コロナ禍の騒動が始まってから,1年以上ずっと実家に戻っていなかったのですが,実家のモノを取ったり・実家にモノを置いてきたりしたかったので,緊急事態宣言が解除された隙に越境して行ってきました(またすぐ宣言が出されてしまったので,解除なんかされた?感が強いですけど).
久方振りに実家に戻ったので,実家に置いてあるプジョー208でも久方振りに運転してみるかーと駐車場を覗いてみると・・・,
( ゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚ Д゚) …?!
アレッ? 確か208って,こんな(↓)クルマだった気がするんだけどなぁ~?
おかしいなぁ~?と思って,後ろを覗いてみると,
うん.確かに「208」だ・・・.
「じゃあ,大丈夫か」とそのまま乗り込むと(笑),
ステアリングの形が何だか違うような・・・.下側がDシェイプなのは同じとして,上側もフラットにはなっていなかったような? まるで現代のレーシングカーみたいな形状のステアリングですが,メーターパネルの視認性向上のためにこういう形状になっているみたいです.
じゃあ,メーターの文字がよく見えるのかな?というと・・・,
いや,見えねぇ・・・.ヾノ´゚д゚`)ナイナイ
シートを目一杯低くして,テレスコピックでステアリングを下げて,ようやく見えました.
そして,そのメーター.こちらも何だかデザインが違うような(笑).「i-cockpit」と呼称される液晶メーターだそうで,色々モードを切り替えて表示内容を変えられるんだそうです.最初見た表示はタコメーターがなく,「欧州車なのに,タコメーターないの!?」とびっくりしたのですが,モードを切替えたら表示されました.
レブは6000rpmくらいのようですね.別モードで「レブカウンター」なんていう表示項目もありました.あと,表示モードを色々変えて気づいたのですが,「オドメーター(総走行距離)」はあれど,「トリップメーター(区間走行距離)」はないんですね.
「トリップメーター」がない代わりに,瞬間燃費と燃料残量から算出しているのであろう「走行可能距離」という表示がありました.瞬間燃費ベースなので,高速走っている時は距離が延びるし,市街地走っている時は距離が短くなるので,あんまりアテにならない表示な気がするのですが,この辺りは,きっとEV兼用を想定した設計(EV時のネガをユーザーに気づかせない設計)なんでしょうね.
さて,それじゃ発進!・・・と思って,シフトノブ・サイドブレーキに手を伸ばすと,何だかおかしな形状をしています(笑).
まずはシフトノブ.まるでPCのマウスのような形状です.
Pレンジから抜ける時は右側のボタンを押しながら手前に引くとNレンジ,もう1回引くとDレンジ.Rレンジに入れるには同じくボタンを押しながら前に押さないと入らず,Pレンジは上部の「P」ボタンを押すんだそうです.「208って,こんなに先進的な操作系だったっけ?」と戸惑いつつ(笑),Dレンジ→Pレンジに一気に入れたい時などは,ボタン1つで入るので楽ですね.
ちなみにマニュアルモード(パドルシフト)は,下側の「M」ボタンを押す事で設定・解除が出来るそうで,そのパドルシフトの方はステアリングホイールから切り離されたタイプでした.最初,ステアリングを切りながらシフトアップしたい時に使いづらそうだな?と思ったのですが,実際にやってみるとそんなに気になりませんでした(ステアリングを切った状態でもパドルに指が届く).
続けてパーキングブレーキ.こちらはボタン式.
所謂,EPB(Electro-mechanical Parking Brake)ってヤツです.208って,こんなに先進的だったかな?と再び思いますが(笑),Dレンジに入れてアクセル踏めば自動的にサイドブレーキが解除されるって代物ですね.私はクルマ側で勝手に操作されるのが嫌なので,自分で押して(解除)引いて(作動)をやりましたが,慣れれば操作が1つ減るので便利なのでしょうね.AT車なのでクリープがありますから坂道発進でサイドブレーキに神経質になる機会は元々少ないものの,最新のクルマらしく,ABSに「ヒルホールド機能(坂道でもずり下がらないように保持する機能)」があるので,EPBでもこの辺りの不安は少ないでしょうね.
