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2023年11月05日 イイね!

1速での全開加速から学んだ事

1速での全開加速から学んだ事JMSネタも終わったので,少し時間軸を戻してナリモネタで1つ触れていなかった話を.

先日のナリモはジムカーナ形式だったので,コースインから計測開始のラインまでの間を1速で引っ張って全開加速をしていました.通常のサーキットではピットからコース合流部に行く前に2速にシフトアップしてしまうので,これまで1速でアクセルを全開にする経験はなかったのですが,今回初めてやってみて1つ面白い体験をしました.

それは,ハイカムに入った瞬間にグイッ!と前に引っ張られる感覚です.



「VTECなんだからハイカムで加速感が増すのは当たり前じゃん!」と仰るかもしれませんが,2速で全開で踏んでる時には,VTECが切り替わっても加速感が変化するような事は感じませんでした.ここまで明確に違いを感じたのは今回が初めてです.

体感なので,厳密に何rpmから加速感が変わったのか?は分からなかったのですが,先日ロガーデータを見返していたところ,数字でもくっきりとその変化が現れていました(↓).



上が車速,下がLAP+の簡易計算機能(算出方法は下記を参照)で求めた出力です.赤丸で囲んだ箇所で急激に出力が増しているのが分かると思います.この時の回転数を車速から割り出したところ,やはりVTECの切替えポイントと一致していました.

 【簡易的な出力計算方法】
   [出力(PS)] = ([車速(m/s)] × [車重(kg)])× [加速度(m/s2)] / 735.5


加速感が増したポイントは,私のB16Aがちょうどトルクが盛り上がる辺り(↓).



ここで約2kgf・m近いトルク変化が生じる訳なのですが,「なるほど,これくらいトルクが変化すれば体感出来るんだなぁ~」と思いました.


この体感により,改めてトルクバンドの重要性を認識する事が出来たので,ここを外さない(この回転数以下にしない)車速レンジってどうなるんだろう?と気になったので調べてみました(↓).



縦軸がギヤ,横軸が車速.オレンジ色がサーキットで主に使っている各ギヤのレンジ,赤色は先程のトルク感が増した回転数領域を大まかに示したものです.

これを見ると各ギヤの最低速度(ボトムスピード)は結構引き上げないとダメなんだなぁ~と思いました.例えば,TC1000のヘアピンだと50km/hを下回ってしまうのですが,それだと立ち上がりでパワーバンドに入るまでに結構な時間(20km/h分の加速時間)が掛かるのが読み取れます.下手をすると1速に落とした方がパワーバンドから外れず,速くなる可能性すらありますね.同様に3速でも70km/h台まで落ちる場合は2速に落とした方が立ち上がりは速そうです.

無論,シフトチェンジによるタイムロス(大体0.1~0.15秒)があるので,パワーバンドを外さないからと言って,なんでもかんでも下のギヤで走れば良いってものでもありませんが,やっぱり現状よりもボトムスピードを引き上げる事を心掛けた方が良さそうだなぁ~と改めて思いました.


さて,ボトムスピードの重要性を感じたところで,現在の状態が気になったのでちょっと試算をしてみました.
題材にするのは,先程も出てきたTC1000のヘアピン(↓).



ここのボトムスピードが 47.8km/h なので,例えば,これを50km/hに引き上げるにはどうすれば良いのか?を考えてみます.


まずはデータの整理.


(自動車を物理する:車重と荷重とグリップの関係より)

  車重 ・・・ m = 980 + 60 = 1040 [kg]
  車速 ・・・ v = 47.8 [km/h] ≒ 13.3 [m/s]
  半径 ・・・ r = 16 [m]

上記からヘアピンで生じている遠心力を求めると,

  F = 1040 × 13.3 × 13.3 / 16 = 11497 [N] ≒ 11.5 [kN]

車速50km/h未満の領域なので,ダウンフォースは全く発生していないと仮定すると,この遠心力 11.5kN に対して205/50R15のA052で出せるグリップ(向心力)の限界が,これくらいという事になるかと思われます.


では,このボトムスピードを50km/h(13.9m/s)まで引き上げるのに,何kg軽量化すれば良いのか?を求めてみると,

  m = F × r / v^2 = 11500 × 16 /(13.9 × 13.9)= 952 [kg]

現状の車重(ドライバー込み)が1040kgなので,約90kg軽くしないとダメって事ですね(汗).遠いなぁ~.




