自民党は25日午前、党本部で国防部会を開き、北沢俊美防衛相直轄の防諜部隊「自衛隊情報保全隊」が陸上自衛隊OBの佐藤正久参院議員や田母神俊雄元航空幕僚長の講演に潜入し、現職自衛官の参加状況を監視していた問題について、防衛省からヒアリングを行った。防衛省側は情報収集を指示した事実はないと否定し、隊員の権利や自由を侵害した事実もないと説明した。そのうえで、「秘密情報の保全のため必要な情報収集をしているが、保全隊の具体的な活動内容を明らかにすることは差し控えさせてほしい」と述べ、佐藤氏の集会に関しては「情報収集の対象となっていない」と釈明した。
これに対し佐藤氏は「まさか監視されているとは思わなかった。自民党と自衛隊を引き離そうとしているとしているのか」と反発した。佐藤氏は25日午前、国会内で記者会見し、「私の講演会に保全隊が来ていることは知っていた」と明らかにした。佐藤氏によると、最近になり田母神氏、陸上自衛隊唯一の特殊部隊「特殊作戦群」の初代群長を務めた陸自OBとも連絡をとったところ、2人も講演会や会合に保全隊員が調査に入っていたことを認識していたという。
一方、自民党国防部会では参加した議員から「まったく納得できない」(柴山昌彦衆院議員)、「本来すべき仕事と違う仕事をしているのではないか」(江渡聡徳衆院議員)「魔女狩りではないか」(宇都隆史参院議員)なとど追及が相次いだ。石原伸晃幹事長は25日午前の記者会見で「ひどい話だ。事実なら憲法違反だ」と批判。また防衛省が情報収集を否定していることに対しても「スパイは『自分はスパイしている』とはいわないだろう」と皮肉った。自民党は、自衛隊関連施設での政治的発言を事実上制約する防衛事務次官通達問題と併せ、通常国会で追及する構えだ。
何だかおかしな話だが、ちょっとやり方が違うんじゃないだろうか。自衛隊や警察などの武力機関には内部を視察する部門があるのは当然だろうが、それは反国家などの危険思想を排除するためでここまでやるのは少し過ぎているんじゃないか。前回の体制批判者の来賓からの排除に関する通達といい、どうも民主党のやり方には専制的な匂いがする。まさか、お隣の大国に範を取っているわけではないだろうが、基本的に自由主義を標榜するのなら、政権に都合のよろしい方への統制は止めた方が良いのではないだろうか。
田母神氏の考え方は今の日本では過激だろうが、軍人としては当然の主張で極端に特異とも思えない。太平洋戦争開戦に至った経緯については、ちょっと違うのではないかと思うところがあるが、要はアジアと西太平洋の覇権を巡る新旧資本主義勢力の衝突で、日本だけが一方的に悪いわけではない。しかし、それを巡る当時の政府の見通しと対応だけはどうにもならないほどにお粗末だったが。ただし、当時の中国に対する武力進出は侵略と位置付けられても止むを得ないだろう。
佐藤氏は自民党の議員ということだろうか。しかし、自民党は反国家破壊思想を持った政党ではなく、この間までは長きにわたって政権を担当していた政党だ。視察の対象とすするには問題があるだろう。まあ、民主党から見れば自分たちの政権を揺るがす反国家思想ということだろうか。そうすると例の仙谷大仙人の「暴力装置」発言は政府を批判する勢力に対して、「自分たちは暴力装置を持っているのだぞ」という脅しだったのか。それなら今回の統制も理屈に合っているのかもしれない。
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2011/01/25 22:48:58