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イイね!
2017年12月22日

佐山芳恵再び、・・(^。^)y-.。o○(13)




「大体のお話は分かりました。ただ、機械でやっているとなると難しいですね。機械を仕かけに来た時に捕まえれば建造物侵入などの犯罪が考えられますが、そうでないと誰がやっているのか特定するのはなかなか難しいでしょうね。もしも何か変わったことがあったら最寄の警察署に相談してみてください。近いのは、・・・」


年配の警察官はそう言って警察署の名前と連絡先を教えてくれたが、どうもこれと言った妙手はなさそうだった。


警察が帰って僕たちもそれぞれ自分の部屋に引き上げた。もっとも僕と女土方は同じ部屋で生活しているので戻るところは一緒だった。サルは自分の部屋があるのだが、居候のように僕達の部屋に入り浸っていて邪魔であることこの上ない存在だった。


部屋に帰っても二人とも何となく落ち着かない風情で立ったり座ったりしていた。僕だけがアイスコーヒーをがぶがぶ飲んでテレビを見ていた。


「良くそんなに落ち着いていられるわね。女の尊厳がかかっているのに。」


クレヨンが口を尖がらせて非難がましく言った。サルに何が尊厳だ。尊厳とはどういうものか分かりもしないだろうに、このサルは利いた風な事を言う。


「どうすればいいのかなあ、困ったわ。」


女土方も無闇と高い天井を見上げてため息をついた。僕は何となく心騒ぐものがあった。もしかしたら僕の奥底にそうした異常者の資質があるんだろうか。クレヨンはどうでもいいのだが、女土方の顔に浮かんだ戸惑いの表情が何ともかわいらしく思えて僕の感情を刺激した。こんな時に全く不謹慎と言われればそのとおりなのだが、大体男と言う生き物などそんなものだろう。


「確認すればいいじゃない、おかしな機械があるのかどうか。それとそのサイトと言うのも。あなたは誰が火元なのか知っているんでしょう。」


僕はテレビから眼を離すと女土方を振り返った。


「ちょっと叩けばすぐに吐くでしょう。サイトのURLくらい。」


天井を仰いでいた女土方は僕の声に視線を床に落とした。


「本当にうちの会社ならきちんと調べて手を打たないと被害者が増えるばかりでしょう。知っていることがあったら教えて。」


僕はもう一度女土方に問いかけたが、女土方は床の一点を見つめたまま黙っていた。


「ねえ、サイトの名前くらい知っているんでしょう。」


僕がもう一度念を押すように聞くと女土方は顔を上げずにゆっくりと頷いた。


「確認するから教えて、そのサイトの名前を。」


女土方はゆっくりと顔を上げると僕を見た。


「知ってるわ。そのサイト。でも内容を見る勇気なんて私にはないわ。」


「何て言うの、そのサイト。」


女土方は小さな声であるサイトの名前を口にした。それは米国のサーバーに存在するその手の危ないサイトがたむろす有名なレンタルサーバーだった。


「ああ、知ってるわ。そのレンタルサーバー、危ないサイトがひしめいているところね、そのサーバーって。」


僕はすぐにパソコンを立ち上げてそのサーバーにアクセスした。


「何ていうサイトなの、それって。」


「『虎の穴・虎穴に入らずんば虎子を得ず。』確かそんな名前だったと思う。」


語句検索で女土方が言った名前を打ち込むとそのサイトはすぐにヒットした。


『華麗なOL達の密やかな安息』


そんなタイトルの下に業種別にジャンルが並んでいた。この野郎、どうもかなり手広く手を染めているようだった。気がつくと何時の間にか、クレヨンが後から覗き込んでいた。僕は試しに小売業と言うのを開いてみた。そこはデパートやスーパーのようだった。開くと『都内大手スーパー』『某有名デパート』などのサブタイトルと共にサムネールがずらりと並んでいる。それを見ただけで相当にやばい画像ばかりというのが分かった。


「これってけっこう危ないわね。きわどいのが写るように仕掛けも手が込んでいるわ。」


僕は女土方を振り返ったが、女土方はじっと俯いたまま顔を上げなかった。僕はこれ以上画像を開いて確認すべきかどうかちょっと迷っているといきなりクレヨンが大声を上げた。


「やだ、どうしてこんなのが出ているの。信じられない。」


あまりの頓狂な声にぎくっとして振り返った。やかましい奴だ。信じられないのはお前の脳味噌の構造だ。馬鹿なサルは放っておいてさらに画面をスクロールしていくと「教育・出版」というジャンルが目に入った。その瞬間何だか嫌な予感がしたが、ここまで来たら確認しないわけには行かないだろう。そこに掲示されているサムネイルを見て行くと嫌な予感は的中した。


『若いとは言えないが、鍛え抜いた肉体はそそる・・・』


顔は写ってはいないが、その小さなサムネイルを見ただけでそれが誰なのか分かった。身に着けている衣服、そしてとてもここに書くわけにはいかない体の特徴など自分の体を見間違えるわけはない。自分の体と言うのは厳密に言えば正しくはない。手を加えてやや改造はしているが、ここ数年使わしてもらっている佐山芳恵の体というのが正確なのだろうが。


『おのれ、こんなものを盗み写して公開しやがって。』


僕は何だか無性に腹が立ってきた。しかし、怖いもの見たさではないが、ここまで見たのなら最後まで見てやれと言う気になってサムネイルをクリックして画像を拡大してやった。鮮明な画像ではないが、それなりに肝心なところはしっかり写っている。ちょうど立ち上がって下着を引き上げようとしているところだった。


「あっ。」


後でクレヨンが叫び声を上げた。


「これってあなたじゃないの。」


クレヨンが分かり切ったことを素っとん狂な声で言ったのが、むかついていた僕の癇に障った。


「そうよ、何か言いたいことでもあるの。」


別にクレヨンが悪いわけではないのだが、腹が立っている時に余計なことを言うので、その時クレヨンを振り返った顔がかなりきつい顔だったらしい。クレヨンはハッとした顔で黙って後ずさりして女土方のそばに逃げて行った。僕は画像をサムネイルに戻して他のを見てみたが、どうもこれはうちの女子と思うのが数人はいるようだった。それでも女土方やクレヨンは出ていないのが救いと言えば救いと言えた。


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Posted at 2017/12/22 17:37:31

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