装備した30mm GAU-8のガトリング砲ことアヴェンジャーで目標を木っ端微塵に破壊する、ロマンに溢れた米空軍の「A-10攻撃機(愛称:ウォートホッグ)」。のろますぎるという評価を実力で押し返し、40年近くも活躍してきました。そして今回、非公式ながらその運用が無期限で続けられるとの報道が、海外にて伝えられています。
実はこのA-10、総合打撃戦闘機計画(JSF)のもと開発されたF-35 ライトニングIIへと2021年までに置き換えられる予定でした。しかし9月には米空軍からISISとの戦闘での必要性から退役は延期されるだろうと伝えられ、さらに米空軍資材コマンドは今後もメンテナンスや修理用資材の提供を「無期限」に続けることになったのです。
また、米空軍はA-10の「翼の交換プログラム」の準備も進めています。20億ドル(約2100億円)を費やすこの交換プログラムにより、A-10は2028年まで支障なく飛行を続けられることになります。
1970年代に導入されたA-10攻撃機は、現在では米空軍唯一の近接航空支援専用機です。のろまで無骨なスタイルの同機は強力なアヴェンジャーを含む兵装の積載量の多さや滞空時間の長さから、今でも最先端戦闘機とは異なる需要があるのです。
開発にあたっては「空飛ぶ悪魔」「ソ連人民最大の敵」とまで呼ばれたドイツ空軍最強のパイロットことハンス・ウルリッヒ・ルーデルの助言もあったとされる、A-10攻撃機。その設計思想は今でも米軍から厚い信頼を得ているようですね。
何度も更新が計画されては生き残ってきたこの機体、エンジンはポッド式で期待から飛び出し、翼は風神の風袋をふくらませたように大きくおよそジェット戦闘機らしくない。最高速度も700キロ強と第二次大戦のプロペラ戦闘機並みの鈍足ではある。しかし、強靭な装甲に覆われた機体と良好な運動性、ヘリよりも大きな搭載力と速度、そして大きな翼の下に抱え込んだ多種多様の兵器類は地上部隊にとっては死神の翼でイラク戦争では大戦果を挙げている。圧巻は30ミリガトリング機関砲でこれに狙われたら何物も生き残れない衝撃の迫力がある。1970年代に作られたこの攻撃機は今後10年以上も現役に留まるようだが、本来の目的に使われることがないよう祈らずにはいられない。
ブログ一覧 |
軍事 | 日記
Posted at
2016/11/03 12:17:36