惨敗を喫した日光戦 でしたので,早速反省会です.
ドライの日光は1年半振りとドライバーの劣化が激しいですが,折角CR-Sを履いて走ったので当時のA052との比較も兼ねて分析してみたいと思います.
なお,1つ注意点としてA052の方は1年半前のデータなので「路面改修前」です.今回の方は,その分のグリップ差を含めた結果である事を頭の片隅に置いて見て頂ければと思います.
まずは,サンプル.
【A052(41.352)】
車載なし.
S1:09.654
S2:18.238
S3:13.462
【CR-S(41.331)】
VIDEO
S1:09.653 (-0.001)
S2:18.202 (-0.036)
S3:13.476 (+0.014)
セクターのタイム差だけ見ると,完全に互角で計測誤差レベルの違いですね.乗っている時のフィーリングとしては,
S1:クルマが前に進まねぇ~.
S2:フロントが入らねぇ~.
S3:リアが出ねぇ~.
・・・って感じだったのですが,A052の時に必死こいて出した時のタイムとほぼ同じというのは結構ショックですね.人間の感覚的には全然もっと速く走れる気がするのに,クルマの動きが重く・遅くて,これ以上は無理って感じでした.
では,ロガーデータで細かく見ていきます(緑:A052 青:CR-S).
1コーナー進入
CR-S(青)の方は突っ込みがヌルいかなぁ~?と思っていたのですが,意外や進入速度はA052(緑)を1.7km/h上回っていました.ここはホームストレートを抜けた後,少しだけ左にステアを入れて,そこからブレーキングすると思うのですが,CR-S(青)の方は序盤にブレーキがロックしたので,少しマージンをとって進入するようにしたのですが(それが赤丸の平行線に表れている),進入速度が高い事が原因だったのかもしれませんね.
1~2コーナーの間
A052(緑)の方は途中で少し加速しているのですが,CR-S(青)の方はそのままなだらかに減速しています.これのせいでいきなり0.2秒もCR-S(青)は遅れています.乗っている時も「ここが遅いなぁ~」と感じていたのですが,アクセル踏んだら曲がらない感覚があったので,操舵抵抗でそのまま減速させるような走り方になりました.
どうもCR-Sは,ステアリングの切り始め90°くらい(↓)のレスポンスは良いのですが,
そこから更に切り足していくと(180°くらい↓),曲がらないんですよねぇ・・・.
TC1000でも「CR-Sは舵角に対してグリップが一定じゃないなぁ~」と思っていたのですが,もしかしたら,このタイヤの美味しい部分にトーが合っていないのかもしれませんね.まぁ,CR-Sに合わせてセッティングする気はないので,アライメントをイジるつもりもありませんが,日光走って「トーは,もうちょっとアウトかなー?」と思いました.
2~3コーナー
CR-S(青)の方は操舵抵抗で余裕をもって減速させているので,2コーナー・3コーナーのエイペックスをきっちり狙ったライン取りが出来ています.対してA052(緑)の方は1~2コーナー間でアクセル入れて加速した事もあり,やや加速のタイミングが遅れています.この遅れがこの後の4~5~6コーナーで響いてくる事になります.
6コーナー進入
3コーナーで早めに加速出来たのでCR-S(青)の方が車速が伸び,A052(緑)よりも0.9km/h高い速度で6コーナーに進入しています.この旋回速度の違いによって1~2コーナー間の遅れを取り戻し,CR-Sが追いついています.4~5~6コーナー間の車速プロフィールを見ると,どこかで失速するような事もなくスムースに加速出来ていますので,やはりこういった加速旋回領域においてはCR-SはA052に対して全く引けを取らないようです.
ちなみに,路面改修でここのグリップが高かった事も事実で,今までだったら「この速度だと外に流れるかなー?(ステアリングを戻せないかなー?)」と思っていたものが,意外と余裕をもってステアリングを戻せていたので,「やっぱり喰う路面だなぁ~」とも思いました.
6~7コーナー
ここはCR-S(青)が苦手とする減速旋回領域なので,なるべく減速を短い時間で済ませ,アクセルを踏む時間を増やして,ひたすらボトムを上げる事に専念しました.その結果,A052(緑)に対してボトムを6.4km/h上げる事ができ,0.15秒CR-Sがリードする形となります.
ただ,その代償として,7コーナーのエイペックスに寄せる事が出来ず(↓),
これがこの後響いてきます.勿論,7コーナーのエイペックスを狙って6コーナーの速度コントロールはしているのですが,路面のグリップが高いせいか,リアが思ったほど出ず,また先述の通り大舵の時に曲がらないCR-Sの特性もあるので,狙い通りに向きを変えられなかった,と反省しています.
ちなみに,なぜ狙い通りに向きを変えられなかったのか? 車載を見返してみたところ,6コーナー進入のブレーキングでクルマが左右にバウンシングしているせいである事が分かりました.
