政府は15日、天皇訪韓を巡る韓国の李明博(イミョンバク)大統領の発言について、韓国政府に外交ルートを通じて公式に抗議した。
今月10日の大統領による島根県・竹島への上陸強行も踏まえ、日韓の通貨交換(スワップ)協定の見直しや、首脳による相互訪問(シャトル外交)の一時中止など対抗措置の検討も始めた。
野田首相は15日、首相官邸で記者団に対し、大統領の発言を「理解に苦しむ発言で遺憾だ」と批判した。外務省の杉山晋輔アジア大洋州局長は同日、在京韓国大使館を通じて韓国側に抗議の意を伝えた。
李大統領は14日、韓国・忠清北道の大学の会合で、「(天皇が)韓国を訪問したいなら、独立運動をして亡くなられた方々のもとを訪ね、心から謝罪すればいい」などと述べた。
これには日本メディアも痛烈に批判している。例えば、韓国批判は必ずしも多くない朝日新聞ですら、「国家元首としての品格を失いかねないほど」「民主化が進み、価値観が多様化した韓国では、『反日カード』も、かつてほどは効果がない」と切り捨てた。
李大統領は08年4月21日に皇居で天皇、皇后両陛下と会見し、直接韓国訪問を要請してもいるし、過去には「日本に謝罪、反省を求めることはない」とも発言している。朝日新聞の「品格を失いかねない」との指摘は、過去の発言との不整合も踏まえているようだ。
玄葉光一郎外相は、発言について外交ルートで抗議したことを明らかにした上で、「ナショナリズムを煽るような言動は、韓国のためにならない」とも論評。藤村修官房長官は、緊急時に外貨を融通し合う日韓通貨スワップ協定について見直す可能性を否定しなかった。
また、自民党の安倍晋三元首相は、発言を「常軌を逸している」とした上で、李大統領を「一国のリーダーの資格に疑いを持たざるを得ない」と激しく非難した。
こうした批判は当然だろう。当面は韓国とは距離を置くことになるだろうが、それも止むを得ないだろう。個人に尊厳があると同様に国家にも国家元首にも尊厳がある。それは一方の都合だけで踏みにじっても良いというものではない。それを理解しない国家は敬意を払うに値しない。
Posted at 2012/08/15 22:34:17 | |
トラックバック(0) | 日記