ブレーキの問題を足回りでカバー出来ないか試してみましたが,予想通り
付け焼刃で終わってしまったため,観念してアップデートに踏み切りました.
いざアップデートの作業に入ろうとしたら,
エアコンの不調が発覚したので,合計金額はかなり高額となってしまいましたが,今回の内容は以下の通りです.
①ローターサイズ拡大 ・・・
EK9と同サイズの4穴ビッグローター(フェード対策)
②キャリパーサイズ拡大 ・・・
EK9キャリパーへ変更(フェード対策)
③ブレーキパット交換 ・・・ RACING-N1へ戻し(ロック対策)
④ブレーキライン新調 ・・・ 7年使ったのでリフレッシュ
昨年冬に投入したProject μの「RACING-N1」は,冬場のパワーだと少々制動力が物足りない感じで,TC2000だとそれが良い方向に行ったりもしたのですが,日光で
プロからも制動力不足の指摘を受けていたので,テコ入れが必要だと思っていました.その後,春になり気温が上がってくると,制動力不足→ブレーキを踏む時間が長い→フェード(
スポンジ―な感触になる)という問題が発覚し,耐フェード性の高い「RACING-N+」に戻したりもしたのですが,今度は
ブレーキロックに苦しまされる事になってしまいました.
試算した結果,プロからアドバイスしてもらった「RACING-N1とRACING-N+の中間の制動力」を実現するには,「RACING-N1のままローター径を拡大する事が良さそうだ」と分かったため,今回投入となりました.
ちなみに今回投入したDIXCELのビッグローターは,サイズの大きいEK9(5穴)のキャリパーを4穴のEK4で使うために用意された製品なのですが(恐らくシビックレース等での耐フェード性向上が目的),私の場合は「4穴のままローターサイズを拡大しようとしたら,EK9キャリパーになった」という感じで,若干あべこべですが,「RACING-N1」の耐フェード性向上も課題の1つなので,これはこれでOKだと思っています.
さて,前置きが長くなりましたが,それでは早速テスト開始!
平日のファミ走という事で台数は少なく,路面は乾いている部分と湿った部分が入り乱れた斑模様.路面コンディションを警戒して皆さん走らず,A枠はこもりんさんと私の2台だけ.交換したばかりで馴染んでいないブレーキで走るのは,なかなか周囲に気を使うのですが,さすがはこもりんさん,空間の空け方・作り方が絶妙でストレスなく走る事が出来ました(有難う御座います!).
ブレーキの感触としては特におかしな点もなく,途中焦げ臭くなった時は一瞬焦りましたが,周回を続けるとそんな異臭もなくなり,制動力も問題なさそう.・・・という事で,アタックしてみました.
1コーナーの制動力は問題なし.向きを変えるための「残すブレーキ」も使えます(このラップは若干残し過ぎですが).続く1ヘアもロックなし.制動力が上がった分,若干ブレーキを残しづらいですが調整可能なレベル.ただ,その後のインフィールドで旋回ブレーキを使うと少しロック気味でした.上の車載だと少し分かりづらいので,こちら(↓)の方を見てもらうと分かるかもしれません.
インフィールド進入でブレーキを踏んだ瞬間,キ・キ・キと鳴っているのが聞こえますでしょうか? 乗ってる側の感覚としてはカッ・カッ・カッという感じでタイヤが引っ掛かる感触なので,若干ロックしてますね.ただ,これはセミウェット路面のせいかもしれないので,判断が難しいところです.
・・・という事で,2本目(H枠).
午前中最後の枠という事もあって,今度は結構な出走台数.スペースを見つけるのが難しく,まだタイヤが十分温まり切っていないのは分かっていたのですが,前後の空間の都合上,やむなくアタック開始.そうしたら・・・,
冷えてるRE-71Rは,やっぱり危険がアブナイ(笑).カウンターを当てた後,アクセルONでスライドが止まったので「このまま頑張っちゃうか!?」と一瞬思ったのですが,イン側のパイロンに向かって行っちゃったので,「あ,この角度で失敗するとパイロン食べちゃうな・・・」と思い,ブレーキに踏み替えてクルマを止めました.