じゃあ,別の見方として,ボトムスピードを50km/hで旋回するのに必要なグリップ(向心力)を求めてみると,

  F = 1040 × 13.9 × 13.9 / 16 = 12558 [N] ≒ 12.6 [kN]

205/50R15が 11.5kN なので,約10%グリップを上げないといけない試算になりますね・・・.

仮にタイヤの幅の分だけ線形的にグリップが上がると仮定して,205/50R15の幅が214mm,225/50R15が233mmだから,

  233 / 214 = 1.089 (約9%)

つまり,単純に225幅を履いたとしても届かない,という試算になるんですね・・・.


以上,1速での全開加速から学んだ改良点でした.

う~む,やっぱり根本的にOUT側のタイヤに掛かる負荷をもっと減らさないと,狙いのボトムスピードには到底達する事が出来ない事が良く分かりました.これ以上キャンバーを寝かせるのはブレーキングで苦しくなるので避けた方が良さそうですし,はてさてどうしたものか・・・.
2023年03月12日 イイね!

コイルのお勉強(おまけ編)

コイルのお勉強(おまけ編)SNSを見ていたらエンジンのミニチュアの画像(タイトル画像参照)が流れてきたので,「確かに精工そうだなぁ~」と思いつつ,よく見たらチューンドエンジンばかり.個人作製かな?と思って調べてみたらフリマサイトがいっぱい引っ掛かるので,輸入物だな~と元ネタを調べてみたら予想通りでした.3Dプリントで作られた1/4スケールモデルのようですが,B16Aノーマルがあれば興味を惹かれたのに・・・とちょっと思ったOXです.


さて,前回の続き「コイル」のお勉強の最後おまけ編です.
「点火を強くする」ための方法③に触れてなかったので,そこから.


③「1次コイルの巻き数」を減らす
さすがに「1次コイルの巻き数」なんて情報は公開されていないので,どの「イグニッションコイル」を使ったら減るのか?なんて分かりませんが,古の時代にはエンジンの高回転化に対応する手法としてあったようですね.

高回転になると,当たり前ですが1回転当たりの時間が短くなるので,「1次コイル」に流せる時間も短くなります.通電時間が短くなるという事はそのまま「電流」が減るという事になるので,最終的に失火に繋がります.じゃあどうするの?というと,前回のオームの法則(↓).


(atenai:オームの法則ってどんな法則?より)

「電流が減るなら,抵抗を減らせばいいじゃない」という事で,「1次コイルの巻き数」を減らしたそうです.ただ,単純に減らすと今度は低回転時に電流が流れ過ぎる事になるので,「1次コイル」の上流に追加の抵抗を加えて帳尻を合わせたのだそうです.

ようは,「電流の絶対値は下がるけど,その分レスポンスは上がるよ!」って事です.
前回のK20A用イグニッションコイルの話に通じるものがありますね.


という事で,「イグニッションコイル」本体だけでなく,その上流の抵抗値も点火に影響する事がここから分かります.
じゃあ,その上流の抵抗値って何?というと,ハーネスでしょうね.具体的にはココ(↓)かな?



私のEF8の場合,ここは30年物のハーネスですから相当劣化しているんでしょうね・・・.どのくらい劣化したら,どのくらい抵抗値が増えるのか?というのは定量化出来ませんが,新品時よりは確実に電流が流れにくくはなっているのは間違いないでしょう(間に挟まっている60Aのヒューズにも同じ事が言えますね).


抵抗を増やす要因と言えば,もう1つ「熱」もありますね.

物体に電流を流すと発熱するのですが,発熱すると抵抗が増えて電流が減るという特性もあります.ここで厄介なのが「熱」というと環境温度(吸気温とか水温とか)だけを指しているのではなく,ハーネス自身の発熱を指している事でしょうか.どんなに吸気温・水温が高くても,電流があまり流れない運転(例:低回転)であればハーネス自体の温度が低いので電流は別に減らないでしょうが,反対にどんなに吸気温・水温が低くても,電流を大量に流す運転(例:高回転)ばかりであればハーネスの温度がどんどん上がっていくでしょう.この場合,高回転→低回転に戻ったとしても,ハーネスの温度が急に下がらないのであれば,電流は減ったままかもしれませんね.



