政府は20日、航空自衛隊のF4戦闘機の後継となる次期主力戦闘機(FX)に、米国など9カ国が共同開発中で、敵のレーダーに探知されにくいステルス性能に優れるF35(米ロッキード・マーチン社製)を選定した。防衛省は選定手続きの公正性を強調するが、ステルス機導入は空自の悲願。納期や価格に不安を残したままの選定となり、「F35ありき」を印象付けた。
この日、首相官邸での安全保障会議で最終的に計42機(2飛行隊分)を取得することを決定し、閣議了解された。12年度予算案に完成品4機(1機99億円)の取得経費を計上する。防衛省は運用期間を20年間と想定し、維持費なども含め計1.6兆円かかると試算している。
ステルス機は中国やロシアも開発を進めており、配備は空自の悲願だった。防衛省の選定作業では、F35のほか、米国が開発したFA18(米ボーイング社)、欧州4カ国が共同開発したユーロファイター(英BAEシステムズ社など)が候補となり、「性能」のほか、下馬評では最も不利とみられた「経費」や「後方支援」でも最高点を獲得。「国内企業参画」の項目だけ、国内企業が生産可能な構成品が4割にとどまるため、最下位の評価となった。
また同省は20日、F35の製造・修理に参加する企業を、機体は三菱重工業、エンジンはIHI、レーダーなどの電子機器は三菱電機に決めたと発表した。 しかし、F35の開発は遅れ気味だ。将来的に始まるライセンス生産では米側に特許料を支払うため、1機当たりの価格は上がる見通しで、開発が遅れればさらに高騰する可能性もある。
F4は老朽化が進んでおり、F35の納入が遅れた場合は空自の体制に支障が出そうだ。防衛省は納期など提案内容を厳守する誓約書を岩崎茂航空幕僚長あてに米側から提出させる。F35の調達は、米国が価格や納期を将来変更しても契約違反にならない「FMS」(有償援助)と呼ばれる方式を採用。防衛省の担当者は「国同士の約束だから守ってもらえる」と強調したが、提案内容が守られない懸念は残る。
◇F35の選定での評価◇
◆性能=飛行性能やステルス性などの機体性能、ミサイル命中能力、電子戦能力、ステルス目標探知能力、空対地攻撃能力の全てでバランス良く高得点。シミュレーションでも最高点を獲得。全体で最高評価
◆経費=機体購入費ではFA18、燃料費ではユーロファイターが最も安くF35はいずれも次点。空自と同じ空中給油方式のため改修費が発生せず、全体で最高点
◆国内企業参画=FA18とユーロファイターは国内企業が製造参加できる構成品が多く、技術開示の程度が高いユーロファイターが最高点でF35は最下位
◆後方支援=3機種が拮抗(きっこう)。故障部位を詳細に特定する機能や部品交換時期を診断する機能があるF35が最高点
初めにステルスありきの選択だろう。あれだけF-22を欲しがっていたのだから、ステルス以外の選択はあり得なかっただろうけれど。戦闘機としての性能は優秀なのだろうが、確実性と言う点では疑問符が付く。今後、価格の高騰や納期の遅延がないと良いが。
今後、航空自衛隊が装備する戦闘機は、性能向上型のF-15が100機、F-2が80機、F-35が42機、これで220機、13個飛行隊に20機の戦闘機を配備するには40機が不足する。その他、飛行教導隊や教育所要分を含めると80機程度を追加で購入しないといけないだろう。合計で120機以上、機体単価を120億とすると1兆4400億、150億だと1兆8000億円、やはりどこのメ-カーも必死になるわけだ。
Posted at 2011/12/20 22:46:36 | |
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