・・・という感じで,コクピット知識が80年代で止まっている人間にとっては,戸惑いだらけの末にようやく発進(笑).
走り出して最初に感じたのが,ステアリングの舵角とクルマの向きの違和感.水平状態から90°切るところまでは普通なのですが,それと同じ感覚で180°まで切ると「曲がらないー!」と感じる.ステアリングの上部がフラットな事もあって滑らかにステアリング操作が出来ず,暫くの間,交差点でイン側を開け過ぎたり,コーナリングの途中から急に舵角が多くなったりして割と苦戦.サーキットでヘアピンの処理に苦労しそうだなぁ~と思いました(走らない).
そして,パワステも速度感応式の「EPS(Electric Power Steering)」のようで,0~20km/hくらいは軽くてスイスイ回るものの,55km/h以上から急に重くなり,露骨に「重さが変わった!」と気づくほどでした.普通,車速が上がるのに合わせて,徐々に重さを増していくようなセッティングにすると思うのですが,これだけ明らかなメリハリを付けるのも珍しいですね.
あと,気になったのがブレーキ.20km/h以下の領域で効きが強過ぎてカックンブレーキになります.前の信号が赤になって,そぉ~っと停車させたい時にすこぶるコントロールが難しい・・・.まさかEV車の回生ブレーキ付とセッティングが同じなんて事はないと思いますが,微小開度の効きが強過ぎて,私は好みじゃないですね.
さて,そのまま走っていくと,今度はメーター上にピコピコ表示が出るので,なんだろう?と思ったら,どうやら「レーンキープアシスト(車線からはみ出しそうになると警告・補助する機能)」が作動したようです.私が白線内でアウト-イン-アウトで走ったのを,クルマ側はお気に召さないご様子・・・.
仕方がないので,「レーンキープアシスト」をOFFにしようとボタンを探してみるも見当たらず,聞いてみたらステアリングの右側にあるとの事.「えっ? 右側??」と思って覗いてみると,
「いや,ないよ??」(゚Д゚;≡;゚Д゚) ドコ!?
と走りながらでは見つけられなかったので,信号待ちの間に右側を覗き込んだら,
確かにステアリングの右側にスイッチがありました.でも覗かないと分かんないというのは,あんまりユーザーフレンドリーじゃないですね(安全機能をOFFにさせにくいように,意図的にこういう配置なんでしょうけれど).
ああ,そうそう.操作系がユーザーフレンドリーじゃないと言えば,「ドライブモード」のセレクトスイッチも操作しづらかったです.
このスイッチ,EPB(ドライバーの真横)よりも後ろ側にあるので,かなり後方に手を伸ばさないと押せない.初めは走行中にモードを切替えようとしてカチカチ押してたら,それはEPBのスイッチでした(汗).走行中にEPBを押してもサイドが引かれなかったのは助かりましたが(当たり前),先進の「i-cockpit」と言う割には,この手の操作系のスイッチ配置が今一つな気がしますね.まぁ,環境に優しくない・安全的ではないスイッチ類が端っこに寄せられるのは,時代的に仕方ないんですかね・・・.
さて,その「ドライビングモード」.デフォルトは「Normal」で,他に「ECO」と「Sport」があります.日本車だとデフォルトを「ECO」にする事が多い気がするのですが,この辺りは欧州車らしいですね.ドライビングフィールとしては,「ECO」は露骨に走らず(低開度域のアクセル操作が無視される).「Sport」は初期のレスポンスが良い(低開度域のアクセル操作でもスロットルが開く).
「ECO」モードの方で気になったのは,アイドリングストップ時間が短い点で,信号待ちでも45秒くらいですぐに再始動してしまいます.そもそも,アイドリングストップに対して消極的な設計のようで,機能が使えるようになるとメーター上にインジケータが出るのですが,ほとんどの時間「使用不可」でした.この辺りは「i-cockpit」を採用した事で消費電力が増えて ,充放電バランスが厳しくなったんでしょうか? ちょっと意外でした(それだけ消極的な割には,車速が完全に0km/hにならなくてもエンジンを停止するコースティングストップみたいな事もやってたりもするんですが・・・).
