年明けから更なる詰め代を見つけようと,足回りとタイヤをテストしてきましたが,バネレートは上限に達して
レートを下げる事になりましたし,タイヤも
幅より外径を重視した方がタイムが安定するようになりました.
つまりは,両者とも行き着くところまで行き着いてしまい,これ以上の伸び代は"ない"という事です.
・・・となると,現状のバランスを維持したまま他に出来る事はドライビングの改善しかない訳ですが,プロが乗って出したタイムとそれ程大きな開きがない以上,詰め代はせいぜいコンマ1,2程度.こちらもほぼ出し尽くしています.
一方で,今月
復活したEF8の先輩とは,相変わらず0.7秒も引き離されており,残る最後の手立ては出力向上しかないという状況です.
じゃあ,0.7秒差を詰めるには,一体どれくらい出力を上げれば良いのだろうか・・・?という事で,GPSロガーのデータからシミュレーションしてみようと思います.
まず,馬力の単位を分解していくと,
1 [PS] = 735.499 [W]
= 735.499 × [J] / [s]
= 735.499 × ([N] × [m]) / [s]
= 735.499 × ([kg] × [m/s^2]) × [m/s]
= 735.499 × ([kg] × [m/s] / [s]) × [m/s]
= 735.499 × [kg] × [m/s]^2 / [s]
= 735.499 × [kg] × [m])^2 / [s]^3
これに私が使っているGPSロガーの計測周期 10 [Hz]= 0.1 [s] を加えて,
1 [PS] = 735.499 × [kg] × [m]^2 / 0.1^3
= 735.499 × [kg] × [m]^2 / 0.001
= 735499 × [kg] × [m]^2
更に,質量=車重(981 [kg])+体重(56 [kg])=1037[kg]を加えれば,
1 [PS] = 735499 × 1037 × [m]^2
= 762712463 × [m]^2
となり,GPSロガーで計測した移動距離[m]から割り出せる事になります.
お馴染みLAP+には,これを自動的に計算してくれる機能がありますので,今回はそちらの結果を流用します.
続けて,馬力を比較するポイントですが,今回は事象を単純化するためにTC1000の1ヘア~2ヘアの間の2速全開加速のポイントを用います.今回の推定手法が車両の移動距離から試算しているため,空気抵抗等の全ての走行抵抗が含まれた値となります.当然カタログスペックの値なんて出るはずがないのですが,抵抗が少ない低速・低回転の方が比較的精度が高いため,このポイントを選びました.
では,LAP+で結果を見てみましょう.用いたデータは
昨年同時期のものです(青:私 緑:先輩).
先輩の方は,きれいな放物線状に出力が出ているのに対し,私の方は苦しみながら搾り出している感じですね・・・.
これを更に分かり易くするために,車速から回転数を割り出してみます.
1 [km/h] = 1000/60 [m/min]
当時のタイヤは205/50R15(外径:587mm)なので,
1 [km/h] = 1000/60 × 2π × 0.587 / 2 [rev/min] = 587π/60 [rpm]
これに2速のギア比(2.105)とファイナル(4.400)を掛けて,
1 [km/h] = 587π/60 [rpm] × 2.105 × 4.400
1 [km/h] = 284.669 [rpm]
時系列を合わせて,LAP+の出力とプロットすると以下となりました(青:私 緑:先輩).
ローカム→ハイカムに切り替わった直後の4800~5200rpmの辺りは互角ですが,そこから先の伸びが私の方はないですね.5700rpmと6600rpmに谷があり,これが大きな差を産んでいます.また,先輩の方は8000rpmまでタレる事なく一直線に出力が上がり続けていますが,私の方は7500rpmで息切れして,それ以上の高回転域ではタレています.
この間,距離にして僅か70mなのですが,結果的にこれで0.25秒引き離されているので,5600rpmと6600rpmの谷は結構大きなダメージと思われます.この谷を埋めない場合は10PS以上の出力向上が必要となりますが,谷がなくなり,息継ぎのない滑らかなパワーカーブを描ければ5PS程度の向上でも十分戦えそうな雰囲気です.
NAで5PS上げるとなると結構大変ですが,一方で不可能と言える程の大きな値でもないので,まずはこの値を目指して色々策を練っていきたいと思います.