トルクが低下する状況だったようです.これで同じタイムを出せたという点から,雑な皮算用をしてみると「ダイレクトイグニッション化によって約4%(≒0.6kgf・m)トルクが増加した」と見なせるのかなぁ~?と思いました.ダイレクトイグニッション化によって一番恩恵を感じるのはVTECの切替ポイント前後なので,L15Bに対して劣っている点を補填していそうな気配がありますね・・・.


以上,冬ノ陣 最終日の模様でした.

最終日らしい,目を吊り上げてタイムを狙うような雰囲気は全くありませんでしたが,やれる事をやった感はありますし,コンディションを踏まえればタイムとしては上々だったんじゃないかと思います.タイムを気にしていないのでコース上が混雑していても気になりませんし,前に引っ掛かろうが「仕方ないね」で済むので,そういう意味ではストレスなく久方振りの走行を楽しめました.


・・・えっ? トライして上手くいっただけじゃないか! どこにもエラーがないじゃないか!って?
(ω・ )ゝ エッ ナニ?

いやいや~,そんな事はないですよ.
┐(´ー`)┌

後片付けも終わり,帰ろうと思ったら,

エンジンが掛からない・・・(泣)


(こもりん.さんよりもTC1000から出るのが後だった・・・)


アノ手コノ手で何とか始動させて,筑波サーキットを後にすると,今度はコンビニ前の信号待ちでエンスト.
そして,再びの始動不能・・・.
カタカタカタ(((;゚;Д;゚;)))カタカタカタ

幸いにして後続車がいなかったので,2~3分その場で格闘して何とかコンビニに退避しましたが,かなり焦りました.その後もエンスト→始動不能を繰り返し,帰り道のコンビニに必ず寄る羽目に(笑).精神的に大分疲弊しながら何とか守谷SAまで辿り着き,ここならエンジン掛けっ放しでも怒られないのでトライ&エラーを開始.



1時間くらいやったものの,結局エンストの原因は掴めず.ただ,始動不能の理由は分かったので暫定対策を施してSAを離脱.10時前には何とか家に着きました.

エンジンの掛からないクルマは,ただの鉄の塊なのでやっぱり怖いですね.こうならないようにハーネス改修を待つまでの2週間,毎日始動性の確認をしていたのですが,まだまだ足りなかったようです・・・.引続きトライ&エラーを頑張ります!
Posted at 2022/02/21 12:09:05 | コメント(4) | トラックバック(0) | トラブル&修理 | 日記
2022年02月09日 イイね!

ドエルタイムのリミッター

ドエルタイムのリミッタードエルタイムの考え方に反した動きをするB16Aダイレクトイグニッション仕様.

「理屈に合わなくとも,それでエンストしなくなるなら良い」と妥協して適合を進めているのですが,何度も繰返し確認していく中で,ようやく問題の片鱗を掴む事が出来ました.まだ完全に解き明かせていませんが,備忘録も兼ねて情報を纏めておきます.

まずはそのデータから.



通常通り,キーをLOCK→ACC→ON→STARTと捻っていって,スターターに電源が供給されるのが2段目の「スターターON」の箇所です.そこからバッテリーからスターターへ電流が流れて「電圧降下」が発生し,バッテリー電源は10Vを切るくらいまで下がります.スターターに電流が流れたのでモーターが回転し始め,エンジン回転数が上がり,「クランキング開始」となります.

ここまでは極々当たり前の動きなのですが,問題はこの後.このデータを計測する際,ドエルタイムの下限値を「2.0ms」に設定して,バッテリー電圧が何Vになろうが,エンジン回転数が何rpmになろうが,「2.0ms」を絶対下回らないように設定しておいたにも関わらず,赤丸の箇所で「1.5ms」付近まで落ちています.

「やっぱり勝手にリミッター掛けてるじゃん!」
\(゚ロ゚ ) ヤッパリオマエカ!



・・・という事で,LINK ECUの制御が原因である事が分かったため,マニュアルをひっくり返して,もう一度リミッターを匂わす文言がないか探したところ,こんな一文を見つけました(↓).



この一文を読み,「これかー!」と一瞬思ったのですが,「回転スピードが急激に変化すると」の部分が引っ掛かります・・・.

