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2011年01月31日

護衛艦「あたご」事故の教訓として考えるべきこと

海上自衛隊イージス艦「あたご」の衝突事故で、業務上過失致死罪などに問われ禁錮2年を求刑された自衛官2人(起訴休職中)の公判が31日、横浜地裁(秋山敬裁判長)で結審した。沈没した漁船「清徳丸」の航跡が最大の争点で、無罪主張の弁護側は公判で検察側に終始反論した。事故時に操艦していない被告の責任が問われた異例の裁判。5月11日の判決が注目される。

最終意見陳述で、衝突時の当直士官・長岩友久被告(37)は「不正な捜査で作り上げた航跡で起訴された」と検察側を批判。直前の当直士官・後潟(うしろがた)桂太郎被告(38)も、検察側が論告で「両被告の過信が最大の原因」と指摘したのに対し「過信を改める(べきな)のは検察官」と声を強めた。

■漁船の航跡は?
漁船のGPS(全地球測位システム)機器は水没してデータを復元できず、航跡を示す物的証拠はない。検察側は、後方の僚船から見て漁船が「左約7度、距離約3マイル(約5.5キロ)」にいた、などの僚船船長らの供述から航跡図を作成。漁船を右方向に見る位置関係だった、あたご側の回避義務を主張した。

この航跡図の<7度、3マイル>を巡り、弁護側は「時刻によってはズレる」と追及。作成した海上保安官と検事は「誤差」と証言したが、論告は「平均値で問題ない」と軌道修正した。僚船船長らの描いた略図を海上保安官が廃棄したことも公判で発覚し、弁護側は反発。最終弁論では、元高等海難審判庁長官による航跡図を基に「あたご後方を通り過ぎる進路だった漁船が直近で右転・増速したのが原因」と主張した。

■引き継ぎミス? 
後潟被告は事故時に操船しておらず、海難審判裁決(09年1月)も、後潟被告の行為と事故との因果関係を否定した。だが検察側は「接近中の漁船を見誤り、長岩被告が回避行動を取る時間は短くなった」と、引き継ぎミスの責任を強調した。

88年の海自潜水艦「なだしお」事故の釣り船側補佐人で、公判を傍聴した田川俊一弁護士は、検察側航跡を合理的と認めつつも、後潟被告の過失に関しては「引き継ぎ時点では距離が離れていて漁船の状況を正確に把握するのは難しい」と否定的だ。

◇2被告が異例の「組織批判」
両被告は閉廷後に地裁近くで初めて会見し、防衛省への不満をにじませた。休職中とはいえ現役自衛官の「組織批判」は異例だ。同省は事故後、検察側と同じく、あたご側の責任を認める内容の報告書をまとめ、両被告ら計38人を処分した。後潟被告は、当時の防衛相らが遺族に謝罪したことなどを巡り「口惜しかった。防衛省の混乱を見ていて、命を預け得る組織なのか今も多大な疑問がある」と指摘。ただ「許されるのなら判決後に(仏前で)手を合わせに行きたい」と話した。

長岩被告は、捜査側に好都合な供述調書を取られた隊員もいたとして「取り調べの誘導に乗ってはいけないという教訓を伝えていく使命を感じている。復職できれば、真っ先に船(上の勤務)を希望する」と訴えた。

【ことば】
あたご衝突事故 千葉・野島崎沖で08年2月19日未明、海自イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」が衝突、清徳丸船長の吉清(きちせい)治夫さん(当時58歳)と長男哲大(てつひろ)さん(同23歳)が死亡した。横浜地方海難審判所は09年1月の裁決で、あたご側に事故の主因を認め、自衛隊組織が初めて勧告を受けた。横浜地検は同4月、業務上過失往来危険と業務上過失致死の2罪で自衛官2人を起訴した。

この事故は発生直後から善と悪が決められていた。それを決めたのはマスコミだった。事故はほとんど海上自衛隊側の無謀な操艦で発生したように報道された。客観的な事実を明らかにしようという雰囲気ではなかった。大型船を避けながら肩をすぼめるように航行する漁船群に「そこのけ、そこのけ」とあたごが突っ込んで起きたような報道ぶりだった。

せいぜい10数トンの漁船に比べればイージス艦は鋼鉄の巨艦だろうし、弱者保護の観点からも大きな注意義務はあたご側にあっただろう。しかし、混雑しているとは言ってもあの広い海で2隻の船がどうして衝突したのか、大型艦が漁船を真っ二つに断ち切るような事故が起こったのか、それを冷静かつ客観的に検証しようという動きがあったのか、その点については疑問に思う。始めに結論ありきの姿勢がなかったのだろうか。

事故発生当初、自衛隊側、特に操艦していた側にもその立場から言いたいことがあっただろうと思う。しかし、それを言えるような状況だっただろうか。交通事故にしてもそうだが、どんな悪人でも自ら進んで交通事故を起こそうとする者はいないだろう。

事故が起こる時は複雑に絡み合ったいくつもの要因が存在する。それを客観的に検証していくのが、捜査であり、そうした冷静かつ客観的な検証があってこそ、過失責任の追及が可能になる。事故に対する第三者である我々の対応や事故発生直後の報道の在り方とメディアの姿勢も含めてこの種の事故への対応の仕方というものをもう一度考え直すべきではないか。
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2011/01/31 22:39:04

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この記事へのコメント

2011年1月31日 23:13
こんばんは。

今のマスコミは自衛隊=悪者と決め付けていますからね。

ただ、当時の防衛大臣もよろしくなかった。

ろくに調べもせずに謝罪しましたから。

こんなんでは自衛官もやってられないです。
コメントへの返答
2011年1月31日 23:52
責任なしとは言いませんが、安易な迎合をせずに冷静な検証を行うことが必要でしょうね。大きな船は細かな機動は不可能なので速度と進路を一定に機動力のある船に進路選択の自由をゆだねるというのが現実的という意見もあるようです。双方に過失はあるんでしょうがこの事故は最初からそれが決まっていたという感じがしないでもないですね。

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