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イイね!
2019年12月14日

佐山芳恵再び、・・(^。^)y-.。o○(79)

「かわいそうだけどその男のことは諦めてさっさと切ってしまえと言ってあげな。そんな男と一緒にいても何もいいことはないどころかこれからも金を無心されて人生めちゃくちゃになってしまうわよ。貸した300万は請求はできるだろうけど回収は無理だと思うわ。ちょっと高すぎるけどまあ人生の月謝だと思ってあきらめることね。それよりもこれ以上傷口を広げないことを考えた方が良いわね。変なところから金を引っ張ると借金だけを背負いこむことになるし、・・。弁護士に頼むとか言っても回収と言ってもどうせ貸し付けた証拠の書類なんかもないんでしょう。」

僕がそう言うと女土方も知的美人も「その通り」と言うように頷いた。

「何とかしてあげられないかな。その子、相手の男に完全に入れ込んでいるから別れるなんて言ったら死んじゃうかもしれない。」

クレヨンは本当に困っている様子だったが、どうにもならないものはどうにもならないし、間違いなくその男と言うのはろくでなしだろう。

「辛いと言っても一時で時間がたてば『ああ、私もバカだったな』と思えるようになるでしょう。ちょっとダメージが大きいかもしれないけど」

そう言っているところに食事が運ばれてきて今度は食う方に注意が向いたが、クレヨンだけが何となくうわの空だった。

「まさか金を貸した女ってあんたじゃないでしょうね」

僕がそう言うとクレヨンはいきなりむせ返ってパスタを吹き出した。

「あんた、もう汚いわねえ。何をやっているのよ。」

女土方が世話を焼いて落ち着いたクレヨンだったが、まあこいつではないだろう。何と言ってもいつも僕らと一緒にいるんだからよそで男と一緒に暮らしようもない。

「私もね、ちょっと危ないかなと思うんだけど彼女がなかなか聞かないの。どうしようかなと困ってしまって、‥何とかならないかな」

こいつがまともなことを言うなんて天変地異でも起こりそうな不吉な予感がするが、確かに危ないと言えば危ない。でももう立派な大人なんだから本人が気がつかなければどうしようもない。お話の世界なら男に食い物にされて捨てられても神様や魔法使いや妖や魔物が出てきて助けてくれて幸せになれるが、現実にはそんなことはあり得ない。でもこればっかりは本人が気が付いて何とかしない限りどうしようもない。それをクレヨンに言ってやって一度その男の事業とやらについて自分のところの融資係か何かに聞かせればいいじゃないかと言っておいた。

知的美人も「下手打って取り返しのつかないことにならなきゃいいけどね。その辺を良く言っても分からないでしょうねえ、相手をそこまで好きになっていると本人次第だけど弁護士でも会計士でも紹介するわよ。」とちょっと心配のようだった。女土方は「何とかしてあげたいけどね。だって500万と言ったら右から左と言う金額じゃないし、変なところで用立てたら一生が台無しになるからね。もしも何なら連れてくれば。」と何だか嫌な予感がすることを言った。

「あの、連れて来たら皆さんでお願いします。私、そういう惚れたがらみ金がらみのって苦手なんで、・・。この話って300%くらい危ないと思うけどその女って多分惚れた弱みで冷静な判断ができなくなっていると思うから。そんなの説得するなんて面倒くさくてダメ、苦手なの、そういうのって。」

そう言ったら3人がそろって僕の方をじっと見つめた。何だっていうんだ。そんな目で僕を見るなよ。

「ねえ、何とかしてあげて。お願いだから。他に頼れる人がいないんだもの。」

クレヨンがすがるように僕を見た。

「あんたねえ、物語の中なら神様や魔法使いや妖が出てきて幸せにしてくれるんだろうけど現実の世界では自分で何とかしなければ誰も何もしてくれないのよ。分かる。すべては自己責任なの。その女だってもう三十路でしょう。自分で目を覚まさなければいけない年でしょう。第一、立派な大人が自分で決めたことにとやかく口をはさむべきじゃないと思うけど、・・。」

僕は最初からこの話には腰が引けていたが、今度は知的美人が口を出した。

「確かにそうだけどね、500万を背負ったらちょっとやそっとでは返済できないわよ。体を売っても追いつかないかも。まあどこかで止めてやらないとエライことになるかもよ」

