2017年12月23日
佐山芳恵再び、・・(^。^)y-.。o○(14)
「他にもこれはと思うのがあるけど、あなたたちのはないみたいよ。」
僕は取り敢えずURLを保存するとウィンドウを閉じた。見ているとむかつくこともむかつくが、何だか変な気持ちになってきそうなのでこれ以上は見るのを止めておいた。どうも男という生き物は救われないところがあるようだ。女土方はまだ黙って下を向いていた。もしかしたら女土方は僕が、佐山芳恵と言うべきなのかもしれないが、写っているのを知っていたのかも知れない。パソコンを落としても腹立たしさが治まらずタオルを椅子に向かって投げつけてやった。そんな様子を見ていてクレヨンは
「もう遅いから休むわね。」と言って後ずさりするように部屋から出て行った。
「大丈夫。」
女土方は僕の様子をうかがうように小さな声で言った。
「大丈夫よ、こんなことくらい。ちょっと腹が立っただけよ、こんな卑劣なことをする奴に。」
女土方は黙って頷いた。
「ねえ、あなた、知っていたんじゃないの。このことを。」
「私が直接確認したわけじゃないけどそんな話は聞いていたわ。でもあなたに言い辛くて。ごめんなさい。」
女土方は消え入りそうな声でやっとそれだけを言った。まあ別に特別なものでもないし、これまで世間様に披露したことがない訳でもないだろうし、僕の名前が書いてあるわけでもないし、その辺は割り切ってしまえばどうということはない。こんなことにさらりと対応できるのは男の特権だろう。でも別にちょっと困ったことがあった。何だか男の直線的な欲望まで頭をもたげて来て治まりが着きそうになかった。
「ねえ、ちょっと手伝って。ねえ、いいでしょう。治まらないの。」
僕は女土方を椅子から引き起こすとベッドへ引っ張って行った。女土方は驚き呆れたような顔をしてはいたが、別に拒否はしなかった。
翌朝、出勤すると僕と女土方は他のことはさておいて、まず社長室に行った。そして事の顛末を話して応急措置として女子トイレを使用禁止にして男子トイレの一部を女子専用として使わせることにした。お互いに不便だろうが緊急事態なので止むを得ないだろう。それから社長室で例のサイトを検索して確認してもらった。貼り付けてある写真は他の女性のを見せるわけにもいかないので自分のを開いて社長と北の政所様に見せた。その時、二人は呆気に取られて言うべき言葉を失っていたようだった。
社長に拡大された盗撮写真と僕を交互に見られた時にはさすがに何だか恥かしくなった。みんな黙っていたが。そのうちしばらくしてから社長が口を開いた。
「これって、うちの会社なのか。そして、ここに写っているのは、・・・その、佐山さん、君なのか。」
「私だと確認した理由は言えませんが、どうもそのようです。」
僕は拡大した写真を閉じると社長にそう言った。
いくら借り物のようなものとは言っても何時までも今の自分が使っている体の剥き出しの下半身が写った写真を拡大して晒しておくのはさすがに気が引けた。
「こんなことって特殊な世界の出来事と思っていたわ。まさか身近でこんなことが起こるなんて思いもしなかったわ。」
北の政所様も唖然とした様子だった。
「室長自身が被害者かも知れませんよ。」
僕がそう言うと北の政所様は何とも言えない表情で僕を見返した。女と言う生き物はやはりこういうことには耐えられないものらしい。
「さて、これからどうしたものかな。」
「実は昨日、うちで振り込め詐欺の電話があってそれで警察に来てもらったんですけど、その時にこの話もしたらインターネットの犯罪ってなかなか難しいようです。カメラを仕掛けに来ればまた別のやり方もあるようですけど。」
「取り敢えずうちの弁護士に相談してみよう。何か良い方法があるかもしれない。それにしても誰がこんなことを。まさかうちの社員じゃないだろうな。」
「その可能性は大いにありますね。でもそれ以外ということも当然考えられます。これを見るとあちこちの会社に侵入しているようですから。うちの会社とは全く関係ないところもあるし、デパートやスーパーのような公開の場所じゃないところも多いので怪しまれずに会社内に入れる人じゃないと無理かなとも思うし。とにかく女子トイレを調べてみます。」
カメラを回収しないとこれからも被害が続くだろうし、何時までも男子トイレを借用しているわけにも行かないので社長も北の政所様も僕に頷いて同意した。もっとも僕には大方の目星がついていた。僕が何時も使用するのは企画室に近いトイレだったので僕が写されたというならカメラが仕掛けてあるのはそこ以外にはあり得なかった。しかも低い位置から角度をつけて上を狙っている画像ばかりなのでカメラは上手く偽装されて床に置かれているのだろう。
「あれだ。」
突然閃いた僕はすぐにトイレに向かった。そう言えばトイレの個室の角に陶器の芳香剤のビンが置いてあった。そのビンを目にした時は『誰が置いたのかな』と思ったくらいで特に気にもしなかったが、位置と言い角度と言い、あのビン以外にはあり得なかった。
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小説3 | 日記
Posted at
2017/12/23 12:02:55
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