≪平岡法相≫
■リベラルな時限爆弾
「助かった…」
前沖縄防衛局長の問題発言で野党の追及の矛先が一川保夫防衛相に向かった11月末、法務省政務三役はこうつぶやいた。それまで山岡賢次国家公安委員長と並ぶ「問責閣僚」候補リストの筆頭格は、平岡秀夫法相だったからだ。
旧大蔵省出身だが、旧社会党系議員も驚くほどのリベラル思想の持ち主。日米合意に基づく岩国基地(山口県)への空母艦載機移転にも地元議員として反対の先頭にたった。先の国会では、平成19年のテレビ番組で少年によるリンチ殺人事件の遺族に「悪いことをした子供は事情があった」と発言した過去を追及され、遺族に謝罪した。法の番人を所管する立場にもかかわらず、詐欺罪で有罪判決を受けた男性を政務秘書官に登用していたことが発覚した。
死刑執行命令書に署名する立場にもかかわらず、執行には極めて慎重。憲法21条(言論、出版の自由)を侵害する危険性が大きい人権救済機関設置法案の成立には強い意欲を示す。野田首相は「保守政治家」を自任しているようだが、平岡氏を起用し続ける限りこれを返上するしかない。
他人に危害を加えてもやむを得ない場合がある。それは真に自存自衛の場合に限られると刑法に明確に規定されているし、その運用もわが国では極めて厳格だ。子供だろうがある程度の年齢になればその程度のことは理解できないと困る。他人の生命を奪うことに理由があった、事情があったなどと弁護するのは唾棄すべき甘えに他ならない。
死刑と言う刑罰の運用には極めて慎重かつ厳格な判断が求められてしかるべきだ。また、賛否両論があることも事実だ。しかし、この世の中には人の命などなんとも思わずに罪を犯す人間がいることも事実だ。そのような性向が他の刑罰で矯正できない場合には公共の安全の立場から死刑の選択もやむを得ないだろう。
法務大臣は人の命を合法的に奪う決断をしなければならない重い立場にある。その役目は法治国家の機能維持のために不可欠な役職だろう。もしも個人の思想や信条でそれを拒むなら法務大臣就任を辞退すべきだろう。
≪一川防衛相≫
■存在感が「ステルス」
「今年は私にとって思い出のある年ですから…」
22日の記者会見でこう切り出した一川保夫防衛相は、次期主力戦闘機(FX)決定や、南スーダン国連平和維持活動(PKO)への自衛隊派遣などを手柄として列挙し「さらに国民から愛される自衛隊として軌道に乗せていきたい」と抱負を語った。参院で問責決議を受けたことへの自責の念はうかがえない。
だが、数々の失言と判断ミス、部下への責任転嫁により、防衛省職員や自衛隊員の心はすっかり離れてしまった。すでに重要案件の相談はことごとく「影の防衛相」といわれる北沢俊美前防衛相に持ち込まれており、一川氏はF35以上に「ステルス」的な存在となっている。
PKO派遣命令を出し、FXを決定した20日、一川氏は歌手の長渕剛さんを防衛省に招き感謝状を渡し、満面の笑みで記念撮影に応じた。北朝鮮の金正日総書記の死去を受け、自衛隊は、ピリピリした緊張感が張り詰めていたが、一川氏には「どこ吹く風」なのだ。
27日には米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設先に関する環境影響評価書を提出する。ある防衛省幹部はこうつぶやいた。「評価書提出でお役ご免になってくれれば…」
このおっさんは、地方議員として先生とか呼ばれ、がはがはと笑っているのが似合うおっさんだ。どうして国会など国家の運営に参画する立場になったのだろうか。日本の民度と言うのは何かしら問題があるのだろうか。北澤氏は初代の民主党防衛大臣としてどうかと思ったが、それなりに日本の安全保障をしっかりと考え、防衛省・自衛隊の立場をきちんと擁護していたが、このおっさんは極楽蜻蛉と言うのか能天気と言うのかそんなことはどこ吹く風のようだ。自ら防衛には素人で不適任と言うのなら防衛大臣など受けるべきではない。国家の安全保障は大臣なりたい屋さんでは国民が困るのだ。
≪藤村官房長官≫
■地味で調整能力なし
首相の女房役であり、内閣の要のはずの藤村修官房長官。1日2回の記者会見では官僚が作成したペーパーを読み上げるだけ。地味な風体から批判にさらされることもなかったが、定見がない上に調整能力も乏しく、一歩間違えれば内閣崩壊の危機を招きかねない。
「金正日国防委員会委員長の突然の逝去の報に接し、哀悼の意を表します」
19日午後、北朝鮮の金正日総書記死去を受けた臨時記者会見で藤村氏は神妙な面持ちで弔意を表した。「テロ支援国家」指定を解除した米国さえも総書記への弔意を慎重に避けたにもかかわらず、拉致事件への国家的関与を認めた人物に政府のスポークスマンが弔意を示す非常識さ。21日に慌てて「常識の範囲で私が哀悼の意を表しただけ」と釈明したが、なお事の重大性は理解していない。
調整能力も著しく欠如している。八ツ場(やんば)ダム(群馬県)建設再開をめぐっては、民主党の前原誠司政調会長が再開せぬよう何度も直談判に訪れたが、「預からせていただく」などと逃げ回ったため、抜き差しならぬ事態に陥った。外交・安保、内政-とあらゆる政策に疎く勉強もしない。与党内の相談相手も乏しい。官僚機構はすっかり見放してしまった。
このおっさんはホームドラマに良く出て来る「物わかりのいい良いお父さん」のような人だ。しかし、総理の影武者として泥をかぶり政権内を調整しなければならない官房長官としては全く不足だろう。利害の調整は功罪を計算して落としどころを決め、時には懐柔し、時には強権を発動して落としどころに持っていかないといけない。これは覚悟の必要なしんどい作業だろう。このおっさんにはそうした覚悟など欠片も見えない。人が良いだけでは国家の調整役たる官房長官は務まらない。
民主党の官房長官で最も目立ったのは仙谷大仙人だろう。最近はこの鍾馗様のようなおっさんのことは嫌いではなくなってきた。しかし、官房長官として総理を飛び越えて目立ち過ぎたのはいただけなかった。鳩のお守り役の平野氏が歴代で最も適任と言うべきだろうか。そうすると鳩の人物選別眼が良かったと?まあ、偶然だろうが。
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2011/12/24 12:30:17