例えば,回転数が上がると点火時期が早まる設定の場合,ECUは低い回転数の時の点火時期でイグニッションコイルに通電を開始したものの,その途中で急激に回転数が跳ね上がり,ECUが「まだチャージの途中なんだけど,次の指示が来ちゃったからここでチャージを止めちゃうね・・・」なんて判断するケースは確かに考えられます.でも今回は1000rpm以下のドエルタイムを2msに固定してテストしているので,回転数が急激に変化したからといって,「途中で止めるね!」なんて判断をするはずがありません.
(チャージの限界時間は前回試算したように,この倍以上のマージンがあります)


「これじゃない気がするなー」と思い,裏取りのために急激に回転数が変化したデータが他にないか漁ってみたところ,先程のケースよりも変化量が大きいデータを見つけました(↓).



先程のドエルタイムが勝手に変化した場合は回転数変化量は200rpm程度だったのですが,このデータでは同じ時間でその倍の400rpm変化しているにも関わらず,ドエルタイムは変化していません.


「やっぱり違ったかー」と思い,もう一度マニュアルを読み返してみると,



どうもこの「値が短くなる」のは,「ベーシックなトリガーパターンのエンジンの場合」に限定されるようにも読み取れます.句点で区切られた2つの文章が繋がっているのか? 別の事を指しているのか? 国語の成績が悪かった私には判断がつきませんが,ベーシックなトリガーパターンを使っていない私のエンジンの場合,これは当てはまらないんじゃないかなぁ~?と思いました.


残念ながら現時点では,「この制御が原因だ!」というところまでは辿り着けていませんが,少なくともLINK ECUが原因である事は特定出来ました.どういう条件でこのリミッターが作動するのか? なぜリミッター値が「1.5ms」付近なのか? 依然として分からない事だらけですが,少なくとも一歩前進出来たかなぁ~と思っています.
Posted at 2022/02/10 01:34:21 | コメント(0) | トラックバック(0) | セッティング(ECU編) | 日記
2022年02月07日 イイね!

LINK 点火制御(ドエルタイム編)

LINK 点火制御(ドエルタイム編)ダイレクトイグニッション化して,火花が強くなったと思ったのですが,実際に乗ってみると1000rpm以下の極低回転で以前よりもトルクが減ったように感じました.

燃調が合ってないのかなぁ~?と思って空燃比をチェックしてみたのですが,従来よりも濃い目となっており,点火時期もディストリビューターの頃より進角しているのですが,時折急にトルクを失ったかのようにエンストします.やむなくアイドル時の回転数を100rpm程引き上げたのですが,それでも弱弱しい感じでエンストしかかります.

なんとなく症状的に失火しているような印象を受けたので,燃料を濃くしてみたり,点火時期を進角させてみたりしたのですが,一向に解消されず,

「これはまさか火花が弱くなってる・・・?」

と思うようになりました.折角ダイレクトイグニッション化したのに火花が弱くなるというのは意味不明なので,原因は何だろう?と追いかけるうちにLINK ECUの「ドエルタイム」の設定に行きつきました.


「ドエルタイム(dwell time:滞留時間)」とは,イグニッションコイルの1次コイルに通電している時間の事です.


(NGK:イグニッションコイルの役割より)

そもそもイグニッションコイルがどういう原理で火花を飛ばしているのか?に関してはNGKのサイトを見て頂くとして,「ドエルタイム」を端的に表すのであれば,「点火コイルにエネルギーをチャージする時間」とでも言えば良いでしょうか.チャージする時間が長ければエネルギーも大きくなりますし,エネルギーが大きくなれば火花も強い・・・みたいなイメージです.

このエネルギーを決める要因には,前述の「コイルに通電している時間(通電時間)」の他に「バッテリー電圧」があり,共に大きくなればなるほど点火エネルギーも大きくなります(↓).



ならば,「通電時間を永遠に延ばし続ければ最強の点火になるじゃないか!」と思いたくなりますが,そんな事をしたらコイルに貯まった強大なエネルギーにコイル自身が耐えられなくなり,壊れます(パンクします).

このため,コイルには貯められるエネルギーの上限が設定されており,「バッテリー電圧」が高いほど「通電時間」は短く,「バッテリー電圧」が低いほど「通電時間」は長く設定する必要があります(↓).



「バッテリー電圧」はオルタネータで発電した値となりますので,基本的には回転数が上がれば値は大きくなりますし(14V前後),回転数が下がれば値は小さくなります(12V前後).この関係性から上図を表現するとこんな感じ(↓)になります.



