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2015年09月30日 イイね!

平和を守るのは感情論ではなく力のバランスだ。




今さらいうまでもないが、集団的自衛権は日米同盟の問題である。これを日本一国の都合で論じる人が多いのにはあきれる。たとえば長谷部恭男氏(http://www.yomiuri.co.jp/adv/wol/opinion/gover-eco_140623.html)は「集団的自衛権は行使できるが、政府の判断で協力しません」と言うと同盟関係が傷つくので「集団的自衛権は行使できない」という憲法の大義名分を残したほうがいいという。






朝鮮半島で軍事衝突が起こって派兵要請があった場合、国会で外相が「本当は自衛隊を派遣したくないが、そう言うとアメリカが怒るので憲法を理由にして拒否した」と答弁したら、日米の信頼関係は崩壊し、アメリカは日本に対する一切の防衛協力を拒否するだろう。同盟関係とは双務的であることによってのみ成り立つのだ。






この点で本書は2000年の本の増補改訂版だが、今こそ読むに値する。第1次大戦に日本は参戦しなかったが、1917年にイギリスの要請で地中海に駆逐艦を派遣し、機雷で沈没したイギリス軍艦から7000名余りを救助し、その勇気を感謝された。しかしこれが国内に報じられると、日本のマスコミと野党は「日本の利益にならない」と政府を攻撃した。






これは形式的には正しい。日英同盟の対象地域はインド洋から東なので、地中海でイギリス軍を支援することは、今でいえば過剰な「集団的自衛権」の行使だろう(当時そういう言葉はなかったが)。これにこりて政府は、以後の各国からの応援要請をすべて拒否し、日英の信頼関係も冷え切った。これが第1次大戦後に同盟が有名無実化し、1923年に解消された大きな原因である。






それが戦前の日本の岐路だった。第1次大戦では英米側についた日本が、次第にドイツに傾斜し、日独伊三国同盟を結んだことが、日米戦争に突入して敗れた根本原因だ。あのとき集団的自衛権を行使して日英同盟を守っていたら、日米戦争は起こらなかっただろう。






国際秩序は「平和主義」のきれいごとで守られているのではなく、力の均衡と国際的な信頼関係で維持されているのだ。長谷部氏に代表される野党の利己的な一国平和主義こそ同盟関係を破壊し、戦争に至る道である。







まさに言うとおりで平和と言うのは力の均衡が保たれた状態で維持されている。このバランスが崩れた時に戦争が起こるのであって、「平和、平和」と念仏のように唱えていても平和は守れない。軍事同盟というのは価値観を共有する国家が形成する運命共同体で、「うちは家訓で争いごとには加われません」などと言っていては、誰にも相手にされない。







超覇権主義のスーパーパワーにはやはりそれなりの力を示して対抗しないと平和は維持できない。好むと好まざるとに関わらずそれが世界の常識だ。今回の安保法制で一歩半くらいは前進したかもしれないが、まだまだ普通の国には程遠い。







日本は英国と協調していた時代は安定した発展を遂げていたが、英国と袂を分かってからは転落の一途をたどって行った。まがいなりにも日本が日露戦争を勝利で締めくくれたのは英米の後ろ盾があったからでそれがなければ間違いなく日本はロシアに負けていた。







今の国際社会で日本が価値観を共有できるのは欧米であって間違っても中国ではない。戦争をしたい者などいないだろうが、「若者を、孫を戦地に送るな」と言って、この日本が戦場になったらどこに行くのか。







万策尽き果てれば自存自衛のために戦わなければならない時もある。それをどの世代が負担するかは人間の選択ではなく歴史の選択だろう。血で購わなければ平和を維持できない時もある。明治維新というクーデターも血で購った上に築いた改革だった。もしかしたら平和それ自体が血を求めているのかもしれないと言ったら言い過ぎだろうか。





Posted at 2015/09/30 19:12:49 | コメント(0) | トラックバック(0) | 軍事 | 日記
2015年09月30日 イイね!

