海上自衛隊大湊航空基地(むつ市)所属の哨戒ヘリが4月、練習艦隊の見送り飛行中に護衛艦と接触して陸奥湾に墜落、機長(当時37歳)が死亡した事故で、海自の航空事故調査委員会は28日、「機長が視認を誤り、護衛艦に近づきすぎたことが原因」とする最終報告をまとめた。
海自によると、過去の訓練飛行では、衝突を防ぐため離れなければいけない距離や高度を定めた飛行計画を作成していたが、この事故の際には作っていなかった。過去の訓練が複数機の飛行だったのに対し、今回は1機だけだったためという。同日、むつ市で記者会見した海上幕僚監部の西尾透副監察官は「飛行計画があれば事故は防げたと思っている」と述べ、組織として不備があったことを認めた。今後、飛行計画の作成を内規で定めた上で、現在自粛している訓練飛行を再開する方針。
また機長は訓練前、「(練習艦隊の)実習生にどういうフライトを見せたらいいか」と他の隊員に話し、隊員は「無理はいけない」と自制を求めていた。西尾副監察官は「『迫力あるフライトを見せたい』という心理が機長にあった可能性がある」と述べた。
事故は、護衛艦など3隻で作る練習艦隊に哨戒ヘリが左斜め後ろから時速約100キロで接近し接触した。海自によると、通常は艦との距離を最低でも約30メートル取るが、ヘリの回転翼が護衛艦の格納庫に1・1メートル食い込むほど接近していた。ヘリに同乗していた航空士が衝突前、機長に「近いですね」と声をかけたが、機長からは返事がなかったという。キャビンドアを開けて練習艦隊に手を振っていたため、風の音にかき消されて聞こえなかった可能性がある。最終報告では、機体や当日の天候などに問題はなかったとした。事故では乗員7人のうち、機長が死亡したほか3人が重軽傷を負った。
回転翼が護衛艦に接触するほど接近していたのだからちょっとやり過ぎたんだろう。ほとんどすれすれに護衛艦の脇を通過することを狙ったのだろうか。車の幅も読み違えて車体を擦ることがあるが、航空機ではそれは命取りだろう。実戦であればやむを得ないが、見送りの展示飛行なのだから無理をすることはなかったのだろうが、残念な事故だった。
Posted at 2012/08/30 22:54:41 | |
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