1回目のオイル交換も終わったので,再び慣らしの旅に戻ります.
何とか連休前に1000kmに到達したいなぁ~と思いつつ,何かイベントやっているところがないかネットで情報を漁っていると,「おっと! これは予想外だ」というニュースが飛び込んできたので,一路,富士スピードウェイへ.
お目当ては,スーパー耐久の公式テストを走るあのクルマです.
10時の走行開始後にグランドスタンドに到着したのですが,事前にエントリーリストでカーナンバーが「32」である事は確認したものの,ピット割が公開されていないため,どこにいるのか分かりません.コース上を暫く眺めても走っている様子がなく(実際1周しかしていなかった),どうやらトラブルでピットに籠っているようです.
さて,どうやってピットを見つけ出すか?と思案していたところ,同じチームのカーナンバー「28」とピットが隣接しているはずだと思い,28号車がピットに入った瞬間に行先を追いかけていって・・・,
「お~,いたいた.水素エンジン搭載カローラ」
緑のビブスは報道陣ですね.結構な人数が集まって注目されているようです.残念ながら占有走行1回目はこのままピットで終わりのようだったので,続く2回目までその位置で眺めていると,ピットから押し出されて今度は走る様子.
ならばと,あっちこっち移動しながら撮影してみました.
エンジンはGRヤリスに搭載されている「G16E-GTS」ですから,GRヤリスと比較して判断するのが良さそうと聞き耳を立ててみると,排気音の音圧がGRヤリスより明らかに小さい.事前の情報ではターボなのか,NAなのかすら非公開でしたが,86やロードスターなんかと比べても低くこもったような音なので,ターボである事は間違いなし.という事はこの音圧の小ささは純粋に排気エネルギーの少なさですね.
記者会見で「ベンチスペックで言えば、ガソリンのレベルと同等の出力が出せるレベルにはある」なんて発言していたと聞いて,「ホントか?」と個人的には思っていたのですが,この音を聞く限り,そこまでの出力は出ていないように思えます.
ただ,まだシェイクダウンに近い状態でしょうし(1本目もトラブっていたし),抑えて走っているのかもなぁ~と思って,300R付近でシフトアップ時の音に関して聞き耳を立ててみると,
6000rpmくらいまでは回っていそう.ただ,3→4速にシフトアップした後にパワーバンドを外したような鈍い音がしていました.同じく記者会見で「低速のトルクの立ち上がりも早く、トルクフルでレスポンスがいいというのが水素エンジンのいいところだ」という発言を鑑みるに,上まで回さず,低速トルクを稼ぐ方向に振っているんだろうと予想していたのですが,仮にGRヤリスのミッション(ギヤ比)を流用して,あの状態であるならば下もそれほどある訳ではなさそうですね.
「やっぱりパワー的にキツいんじゃないか?」と思い,3回目は手元のストップウォッチでラップタイムを計測.
タイムは2分5~6秒辺りで周回していました.
同枠のGRヤリスは1分58秒~2分フラット付近で,4駆とFF(このカローラスポーツがFFかどうかも非公開なのですが,公開されたレイアウト図から察するに恐らく・・・)という違いがあるにしても,やはりワンランク遅いですね.このタイムだとST-4(1.5~2.0Lクラス)どころか,ST-5(1.5L以下)にも並ばれるんじゃないか?と思って,順位ボードを覗いてみると,
32号車(カローラスポーツ)は50号車(NDロードスター)のギリギリ上くらいでした.
燃料を水素にした際の出力は,BMW(445→260PS),
MAZDA(210→109PS)の例から鑑みるに,ガソリン時のおよそ半分.ベースの「G16E-GTS」が272PSですから,これの半分だとすると136PS.NDロードスターの「P5-VPR」が132PSである点を踏まえると,タイムが近い事も踏まえて,やっぱりこのエンジンの出力はこの辺りっぽいなぁ~と思いました(実際はNDロードスターに比べてカローラスポーツの方が車重は200kg近く重いでしょうから,それを加味すると,もうちょっと出ていて150PS前後くらいかもしれませんけど).
いかに水素のノック限界が高いと言っても,「ガソリンと同レベルの出力は,ちょっと言い過ぎでしょ・・・」と思いました.
さて,パワーで勝負にならないとして,耐久レースで重要な燃費はどうなんだ?という点ですが,使っている燃料タンクは昨年発表された第2世代の「MIRAI」に搭載されているNo.2(中型サイズ↓)のタンクを流用したものだそうです.
4本で充填量は7.43kg.これで12周する事を狙っているそうで,ラップタイムが2分5秒程度だとすると30分くらいでピットインする計算になりますね.ただ,占有走行の様子を見ている感じ,1時間のセッションで1回しか充填していないように見えたので,もっと周回は出来ているのかな??(ずっとピットに張り付いていた訳ではないので,私が見逃した可能性はありますが・・・)
ちなみに,水素の充填は事前にアナウンスしていた通り,移動式の水素ステーション(トレーラー)をパドックに持ち込んでいました.
これがあるから,32号車のピットが一番端っこだったんですね.この分だと当日も同じ位置かな?
そして,充填の雰囲気はこんな感じ(↓).
遠すぎてよく見えないのですが,ドアを開けて充填しているんですかね?
ボディ側面にはノズルを差し込むような口は見えなかったので(↓),
ドア開けて,直接タンクに差し込んでいるのかもしれません.
充填時間も手元のストップウォッチで測ってみましたが,大体5~6分.「MIRAI」は5.6kgで約3分だそうですから,時間的にはそんなものかな.本番でもピットから水素ステーションへ毎回移動するのだとしたら,片道1分くらい掛かりそうなので,充填だけで7~8分のロス.これを踏まえると,さすがに40回オーバーのピットインとかは現実問題なさそうですが,それでも通常では有り得ない回数となるのは間違いなく,記者会見で言っていた「24時間レースの場合,クルマの耐久性よりもメカニックの耐久性の方が課題」というのは事実なんでしょうね.
以上,テスト見学でした.
えっ? 他所のクルマ見てばっかで,全然自分のクルマの慣らしやってないじゃないかって?
いやいや,セッションの合間合間で構内を2速固定で移動して慣らしをやってましたよ~.
途中で,TM-SQUAREがP2でまたなんかやってる(↓)とか見かけましたし.
帰りもわざと渋滞に突撃して,嫌でも1~2速を使う機会を作りましたし.
(途中で疲れてラーメン食べたりしましたけど・・・笑)
これでトータル930km.3速も大分抵抗感がなくなってきましたし,そろそろ回転数を上げた慣らしをやっていこうと思います.