トランプ米大統領が不法移民対策として「メキシコ国境の壁」建設の大統領令に署名したことへの反発から、31日の米メキシコ首脳会談が中止になった。自身が掲げる「米国第一」の流儀に「ノー」を突き付けられた格好で、トランプ外交は出だしで大きくつまずいた。米民主党幹部は「メキシコとの関係を壊し、米国の安全を損ねている」と批判した。
◇ツイッターの応酬
トランプ大統領とメキシコのペニャニエト大統領の応酬は、ツイッター上で展開された。ペニャニエト氏は25日、トランプ氏が壁建設の大統領令に署名すると、ビデオメッセージを投稿。「米国の決断を非難する。メキシコは壁の費用は払わない」と明言した。
トランプ氏は翌26日朝、「壁の建設費を払いたくないなら、会談を中止した方がよい」とけん制。ペニャニエト氏は3時間後、「首脳会談に出席しない」とツイートした。首脳同士が衆人環視の下で対立するのは極めて異例だ。
◇決然と対抗
ペニャニエト大統領が決然と対抗する背景には、「反トランプ感情」が渦巻く国民の突き上げがある。メキシコからの不法移民を「婦女暴行犯」と呼び、壁の建設費用を一方的に要求する態度に野党も猛反発。首脳会談で成果がなければ「土下座外交」と非難を浴びる恐れがあった。
スパイサー米大統領報道官は26日、記者団に対し、今回の事態について「国民を守るのは最優先課題だ」と主張。これに対し、ペニャニエト氏もメキシコの大統領として、対米関係の重要性を考慮しつつ、自国の主権と尊厳を守ることを選択したと言える。
ただ、トランプ政権は北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し、輸入品への課税強化策など次々と難題を押し付けてくる。「対立と服従ではなく、対話と交渉を」と訴えるペニャニエト氏にとって、米国との関係再構築は重い課題だ。
◇米企業に打撃も
米メキシコ関係の悪化は、北米3カ国の貿易関係の先行きにも不安の影を落とす。米国のメキシコに対する貿易赤字は約580億ドル(約6兆6000億円)。トランプ氏は米国の利益となる「ディール(取引)」を旗印に赤字削減を通商政策の軸に据え、メキシコへの課税強化を探る。
メキシコのグアハルド経済相は「不利な立場に追い込まれるなら、NAFTA離脱も辞さない」と警告。米側もメキシコなどが譲歩しなければ、環太平洋連携協定(TPP)と同じくNAFTAを離脱すると脅し、双方の摩擦は激しさを増している。
トランプ氏が保護主義政策を貫けば、メキシコから部品を調達する米自動車メーカーなどが大きな打撃を受けると予想されている。米国に進出した日本の自動車メーカーも同様だ。日本企業関係者は「米国に投資するリスクが高くなっている」と懸念を隠していない。
メキシコ大統領と電話会談してよいムードで話が進んだなどと言っているが、基本的にこんな政策がうまく行くなどと思う方がおかしい。相手国だってこれだけ言われれば反発せざるを得なくなるだろう。大体、今時の経済などは世界中が作業を分担している一つの工場のようなものなので「お前んところからくるものには高い税金をかけてやる」なんてことを言うと当然米国内で困る企業が出てくるだろうし、当然コストは上がるからそのツケは消費者が払うことになる。物流にしても為替にしても一国で何とかなる時代はとっくに終わっている。まあトランプおじさんも承知でブラフをかけているんだろうけどブラフも何時までも効くわけでもないし、承知でなかったら怖いものがあるかもしれない。
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2017/01/28 09:42:58