尖閣諸島(沖縄県石垣市)に香港の活動家らが上陸するなどした事件は17日、逮捕から2日後に強制送還という形で幕を閉じた。今回の対応について地元の市長や漁業者は政府の「弱腰」な姿勢を批判し、国内各地でも「もっと毅然(きぜん)とした態度を」など不満の声が上がった。これに対し、「問題をこじらせない意味で正解」とする意見もあった。
「こんなに早く結論を出していいのか。上陸しても処罰されないという誤ったメッセージを送ることになる」。石垣市の中山義隆市長は今回の対応を疑問視し、「港や灯台などを整備して実効支配を強めることを引き続き求めていきたい」と強調した。尖閣諸島周辺で冬場に漁をする漢那一浩さん(63)=宮古島市=も「裁判にかけて厳しく罪に問うべきだ。日本政府がこんな弱腰だと、これからも(活動家などの船が)どんどん来る。安心して漁ができないよ」と憤った。
一方、石垣市の市民団体「9条の会やえやま」の新垣重雄事務局長は「法律にのっとった穏当な対応で、スピーディーに解決したことは日本、相手国双方にとって望ましい。地元としては混乱が拡大せず、胸をなで下ろしている」と肯定した上で、「なぜ強制送還を決めたのか国民にきちんと説明し、今後同様の事案が起きないよう外交的に解決してほしい」と訴えた。
地元以外の市民は今回の不法上陸と、逮捕からわずか2日で強制送還した日本側の対応をどう見たのか。「裁判で刑事責任を問うべきだった」「政府の事なかれ主義の表れ」という批判がある一方で「関係をこれ以上ぎくしゃくさせないため素早い幕引きはやむを得ない」と理解を示す人もいた。
また「選挙や足の引っ張り合いばかりでは永久に解決しない」という政治家への批判も聞かれた。
横浜国立大学の村田忠禧(ただよし)名誉教授(現代中国論)の話 2年前の漁船衝突事故の教訓を酌み、問題を悪化させないように処理したと思う。日本政府は「領土問題は存在しない」としているが、現実を踏まえていない。日中双方がこの問題で認識を共有化するのは難しいが、まずは事実の共有化に努め、小さな島のことで争うことが互いにマイナスだと気づいてほしい。
東海大の山田吉彦教授(海洋政策)の話 相手が他の罪を起こさないように対応しようとしたところをみると日本側は最初から強制送還ありきで動いていたようにみえる。もっと慎重に捜査した上で少なくとも送検するなど司法権を行使すべきだった。尖閣諸島についてはそもそも領土問題は存在せず国内の問題で、国有化も含め国家で管理し、海域を守れる態勢を早期に整えるべきだ。
今回は両国ともに問題を早急に解決して後を引かないことに徹したようだ。口ではいろいろと強いことを言ってはいてもやはり問題をこじらせたりまして武力衝突と言う事態には憂慮しているのだろう。中国は前回は強気に出てレアアースで首根っこを押さえようとしたが却って世界の反発を買ったことがトラウマになっているのだろうか。上陸されたことは反省すべきだろうが、今回はこれでよかったように思う。ただ、今後は上陸されないことを目指して警備強化と実効支配の強化を検討すべきだろう。その辺は丁々発止の外交を学んでしなやかで強かな外交戦略が求められるだろう。
Posted at 2012/08/17 23:45:18 | |
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