女性専用車両は必要かって??




女性の皆さん、女性専用車両って使っていますか?

満員電車の時間帯での痴漢対策や妊娠している人には需要が高いものの、一方で「なんで女性ばっかり?」や「自意識過剰と思われそう…」など、あまりいい印象を持っていない人もいるような…。そこで、20~30代の男女に調査してみました。

■83%の女性が「必要だと思う」と回答

まずは女性に質問!「女性専用車両って必要だと思う?」と聞いたところ、83%が「必要」とのこと。その理由も聞いてみました。

<必要>
●「痴漢などに遭わない安心感や、夜、酔っぱらったおじさんや若い男の人たちに絡まれたりする心配がないから」(30歳)
●「両手を上げて乗っている男性を見ると大変そうに感じるから」(25歳)

<必要ない>
●「女性専用車両があるのに、専用ではない車両に乗る女性は痴漢されても構わない、という意味だと捉えるバカもいるから」(38歳)
●「男性専用車両もあれば別だが、特別扱いな気がするので」(27歳)

■女性専用車両では迷惑行為が多発!?

必要か必要でないか…賛否両論ありますが、女性しか乗ってないことをいいことに、迷惑行為をする不届き者も多いとか?目撃したことあるかを女性に聞いたところ、30%が「ある」とのこと。どんなことしてたの?

●「男性の目を気にしなくなるため、化粧は当たり前、他の乗客へも横柄な態度を取っていた」(32歳)
●「席取りが普通の車両より激しい。人の前が空いても横から座ったりしてくる。また、全員の香水が混ざって、とんでもないニオイ地獄になっている」(28歳)

■「女性専用車両は必要」と考える男性は64%

男性にも女性専用車両の必要性を聞いてみました。すると、必要派は女性より少なくて64%。痴漢の冤罪(えんざい)が多いという社会問題から必要だと思いつつも、やはり不公平感も否めないようです。

<必要>
●「痴漢に疑われるのをなるだけ回避できるから」(25歳)
●「体格的に劣る女性が満員電車で男性たちに押しつぶされているのを見ると、かわいそうだと思うから」(27歳)

<必要ない>
●「女性専用車両があるなら男性専用車両も作るべし」(31歳)
●「機能してない。ガラガラのときもある。楽したいだけ」(27歳)

確かに女性を対象としたアンケートで聞いた利用頻度でも、72%が「たまたま女性専用車両付近に居合わせたら使う」と回答しているように、常に利用している女性は少ない様子。そもそも痴漢などの迷惑行為がなくなれば、女性専用車両も必要なくなるのでは?と思った、今回のセキララ★ゼクシィでした。








女性専用車両は必要か。まあ、日本の通勤ラッシュを考えるとそういう車両があってもいいのかもしれない。異常だからねえ、日本の通勤ラッシュは、・・。外国人がそれを体験するツアーと言うのもあるようだし、・・。さらに痴漢も横行しているようだし、また、まじめな男性にしてみれば冤罪被害を受けるリスクも減少するだろう。しかし、1両だけでは少な過ぎて一般車両に乗っている女性も多い。いっそのこともう少し車両を増やして社会的弱者専用車両として、高齢者、子供、身体の不自由は人なども併せて利用できるようにすれば良いのではないか。女性よりも混雑した車両に乗り合わせた高齢者などの方がよほど気の毒なようにも思うが、・・。ところでこの記事にもあるが、女と言う生き物、同性だけになると恥じらいも何もなくなるので車内の有様は恐ろしいだろう。その点でも社会的弱者専用としたほうが良いのではないか。おっと、これは余計なことかな。





Posted at 2015/09/30 18:15:21 | コメント(0) | トラックバック(0) | その他 | 日記
2015年09月30日 イイね!

