軍事強国のシンボル? 原子力潜水艦とは
大海原を見渡しても、その存在を確認することができないことから、潜水艦は究極のステルス兵器とも言われています。
なかでも原子力潜水艦は、動力を原子力に頼っているため、半永久的に潜航して任務を継続することができます。実際には食料の問題で半永久的に潜っていることはできないのですが、原子力潜水艦であれば海水を蒸発させて真水を作りだすことができ、それを電気分解することによって酸素も作り出せます。そのため、従来のディーゼルと蓄電池を使った通常動力潜水艦よりも、乗員たちは快適な環境で長期間生活をすることができます。水と電力をほぼ無限に使用することができることから、ロシアの原子力潜水艦にはサウナまで取り付けられているそうです。
原子力潜水艦を持つ国は2018年現在、アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス、インドの6か国に限られます。このうち日本をとりまく3国の状況を見てみると、まずアメリカとロシアについて、両国は近年友好なムードを醸し出していますが、それでもお互いをライバル視しているため、海の中でも両国は睨み合っています。そして中国は海洋覇権を狙っているため、第1列島線と呼ばれる日本列島の外側(太平洋側)へ進出しようとしています。
こうして見てみて分かるのが、この米ロ中3カ国は自国から離れた遠い海に出て航海することを考えているということです。その場合、原子力潜水艦の持つ航続距離と快適性が不可欠なものになります。なぜならば、艦内を換気したり、バッテリー(蓄電池)を充電するために、海面に浮上してエンジンを回したりする必要がないからです。浮上することによる敵からの発見や、長期間に渡る狭く制限された艦内生活によって、不必要なストレスで悩まされる心配が少なくなります。
一方の通常動力潜水艦は…?
そうしたなか、我が国の海上自衛隊が保有する潜水艦を見てみると、主な動力はディーゼル機関になっています。その動力を補佐するためにバッテリーも積んでいます。このディーゼル機関をメインとした動力装置を持つ潜水艦のことを通常動力潜水艦と呼びますが、海上自衛隊が保有している全ての潜水艦は、ディーゼルと蓄電池を原動力としたこの通常動力潜水艦なのです。
日本の国土面積は約38万平方キロメートルと、陸地だけでいえば世界第61位の広さです。ところが、陸地から12海里(約22.2km)の範囲内にある「領海」は約43万平方キロメートル、陸地からさらに200海里(約370km)の範囲内にある「排他的経済水域(EEZ)」は約447万平方キロメートルとなり、この数字は世界第6位の大きさになります。これだけ広範囲に渡る守備範囲を持つ海上自衛隊ですが、原子力潜水艦は必要ありません。なぜならば、日本の防衛の基本理念が「専守防衛」だからです。
専守防衛を基本理念にしている我が国の海上自衛隊は、自国から遠く離れた海での潜水艦の運用は考えていません。海上自衛隊が相手にするのは、我が国に対して侵略してくる脅威です。そのため、自らが外国に赴いて戦闘するということはないからです。
相手が攻めてくるということは、こちらは相手を待ち受けることになります。そこで役に立つのが、海上自衛隊が保有している通常動力潜水艦なのです。
原子力潜水艦が潜航時間の長さと引き換えにしたもの
通常動力潜水艦は、原子力潜水艦のように艦内で酸素を発生させることができません。また、真水の使用にも制限があるといいます。原子炉を持たないため、使ったバッテリーの充電や換気などをする目的で、定期的に海面に浮上する必要もあります。
このように、一見すると原子力潜水艦に劣るように思えるかもしれない通常動力潜水艦ですが、実は原子力潜水艦に勝る長所があります。1隻あたりの調達価格や放射性廃棄物の処理問題などもありますが、なによりもその「静粛性」です。
