中国の謝旭人(しゃ・きょくじん)財政相と周小川(しゅう・しょうせん)・中国人民銀行(中央銀行)総裁が東京で開かれている国際通貨基金(IMF)・世界銀行総会への出席を取りやめたことが10日、分かった。日本の沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)国有化への対抗措置と見られるが、世界2位の経済大国で新興国代表の中国が、2国間問題を理由に国際会議への閣僚派遣を中止したことに「国際協調の軽視」(国際金融筋)との批判も出ている。中国が唱えるIMF改革や、日中の金融協力にも影響が出そうだ。
謝財政相と周総裁の総会出席は、日本の尖閣国有化後、中国の閣僚級の初の訪日となる予定だった。中国は10年の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件後に閣僚級の訪日を見送った経緯がある。しかし、今回の閣僚訪日は、欧州債務危機や世界経済の減速、IMF改革など重要テーマを議論する国際会議への参加が目的。日本側は「(総会という)マルチ(多国間)の場なら中国も閣僚を訪日させやすい」(財務省幹部)と日中対話の糸口となることを期待していた。
関係者によると、中国側も先週までは財政相らの総会出席を変更しない姿勢だったというが、結局、朱光耀(しゅこうよう)財政次官と易綱(いこう)副総裁を代理出席させることにした。
「釣魚島の不法購入が困難な局面をもたらした。責任は日本側にある」。中国外務省の洪磊(こうらい)副報道局長は10日の記者会見で強調したが、IMFへの出資比率が米日に次ぐ3位、ナンバー2格の副専務理事も出す中国の今回の態度には「国際貢献への責任感が乏しい」とIMF関係者も厳しい視線を向ける。胡錦濤国家主席が訴えてきた新興国の発言力を増すIMF改革が難航する中、総会欠席は中国の発信力低下につながりかねない。
また、緒に就いたばかりの日中金融協力にも悪影響を与えそうだ。野田佳彦首相と中国の温家宝首相が昨年12月、日中金融協力で合意したことを受け、財務省は中国国債購入に向けた手続きを進めてきた。また、6月からは日本の円と中国の人民元を直接交換する取引も東京、上海両市場でスタート。中国には人民元の国際化を後押しする利点がある。
城島光力財務相は10日、「日中の経済的な交流は極めて重要。大局的観点から中国との意思疎通を行いたい」と述べたが、中国が強硬姿勢を示す中、日本政府が中国国債を購入すれば国民の反発も予想される。
どっちに痛みが大きいかは分からないが、こうなるともう我慢比べとしか言いようがない。しかし、こうした国際会議を2国間の問題でボイコットすると言うのはどうも中国に分が悪いようにも思える。そこまでしてもこの尖閣諸島問題に拘ると言うのは尖閣に、というよりも日本に屈するか否かということに現中国共産党政権の命運がかかっていると考えているのかもしれない。ここでこの問題に成果を上げられずに引き下がれば現中国政権は大きなダメージを受けるという読みがあるのかもしれない。日清戦争、日中戦争に加えて宿敵と教育してきた日本にここで膝を屈することは国内事情が許さないのだろう。
そうであるなら局面が打開できない場合には当然のこと武力行使という選択肢もあり得るだろう。そんなときまでにこの日本にしっかりとした本格政権が樹立されていると良いが、相手方にすれば政権基盤も外交力も決断力も史上最低の現政権の時に、・・・と考えるだろう。どうも限定的にしろ、尖閣諸島での日中の武力衝突の足音が徐々に高まってきそうな嫌な雰囲気ではある。
Posted at 2012/10/10 22:36:05 | |
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