日本の新幹線は1964年に開業して以来、乗車中の乗客の死亡事故を一度も起こしていない。香港メディアの鳳凰網は25日、「新幹線が47年にわたって重大事故を起こしていない理由」について論じる記事を掲載した。
記事は、新幹線は1度も衝突事故すら起こしておらず、脱線事故もわずか3度のみだと紹介し、「新幹線はなぜ47年もの長きにわたって重大事故を起こさない安全神話を創りだすことができたのか?」と問いかけた。
記事は早稲田大学の橋本教授の話を引用し、3つの理由を取り上げた。1つ目の理由は、新幹線の運行速度は絶対に安全といえる範囲内に抑えられているということだ。「日本の新幹線はテスト時に最高時速420キロを記録している。しかし数十年にわたって運行速度は300キロを超えないように取り決められてきた。」と紹介した。
さらに記事は2つ目の理由として、新幹線の車両製造技術と運行管理技術はともに進歩してきたという点を指摘、車両技術が改良されると、運行管理システムも同時に改良され、技術間に食い違いが生じないようにしていることを挙げた。3つ目の理由は、新幹線は「自動列車制御システム(ATC)」や「列車運行管理システム(PTC)」などといった安全運行システムにより守られていることを紹介した。
記事はさらに、23日に中国で発生した高速鉄道の追突事故の原因について、車両技術と運行管理システムが寄せ集めとなっていることを挙げ、「停車していたのがカナダが技術提供した車両、追突したのが日本が技術提供した車両だった。2つの車両の運行を管理するシステムは中国が独自で研究開発したものだったが、明らかにこの3者間に完全な融合が見られていない。同時に、列車の制御システムがわずか1つで、そのバックアップすらなかったことが、結果として列車と運行管理の間の連絡を絶ち、このような重大な事故を招いた」と報じた。
技術は段階を経て進歩させていかないとどこかでそのしわ寄せが出てくる。日本の新幹線は時速200キロから徐々に改良進歩を重ねて現在の姿になっている。発生する問題に対して検証と対策を繰り返して改良された技術を積み重ねて驚異的な過密ダイヤを安全に運行させている。
いろいろと問題もあっただろうし、危険な状況もあっただろう。それが大きな事故を起こさなかったのは国家の威信や体面よりも安全を優先させるという思想が浸透していたからだろう。最先端技術は一番でないと意味がないが、実用技術は確実なことが第一となる。特にそれが人の命に係わる場合はなおさらだろう。300キロが250キロになっても安全に確実に乗客を目的地に運べればそれに越したことはない。
250キロでも、200キロでも電車が走る速度としては十分に速い。それ以上を求めるなら航空機でもいい。中国のように広大な国土を有する国家は鉄道よりも航空機の方が利便性が高いのかもしれない。
航空機にしろ鉄道にしろ、大量輸送機関には確実性と安全性が何よりも優先されることは議論の余地はない。国家の威信を安全性や確実性に優先させたことが今回の事故の最大の原因だということを中国は知るべきだろう。
Posted at 2011/07/28 23:18:18 | |
トラックバック(0) | 日記