その後,「やっぱりリアはちゃんと温めないとなー」と思いつつも,空間がないので温める暇なく(泣),再びアタック.すると今度は・・・,
ドアンダー! 「リアだけじゃなく,フロントも温まってないんかい!」と思いつつ,後ろからどんどんクルマが来るのでサッと避けました.そんな感じでブレーキチェックどころではなかったのですが,更に続けてアタックしてみると,
1コーナーおよび1ヘアで共にアンダーを出してるんですが,「コレ,タイヤじゃなくてブレーキロックだ・・・」と分かり,ちょっとショック.この「RACING-N1」というパッド,熱が入るまでは効きが甘く,熱が入った後に一度冷やすと効きが全く変わるのですが,今回も
このパターンのようです・・・.
その後,タイヤが完全に温まり切ると,ロックしづらくなったので「これならコントロール出来る範囲かな・・・」と思いましたが,更に攻め込んでいくと,
「止めるブレーキ→曲げるブレーキへの移行が非常に難しい・・・」
と感じるようになりました.
初期制動は「RACING-N1」の特性のおかげでロックしなくなり,安心して踏めるのですが,ビッグローターによって絶対的な制動力は底上げされているので踏み始めの減速感はやはり大きくなっています.実はこの減速感の違いは街乗りレベルでも分かる代物なのですが,パッドで制動力を上げるのと,ローターで制動力を上げるのでは質というか,過渡特性みたいなものが違うようで,その違いがまだ上手く掴めていません.
普通,同じ踏力でブレーキを踏み続けたら,制動力が上がり続けるため,途中で踏力を弱めてコントロールすると思うのですが,今回のブレーキ仕様でそれをやるとエイペックス付近でアンダーが出てしまうんです(突っ込み過ぎ.止め切れていない).ならばと,初期の踏力を上げて強めに止めに行くと,今度は止まり過ぎてしまい,ターンインまでフロントの荷重を維持出来ない.じゃあ,踏力を元に戻して,途中で弱めるのをやめてみるか?と試してみると,やっぱりアンダー(止め切れていない).だったら,ターンインの途中から踏力を上げてはどうか?と試してみても,ブレーキが反応している手応えがない(やっぱり止め切れない).
「一体どうすればいいんだ??」とアレコレ試してみましたが,結果は・・・,
同じタイムしか出ない(笑).
ドライバーが腕(というか足)で何とかする世界の話なのですが,タイムが完全にサチっているので,今の私の技量ではこれ以上無理.「さて,どうするか・・・」と思案した結果,
①進入のブレーキングは問題ない(ロックしないし,曲げられる).
↓
②問題なのはエイペックス付近での制動力不足(立ち上がりのアンダー).
↓
③アンダーの原因はフロント荷重の不足だが,ブレーキでそれを補うのは難しい.
↓
④だったら,タイヤのグリップで立ち上がりをカバーするか!
・・・という事で,
A052投入!
3本目(L枠).
今回はリア用の195/55R15しか持って来なかったので,一先ず,それを装着.
結果は 42.327 で夏の陣ベスト更新!
LAP+で両者を比較してみると(青:RE-71R 緑:A052),
アンダーを引き起こして旋回時にボトムを下げざるを得なかった部分が,A052のグリップ力で補われて軒並み改善しているのが分かります(0.4秒タイムを短縮).
以上の結果を纏めると,今回のアップデートは,A052と組み合わせるのであれば成功と言えそうです.ロックもしませんし,(今回は)フェードもしませんでしたし,制動力の向上も確認出来ました.ただ,ブレーキのコントロール性という意味では,より繊細で微妙な踏力が要求されるため,難易度は上がった感じですね.
まぁ,ロックしなくなった分,危なくはないので走り込みは可能.夏の間に鍛錬を積んで,このブレーキをモノにしたいと思います!