・・・という事で,アップデートの効果確認をしに,早速TC1000へ行って来ました.今回のアップデートの内容は以下の通り.
①
フロントディフューザー追加 ・・・ フロントのダウンフォース向上
②フロントストレーキ追加 ・・・ フロントタイヤのドラッグ低減
両者合わせて
街乗りでも分かるくらいの効果でしたが,果たしてTC1000の車速レベルでそれがどう変わるのか? 非常に楽しみです.
さて,TC1000へ向かう当日.そろそろ肌寒くなってきた早朝(5時)に家を出たのですが,高速へ向かう途中でトラブルが発生! 走行中にエンストし,再始動→即エンストを繰返して走行不能となってしまいました・・・.
アレコレ調べてみたところ,どうやらこの"寒さ"が原因な気がしたので,日が昇る(7時頃)まで待って再度試してみたところエンストしなくなったので,そこから筑波へ向かいました.当初予定の2時間遅れなので,9時枠・10時枠には準備が間に合わず,11時枠から走る羽目になってしまいました(午後枠がある日を狙って良かった!).今思い返してみると,実はこのトラブルもディフューザーの影響だったんじゃないかと,後追いで調べている最中です.
それはともかく,気を取り直して早速1本目のテスト結果から振り返ってみましょう.
最初の数周はストレーキが縁石に当たらないか,やや大げさにのせたり,ブレーキングでフロントを沈み込ませたりしましたが,洗濯板でも問題がなさそうだったので,早速アタック開始.1コーナーのブレーキングでは特に違いを感じませんでしたが,2コーナーを全開で駆け抜けると,フロントがピタッと食いついているのがよく分かります.「おおっ!こりゃ凄い!!」と感動しながら,そのまま1ヘア進入でブレーキングした途端・・・,
リアが吹っ飛びました(汗).
GPSロガーで見ると,こんな感じ(↓).
クルマの向きが分からないので「何だ,こりゃ?」という感じですが,補足すると,2コーナーを抜けた後,旋回速度が高かったので,1ヘアの進入でいつもより強めのブレーキングとなった結果,「これはフロントがロックするかな・・・?」とオーバーランに備えて身構えていたら,急にリアが暴れ出し,「ん・・・リアが浮いたか?」と思った次の瞬間にはクルマが横を向いてました・・・.慌ててカウンターを当たところ,ちょうど1ヘアのエイペックス(頂点)に対して垂直に刺さるかのような向きでクルマが停止しました.
TC1000の1ヘアで,こんなに盛大なスピンをしたのは,リアにヘルパースプリングを入れて以降初めて(4年振り?).ヘルパーを入れる前は,よくここで1回転してましたが(苦笑).まさかこれ程とは・・・.
恐らく起きたのは,こんなイメージでしょう.
【ディフューザー装着前】
ディフューザーがない状態のブレーキングでは,荷重移動によるフロントの沈み込みしか起きないので,その分しかリアが持ち上がりません.
【ディフューザー装着後】
対して,ディフューザーがある状態だと,最初からダウンフォースが掛かってフロントが沈み込んでおり,そこに更にブレーキングの荷重移動による沈み込みが加わり,リアが従来以上に持ち上がったのだと思われます.
この際の前後G変化をGPSロガーで見てみると(緑:従来 青:スピン時),
赤丸の部分が1ヘアのブレーキングですが,従来はギリギリ1Gを超えないくらいだったところ,スピン時は1Gを超えた(1.1Gくらい?)のブレーキングとなってしまったようです・・・.これ以降は突っ込み過ぎないように踏力をコントロールしましたが,それでもリアが少し暴れるので,冷や冷やモンでした.
続けて,そんな冷や冷や状態で出したラップと
前回の比較です(緑:ディフューザー装着前 青:装着後).
ホームストレートエンドの車速(1つ目の赤丸)が0.9km/h落ちているのに対し,1ヘア進入(2つ目の赤丸)の車速は0.5km/h伸びています.つまりコーナリングスピードが上がっているという事です.今履いているA052も大分摩耗が進んでグリップが落ちてきていますから,これがディフューザーの効果でしょう.乗っていた時の印象としては,2コーナーでピタッとフロントが吸い付くおかげで,ほんの少しだけ舵角を減った(2コーナー出口の外側の縁石まで行かなくなった)感じです.これが0.5km/hの車速アップにつながっていると思われます.
一方,1ヘア(3つ目の赤丸),インフィールド(4つ目の赤丸),最終の複合(最後の赤丸)のボトムスピードに着目すると,いずれも今回(青)の方が車速が高く,ダウンフォースによってフロントの限界が上がっているのが分かります.
なお,タイムは条件が異なるので参考にしかなりませんが,以下でした.
ディフューザー装着前 ・・・ 41.914
ディフューザー装着後 ・・・ 42.021 (+0.107)
タイムを失ったのは,ほとんどがストレートの全開領域で,ストレーキによる空気抵抗の削減を狙ったのですが,それ以上にディフューザーのダウンフォースの方が強力だったようです.
さて,問題は先程吹っ飛んだ1ヘアのブレーキング.ここで安心してブレーキを踏めないとタイムを詰めようがないので,対策としてウイングを1段階立ててみました.
結果は以下の通りです(緑:ウイングが寝ている状態 青:立てている状態).
以前のテストでは,ウイングを立てるとトップスピードが2km/h落ちていましたが,今回は変わらず.これはディフューザーの影響の方が大きいのか? やっぱりガーニーは抵抗が少ないのか? ちょっと分かりません.
ただ,リアが安定したおかげで,1コーナーのボトム(1つ目の赤丸)を0.9km/h上げられていますし,1ヘアの進入(2つ目の赤丸)もブレーキングが安定したおかげで先程(緑)よりも詰められています(同じく0.9km/hアップ).その状態で更に1ヘアのボトム(3つ目の赤丸),インフィールドの進入(4つ目の赤丸)も車速が上がったので,これら全てをトータルして0.16秒タイムが縮まりました.2本目は午後に入って路面温度がかなり上がっていたので,それを考慮すると結構な伸び代に思えます.
惜しむらくは,インフィールド立ち上がり(5つ目の赤丸)と最終複合の立ち上がり(最後の赤丸)のミスで,リアが安定した事で,よりクルマが曲がるようにななり,それに合わせてフロントの荷重を抜いた(ブレーキのリリースタイミングを早めた)のですが,ちょっと抜く量が多過ぎたらしく,タイヤが限界を越えて横に逃げてしまいました・・・.
結果,トータルのタイムでは以下の通り.
ウイングを寝かせた状態 ・・・ 42.021
ウイングを立てた状態 ・・・ 42.038 (+0.017)
ほぼ同等のタイムなので,2箇所のミスがなければ前回のタイムを上回っていたかもしれず,ドライバーの下手さ加減に泣きたくなります・・・.
以上,今回のテスト結果でした.
ディフューザー自体はTC1000レベルの車速でも確実効いていて,むしろ効きすぎなくらい.コーナリングスピードが確実に上がり,一応,成功は成功なのですが,その影響でブレーキング時のリアのスタビリティが失われ,EF8本来のシビアな挙動に戻ってしまったのが少々誤算.ウイングを立てる事でバランスをとり,タイムを失う事なくシビアさを弱める事にも成功はしましたが,それでも以前ほどの安定感はありません.
今の状態だと,高車速域からのフルブレーキング(例えば,富士スピードウェイの1コーナー等)では,かなり神経を使いそうですし,バランスを取り戻すために,もう1段階リアのダウンフォースを増やす必要がありそうです.
ウイングはこれ以上立てられませんし,はてさて,どうしたものか・・・.