お前なあ、そんなこと言うなら自分で止めてやればいいじゃないか。僕を見るなよ、僕を、・・。

「まあちょっと考えてあげましょう。もっとも相手がそれを受け入れるかどうかだけど。それよりそろそろ時間でしょう、早く食べて戻りましょう」

女土方がもっともなことを口にした。やっぱり常識人は女土方だけだよな。それから僕たちはバタバタと飯を食って会社に戻った。午後にその女のことをちょっと考えてみた。大体、事業などそうそう成功するものでもないだろうにどうしてそんなことに金を流し込んでやるんだろう。実態があるのかないのか、確認すれば分かるだろうし、好きな男のためと言うなら自分の手に負える範囲で痛い目を見ない程度に応援してやればいいと思うが、それじゃあダメなんだろうか。女と言う生き物はものごとを主観で考えるところがあるので惚れてしまうと現実が見えなくなってしまうんだろうか。まあ、あのクレヨンの友達と言うんだからどうせ能天気な極楽とんぼなんだろう。それにしても300突っ込んだ上にさらに500と言うのはかなりの出費でクレヨンはともかく普通のあの年代の女性には取り返しのつかない負担になりかねない。自業自得とはいえ、それだけがちょっと心配だった。仕事を終えて帰宅して着替えを終えて飯でも食いに行くかと思っていたところにクレヨンと女土方が入って来た。

「あの、昼間の話なんだけど、・・」

クレヨンが僕の顔色を見ながら切り出した。

「あのねえ、大人なんだからどうなろうと自己責任で自分の好きなように知ればいいのよ。色恋絡みのことに他人がとやかく口を出すことじゃないでしょう。まあ額を聞けばかなりの大金でちょっと危ない気もするけど本人がそうしたいというなら止める権利もないでしょう」

クレヨンは僕の態度を察してものを言いだすことができないようだったが、そうしたら女土方が口をはさんで来た。

「たしかにあなたの言うことも分かるし私も自己責任だとは思うんだけどそれにしても額が大きいし、何かあると取り返しのつかないことにもなりそうなので会って話くらいしてやってもいいのかなと思うけど。彼女も心配しているようだし。それでね、この週末にちょっとお出かけしようかと思うのよ、箱根辺りへ。それで向こうも呼んでお食事でもしながら話をしてあげてもいいかなって、どう思う」

「それっていい案かもね。そうしてあげたら、・・。」

後で知的美人の声がした。

「あのねえ、私は弁護士でもなければ相談屋でもないの。そんなことを言うならあなたが話をしてあげたらどうなの。政治家は万民のために働くんでしょう。」

「私は政治家じゃないわ」

知的美人はちょっと不機嫌な顔をした。

「まあご飯食べに行きましょう。そこでお話すればいいじゃない」

女土方はそう言ってにっこり微笑んだが、何だかもうこれで話は決まったようなものだった。この顔をされると僕はもうこれ以上反抗できなくなってしまう。まあクレヨンもけっこうその知人のことを心配しているようだし仕方がないだろう。でもなんでこんなことばかり僕に回ってくるんだろう。今日の晩飯は生姜焼きと野菜スープと言う定食の定番のような献立だったが、いつもの通り味は悪くはなかった。

「じゃあこの週末に箱根に宿を取っておくけれどこっちは四人でいいわね。」

まだ正式に承諾してはいないのにクレヨンはもう決定事項のような言い方をした。

「あんたねえ、まだ行くとは言っていないでしょう。」

僕がそう言うと知的美人も「え、私もそのうちに入っているの」と言い出した。この期に及んで見苦しい奴だ。逃れる術などないというのが分からんのか。

「一人だけ逃げようなんて許されないからね。いいわね」

僕が知的美人にそう言うと女土方がニコッと笑った。そうなんだよなあ。その笑顔にいつも負けるんだよ。

「いい宿取るのでよろしくお願いします。」

クレヨンが僕らに向かって頭を下げた。こいつも自分に利がある時は調子がいい。実際には誰も明確な了解を表示はしていないんだけど暗黙の了解と言うのか話が決まってしまったと見てどこかに電話を始めた。

「あ、綾香、・・私よ、私、あの例の件ね、今度の週末にどう。箱根に泊りがけで、・・そうそう、・・うん、宿はこっちで取っておくから、・・うん、・・大丈夫よ、まかせて、・・彼もちゃんと連れてきてね、必ずよ。じゃあ、・・うん、・・そうね、・・宿が決まったら連絡するから、・・うん、・・じゃあね」

このバカもこういう時だけは手回しが良い。こうした手回しの良さを仕事にでも発揮してくれればこっちも少しは助かるんだけどそんなことを端からサルに期待すべきことではないかもしれない。
ブログ一覧 | 小説3 | 日記
Posted at 2019/12/14 15:08:10

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