中国で日本人2名がスパイ容疑で拘束とか、・・。




中国で、今年に入り、日本人2人が中国当局に拘束されていることが明らかになりました。「スパイ行為」の疑いをかけられている可能性もあり、日本政府が確認を急いでいます。

 

政府関係者によりますと、中国で、今年に入り、日本人2人が中国当局に拘束されているということです。中国当局はこの2人に対し、「スパイ行為」に関わった疑いで数か月にわたって取り調べているという情報もあり、日本政府が確認を急いでいます。

 




「報道については承知をしていますけれども、個別事案については答えることは控えたいというふうに思います」(菅義偉官房長官)

 




菅官房長官は詳細について明らかにしませんでしたが、複数の政府関係者によりますと、2人の命に危険はない状況だということです。また、この2人は、愛知県と神奈川県に住む男性だということです。

 




中国で日本人が拘束されるのは、2010年に建設会社フジタの日本人社員4人が河北省の軍事管理区域に許可なく侵入し、一時拘束された事例などがあります。







どこに行っても何を言ってもお上にとがめられるようなこともない日本じゃないんだからだめだって、軍事施設や規制区域に接近しては、・・・。日本政府との関係と言っても、今時、政府がスパイを送り込んで調べるようなこともないだろう。地理的なことであれば空の彼方から何でも見通せるんだから。中国は何とかして日本政府と結びつけて非難したいんだろうけど、・・・。





Posted at 2015/09/30 12:53:21 | コメント(0) | トラックバック(0) | 軍事 | 日記
2015年09月29日 イイね!

技術開発を捨てて安易な方法に走ったVW




ハイブリッド、プラグインハイブリッドの時代へ

 

独フォルクスワーゲン(VW)が引き起こした排ガス不正問題を受けて、すでに米国政府はガソリンエンジン、ディーゼルエンジンに関わらず、すべての自動車を対象に排ガス検査を強化すると発表した。今回問題になっている不正ソフトウエアを搭載したVWのディーゼル車は全世界ですでに1千1百万台が販売されたことが分かっており、米国に限らない。各国で燃費や排ガス規制に関連した検査体制が強化されることは必至である。
 




今回の事件でさらに重要なことは、VWの不正によってディーゼルエンジンが、日本、中国、米国、EUなど主要市場で今後さらに強化される燃費規制、排ガス規制の一つの「解」には、なりずらいとういうことだ。
 




代わってどのような技術が導入され、その技術の導入が加速されるのか。つまり、今回の不正事件を受けて誰が「勝者」となるか、という「ディーゼル没落」以降の短期的、中長期のシナリオが極めて重要な自動車産業界の関心事となる。
 




自動車関係者の意見を総合すると、勝者はトヨタを筆頭とするハイブリッドの先駆者である日本勢、そして小型のガソリンエンジンを発電機として搭載した限りなく電気自動車に近い「プラグインハイブリッド」車で先行する米ゼネラルモーターズ(GM)などのメーカー(トヨタにも「プリウス」の名前がつけられた商品ラインアップのなかにプラグインハイブリッド車がある)。
 




「世界的に押しなべて一般的な話しをすると、自動車業界には2020年問題があり、2020年規制をクリヤーするためにはメーカーによっては「クリーンディーゼル」が重要な解の一つでした。それがなくなるとすると、これからどうなるのか?」そう話すのは世界的なエンジンのスペシャリスト会社であるAVLの幹部。
 




2017年から2018年にかけての規制はターボ技術を駆使しガソリンエンジンを小型化し、さらに燃費を向上させる技術が有望。直噴エンジン、シリンダーといわれる燃焼気筒数を減らした3気筒エンジンや2気筒エンジンに秀でたサプライヤー、メーカーが勝利する可能性が高いという。
 




また、短期的に有望なのは信号で停車しているときにエンジンを一時的に切ったり、信号が青になったときに瞬時にスタートさせる技術。ブレーキからのエネルギー回生などの「マイルドハイブリッド」という技術のサプライヤー。さらには、「プリウス」に代表される電気モーターやバッテリーをガソリンエンジンと併用するハイブリッド車、そのメーカーが短期的な勝者といえるという。
 