もしかしたら,コースイン時は温度が低いので何も問題は起きなかったが,周回を続けて温度が上がってくると途端にトラブルが起こり出す.そして,1度トラブルが発生すると再び温度が下がってくるまで何をしても復旧しない癖に,暫く時間を置いて温度が下がった頃に試すと何も問題が起こらない.そんな事があるのかもしれません.

こんな話をすると,「いやいや,ハーネスの発熱なんてたかが知れてるでしょ.多少は電流が変化するかもしれないが,エンジンの具合が変わるほどではないでしょ~」と言われるかもしれませんが,仮に通常時の点火が既に火のつくギリギリの状態であったらどうでしょう? 例えば気温が低い状態で負荷が掛かると失火するようなレベル.元々ギリギリで余裕がない状態であれば,僅かな変化でも目に見える形で現れるかもしれません・・・.


最後に,ハーネスの抵抗が大きい場合,どうやって下げれば良いか?というと3つ選択肢があると思います.

  ①ハーネスを新品にする(引き直して接触抵抗を減らす)
  ②ハーネスの長さを短くする
  ③ハーネスの太さを太くする

また,EF8純正(ディストリビュータ)時の「イグニッションコイル」はこのスペックだそうです(↓).



K20A用のスペックもサービスマニュアルに載っているようであれば,確認してみたいと思います.


以上,コイルのお勉強でした.
2023年03月11日 イイね!

コイルのお勉強(考察編)

コイルのお勉強(考察編)先日の「富士モータースポーツミュージアム」の話で,「右側のサイドミラーがないですね~」って話を書いたら,EF8の先輩から「何言ってんだ.CR-Xだって右側はミラーないだろ?」と画像が送られてきました(タイトル画像参照).ザッと調べたところ1980年代までは確かに海外では片側にミラーがなくても許されていたようで,勉強不足を思い知らされたOXです.

さて,そんな年代のクルマは当然「ダイレクトイグニッション」ではありませんが,前回に続き「コイル」のお勉強です.

「点火を強くする」というのは,もう少し正確に言うと「イグニッションコイルの2次コイルの電圧を高くする」という事を前回学びました(「スパークプラグ」は変えない前提の話です).

「2次コイル」の電圧は以下の関係性(↓)を持っていますので,

  [2次コイルの電圧] = [1次コイルの電圧] × [2次コイルの巻き数] / [1次コイルの巻き数]

「点火を強くする」ための方法としては以下の3つが考えられます.

  ①「1次コイルの電圧」を上げる
  ②「2次コイルの巻き数」を増やす
  ③「1次コイルの巻き数」を減らす


①「1次コイルの電圧」を上げる
「1次コイル」の元電源はバッテリー(or オルタネータ)であり,これらの定格出力は決まっているので,電圧の絶対値を上げる事は出来ません.



となると,前回お話した「コイルの天邪鬼な特性」を用いて「1次コイル」を昇圧するしかありませんので,「1次コイル」への通電時間を制御している「ドエルタイム」を延ばす事によって,この昇圧を強める方法が考えられます.

ならば,「ドエルタイム」をどんどん延ばしていけばいいじゃないか!というと,そんな事はなく,「1次コイル」の電圧を上げていくと「イグニッションコイル」上部に付いている「イグナイタ(↓)」が音を上げます.



音の上げ方の詳細までは専門家ではないので分かりませんが,ご覧の通り電子機器ですので,恐らく「熱」的な要因でしょう.従って,延ばせる「ドエルタイム」にも限界がある事が分かります.


②「2次コイルの巻き数」を増やす
これが一番単純で分かり易い方法だと思います.一例を挙げると以下のような感じ(↓).



K20A用の「イグニッションコイル」に比べて,F20C用の方が「2次コイル」部分の長さが長いのが分かると思います.この両者の「イグナイタ」と「1次コイル」が同じ仕様であるかどうかは,ホンダの人間ではないので分かりませんが,このDENSO製「イグニッションコイル」の相当品として出ているNGK製は,K20A用とF20C用が同一部番になっているので,恐らく一緒でしょうね.