つまり,これが「ドエルタイム」の設定値(ドエルマップ)になります.
(LINK ECUに入力する際は縦軸が上下逆になりますが・・・)


さて,話を最初に戻して,今回は「1000rpm以下の極低回転で火花が弱いのでは?」と疑っているので,火花を強くしたいのなら「ドエルタイム」の値を大きく(通電時間を長く)すれば良い訳です.「よ~し!」と思ってコイルをパンクさせないように注意しつつ値を大きくしてみると,

余計エンストするようになりました・・・.
_| ̄|○ ガクッ


おかしい.理屈と合わない.なぜ?なぜ?と頭を捻りつつ,試しに「ドエルタイム」の値を小さくしてみると,

エンストしなくなった・・・. (・∀・)??

さっぱり意味が分かりません.ドウイウコト・・・??


物理現象と合わない時は制御を疑うのが近道なので,まずは何か「ドエルタイム」のリミッターみたいなものが存在していないか調べてみます.

点火コイルにエネルギーを貯めるための時間は,エンジンが回転している中で行われるので,回転数が上がるとチャージ出来る時間も少なくなります.もしかしたら回転数を上回る長時間設定になってしまったのかも・・・?と思い,試しに9000rpmの時を試算してみると,

 9000 [rpm] = 9000 [rev/min] = 150 [rev/sec] = 0.15 [rev/ms] → 6.67 [ms/rev]

つまり,9000rpmの時はエンジンが1回転するのに6.67msの時間が掛かる,という事です.
一方,ダイレクトイグニッションは「独立点火」ですので(↓の左側),



4サイクルエンジンの場合,2回転する間に各気筒で1回点火するだけ済む訳ですから,1回のチャージに使える時間は2回転分あるという事になります.

 6.67 [ms/rev] × 2 [rev] = 13.33 [ms]

以上より,B16Aにおける設定可能な最長のドエルタイムは「13.33ms」で,これ以下の値を設定しないといけない訳なのですが,

今,設定してる値はこれの半分以下だよ・・・.
_| ̄|○ ガクッ



という事で回転数リミッターではなさそうです.他に要因がないか調べてみたのですが,LINK ECUのマニュアルを読む限りリミッターっぽいものは見当たらない.ECU側が原因でないとすると,コイル側か・・・?と思い,私の使っているイグニッションコイルがK20A用である点から調べてみると・・・,



海外のサイトで,以下のように書かれたものを見つけました(↓).

「K20AのGoodなセットアップ値はこれだぜ!」
(b≧∀) Good♪


 バッテリー電圧  ドエルタイム
     8V    ・・・  4.8ms
     9V    ・・・  3.5ms
    10V    ・・・  3.0ms
    11V    ・・・  2.5ms
    12V    ・・・  2.1ms
    13V    ・・・  1.8ms
    14V    ・・・  1.7ms
    15V    ・・・  1.5ms

この値とショップで適合されたLINK ECUの値を比較すると,高回転域はこれに近い値となっていました.

高回転域がこれで合っているならば,現在問題を抱えている1000rpmくらいの低回転域はどう設定すりゃいいんだ?と思い,その後もアチコチ見渡してみますが,回転数の軸がないデータばかりでした.

「これはもしや,回転数(横軸)の設定って要らないのか・・・?」

と思い,LINK ECUのデフォルトデータで,ダイレクトイグニッション仕様のL15Bの値を調べてみると,
(ちなみに,K20A用のデフォルトデータはありません)



「回転数軸使ってないじゃ~ん」
(横軸が全部同じ値になっている)


・・・という事で,「ドエルタイム」の値を増やすとエンストする原因はよく分かりませんでしたが,海外のサイトで見つけたK20A用のドエルタイムを設定して,回転数(横軸)は無効化する方法が良さそうです.
(これだと,結果的に「ドエルタイム」の設定値は現状より小さくなる)

「ドエルタイム」は値が小さい方がコイルへの負荷も小さく,寿命も延びる方向なので,この値に設定してエンスト耐力を確認してみたいと思います.
Posted at 2022/02/07 20:49:36 | コメント(2) | トラックバック(0) | セッティング(ECU編) | 日記
2022年02月06日 イイね!

LINK 始動制御(始動前噴射編)

LINK 始動制御(始動前噴射編)ダイレクトイグニッション化によって,点火系が一新されてしまったので,それに伴い始動関係のECU適合もやり直しとなりました.

当初,ショップでは「始動前噴射(Pre-Crank Prime)」を使わずに,「クランキング補正(Crank Enrichment)」と「始動後増量(Post Start Enrichment)」と「暖機増量補正(Warm Up Enrichment)」で何とか実現しようと,2Dテーブルを駆使した非常に高度な適合が行われていたのですが,それでもやはり冷態時(水温20℃以下)の始動性に苦労しているようでした.

