今回の防衛白書は中国の「不透明性」に警戒感を示したのが特徴だ。空母開発や海洋進出だけでなく、「党(政)軍関係」の変化も新たな要因として指摘し、東シナ海での挑発に警鐘を鳴らした。ただ、それへの備えとなると筆は鈍り、抑止力向上の目玉はゼロで、日本の対応の遅れを象徴する白書となった。
対中脅威認識でまず強調したのが空母開発の加速だ。中国は国産空母を海洋戦略の中核と位置づけ、2015年までの保有を目指しているとされる。白書はワリヤーグの試験航行、J15艦載機開発、パイロット育成などの動きを挙げた。
海軍艦艇の太平洋進出に加え、海軍以外の公船が沖縄・尖閣諸島付近で日本領海に相次ぎ侵入した事案も列挙。今年7月には漁業監視船3隻が侵入し、防衛省幹部は「3隻の侵入は初めてで、挑発をエスカレートさせている」と話す。
白書は、人民解放軍の影響力の増大について「国家主権や海洋権益をめぐり軍が態度を表明する場面が近年増加」との見方を例示。自衛隊幹部は「党の統制が揺らげば、海軍の挑発や威嚇に歯止めが利かなくなる恐れがある」と指摘する。
これらを踏まえれば抑止力と対処能力の強化が不可欠。自衛隊OBは「スキージャンプ台方式の中国の空母は早期警戒機を艦載できないため、『超低高度』攻撃能力を強化すれば無力化できる」と断言する。
だが、白書は一昨年に策定した「防衛計画の大綱」のおさらいに終始。実効的な対抗策を講じていないと自供しているに等しい。
日米安保体制でもお題目ばかり並べた。特に今年4月の日米共同発表で「動的防衛協力」を打ち出せたとアピールしたが、自衛隊の「南西防衛」と米軍の空・海戦力一体運用「統合エアシーバトル」を対中シフトでどう融合させるのか道筋を提示できていない。
米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄配備も1ページに満たないコラムで触れただけ。「オスプレイ隠し」との批判は免れず、政権が1年近く抑止力の意義をいかに説明してこなかったかを如実に物語ってる。
中国は軍の最高幹部が尖閣に対して群としての責務を果たしていくと宣言しているが、日本の民主党政府はこれと言った対抗策は打ち出してはいない。中国様にひれ伏してしまう政府だから対抗策などとんでもないのかもしれないが、尖閣を放置したら先島諸島も取られるかもしれない。向こうがやる気ならたとえ血を流すことになってもやるしかないのかもしれない。そのためにはまずしっかりとした備えをしておかないといけないのだが、唐突に口で言うだけで何もしないのはいざという時矢面に立たなければならない自衛隊があまりにも気の毒だろう。
Posted at 2012/08/01 17:01:37 | |
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