2015年11月28日
東京高裁、オウム菊池被告に無罪判決
まさかの逆転無罪だった。東京都庁小包爆弾事件に関与したとして、1審東京地裁で懲役5年の判決を受けた元オウム真理教信者菊地直子被告(43)の控訴審判決で、東京高裁は27日、裁判員裁判による1審判決を破棄し、無罪を言い渡した。大島隆明裁判長は20年前の事件について「関係者の記憶が曖昧。テロに使う原料を運んだという認識を認定するには疑いが残る」と指摘した。菊地元信者はこの日夕、東京拘置所から釈放された。
大島裁判長は始めに主文を読み上げた。「原判決を破棄し、被告人を無罪とする」。傍聴席から「お~」「え~」と声が上がった。立って主文を聞いた菊地元信者は、席に座る前に弁護人に向かって一礼。少し笑顔を見せ、うなずいた。
1審が有罪の根拠とした実行役の井上嘉浩死刑囚(45)の証言について、大島裁判長は「事件から17年以上もたっているのに、具体的すぎて不自然」と指摘。「製造した爆薬を見せた際、菊地元信者は『頑張ります』と応じた」などとする証言の信用性を否定した。爆薬原料の運び役として起訴された菊地元信者に、原料の薬品が事件に使われるという認識があったかが争点だったが、「認識を認定するには疑いが残る」と強調した。
弁護側は1審に続いて「認識はなかった」などと主張。菊地元信者も控訴審の被告人質問で同様の供述を繰り返していた。
さらに大島裁判長は、菊地元信者が教団内で地位が低く、教団の意思決定に関われなかったことも挙げ、「教団が殺人を含むテロを企てているとは想起できなかった」と判断した。判決理由の朗読中、菊地元信者は涙を見せ、何度もハンカチを顔に当てていた。
読み上げが終わった後、大島裁判長は菊地元信者を立たせて、「法律的には無罪だが、あなたが運んだ薬品が結果として重大な犯罪を起こした。自分の心の中で整理してほしい」と訴えた。
菊地元信者は何度もうなずき、「いいですね」と念を押されると、「はい」と細い声で応じた。入廷直後は両手首などをひもで結ばれ、拘束された状態だったが、再度ひもが掛けられることはなかった。
高橋俊彦弁護士は「初めて接見した時から無罪だと思っていたので、安心した。非常に常識的な判決で、検察は上告しないでほしい」と話した。閉廷後の菊地元信者は、被害者のことが頭にあるのか、手放しで喜んでいなかったという。
傍聴券71枚を求めて並んだのは158人で、倍率は約2・2倍。1審判決支持による控訴棄却を予想した人が多かったのか、注目度は低めだった。
幇助犯にしても共犯と言うには幇助すべき犯罪について、ただ単に危険なものを運んでいたという程度ではなく、ある程度具体的な認識がないと成立しない。実際に認識があったのかどうかは本人しか分からないが、本人が否定している以上、証拠で証明する以外にはない。その評価が一審とは逆になったと言うことだろう。時間が経過し、証拠が関係者の供述だけと言う状況では当然予想される判決ではある。もっとも無罪と無実は全く意味が違うが、・・・。
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Posted at
2015/11/28 16:58:47
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