岐阜・長野県境の北アルプス奥穂高岳(3190メートル)で5日夜から6日早朝にかけて遭難が相次いだ。6日夕方までに2グループの11人全員が救助されたが、このうち岐阜県側のグループの2人の死亡が確認された。長野県側の8人は無事だった。
岐阜県側では5日午後11時20分ごろ、茨城県の山岳会に所属する男性3人のグループから長野県警などを通じて「道に迷った」と通報があった。岐阜県警が3人を救助したが、うち2人の死亡が確認された。
高山署によると、死亡したのは茨城県石岡市柿岡、接骨師本図一統(もとずかずのり)さん(68)と、同県小美玉市中台、銀行員五来(ごらい)修さん(46)。死因はいずれも凍死という。
岐阜県警山岳警備隊員などが6日午前8時35分ごろ尾根にいた男性1人を救助し、長野県警のヘリコプターで長野県松本市内の病院に搬送した。男性は意識はあるという。近くで五来さんが心肺停止状態で見つかり、同日午前9時34分に岐阜県警のヘリコプターで搬送。同日午後0時5分、心肺停止状態で見つかった本図さんを県警ヘリコプターで搬送したという。2人は午後2時、死亡が確認された。
長野県側の標高約2700メートル付近では、登山中の8人の団体のうち、20代から60代の男女5人が低体温症などで動きがとれなくなったと6日早朝、長野県警松本署に連絡があった。同日午後4時すぎまでに、県警のヘリコプターで全員が救助され、5人が松本市内の病院に収容された。福島県郡山市の無職男性(63)が脱水症、山梨県南アルプス市の国家公務員女性(29)が低体温症と診断されたが、8人とも命に別条はないという。
同署によると、8人は長野県勤労者山岳連盟加盟の山岳会から集まったメンバーで、3日、14人パーティーで上高地から入山、岳沢周辺で雪上訓練をしていた。5日に8人が南稜から奥穂高岳を目指したが、動けなくなり、岩陰で簡易テントを張ってビバーク(緊急露営)していた。6日朝、アマチュア無線で、同県警に救助要請をした。
山には春と秋はない。地面に雪があるうちは冬、なくなれば夏、ただそれだけだ。春山と言うが、里の雪は消えても山の雪は消えない。しかもこの時期の雪は時々刻々とその姿を変えるので対応が非常に難しい。朝は表面が凍ってカチカチだが、日が昇るにつれて雪が緩んで来る。山の南側と北側の斜面でも雪の状況が違う。そうした雪を踏みながら登山をするのは極めて難しい。以前に5月の奥穂高岳に登ったことがあるが、滝谷側は氷の滑り台のようで、そのくせ雪が緩んでいるのでそこをトラバースしていくのが非常に恐ろしかった。場合によっては真冬の方が御し易いようにも思う。
最近は登山がブームだと言うが、自分の力量を考えて山登りをした方が良い。大山で身動きが取れなくなった4人組がいたそうだが、一般の縦走路で動けなくなるような輩は山に登る資格はない。実際にこのパーティはほとんど山登りの経験がなかったと言う。登山は厳しいが達成感のある良い趣味だと思うが、常に死と隣り合わせで普通のレジャーとはその点が異なる。その危険に対応するのはまず自分自身で他人ではない。それを理解した上で体力、技術に見合った山にそれなりの装備を持って登るべきだろう。
Posted at 2014/05/06 21:38:10 | |
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