今シーズンのタイムアタックの集大成としてTC2000に行って来ました.
先日のTC1000で最低限のノルマであった40秒台に再び入れる事ができ,その過程でセットアップを更に煮詰められたので,今の状態であれば何もしなくとも
昨年のタイム(1'07.963)から0.3秒は縮められるだろうという目算がありましたが,その更に先にある
7年前のプロのタイムを超えるためにはそれだけでは足りないので,もう少し手持ちの武器が欲しい・・・.
時間的にクルマ側で出来る事は何も残っていないので,ドライバー側で出来る事を見出すべく,先週からtaka@黒インテ(元)さんから頂いたTC2000の走行データを何度も見返していたのですが,自分のEF8とtakaさんのGK5の違いを踏まえつつ,効果的がありそうなもの・なさそうなものを仕分けしたした結果,ドライビングを2点変更する事にしました.
1つ目が,第2ヘアピンでのダウンシフト(↓).
これまで第2ヘアピンでは,ブレーキングに合わせて4→3→2速と1個ずつダウンシフトをしていたのですが,操作を2回行う都合上,その時間を確保するためにブレーキングの開始ポイントをやや手前に持って来ていました.これが第2ヘアピンにおける突っ込み不足を生んでいると思われるため,4→3→2速ではなく,4→2速へ1個飛ばしでダウンシフトをしてみる事にします.
2つ目が最終コーナーへ進入で4速キープ(↓).
takaさんだけでなく,はやぶぅさんの車載も見させて頂きつつ,どうすれば最終コーナーの減速量を減らせるか?と考えてみたところ,4→3速へのダウンシフト時に行うヒール&トゥのブレーキが減速量が大きくなる一因と考えました.これをなくすためには,ヒール&トゥ自体をそもそもしない4速キープの状態で最終コーナーに突っ込めば,ブレーキングの踏力コントロールに集中出来るようになるのではないか? 加えて,3速よりも4速の方がエンブレの効きが弱い事から,同じブレーキ踏力でも更に減速量を抑える事も出来るのでは?と考えました.
今回はこの2つの武器を携えて,筑波サーキットへ向かう事にしました.
さて当日.1週間車載を見続けたせいなのか分かりませんが,なんとTC2000の走行会に遅刻して走れない夢を見てしまいました.ハッ!と夢から覚めて,目覚まし時計を慌てて見たらアラームが鳴る15分前・・・.なので,現実の世界では遅刻はしなかったのですが,「一体どんだけプレッシャーを感じてんだよ」と我ながら苦笑してしまいました.
当然こんな状況で二度寝なんてする気は起きないので,そのまま身支度をして家を出発し,その道中で筑波は気圧1025hPaのドライという好条件である事を知りました.
現地に着いてみると,気温は5℃と肌寒く,路面温度もマイナスの値を示していました.ゲストとして来られていたプロドライバーも「今日ほど良いコンディションはない!」と仰られるくらいのタイムアタック日和でした.
昨年11月以来となるBB6のAT使いに挨拶しつつ,お隣にはM235iに乗り替えられたBMW使いの方もいらっしゃいました.受付でエントリーリストを確認すると私のクラスは,なんと出走11台のクリア取り放題状態! これだけ条件が揃ったら,今日タイムを出さずしていつ出すんだ?という感じで,更にプレッシャーが重くのしかかりました・・・.
という事で,早速1本目(9:00~).
路面温度がマイナスという事で,念には念を入れてリアタイヤを温めつつ,同時にブレーキにも熱を入れます.TC2000はロックするほどハードなブレーキングを行うコーナーはないのですが,アタックシーズン中にブレーキタッチが変わる事を嫌ってジャダーが出ているローターをそのまま使い続けた結果,ヒートクラックがかなりヤバイ状況になってしまいました・・・(↓).
交換用のローターは既に手配してあるので,今日1日もってくれさえすれば問題ないのですが,前回ジャダーを感じたのがまさにこのTC2000なので,念には念を入れてブレーキを温めます.
そして,準備が整ったところで変更した2つのドライビングを試してみます.
第2ヘアピンでのダウンシフト(1個飛ばし)に関しては,今までやった事がないので,ダウンシフト後のオーバーレブが気がかりでしたが,試してみたら繋いだ時は6000rpm前後で何の問題もなかったので,即座にブレーキングポイントの詰めに入りました.
ブレーキングを開始するポイントを奥にとる事自体は大して難しくはなかったのですが,そこから先の操作が問題となりました.ステアリングのレスポンスはまずまずなのですが,立ち上がりで思ったほど踏ん張ってくれず,コース幅が足りなくなって,何回かコース外にタイヤを落としそうになりました・・・.
もう1つの最終コーナー4速キープに関しては,減速に掛ける時間が3速時よりも長く,体感ではボトムスピードが上がっている印象を受けなかったので,「これはロガーで比較するしかないな~」となりました.4速キープ時と,4→3速に落とした時の2パターンでタイムを出しておいて,走行終了後に比較する事にします.
