「性犯罪は『魂の殺人』だから、被害者の数だけ逮捕して、しっかりと裁いてもらわなければならない。」ある捜査幹部は取材する筆者にそう思いを打ち明けた。数えること「7」回。これは警視庁捜査1課が、A男(31)を準強制性交などの疑いで逮捕した数だ。
■ある女性のケース
A男は、リクルート子会社の元社員(現在は解雇)。発端は、去年6月に都内に住む30代の女性がある訴えを警察署にしたことだった。「体の状態がおかしい」女性は3か月ほど前に知人のパーティーでA男と知り合った。女性は体の異変を感じる前日の午後8時頃、A男と再会し渋谷区内のレストランで食事をしている。しかし食事のあとの、記憶が全くない。捜査幹部は「離席している隙に“睡眠薬”を飲み物に混ぜたのではないか」と話す。気付くと女性はA男の家にいて、すでに夜は明けていた。午後1時ごろに駅まで送ってもらったが体の異変を感じ、その足で警察署へ届け出たという。これを受け、凶悪犯罪を取り締まる、警視庁捜査1課が本格捜査を開始。5か月後の去年11月、A男はこの女性に対する準強制性交の疑いで逮捕された。当初から「他にもやっている」と供述していたA男。その後、次々と卑劣な犯行の手口が明らかになる。
■就職活動中の女子大学生を狙い
2度目の逮捕は翌12月。就職活動中の女子大学生の意識をもうろうとさせ性的暴行を加えた準強制性交の疑い。学生と社会人をつなぐ「OB訪問アプリ」を使い、就職活動をしている女子大学生を狙っての犯行だった。A男は、アプリ上のプロフィールに「神戸大学卒リクルート勤務」と記載していたが実際には同じ県内の別の私立大学出身でリクルート勤務というが子会社の社員だった。ウソを重ねて「就活のPR動画を撮影しよう」と女子大学生を誘い出し、睡眠作用のある薬を飲み物に混ぜていたとみられる。同様の手口で、別の女子大学生にも性的暴行を加えたとして、ことし1月には3度目の逮捕。自宅からは睡眠作用のある薬が700錠以上押収されたことも明らかになった。さらに意識をもうろうとさせ裸で横たわる女子大学生の姿と免許証などの身分証を一枚の写真に収め、”コレクション”にしていた可能性も浮上。明らかになっていない被害者は「数十人はいる」(捜査幹部)という。4,5,6,7…ついに逮捕は7回を数えるようになった。逮捕のたびに、一貫して警視庁捜査1課は報道各社に発表をしてきた。
■何度も再逮捕するワケ
「いったい何度発表するのだろう」。“異例”とも言えるこれほどの発表の回数は筆者も聞いたことがない。そこまで再逮捕を繰り返す理由、その答えがまさに冒頭の捜査幹部の言葉につながる。そこには、警視庁捜査1課のある思いもにじんでいる。「たとえば殺人事件の容疑者が、複数の人を殺害した場合、我々は何度も逮捕する。それは強制性交などの性犯罪でも同じで、被害者にはそれぞれの人生があるのだから」。強制性交などの性犯罪は『魂の殺人』と呼ばれ、被害者の身体のみならず心にも深い傷を残す犯罪だ。「捜査は尽くすし、性犯罪をなくすためにも検挙し続け、都度、発表していく」(捜査幹部)被害者に報いることができるのは自分たちだけ、そんな思いがあるのだろう。
性犯罪と言うのは個人の尊厳を土足で踏みにじるような犯罪だ。一般に複数回の逮捕は長期勾留による自白の強要と判断されることから逮捕の回数はある程度制限されるが、殺人、強盗などの凶悪犯は発生地による事件ごとの逮捕捜査が容認されている。これは事件が複雑で社会に与える影響が大きいから捜査に時間がかかることを踏まえてのことだろう。強制性交などの性犯罪も同様で被害者に与える影響の大きさや犯罪の社会に与える影響などを考慮したものだろう。性犯罪に対する処罰も厳しさを増している。50代の被疑者が複数の女性をラブホテルに連れ込んで性的暴行を加え、それをビデオ撮影した事件があったが、数千万円を使ってほとんどの被害者と示談をしたにもかかわらず判決は懲役20年だった。睡眠導入剤を使った犯行は跡を絶たないが、欲望に任せた卑劣な犯罪は重大な代償を伴うこと、そして被害者に一生消えない深い傷を残すことを認識して思い止まるべきだろうが、男と言う生き物はその辺はなかなか理解し難いかもしれない。また女性も隙を見せることのないよう注意刺激だろうが、これもなかなか難しいだろう。警視庁は性犯罪には極めて重い刑罰が科せられることを世に示し、それを抑止力としたかったんだろう、‥(^。^)y-.。o○。
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Posted at
2021/06/23 22:41:33