一応,私も3年間LINK ECUをイジってきて多少勘所があるので,「始動前噴射を使わずに冷態始動を実現するのは,私には無理だなぁ~」と思い,クルマが戻ってきた翌々日にデジタル入力の設定を変更する許可をショップに得て,「始動前噴射(Pre-Crank Prime)」を再び使わせてもらう事にしました.



「始動前噴射」が使えるようになったおかげで,水温14℃の状態では10回クランキングしないと始動出来なかったものが,2回のクランキングで始動するところまできたのですが,もうちょっと何とかしたいので,今回は「始動前噴射」に関して一度整理しておこうと思います.


まず,LINK ECUの始動制御の燃料系部分に関しては,以前に一度纏めているのでコチラを参照下さい.

適合の仕方としては,最初にエンジンが完全暖気した状態(水温:80℃以上)で,「始動前噴射」の設定を0msにし,「始動前噴射」を使わずに「クランキング補正」と「始動後増量」だけで始動~アイドリング出来るようにします.



こうしておけば,「始動前噴射」を増やしていった時に燃料が濃過ぎてカブってしまった時は,「始動前噴射」を減らせば必ず始動出来るようになるので安心です.


下準備が終わったところで,そもそも「始動前噴射」とは何ぞや?ですが,LINK ECUのヘルプにこう書かれています(↓).



LINKのマニュアルでは「燃料がシリンダーに届くまで時間がかかる」と表現されていますが,これは「気化した燃料」の話です.「始動前噴射」の役割はクランキングを始める前に吸気ポートに燃料を付着させて燃料の気化をアシストする事です.燃料の付着と言われるとイメージが湧かないかもしれませんが,こんな感じです(↓).



インジェクタから吹かれた燃料が,閉じられたバルブに当たって跳ね返り,吸気ポート周辺に撒き散らかされている様子が分かると思います.この巻き散らかしで吸気ポート周辺についた燃料の事を付着と言っています.

では,「なんで付着させる必要があるの?」というと,そもそも燃料(ガソリン)は常温だと液体な訳ですが,液体のままでは火は点きません.燃料が温められて気体に変化して,空気と混ざって初めて火が点きます.燃料を気体に変化させるためには,燃料を霧状にして細かくする(霧化させる)と共に,空気やエンジンの熱を利用して霧→気体に変化させる(気化させる)必要があります.これにはエンジン本体の温度(≒水温)が重要で,水温が高ければ高い程すぐに気化して火がつく訳なのですが,反対に水温が低いとなかなか気化せず,火がつきにくくなる訳です.冷態時に始動性が悪くなるのはこのためです.

じゃあ,どうするか?というと,「1回の噴射で気化する量が減ってんなら,その分噴射量を増やして,数の力で気化量を維持すればいいんだろ!」という手段に打って出れば良い訳です.この数の暴力(笑)が「始動前噴射」という事になります.

・・・という事で,完全暖気状態(水温80℃以上)では,燃料がすぐに気化するので「始動前噴射」は要りませんし(0ms設定),反対に冷態状態(水温20℃以下)の時には「始動前噴射」が必要,というのが私の考え方になります.
(20℃~80℃の間は,必要な数値が分からないので一次線形で補間して設定しています)


では,その「始動前噴射」の設定方法ですが,私は「キーStart Position」の方を使っています(↓).



キーのポジションには,LOCK・ACC・ON・STARTの4つがあります(↓).



キーは順々にしか捻れないので,LOCK→ACC(①),ACC→ON(②),ON→START(③),START→ON(④)という段階がある訳ですが,「キーStart Position」は③の時のみ作動します.もう1つの「キーOn」の方は②の時に作動するのだと思いますが,こちらだと,始動させず,キーONして電源だけ入れて何かをチェックしようと思った時にも燃料を噴いてしまう事になるので,私は使っていません.
(こちらだとキーをガチャガチャやると,吸気ポートが燃料まみれになるはず・・・)


この状態で値を決めていく訳なのですが,ここから先はトライ&エラーです.始動させた時に,燃料が濃過ぎ(リッチ)だったのか? 薄過ぎ(リーン)だったのか?を目と耳で(笑)判断します.

リッチの時は,初爆(火がついた1回目の爆発)が来た後,ボフッ,ボフッ・・・と咳き込むような音がして,急にエンジンの回転が止まります.一方,リーンの時は,初爆が来ず,キーを離す(START→ON)と,力なくエンジンの回転が落ちていく感じです.感覚的な部分なので表現が難しいですが,キーを捻った手に伝わってくる感触が,重いとリッチ,軽いとリーンみたいな感じですかね・・・.
(実際のキーは単純なバネなので,実際に重くなったり,軽くなったりする訳ではありませんよ?)

