不正アクセスや煽り運転など、現在の日本では誰もが被害者になる可能性があります。本記事では、一般人も知っておきたい警察組織の仕組みについて、警察OBが解説します。※本連載は『新装改訂版 警察は本当に「動いてくれない」のか』(幻冬舎MC)から一部を抜粋し、改編したものです。
警察行政を担うのが警察庁、現場で捜査するのが警視庁
まずは警察の組織について見ていきましょう。警察の世界にいる人間であれば当然のように承知していることでも、一般の人の間では知られていないこと、あるいは誤解されていることは数多くあります。その代表的な例は「警察庁」と「警視庁」の違いでしょう。この二つの「庁」をまったく同じようなものだと思っている人、「警察庁」も「警視庁」も事件を捜査するための組織だと思い込んでいる人は少なくないかもしれません。しかし、両者の役割や行っている仕事はまったく異なっています。まず、「警察庁」は中央省庁の一つになります。つまりは、財務省や経済産業省などと同じ「国の役所」です。「財務省は国の財政を司る」「経済産業省は経済産業に関する政策を取り決める」というように各省庁にはそれぞれ担当業務がありますが、警察庁は警察組織を管轄し、警察行政を執り行うのが仕事になります。
一方、「警視庁」は都道府県に置かれている捜査機関の一つです。各都道府県には埼玉県警察、神奈川県警察などの「都道府県警察」が設けられています。また、その本部として「警察本部」が置かれています。「警視庁」は東京都に置かれている都道府県警察並びに警察本部の名称なのです。つまり警視庁は、呼び方は異なるものの、その中身自体は他の県警と全く変わりありません。当然、そこに所属する警察官の仕事もみな同じです。すなわち、警察庁の警察官が各種政策の企画立案や立法作業にあたるのに対して、警視庁をはじめとした都道府県警察に所属する警察官は現場に出て捜査活動を行うわけです。
警視庁のトップだけが「警視総監」と呼ばれる理由
警察庁の長は警察庁長官、警視庁のトップは警視総監です。また警視庁以外の各都道府県警では警察本部の警察本部長が指揮官役を務めています。警視庁のトップだけが警視総監と呼ばれているのには、警察独自の階級制度が関係しています。警察組織における階級は、「巡査」から始まり、「巡査部長」「警部補」「警部」「警視」「警視正」「警視長」 「警視監」「警視総監」へと上がっていく仕組みになっています。このように警視総監は警察の階級で頂点の地位にあり、定員は1名です。警視庁は、形式上は都道府県警察の一つに過ぎませんが、実質面においては〝首都警察〟として最大の人員と装備を備えています。この日本最大の警察組織のリーダーは、警察の階級の頂点にいる者が務めることが適切である――そのような考えを前提にして警視総監が警視庁のトップになっているということができるでしょう。なお、各都道府県警察は警察庁の指揮監督を受けることもありますが、基本的には独立して捜査活動などを行っています。したがって、事件捜査の際に警察庁長官と警視総監の間でどちらが上でどちらが下というような優劣関係が問題となる場面は、ほとんど考えられないでしょう。
都道府県警察の「科捜研」、警察庁の「科警研」
「警察庁」と「警視庁」と同様にもう一つ、警察の中にある名前がよく似ていて紛らわしい組織としては、「科捜研」と「科警研」があります。サスペンスドラマ『科捜研の女』が人気を博していることもあり、「科捜研」の名を知っている人は多いかもしれません。しかし、「科警研」との違いについてはどれだけの人がご存じでしょうか。まず、「科捜研」は「科学捜査研究所」の略称で、警視庁をはじめとした都道府県警察の刑事部に設置されている研究機関になります。法医鑑定やDNA鑑定など犯罪に関する資料を科学的に分析する方法を駆使して、犯罪捜査に役立てることが、その主な仕事です。一方、「科警研」の正式名称は「科学警察研究所」であり、警察庁の中に設けられています。行われている業務は科捜研とほぼ同じと思ってもらってよいでしょう。もっとも、国の機関であることから設備や機器などはより充実しています。そのため、科捜研で鑑定が難しいような事件が科警研に持ち込まれることもあります。科捜研、科警研いずれのスタッフも警察官ではなく、大学や大学院などで化学や物理学などを研究してきた理系の専門家が技術職員として業務にあたっています(科捜研の職員は警察学校で研修後、科警研で研修を受けなければならない)。警察官が一般に退職してもつぶしが効かないのに比べると、科捜研、科警研の技術職員は専門の知識・技術をもっています。在職中から、メーカーなど民間の企業に引き抜かれていく人も少なくありません。最近では、科捜研出身を売りにしてテレビなどでタレントのように活躍している元技術職員も現れています。(佐々木 保博)
警察庁と言うのは全国の都道府県警察を管理し、警察行政を統括する行政事務機関で都道府県警察のような捜査権は有しない。だから警察庁の職員は一般行政職員で司法警察権を有してはいない。警視庁と言うのは東京都の治安責任を負う捜査及び行政機関で当然捜査権を有しているが、立場としては他の道府県警察と同様である。ただ、その組織は大阪府警2万人、神奈川県警1万7千人、愛知県警1万3千人など他の大規模警察と比較しても4万5千人と群を抜いているし、予算規模も神奈川県警の4倍と莫大である。軍隊で言えば大阪、神奈川などは師団級であるが、警視庁は軍団級で組織の規模、人員、装備、予算とも群を抜いている。それは首都である東京の治安責任を負うために必要な人員、予算を与えられているからで同時に東日本の各県警察の支援機能も有している。これは大阪府警も西日本の各県警察の支援機能を有しているのと同様ではあるが、規模は比較にならない。警視庁と言う名称は明治に制定されたものをそのまま引き継いているようで大阪府警も戦後GHQの肝入りで大阪市警視庁と称したことがあったらしいが、GHQの統治が終わって間もなく大阪府警察本部に改称されている。警察庁長官と警視総監はどっちが偉いかと言えばそれは警察庁長官で日本警察組織のトップである。警視総監と言うのは実動部隊の指揮官で立場的には他府県警の本部長と同格だが、事実上警察組織のナンバー2で式典や来賓の対応など長官不在の時は代理を務めることがあるという。組織は人、物、金なので警視庁にかなう警察組織は国内には存在しないし、世界的に見てもそういくつもないだろう。でもだからと言って警視庁の警察官が他の府県警の警察官よりも優秀だと言うわけでもない。科警研と科捜研は同じ業務をしている組織だが、科警研は警察庁の一部門、科捜研は各都道府県警察の一部門と言うことになる。ただ警察庁の方が人員、予算、装備資器材で優れているので各県で出来ないことを依頼することはある。科捜研は専門的な技官の組織で警察官は所長の他に1,2名しかいない。他は各分野の専門家で修士、博士などもいる。捜査の過程で鑑定を依頼したり、意見を聞きに行ったり、お世話になることも多い。しかし、そうした専門家だからと言って警察組織に染まるとなかなか色が抜けないので、つぶしが効くかどうかは知らないが、・・(^。^)y-.。o○。
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2020/03/01 10:54:42