ただし、問題はこれらの技術では2020年以降の規制問題がクリヤー出来ないことである。
 




もちろん電気自動車のコスト低減、一回の充電で走行できる走行距離が大幅に向上され、EVが画期的に普及すれば、2020年問題は簡単に解決できる。ただし自動車関係者の多くは(AVLの幹部も含め)その可能性が極めて低いことを指摘する。
 




2020年以降の規制をクリヤーするのに一番有効な技術は、従って電気自動車に限りなく近いが小型のガソリンエンジンを発電機として搭載している通称「プラグインハイブリッド」といわれる技術。さらに燃費規制、排ガス規制がさらに強化されれば、水素を燃料として使用する燃料電池車だとAVL幹部はいう。
 




ここまで言うと明確であるが、短期的にも中長期的にもことごとくトヨタが有望であること。また、トヨタに続けと積極的に投資してきたホンダやGMが「ディーゼル没落」以降の世界での勝者として躍り出る可能性がいかに高いかがわかる。
 




最近のガソリン安でハイブリッド、水素燃料電池の将来がいく分不安視されていたが、今回のVW排ガス規制不正問題でその将来はさらに明るくなったといえよう。
 




また、トヨタがその中でもとりわけ有望であり、絶対的な「勝者」になりえることが明確になってきている。







VWは10年ほど前に米国市場対策として主力製品のディーゼル車の製造コストを抑制しながら排ガス基準を守ろうとしたが、追加の排ガス除去装置を装着するとコストを押し上げるため、装着が見送られたという。その代わりに検査時に排ガス量を操作するソフトを導入したそうだ。結局、地道な技術開発とコスト管理を捨てて排ガスを違法なソフトで処理しようとした。これが悪魔のささやきとなったようだ。どうしてあれだけのスーパー企業がこんな決定をしたのだろうか。技術で問題を解決する。それが出来なければほかの部分でコストを抑える。そうした努力が出来なかったのだろうか。品質、性能ともに一歩リードしていたVWでもそうした違法な方法しか取れなかったのだろうか。日本の企業でもデータの改ざんなど種々の問題が生じるが、利益追求とは言っても一度失った信用を回復するのは並大抵のことではない。技術とは失敗と改良の繰り返し、これを怠っては技術の進歩はない。





Posted at 2015/09/29 22:28:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | 経済 | 日記
2015年09月29日 イイね!

あり得ないことが、(31)




女土方は黙ってベッドの脇に置かれた椅子に座って僕を見ていた。穏やかな表情をしていたが、何だか一瞬でも僕の容態を見逃すまいと神経を集中しているように見えた。

「ねえ、お願いがあるんだけど看護師のお姉さんに言ってT字帯を一つもらってきてくれない。」
女土方はちょっと怪訝な顔をした。

「どうしたの。汚したの。」

『そんなことを聞くものじゃない。日本男児たるもの命をかける時には真新しい下着を着けるものと相場が決まっているんだ。黙ってもらって来い。』

 
まさか女土方にそんなことは言えないので「大丈夫よ、でも汚すかもしれないから予備に置いておきたいの。お願い。もらって来て。」とちょっと弱弱しく言って女土方を従わせた。
時間はまだ昼前だったので手術が始まるまでには四時間以上もたっぷりと時間があった。しかし時間はあっても好きなコーヒーも飲めず、物も食えず、タバコはご法度、点滴につながれた不自由なわが身ではせいぜい本を読むくらいで他にすることもなかった。

 
最初のバッグが空になり二つ目が空になりそして最後のバッグもそろそろ尽きようとした頃、あのあまり愛想のない看護師がトレイに注射器を載せて入って来た。

「それじゃあ佐山さん、点滴を終えてそろそろ手術の準備に入りましょう。麻酔の準備のために鎮静剤を注射しますけどちょっと痛いですよ。今日一番痛い注射ですけど必要な処置なので我慢してくださいね。」