一方,「Sport」モードの方は,ONにすると後ろの方から,F1のMGU(Motor Generator Unit)みたいな音がしてくるのですよ・・・(↓).
VIDEO
「なんじゃ,こりゃ!?」 Σ(゜ω゜)ビクッ
と思い,「えっ? このクルマ,ハイブリッドじゃないよね??」「後方にモーター積んでないよね?」「なんでエンジン回転数と連動した音が後方からしてくるの??」と頭の中に?マークをいっぱい浮かびました.ふと思い立って,試しにドライブモードを「Normal」に戻しみると音が消えたので,
「これは,まさか・・・」(;・∀・)
と思い,後でネットで調べてみたところ,公式には一切語られていませんでしたが,一部の記事に「エンジン音を模した低音がスピーカーから流れて~」と書いてありました・・・.スピーカーから音を流しているから後方から聞こえたんですね.
コチラの方 も仰っていますが,「わざわざ作っている割にはボリュームが控え目」「そもそも音質そのものがチャチ過ぎる」というのは私も同意見で,これもEV兼用設計のせいなのかな?と思いました(EV車でもそれっぽい音を出す設計なんじゃないですかね・・・).ただ,見方を変えると,これくらいしないとエンジン音が車内に入らないくらい遮音性が高く,実際4000rpmくらいまで回しても,ほとんどエンジン音は聞こえませんでした.
そのエンジンですが,1.2Lの3気筒ターボである点は変わらないものの,欧州の排ガス規制対応でGPF(Gasoline Particulate Filter)付となりました.
これにより,同じエンジンなのに最高出力は10PSダウン(110PS→100PS),最大トルクこそ20.9kgmで変わらないものの,その発生回転数が1500rpm→1750rpmに上がりました.個人的にGPF(正確にはDPF)には嫌なイメージしかないので,これから先,苦労しないといいなぁ・・・と思っています.
燃費に関しては,JC08モードで18.2km/h→22.0km/hに伸び,燃料タンクの容量も50L→44Lになっているので良くなっているはずなのですが,実家の人間曰く「悪くなった気がする」との事です.なんとなく,GPFのせいなんじゃないかなぁ~?と疑いたくなったのですが,カタログ値の向上はATの変更(6速→8速化)で実現しているのでしょうし,その恩恵に与れるように上手く走らせないとダメなんでしょうね.ドライブフィール的には,エンジンは特段変わった感じがなく,低回転域のトルクは大きいが,上は回らず・伸びずで,ATが細かくシフトアップして車速を伸ばしているように感じました.ドライバーに気づかれないレベルのシフトショックに抑えている点は素晴らしいと思いますが,ヒルクライムで2速固定で引っ張ってみると,上が伸びないのは明らかでしたね・・・(100PSなんで,こんなもんと言えばこんなもんですが).
なお,ボディサイズの変化はこんな感じ(↓)だそうで,
【先代】
【現行】
全長は82mm伸び,その大半が前後のオーバーハング部分の延長なので,車庫入れ等ではちょっと面倒になりました.一方,横幅の方は6mm増えてはいるものの,ミラーtoミラーで測ると44mm短くなっているのですれ違い等では楽になっているみたいです.
個人的には,この3本爪で引っ掻いたかのようなライトのデザイン(↓)は好きですし,
プジョー自身が「セイバー(サーベル)」と呼ぶ,このデザインも嫌いじゃありません.ただ,私は「セイバー」とか「サーベル」とか言われると,「ライオン」ではなく,「タイガー」の方が思い浮かぶんですけどね(苦笑).
以上,208試乗記でした.
最新のPACE(Personalized:パーソナライズ化,Autonomous:自動化,Connected:コネクテッド化,Electric:電動化)対応車はやっぱり違いますね.未来のクルマに乗ってる感は強いですし,実際色々と便利なのですが,「Sportモードにしたら電子音がした」みたいな官能的な部分は退化しているので,スポーツ走行好きとしては寂しいところです.実際,このモデルからMTが消滅しましたし,EVはEVの楽しさがあるとは言え,音・振動・臭いみたいな快適性と真逆の,感性に訴えかける部分は,これからどんどんなくなっていくんだろうなーと実感させられる試乗でした.