という事で純正品(DENSO製)を使うなら,K20A用よりもF20C用を使った方が点火が強いという事になるのですが(所謂,純正チューンってヤツですね),ここで1点引っ掛かっています.

K20Aが初搭載されたのは2000年に発売されたストリームです.ハイチューン仕様の所謂R-Specが出たのはその翌年の2001年のインテグラ(DC5).一方,F20Cが搭載されたのは1999年に発売されたS2000(AP1)です.そう,性能の良いF20C用の方がK20A用よりも先に市場に出ているんですよね・・・.

確かにK型エンジンはTYPE-R以外にも使われていますし,それらと共用する事でコストダウンが図れるのも事実です.同じエンジンで「イグニッションコイル」如きに仕様を分けたくないというのもあるでしょう.でも,ホンダじゃないですか? TYPE-Rじゃないですか? 手近により性能が出せる部品があるなら,それを使いそうなもんじゃないですか? なのにそれを使わない.なんか引っ掛かるなーと思いました.


最初に思いついたのが,「これだけ見た目が違っても,実はイグニッションコイルの性能としては大差がない」という説.実際「K20A用→F20C用に替えてみても体感は出来なかった」という話を聞いた事はありますし,NGKが部番を統合している点(仕様を一緒にしても保証出来る点)からも「大差ない」の可能性は高い気がします.

ただ,それじゃ面白くないので(笑),もうちょっと捻り出してみたいと思います.


まずは昔懐かし,オームの法則.


(atenai:オームの法則ってどんな法則?より)

いや,私は普通に「ブイ,イコール,アイ・アール」と覚えましたが,最近はこういう覚え方をするんですかね・・・?
ま,それはともかく,「電圧」を上げるためには「電流を増やす」or 「抵抗を増やす」という法則です.

先述のF20C用コイルの場合,K20A用に比べて「2次コイルの巻き数」が多いので「電圧」が高くなるはずですが,「巻き数」が多い分「抵抗」は増えるので「電流」は減ります.どれくらい増えたり・減ったりするのかな?と思い調べてみたところ,


(Pepper License:電気回路 その4より)

「抵抗」は巻き数の2乗で増え,「電流」は巻き数に反比例して減るのだそうです.「抵抗」はコイルの物理的なモノなので良いとして,「電流」がこんなに減ったら,点火という観点では弱くなんないの?と思い調べてみましたが,そこはよく分かりませんでした(点火エネルギーという意味では変わらないかなぁ~?とも思いましたが).

ただ,2乗で「抵抗」値が増えたら,過渡特性は確実に変わりますよね?
例えば,通電開始時の立ち上がりは遅くなり,レスポンスが悪化する気がします・・・.

(・_・)… ン?

アレッ? おかしいですね?? K20Aのレブリミットは大体8600rpm,F20Cのレブリミットは9000rpmくらいですから,F20Cの方が高回転型で点火の時間が短く,レスポンスが必要になりそうですよね.でもF20Cの方がレスポンス面では不利になりそうな高抵抗型のコイル.F20Cは過渡よりも絶対値を優先したとも解釈出来そうですが,他に要因がありそう・・・.


他の要因として「熱」というのを考えてみました.

電気が流れると熱を持ちますので,「電流」が大きいほど発熱量も大きくなります.先述の通り,「2次コイルの巻き数」を増やすと「抵抗」が増えますので,オームの法則から「電流」が減ります.つまり,F20C用の方がレスポンスは悪いが発熱量は小さい,という説が思い浮かびます.なるほど,高回転型の方が「熱」の条件は厳しいですので,これだと納得出来ますね.

という事で纏めると,

  F20C用のイグニッションコイル ・・・ 点火のレスポンスは悪いが,耐熱性が高い
  K20A用のイグニッションコイル ・・・ 点火のレスポンスは良いが,耐熱性が低い

そして,点火の力自体は両者に大差はない,なんて特性だったりすると面白いんだけどなぁ~と思った「コイル」のお勉強でした(あ,③の話をし忘れたので,次回おまけ編として書きます).
2023年03月10日 イイね!

