北朝鮮が12日午前、長距離ロケット「銀河3号」の打ち上げに成功したと発表したことにより、韓国の「10大ロケット開発国」または「10大宇宙クラブ」入りの夢がかなわなくなる可能性が出てきた。北朝鮮は午前9時51分頃に「銀河3号」を発射し、それから約1時間半後に「『銀河3号』の打ち上げにより『光明星3号』の軌道投入に成功した」と公式発表した。
北朝鮮の主張をそのまま認めた場合、銀河3号は高度約300キロの低軌道に先端に搭載した衛星を投入したという点で、韓国初の人工衛星搭載ロケットとして来年初めに3回目の打ち上げを予定している「羅老(ナロ)」(KSLV-1)と目的が同じということになる。
当初、韓国教育科学技術部は羅老が2009年と2010年の失敗を経て3回目の打ち上げに成功すれば、自らの力でロケットを打ち上げ、衛星を軌道に乗せた世界で10番目の国になると説明してきた。いわゆる「宇宙クラブ」の10番目のメンバーということだ。
北朝鮮による今回のミサイル発射成功を政治的理由から国際社会が認めない可能性があるが、北朝鮮の主張通り銀河3号と光明星3号が正常に作動するなら、韓国としては今後羅老の打ち上げに成功しても「10大ロケット開発国」を名乗ることはできない。一般的に世界で「ロケット開発国」として認められる基準は、衛星をロケットに搭載し正常軌道に乗せられたかどうかだ。
この基準によりこれまでに世界でロケット開発に成功した国は、ロシア(旧ソ連)、米国、フランス、日本、中国、英国、インド、イスラエル、イランだ。旧ソ連は1957年10月4日、人工衛星「スプートニク1号」を乗せたロケットの打ち上げに成功した。
これに触発された米国は、翌年の2月1日に人工衛星「エクスプローラー1号」を乗せたロケットを打ち上げた。またフランスも1965年に人工衛星打ち上げに成功した。日本と中国も1970年に世界で4番目と5番目となるロケットの打ち上げに成功した。次いで英国が1971年に、インドが1980年に成功した。その後1988年にイスラエルが、2009年にはイランがロケット開発国となった。
意表をついて北朝鮮がミサイルを発射した。衛星打ち上げ用ロケットも大陸間弾道弾も同じものだからミサイルでもロケットでもどっちでもいいが、これで北朝鮮は衛星打ち上げ能力とともに米国本土を攻撃するミサイル開発能力を獲得したことになる。すでに開発済みの核弾頭と併せれば大まかに言えば米国を核攻撃する能力を獲得したことになる。
北朝鮮の狙いはここにあるのだろう。核攻撃能力を持てば対米外交でこれまで以上に強硬な態度で臨める。それも国が消滅することを覚悟の瀬戸際外交には違いないが。しかし、あれこれ継ぎ接ぎのミサイルにしても北朝鮮は遂に衛星打ち上げ能力を持つ10番目の国になったということはそれなりに大したものと言わざるを得ないだろう。
Posted at 2012/12/12 22:32:46 | |
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