 
看護師は手早く点滴の針を腕から抜くとうつ伏せになるように言った。そして僕がうつ伏せになるといきなり臀部に針を突き立てた。

『何事にも心構えというものがあるのだから一言断るのが武士の情けというものだろう。武士は寝首を掻いたと言われては恥だと相手の枕を蹴上げて起こしてから切りつけたというじゃないか。』

 
心の中で文句を言ってやったが、佐山芳恵から受け継いだぶ厚い脂肪層が相応の防御効果を挙げたのか僕自身の感覚が鈍いのか看護師が言うほど痛いというほどの物でもなかった。

「大丈夫ですか。痛くなかったですか。」

 
愛想のない看護師は心配そうに僕を覗き込みながら注射したところを揉んでくれた。その手の動きに合わせてお尻の脂肪層がゆるゆると不規則に揺れた。

「別に痛くはなかったわ。」

 
僕は正直な感想を述べたが、看護師は半信半疑で「皆さんこれが一番痛いと言われるんですけどね。」とずい分長く僕のお尻の肉を揉んでいた。だったら余計に一言断れ。人の尻だと思っていきなり針を突き立てるんじゃない。

「それじゃあすぐに迎えに来ますからその前に済ませることがあったらどうぞ。」

 
看護師が出て行くと僕はパッという感じで起き上がってトイレに行った。朦朧とすると言われたが特にその兆しはなかった。トイレから出て来ると入口で女土方が待っていた。

「鎮静剤を注射して大丈夫。ふらついたりしないの。気をつけてね。」

 
女土方はずい分気を使ってくれているようだが、今のところ僕には鎮静剤の効果は特に顕著には現れていなかった。

「ねえT字帯をくれない。」

 
僕はさっき女土方に頼んでもらって来た新しいT字帯を身に着けてさっきもしたようにあまった端末を紐の内側に折り込んだ。

「それは武士のたしなみってこと。」

女土方が古風なことを口にした。

「そうよ、知ってたの。私たち女新撰組かしら。あなたが女土方で私は女近藤かな。ここで切腹ね。」

 
僕は冗談のつもりだったが、女土方はとても嫌な顔をした。そして黙ってそばに歩み寄ると僕を抱き締めた。

「大丈夫、すぐに終わるわ。元気で帰って来て。」

女土方は小さな声で呟いた。

「大丈夫よ、あの旦那医者も難しい手術じゃないって言っていたでしょう。」

 
僕は軽く女土方を抱き返すとすぐに体を離してベッドに横になった。これにはちょっと訳があった。看護師が来る前に立っているところを見られては具合が悪かったので急いで横になったのだった。そこに愛想なし看護師が入って来た。

「佐山さん、それじゃあ手術室に入りましょうか。」

「ええ」

 
僕は意識朦朧を装って看護師の次の行動を待った。薄目を開けて見ていると女土方は急に僕が朦朧としたのに驚いているようだった。

「大丈夫ですか。起きられますか。」

看護師は僕に声をかけたが僕はまだ動かなかった。

「じゃあ私につかまってくださいね。いいですか。」

 
看護師は腰をかがめて僕の体の下に腕を入れた。僕はこの時を待っていたのだ。僕が看護師の首に腕を回すと起き上がるふりをして体重をかけた。そして看護師を思い切り引き寄せて力いっぱい抱き締めた。

『今のお前の姿勢が重力に耐えるには一番脆いことを知らないのか。』

 
突然のことに看護師は一体何が起こったのか分からないようにしばらくじっとしてそれでも大柄な僕を抱き起こそうとしていた。それを強く抱き締めるに従って看護師の体が僕の体と密着して看護師の胸のふくらみが僕の体に密着してゆっくりとつぶれていくのが感じられるようになったところでようやく看護師はこの状態から逃れようともがき始めたが、重力を味方に加えた僕の方が力はずっと強いようだった。

 
看護師が真剣に逃れようとし始めたところで僕はぱっと腕を解放してやった。看護師は突然解放されて勢い余って後ろに二、三歩よろめいてから立ち止まって肩で息をしていた。女土方に昨日の晩やってやったあのいたずらだった。それを見ていた女土方は声を抑えて笑っていた。思い知ったか。