コイルのお勉強(基礎編)

コイルのお勉強(基礎編)先日,「ノイズリデューシングホイール」という存在を初めて知ったのですが,アレってホイールのバランス取りが難しかったりするんですかね? TPMSが付いていると,タイヤを外す時に気を遣うので工賃が高かったりもするのですが,どうなんだろう?と疑問に思ったOXです.

さて,トラブルシューティングのために,ここのところ色々調べ物をしているのですが,今回は「イグニッションコイル」に関して纏めておこうと思います.また長くなりそうなので今回は基礎編.

「イグニッションコイル」は,エンジンの点火系の部品の1つで(タイトル画像参照),「スパークプラグ」の上流にあり,数万Vの高電圧を発生させる装置でもあります.下図のような構造となっており,


(DENSO:Ignition Coilより)

「イグナイタ(スイッチ)」を介してバッテリーに繋がっている「1次コイル」と,鉄心である「センターコア」を介して「1次コイル」と繋がっている「2次コイル」で構成されています.


エンジンは「スパークプラグ」で点火して(火を飛ばして),空気と燃料の混合気を燃焼させて出力を得ている訳ですが,「スパークプラグ」の電極間に火を飛ばすためには,空中に放電出来るくらいの高電圧が必要となります.


(DENSO:プラグの飛火と着火より)

しかし,クルマで発電している電圧は所詮数十Vですので,これを数万Vまで昇圧させる機構が必要となり,それを担っているのが「イグニッションコイル」となります.


たかだか数十V程度である電圧を,どうやって数万Vにまで昇圧させているか?というと,「コイル」の天邪鬼な特性を利用するのだそうです.


(加美電子工業:【今さら聞けない】インダクタンスって何?より)

「コイル」は,電流を流そうとするとその流れを食い止めよう(ブロックしよう)とするのですが,その状態から電流を流すのを止めようとすると,今度は逆に電流を流し続けようとする天邪鬼な性格をしているのだそうです.この特性を利用して,電流を流す→急に止めるという操作を行うと,瞬間的に電圧を増幅する事が出来るのだそうです(↓).


(加美電子工業:【今さら聞けない】インダクタンスって何?より)

これによって,先述の「1次コイル」は300~500V程度まで昇圧出来るのだそうですが,これでも数百V程度で火花を飛ばすにはまだまだ足りません.更にもっと昇圧する必要があり,それを担っているのが「2次コイル」です.



(MONOist:エンジン点火に必要な電圧は数万V! イグニッションコイルの役割より)

「1次コイル」と「2次コイル」は直接接触していませんが,鉄心(コア)を介して,「1次コイル」で発生する磁界(磁気が働く空間)は「2次コイル」も巻き込んで発生し,これによって「2次コイル」にも起電力が生じるのだそうです.この際,「1次コイル」と「2次コイル」の銅線の巻き数を変える事によって,2次側の電圧を調整する事ができ,以下のような関係になるのだそうです.

  [2次コイルの電圧] = [1次コイルの電圧] × [2次コイルの巻き数] / [1次コイルの巻き数]

「1次コイル」は比較的太い銅線を100~200回程度,「2次コイル」は細い銅線を15000~20000回程度層状に巻いているそうですから,これで両者の比率は百倍となり,百倍の電圧,すなわち25000~35000Vという高電圧を「スパークプラグ」に伝える事が出来るのだそうです.ちなみにこの数万Vを発生させられる時間は僅か0.5~2.5msという極々短時間との事です.


ホンダのK20A/F20Cで使われている「イグニッションコイル」はDENSO製ですが,DENSOのサイトにそのカットモデルの絵が載っていました(↓).


(DENSO:Ignition Coilより)

これは所謂「スティック型」と呼ばれているタイプで,中央の鉄心(コア)が目立ちますが,その上部には「イグナイタ」が搭載されています.



「イグナイタ」は,先程の電流を流す→急に止める,という動きを担っている部品で,「1次コイル」の昇圧(数十V→数百V)に耐えられる設計になっています.先述の関係式(↓)から,

  [2次コイルの電圧] = [1次コイルの電圧] × [2次コイルの巻き数] / [1次コイルの巻き数]

「1次コイル」の電圧をより高くする事が出来れば,「2次コイル」でより高い電圧を得られる(=火花を強く出来る)ので,いつぞや調べた「ドエルタイム」の話がここで繋がってきますね.


