「太平洋側の島嶼(とうしょ)部における防空態勢についても検討を行う」
昨年12月に閣議決定した防衛力整備の基本方針「防衛計画の大綱」の一文だ。南西諸島は宮古島に航空自衛隊のレーダーサイトがあるだけで、「防衛の空白地帯」と呼ばれてきたが、太平洋側の小笠原諸島(東京都)になるとレーダーすらない。防衛省幹部は大綱の記述について「小笠原諸島に空自レーダーを配備することを検討している」と明かす。
太平洋側の防空態勢に危機感を強めるのは、中国の航空戦力が活動範囲を拡大しているためだ。中国機は昨年7月、初めて沖縄本島と宮古島の間を通り太平洋へと抜けた。以来、昨年度の東シナ海と太平洋の往復飛行は10回。太平洋進出を常態化させている。
《中国軍戦闘機が日本領空を侵犯。緊急発進(スクランブル)した空自戦闘機が無線で警告しても領空内で飛行を続ける》
レーダーなど監視力向上
平時でも有事でもないグレーゾーン事態であり、東シナ海と太平洋でいつ起きてもおかしくない。抑止するには、まずは太平洋への出口にあたる東シナ海上空の守りを固めることが急務となる。
空自は4月20日、4機程度の早期警戒機E2Cを常駐させる警戒航空部隊を那覇基地に新設した。E2Cは空飛ぶレーダーサイトと呼ばれ、地上レーダーでは水平線下の死角に入って探知できない航空機を前方で捕捉できる。E2Cは老朽化しつつあるため、平成30年度までに後継機を4機導入する。
中国海警局の船が日本領海外側の接続水域に長期間とどまり始めたように、上空での挑発も長期化する恐れが強い。それへの対処には、航続時間が長い4機の空中警戒管制機AWACSによる監視飛行が有効で、AWACSの状況表示装置を最新型に更新する。
宮古島と沖永良部島(鹿児島県)の地上レーダーも最新型に切り替える。「これまでは相手の2機が一固まりにしか見えなかったが、2機だと特定できる」(自衛隊幹部)ほど視力は高まる。戦闘機も最新装備に更新した築城基地(福岡県)のF15を那覇基地に移し、那覇所属のF15を約40機に倍増する。
カギ握る「隙間なき対応」
南西シフトに着手した直後、不穏な兆候もある。
「ロシアの爆撃機が頻繁に飛んできている。冷戦時代にもなかった飛行パターンだ」
小野寺五(いつ)典(のり)防衛相は4月21日、表敬に訪れた米下院議員に伝えた。3月以降、ロシア空軍の爆撃機や偵察機の領空接近が続発している。4月14日には4機が3ルートで日本列島沿いを飛んだ。4機の航跡を合わせると列島を1周した形だ。ロシア海軍艦艇も4月下旬、津軽海峡と宗谷海峡を東に抜けた。
南西防衛の実効性は「隙間なき対応」がカギを握っているが、中国に加えロシアの挑発も重なり、二正面作戦を強いられれば、隙間ができかねない。南西シフトは不断の検証と見直しが求められる。
日本人は、ただ、「平和、平和」と念仏のように唱えていれば平和が続くと思っているのかも知れないが、日本は戦前から国際政治勢力のぶつかり合う位置にある。そこは常に双方の勢力がしのぎを削ってせめぎ合いぶつかり合う場所でこれまで何事もなかったのは米国の傘の下にすっぽりと入っていたことと世間から税金泥棒呼ばわりされ、片手落ちの政治に苦しめられながら自衛隊が頑張って日本の領土と主権を守ってきたからで、一部の勢力が、「平和、平和」と念仏を唱え続けてきたからではない。今、米国はかつての力を失いつつある。一方で中国は経済発展に沸返り軍事力の強化に奔走する。ロシアも経済復興で力を盛り返しつつある。この状況でこれから先日本の平和と独立を守っていくためには日本自身が考え方を変えていく必要がある。武力で平和を守るというのは間違っているのかも知れないが、人間社会の平和は武力でしか守れないように思う。
Posted at 2014/05/10 01:09:46 | |
トラックバック(0) | 日記