「じゃあ行ってくるわ。」

 
僕は女土方に軽く手を振ると自分で廊下に出て手術室に歩いて行った。

 
手術室はちょっと広いリビングといった程度でよくテレビで見る総合病院の手術室などとは比べるべくもなかったが、それでも手術台の周囲は医療器材でかこまれていてそれなりに威圧感があった。
中には少し年配の看護師が一人いた。年配と言っても四十前後のように見えたから今の僕つまり佐山芳恵と同年代くらいになるのかもしれなかった。その年配看護師は僕を手招きすると「ここに横になって。」と手術台を示した。僕は黙って頷いて手術台に上がった。

「それじゃあ準備を始めますから。緊張しないでと言っても無理かも知れないけれど、気持ちを楽にしてね。」

年配看護師は僕に向かって微笑みかけた。

「もう覚悟は出来ているわ。そんなに難しい手術じゃないと言うし、大丈夫よ。」

 
僕は年配看護師に向かって微笑み返した。年配看護師は黙って頷くと手術台に近づいて僕の手術着のホックを外し始めた。表を外し終わると横を向かせて背中側のホックを外した。これで手術着は縦に真二つになりそのまま巻き上げれば脇から下が完全に露出することになる。戻す時はそのまま引き下ろしてホックを止めれば元通りになるのだから、当たり前のこととは言えなかなかうまいことを考えたものだ。こういうものが何処かで別の目的で使われているかも知れない。その後すぐに旦那医者が入って来た。

「それじゃあ佐山さん、これから麻酔処置を始めます。左を向いて横になってください。」

 
僕は一言「お願いします。」と答えると旦那医者に背中を向けた。


「背筋を真っ直ぐに伸ばしてください。真っ直ぐに、もっと真っ直ぐに。」

男医者はそう言いながら僕の背骨の節を一つづつ指で探り始めた。

「じゃあ今から麻酔のチューブを入れます。痛かったら我慢しないで言ってください。」

 
その言葉が終わらないうちに背中に何かが刺さる感じがした。その後でそれよりも太いものが背骨の関節に押し入ってくる感じがしたが、圧迫感ばかりが強く痛みは感じなかった。最初に何かが刺さる感じがしたのが局部麻酔の注射だったのだろう。

 
太い針のようなものは僕の背中で出たり入ったりしているようだったが、そのうちに動かなくなった。これで終わりかと思ったらまた別のところにちくりとした痛みが走って同じことが繰り返された。痛ければ言ってくださいと言われたが、不快感は強かったものの体に針を刺せば痛みがあるのは当たり前だし殊更強い痛みはなかったので黙っていた。

「大丈夫ですか。痛くないですか。」

 
年配看護師が聞いたので「痛いけれど針を刺せば痛いのは当たり前だから言っても仕方がないので言わなかった。」と答えた。

「少しも痛そうな顔をしないから。痛かったら遠慮なくそう言ってくださいね。」

 
痛いと言えば痛くないように出来るのなら最初から痛くないようにやれと言いたかったが、この状態でけんかを始めるのは極めて不利と悟り「分かりました。」と答えてその場を収めた。麻酔がかかってしまうと何だか体の真ん中だけが自分のものではないような感じになってしまってその感覚に戸惑いを感じた。

 
その後、また点滴の針が腕に刺さり血中酸素濃度測定センサーやら血圧計やら心電図センサーやら酸素吸入マスクやら体にいろいろなものがつけられ、さながら製造中のサイボーグのようにされてしまった。大した手術でもないのにこんなに仰々しくいろいろ付属品が付くのかと気が滅入ってきた。



Posted at 2015/09/29 20:37:28 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小説 | 日記

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ntkd29です。CB1300スーパーボルドールに乗って11年、スーパーボルドールも2代目になりました。CB1300スーパーボルドール、切っても切れない相棒にな...
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