以上,基礎編でした.今回は前振りなので次回が本題です.
2023年02月27日 イイね!

レギュレーターのお勉強

レギュレーターのお勉強インジェクタのお勉強をした際に抵抗値の話をしましたが,EF世代にはレジスターが別に付いているんだそうで「今どうなっているんだっけ?」とショップに聞いたら,「とっくの昔に外しとるわ!」と怒られたOXです(確かに最近見た記憶がないな・・・).

さて,引続き対策案を練っているのですが,今回はその中から燃圧レギュレーターのお話.その名の通り「燃料の圧力をレギュレート(制限)するもの」ですね.

単語だけでイメージは何となく出来ますが,システムや構造を真面目に考えた事がなかったので,一度おさらい.


(TOMEI:燃圧調整式フューエル プレッシャー レギュレーターより)

燃料をタンクからポンプを使って吸い上げ,デリバリーパイプを経由してインジェクタに供給するところまでは想像通りですが,レギュレーターは更にその先に付いていて,これを介して燃料をタンクへ戻している(リターンさせている)ようです.

燃料を戻す際,その流量を制限する事で圧力の調整をしている点は理解出来るのですが,なんでインテークマニホールドから負圧を引っ張り出しているんだっけ?と思い,調べてみると,コチラに詳しい解説がありました.


(TOMEI:燃圧調整式フューエル プレッシャー レギュレーターより)

レギュレーター内にあるスプリングがバルブに力を加えて流路を絞る事で燃圧を上げているのですが,燃圧が上がり過ぎると今度はスプリングが押し返されて流路が広がり,燃圧が下がる事で一定の圧力に保つ仕組みのようです.

ここに負圧がどう絡んでくるのか?というと,インジェクタの噴射量というのはインジェクタの入口と出口両方の圧力差によって決まるものなので,いくら入口の圧力(押す側)が一定でも,出口の圧力(引く側)が低ければその分噴射量も増えてしまいますので,これを補正するために負圧が深くなったら,その分燃圧を絞って圧力差が変わらないようにしてやる必要があり,ダイアフラムを使ってそれを実現する構造のようです.


「なるほど,なるほど~」と構造・原理が分かったところで,B16Aに付けられる調整式レギュレーターってあるのかな?と思い調べてみると,これを取付けるにはアダプターが必要だそうで,B16A用の設定がありそうなのはこんな感じでした(↓).

【ラン・マックス】







【SARD】




※燃圧計は販売終了


【東名パワード】







【AEM】


※燃圧計なし


最後の「AEM」製はB型向けの専用設計だそうで,他のと異なりポン付けのようです.ただ,燃圧計は別途用意しないといけないですね.「東名パワード」製はレギュレーター本体に圧力センサの取付口が付いているようで(↓),





搭載する際のレイアウトに気をつける必要がありますが,スッキリしていて良いですね.


スッキリと言えば,燃圧計を取付けるのではなく,燃圧センサを付けてLINK ECUに直接取り込む方法もあるか?と思い調べてみると,



500kPa(1/8PT)の燃圧センサの設定がありました.「ラン・マックス」「SARD」「東名パワード」の燃圧センサ取付け用のサービスホールも1/8PTのようですので,サイズは合いそうです(↓).


(SARD:フューエルレギュレタースペシャルサイトより)

計測値が500kPaで足りるのかな?という点に関しては,各社の計測レンジが0~8kg/cm2(0~784kPa)なので少し不安を感じましたが,B16Aのサービスマニュアルに「基準燃圧:2.55kg/cm2(約250kPa)」と書かれているので(↓),500kPaあれば大丈夫そうですね.



「AEM」製+「燃圧センサ」の組合せがベストな気もするのですが,「AEM」製のレギュレーターはどうもサービスホールがないような・・・?という点が唯一気がかりでした.


以上,レギュレーターのお勉強でした.

プロフィール

「[整備] #CR-X フロントスプリング交換 https://minkara.carview.co.jp/userid/1684331/car/1250119/7767117/note.aspx
何シテル?   04/26 23:09
EF8乗りの先輩にタイムアタックで挑んでいます.現在までの通算成績は9勝20敗.GPSロガーを使ってマシンとドライビングの問題点を洗い出し,アップデートさせなが...
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