(この辺り↑.車載で流して見るとよく分かります)
ここは,4~5コーナーとアクセル全開で駆け抜け,それによって生じたヨーを使って右リアの荷重を抜き,更に6コーナーの進入直前でブレーキを使って左フロントを沈み込ませて,一気に向きを変えるのですが,ブレーキを使って左フロントを沈み込ませた瞬間に弾かれて,姿勢が元に戻ってしまい,これによってフロントが入り込まず,結果,リアも出ない・・・というメカニズムのようです.
日光でコーナリング中に左右にバウンシングしているクルマはよく見るのですが,今まで自分のクルマでは起きた事がなかったのか不思議でした.スプリングなのか? ダンパーなのか? タイヤなのか? 分かりませんが,ちょっとこの動きは気になりますね・・・.
8~9コーナー
CR-S(青)が7コーナーのエイペックスを外した事で,6コーナーの立ち上がりで加速が鈍り,A052(緑)とほぼ同等の速度で8コーナーへと進入していきます.この8コーナー進入区間は減速旋回領域なので,やはりCR-S(青)は辛く,アクセルを開けられないので,どんどん失速していきます.路面のグリップは間違いなく今回の方が高いので,ここがA052でないのが一番悔しかった部分です(これで0.05秒ロスします).
8コーナーの外側の縁石に到達して以降の加速旋回領域は,やはりCR-S(青)はA052(緑)と互角で,差が全くつかないのが分かります.
10コーナー
結局,最後まで10コーナーのブレーキングポイントが分からなかったので,「レブインジケーターが光ったらブレーキ!」というやり方でタイミングを合わせ込んでいたのですが,これのおかげで何とかA052(緑)と同じポイントでブレーキング出来ていたようです(上側の赤丸).
前回のブログで,あおたまさんから「10コーナーはイン側にちょこっとだけ継ぎ目が残ってましたよ」と情報を頂いたので,目を凝らして車載を見返してみたのですが,分かりませんでした・・・(泣).ただ,はやぶ@877作業員Aさんが
改修直後に撮影された写真 を見てみると,
(はやぶさん,写真お借りしました<(_ _)>)
ここら辺(↑)に継ぎ目がありそう? なさそう? う~ん・・・分からん.どなたか継ぎ目が分かる写真をお持ちでしたら,今度見せて下さい(笑).
話を戻して10コーナーの違いですが,やはりここも減速旋回領域なので,ブレーキング後はCR-S(青)の方は失速し続けています(下側の赤丸).これによってCR-Sは何と0.5秒も遅れてしまっており,致命傷です・・・.
11コーナー
CR-S(青)は10コーナーがダメだったので,当然11コーナーもダメな訳ですが,ひたすら曲がらず・向きが変わらずなので,失速し続けるだけです(左側の赤丸).これによってCR-Sは更に0.13秒遅れてしまいます.
ただ,苦手の減速旋回区間が終わった後,加速旋回区間である12コーナーに差し掛かると(右側の赤丸),一転してCR-S(青)は息を吹き返し,トラクションの良さを活かして一気に遅れを取り戻し,1周した結果としては0.02秒差でCR-S(青)が上回る結果となりました.
以上,A052 vs CR-Sの日光編でした.
総じてみると,CR-Sが苦手な減速旋回領域が多い日光は,TC1000よりもA052との差を顕著に感じる結果となりました.コース改修の影響もあってタイム差はほとんどない結果となっていますが,ここでは実質的にはA052が圧倒的に上回る気がしました.路面改修前後のデータがないので,改修によってどこでタイムを稼げているのか分かりませんが,(大)@みやう軍団さん説の「0.2秒」を採用すると,日光では,
A052⇔CR-Sの差は0.4~0.6秒
といった感じでしょうか.とにかくCR-Sは減速時の斜めのグリップがA052よりも明らかに劣るので,TC1000よりは確実にタイム差が開きそうな気がします.ただ,今回はリアがA052のままですし,セッティングも合わせ込んでいないので,それらを詰め切れば0.2秒差くらいまでは迫れるかもしれません(TC1000よりも日光の方が詰め代は大きいと感じました).いずれにせよ,
「A052とほぼ互角であるが,最後の最後の詰めの部分でCR-Sは一歩及ばない・・・」
という評価は変わらずですね.
あと,今回少し分かったのが,CR-Sはタイヤの表面温度と内圧とグリップの関係性がA052と少し違う点.その一例が左右の内圧差で,TC1000だと左右均等だったのに,同じ設定で日光を走ったら0.2キロも差がつきました(右側が上がらない).個人的には,TC1000より日光の方が左右均等にタイヤが減る(=負荷が近い)認識だったので,意外なデータでした.
この辺りはサンプル数が少ないので,今後データを集めてみようと思います.