防衛省は鹿児島県から沖縄県につらなる南西諸島(石垣島、宮古島、与那国島)に陸上自衛隊を主体とした警備隊(国境警備任務)を配備する計画を進めているが、案の定、一部の地権者(地主)がマスコミ関係者と手を組んで、これを阻止する動きをしているという。日本の国益や安全保障上の戦略を踏まえれば、こうした反対勢力の行動を封じ込めなければならない。なぜ、南西諸島に自衛隊が必要なのかー。
■東シナ海防衛
軍事専門家や自衛隊幹部によると、防衛省が南西諸島への陸自配備を推進する“本音ベース”の主な理由は3つあるという。
まず第1に挙げられるのが「東シナ海防衛」だ。南西諸島は東シナ海に位置し、日本のみならず米国にとっても重要な戦略海域である。海洋資源が豊富で、日米のほか韓国、台湾、中国、北朝鮮、ロシアなど各国・地域の船舶が頻繁に航行している。
軍事上、わけても由々しき事態は海中を潜行する中露の潜水艦の存在だ。東シナ海のように水深の浅い海では、こうした潜水艦の発見が困難で、野放し状態となっているという。
このため、防衛省には陸上への警備隊配備後、潜水艦の探知網も整備する目的があるとされる。技術的には海底に集音マイクを埋設したり、セルコール(敵味方識別装置)を整備したりする計画だ。
4月の北朝鮮による長距離弾道ミサイル発射騒ぎの際には、「空の警備」の重要性を国民に知らしめたが、実は海上・海中の警備体制を十分整えることも不可欠なのだ。
■中国・北朝鮮船舶に対処
第2に中国・北朝鮮船舶の問題が挙げられる。あまり報道されていないが、宮古、石垣、与那国3島周辺海域では、中国と北朝鮮籍船舶相互による「抜け荷」や「積み替え」が横行しているという。
「抜け荷」は互いの船に積んである荷物を抜き合うもので、それで私腹を肥やしているのだ。一義的には中国と北朝鮮両国間の問題だが、日本にとって深刻なのは、「積み替え」だ。
日本政府は現在、北朝鮮からの輸入は制裁措置により認めていない。しかし、海上で北朝鮮の荷物を中国船に積み替えれば、中国からの輸入品になってしまうのだ。こんなカラクリが平然と行われている場所が南西諸島海域なのである
さらに問題なのは、こうした中国や北朝鮮の船舶に対し南西諸島に寄港したという、“お墨付き”を日本政府が与えてしまっていることだ。具体的には日本の領海を通過したり、日本の領海に停泊したりする場合、日本側は臨検や荷物検査行った証明書を発行しているのである。
中国船や北朝鮮船にしてみれば、どんなに怪しい荷物を積んでいたとしても、日本が検査して「異常なし」となれば、それ以降は「正規の荷物」になってしまう。あとは大手を振って他国へ運んで行ける、立派な「通行手形」を手にすることになる。すなわち、日本は、そうした連中の荷物の“クリーニング”をしているわけだ。こうした海上での中国や北朝鮮の不正の商売に目を光らせるというのが、陸自部隊配備の目的でもある。
■沖縄米軍基地問題解決への布石
そして第3の理由が、沖縄県の米軍基地問題解決に向けた環境整備だ。沖縄県では、米軍普天間飛行場移設や米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ配備計画などへの反発が収まっていないが、これらは沖縄本島を舞台にした問題である。
マスコミはしばしば「沖縄県民の意識」という言葉を使うが、沖縄県民とは沖縄本島の人間だけを指しているのだ。当の沖縄本島の県民の間では、本土から差別されているという意識が根強い一方、南西諸島の人々を蔑(さげす)む空気も強いとされる。
沖縄本島の県民意識を踏まえれば、「問題になっている沖縄本島の基地をすべて南西諸島へ移転させれば結果オーライ」といった見方もなされている。すなわち、こうした考えを実行するための布石が、南西諸島への部隊配備なのである。
この先自衛隊は様々な局面で脚光を浴びる存在になるだろう。南西諸島・東シナ海防衛もそうだろう。しかし、政府は掛け声ばかりでそんな気はないだろう。尖閣諸島国有化などといっても選挙対策で本音はひたすら中国との摩擦を避けたいと言うのが本音だろう。もしも本当に南西諸島と東シナ海の安全確保を実行するのなら戦闘機と護衛艦、そして陸上自衛隊のヘリなどをもっと増強すべきだろう。口先だけの動的防衛力などと言ってみても裏付けがなければ何の威圧にもならないだろう。存在することで侵略を抑止するのが軍隊の究極の目的という意見もあるが、それが正論だろう。
Posted at 2012/07/08 23:01:05 | |
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