あんまり感覚的過ぎてもアレなので,データで示すと,リッチの時はこんな回転波形です(↓).



上が回転数,下が空燃比(ラムダ)です.スタータの回転数は大体250rpmくらいなので最初の一定回転数がそれです.それよりピョコン!と回転数跳ね上がっている部分が初爆が来ている部分です.火が点いたのでラムダの値が徐々に小さくなり,いい感じなのですが,その後,リッチ失火して回転数が落ちています.
(シリンダー内の燃焼と空燃比センサがある排気管の状態は違うので,瞬間的なリッチはこの波形には表れません)

一方,リーンの時はこんな回転波形です(↓).



スタータの回転数分だけ上がっているだけで,それより全く上に行きませんね.一度も火が点いていない(初爆が来てない)のだから当然です.ラムダもスタータを捻っている時だけ値が大きくなっていると思いますが,これはシリンダー内が掃気され,リーンになっているためです.

エラーパターンだけだと正常なイメージが湧かないと思いますので,最後にちゃんと始動出来た時の回転波形も示します(↓).



「スタータを捻っている部分はどこ?」と思うくらい急激に回転数が上昇して,「アイドル目標」を超えているのが分かると思います.


以上,始動前噴射のお話でした.

LINK ECUを触ってない人には小難しくて,何が何だか分からないと思いますが,こんだけ小難しいくて時間の掛かる事を,純正のECUって難なくこなしていると思って頂ければ・・・.寒かろうが,暑かろうが,高地だろうが,平地だろうが,いつでも・どこでもエンジンが掛かってユーザーが何の苦労もしないのは,それだけメーカーが時間を掛けて純正ECUを仕上げているからです.そんな純正ECUの偉大さみたいなものを感じ取って頂ければと思います.
Posted at 2022/02/06 16:42:57 | コメント(0) | トラックバック(0) | セッティング(ECU編) | 日記
2022年02月04日 イイね!

モータースポーツベース車カタログ(1990年版)

モータースポーツベース車カタログ(1990年版)安くて性能が良いと言われた1990~2000年代のクルマ達も中古車市場が高騰し,なかなか手を出しにくい(簡単に潰せない)状況となって久しいですが,先日,何の気なしに古い雑誌を眺めていたところ,1990年に発行されたRacing OnのNo.70に「モータースポーツベース車カタログ」なんて記事が出てました.

雑誌の方向性が変わり,今のRacing OnでN1レベルのレースやBライセンス競技に誌面を割くなんて有り得ないと思いますが,当時はこういったアマチュア・セミプロ向けの記事も結構出てきて驚きです.

さて,当時はどんなクルマが主力だったんだ?と思い,パラパラと捲ってみると,N1レースではEF9(↓).



N1仕様に仕上げるために掛かる費用は,タイヤ・ホイールを除いて部品代が86万円.これに車両本体,セッティング代,タイヤ代,工賃等々が加わって合計400万円近くだったそうです.


ラリーではST185?.



こちらはタイヤを除く部品代が80~100万円.


ダートトライアルではGA2.



こちらはタイヤ・ホイールを除く部品代が58万円.車両本体を含めても200万円前後と紹介されていました.


これらは代表車種なので,カタログと言うからには他にも多くのクルマが紹介されていて,ザッと眺めてみると,

【トヨタ】


【日産】


【ホンダ】


【マツダ】


【三菱】


【スバル】


【いすゞ】


【スズキ】


【ダイハツ】


・・・とこんな感じでした.誌面の都合上紹介されなかった車種がこれ以外にもいっぱいあると思いますが,ザッと見て「結構多いなぁ~」と感じたのは気のせいでしょうか?? 今発売されているクルマでこれらに相当する車種はどれだろう?と頭の中で描いてみると,ない事はないですが,思い浮かばないものも結構あるなぁ~なんて思いました.


そんな事を思いつつ,これらのクルマがEF8と同世代なのだと理解した訳なのですが,今サーキット行ってもこれらのクルマは全く見ませんよね(汗).唯一見かけるのはスターレットくらいでしょうか? EF9やR32もチラホラいる?? 30年の月日を改めて実感させられるそんな記事でした.
Posted at 2022/02/08 19:20:47 | コメント(0) | その他 | 日記

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「[整備] #CR-X フロントスプリング交換 https://minkara.carview.co.jp/userid/1684331/car/1250119/7767117/note.aspx
何シテル?   04/26 23:09
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