原子力潜水艦は、長期間に渡って潜航し続けることができますが、難点があります。それは「うるさい」ということです。原子炉で発生させた蒸気を使ってタービンを回し、その力でプロペラ軸を回しますが、この時に使う減速歯車が騒音の原因といわれています。タービン自体は高速で回転させるほうが効率も良いのですが、そのまま海中でプロペラを回転させるとさらなる騒音を発生させるために、減速歯車を使ってプロペラ軸に伝わる回転数を落とす必要があります。
ほかにも、炉心冷却材を循環させるためのポンプも大きな騒音を発生さるといいます。このポンプは静かな物を採用することによって、かつてに比べ騒音レベルは下がってきているといいますが、頻繁に原子炉の停止・再稼動をさせることが難しい原子力潜水艦においては、基本的にこのポンプの動きを止めることはできません。
音が頼りの水中戦で「無音」であるということ
対する通常動力潜水艦は、原子力潜水艦が不得意とする静粛性に優れています。なぜならば、ディーゼル機関を止めてバッテリー駆動に切り替えることによって、艦内で発生させる音をほぼ皆無にすることができるからです。この場合、唯一の音の発生源は乗員の発する音なので、例えば海上自衛隊の潜水艦の艦内には多くの場所に絨毯が敷かれ、艦内を歩く隊員の足音すら発生させないような工夫が施されています。
海上自衛隊の「そうりゅう」型潜水艦には、新たに「AIP(非大気依存推進)機関」が搭載されました。これは簡単にいうと、ヘリウムガスを加熱、冷却して得られる体積の変化を利用し動力を得るという装置です。これにより、従来のバッテリー駆動と比べて潜航時間が延びたといいます。
ただし、このAIP機関はあくまでもディーゼル機関の補助装置なので、AIP機関をメインにずっと行動し続けることはありません。ではどのような時に使うのでしょうか。それは、海底深くに身を潜めている時です。
海上自衛隊は、敵性潜水艦の行動を探知するべく、日本の近海に潜んでいます。もし、敵性潜水艦が近づいてきた場合、ディーゼル機関を停止させて、補助動力装置に切り替えます。ここで海上自衛隊の潜水艦は、ほぼ無音状態になります。視界も電波もさえぎられる水中、敵は音を探知しながら進んできますが、音を発しないこちらの姿を探知することは、ほとんどできないと言います。まるで、ニンジャの様にその姿を隠すことができるのが、通常動力潜水艦艦の強みです。
専守防衛を掲げる日本の場合、原子力潜水艦よりも通常動力潜水艦の方が圧倒的に有利に戦うことができるのです。
確かに静粛性とか隠密性とか通常型潜水艦の有利な点はあるけど原潜と比較すると大人と子供、月とスッポン、天と地ほども差があるそうだ。第二次世界大戦当時の潜水艦は̠可潜艦と言っていざとなれば水の中にも潜れる船だったが、戦後、原潜が登場して潜水艦は完全な水中艦になった。一方で通常型潜水艦は可潜艦の延長線上にある。現代の通常型潜水艦は水中最大速度が20ノットを超えるが、そんな速度で走ったら数時間でバッテリーの電力を消耗し尽くしてしまう。原潜は30ノット以上の速度で無限に走ることができる。海自も諸般の事情で原潜を保有できないから大型の通常型潜水艦を装備しているのであってもしも原潜を装備できるなら迷うことなく原潜を装備するだろう。そうりゅう型のスターリングエンジンは1基の出力が100馬力以下で4基でも400馬力に満たない出力しか出せない。それで潜水艦を動かすとなると数ノットで持続時間は2週間程度とか言う。それでも数日しか潜航できなかった通常型潜水艦と比べれば大きな進歩だが、やはり原潜と比較すれば大人と子供ではある。通常型潜水艦は可潜艦、AIP潜水艦は準水中艦程度だろうか。もしもどっちに乗るかと言われれば迷うことなく原潜を選択する。もっとも閉所恐怖症だからできれば潜水艦は乗りたくはないけど、・・(^。^)y-.。o○。
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Posted at
2018/08/24 16:47:25