2021年07月29日
先端技術開発は国を守る力にもなる、‥(^。^)y-.。o○。
太平洋戦争当時の日本は繊維、食品加工、林業など軽工業中心の産業であり重工業などは欧米に遅れていた。航空機の開発もエンジン、プロペラともに米国の技術が基礎になっていてエンジンで5、6年、プロペラは10年以上も遅れていたと言われている。戦争中は海軍、陸軍ともにドイツやフランスの技術導入をしていたが、小型高出力のモーターが作れず、作動が不安定で故障が多かったそうだったそうだ。
過給機なども欧米では2段2速の機械式過給機(スーパーチャージャー)やフルカン接手(ビスカスカップリングなど流体継ぎ手)、排気タービン過給機など様々なものが実用化されていたが、日本では機械式過給機は1段2速、フルカン接手過給機や排気タービン過給機は実用化できず航空機の高高度性能が劣っていた。
機体設計については欧米に匹敵するものもあったが、それを実現する基礎技術がなかったという。ガソリンも高オクタンガソリンの精製ができず、海軍は91オクタン、海軍から高オクタンガソリンの精製技術を開示してもらえなかった陸軍は87オクタンのガソリンを使用していたそうだ。エンジンオイルも化学合成オイルが製造できず、米国からの輸入が途絶えるとひまし油を使用していたそうだが、この植物油はレーシングカーなど短時間でオイルを交換する自動車などにも使用されていたそうだからそれもありかもしれない。
電装系もオイルシールなども精度が低くてコロナ放電による電圧の低下やオイル、液漏れなどは日常茶飯事だったそうだ。モーターや油圧機器などもパワーが出ず、作動も不安定で油圧機器などはシーリング不良でオイル漏れが多かったという。
電子機器も遅れていて航空無線などは戦争前半期は全く役に立たなかったそうだし、後半でも交信距離が短く感度が悪かったそうだ。そのために僚機との意思の疎通が難しく編隊による空戦がやりにくかったらしい。
機銃もほとんどが米英独仏、スイスなど外国からの技術導入だが、冶金技術の遅れで質のいい複座バネの製造ができず、原型に比較すると性能が劣ったという。安定して大パワーを発揮するエンジンの開発が遅れ、そのパワーを吸収するプロペラが旧式だというだけでもう致命傷だが、それ以外の周辺技術でも遅れていたとなるとこれはもう致命的だろう。
航空機以外でもレーダーや近接信管などの電子機器、日本のレーダーが最後まで艦船や飛行機を艦隊あるいは編隊として捉えることはできても単艦あるいは単機として捉えることはできなかったという。潜水艦を探知するソナーも潜水艦をピンポイントでとらえることができなかったというし、誘導兵器、感応機雷などについても実用化することができなかった。
戦争末期にはジェット機やロケット機などを作って飛行させているが、B29の爆撃で工業生産力が壊滅し、原料も輸入できないあの状況でよく作ったと思う。それこそ気力で作ったんだろうが、その試作機も欧米には数年の遅れがあった。こうして考えると防衛力と言うのは戦闘機や軍艦、戦車などを作るだけではなく日頃から基礎的な技術力を向上させておくことが必要であり、高度先端技術は国を富ませるだけではなく国を守ることにもつながる。
航空機についていえば日本は戦後75年にして機体、エンジンともに欧米に並びつつあるが、経験不足からシステムデザインなどはまだ遅れているだろう。技術と言うのは長い時間継続して知識を蓄積しないと花開かない。
日本では未だにまともな機関銃が作れない。これもそうした技術の蓄積を怠ってきたからだろう。最も機関銃などは米国で製作されたM2重機関銃がいまだに各国で使用されているが、この機関銃は1917年に作られたもので100年以上も使い続けられている。米国でもこの銃の後継中を作ろうとしたが、失敗してできなかったようだ。日本では住友重工業がライセンスしているが、原型の性能と安定性を出すのに苦労しているようだ。技術と言うのはなかなか難物のようではある。今後も先端技術開発には「二番ではダメなんですか」などと言わずにしっかりと金をかけて継続していくべきだろう、‥(^。^)y-.。o○。
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2021/07/29 11:16:57
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