こんな感じでドライビングの変更点のアジャストも終わったので,1本目の最終ラップで1発を狙ってみます.
結果は
1'07.678 で, 自己ベストを0.014秒更新する事が出来ました.
気圧のおかげとはいえ,こちらも2年半振りの自己ベスト更新なので,本来であれば小躍りしても良い状況なのですが,頭の中は2本目をどうするか?しかなく,駐車場に戻るなりロガーを開いて,最終コーナーの簡易比較を行いました.
上が車速,下がタイム差,赤線がダウンシフト時(4→3速),青線が4速キープ時です.ご覧の通り両者のタイム差は僅か0.02秒.進入では4速キープ時(青線)の方が減速量が小さく,タイムを稼げていますが,立ち上がりでは駆動力不足でダウンシフト時(赤)よりも加速が遅れ,このプラスマイナスの差で0.02秒となりました.
公式のSec3のタイムでも差は同じで(↓),
ダウンシフト時 ・・・ 12.035
4速キープ時 ・・・ 12.058 (+0.023)
この結果だけ見ると「どっちでも良い」という結論になりますね・・・.ならば,どちらの方がより自信を持ってドライビングが出来るか?(ドライビング精度が高いか?)と走行中のフィーリングを思い返してみると,
4速キープの方は,出口側の縁石の手前辺りでフロントの接地感を失う瞬間があった事を思い出しました.同じ舵角・同じアクセル開度でほぼ定常円旋回をしているにも関わらず,一瞬だけフッ・・・とフロントの接地感がなくなる場面が4速キープの方はありました.
接地感が急になくなったからといって,それのせいで挙動が乱れたりする事はなかったのですが,接地感を一瞬失った後,再び接地の手応えが戻ってきた瞬間にタイヤが鳴り出してアンダーステアが強まったので,恐らく一瞬クルマが浮いたんだと思われます.最終コーナーのこの位置でフロントが浮くとなれば,恐らく原因は知る人ぞ知るアレでしょうね・・・.
ダウンシフト時にフッと浮く感じがしない理由は,この時は分かりませんでしたが,とにかく立ち上がりでFFのフロントが浮く事は百害あって一利なしなので,タイムが変わらないのであれば4速キープは廃止すべき,と判断しました.
という事で,やるべき事が定まった2本目(10:00~).
手持ちの武器が1つなくなってしまったので,あとやれる事はタイヤのグリップをフルに引き出す事のみ.となれば,タイヤが冷えている計測1勝負しかない訳なのですが,この頃には強い日差しで路面温度は20℃を超えており,たった40分のインターバルではタイヤの表面温度は全く下がりませんでした.「これは計測1でも多分出ないな・・・」と思いつつアタックしてみると,
結果は 1'07.742.1本目のタイムの0.06秒落ちです. これで全ての武器を使い切り,引き出しの中は空っぽとなってしまいました.「さてどうする?」と後続の邪魔にならないように一旦ピットロードを通り,頭を冷やす時間をとってみますが・・・,
やれる事は1つしかない.諦めず,時間の許す限り「気合」と「努力」と「根性」でアタックするのみ!(笑)
( 」`Д´)」ウォォォォォォォォォ!!!
「気合」と「根性」で1ヘア・2ヘアのブレーキングを限界まで詰めて,0.2秒削り取り
1'07.470 (自己ベスト更新)を叩き出すと,
ヾ(*`Д´*)ノ ナンノ!! マダマダ-ァ!!!!
ここまで来たら,絶対プロのタイムを超えてやる!と更に「気合」を入れた結果・・・,
1'07.454! (更に自己ベストを更新)
Sec1で0.1秒,Sec2で更に0.1秒削り取り,最後のSec3さえ纏め切れればプロのタイムに手が届きそうだったのですが,最後の最後で痛恨のミスをしてしまい(進入のライン取りをしくじった),0.016秒しか削り取れませんでした・・・.
_| ̄|○||| ガクッ …
一応この後も,諦めずアタックは続けたのですが(↓),
さすがにタイヤもブレーキも限界で,止まらない・曲がらない・フラフラする,と危ないため,ここで止めておきました.
以上,押し潰れそうなプレッシャーの果ての結末でした.
自己ベストを0.2秒更新し,なんなら205幅で225幅のタイムを超えたので,本来であれば大勝利!とガッツポーズをしても良いくらいなのですが,最後の最後でしくじって,プロの壁を超えられなかったのは本当に悔しくて仕方ないです.あとちょっと,ほんの少しだけプレッシャーに耐える事が出来れば,これ以上ない達成感で今シーズンを締めくくれたのに・・・.orz
それにしても,7年前のプロの壁を未だに超えられないって,ホント情けないですね.道具(タイヤ)の差は歴然ですし,今回は気圧まで味方につけたというのに・・・.プロの技量の高さを改めて感じると共に,どうすればこの壁を越えられるのか? アタックシーズンの終わりと共に,来シーズンに向けて大きな大きな宿題を抱えた1日でした.