政府が中国の軍備増強などをにらんで計画している南西地域の防衛力強化(南西シフト)が2015年度から本格化する。島しょ防衛のため陸上自衛隊に新設される水陸機動団の核となる水陸両用車両部隊を長崎県佐世保市に配備する方向で調整。航空自衛隊那覇基地(那覇市)は戦闘機倍増などで最大450人増えることが見込まれる。南西シフトに伴う自衛官の増員は少なくとも4000人規模となり、九州・沖縄が国土防衛の最前線となる。
米軍も岩国基地(山口県岩国市)の機能が極東最大級となる見通しで、九州・沖縄・山口は日米の最重要防衛拠点と位置づけられる。中国の反発が予想される他、基地負担増や危険性の増加に対する地域住民の懸念も高まる可能性がある。
南西シフトは政府の中期防衛力整備計画(2014年度から5年間)に位置付けられている。目玉の一つ、18年度までに新設する水陸機動団は米海兵隊がモデルとされ、敵国に占拠された離島を奪還するのが主任務となる。陸自相浦(あいのうら)駐屯地(佐世保市)の西部方面普通科連隊(700人)を母体に3000人規模を想定する。
このうち、移動手段となる水陸両用車両部隊は佐世保市・崎辺(さきべ)地区に配備する方向で調整している。機動団司令部の設置も同市が有力候補地となっている。佐賀空港(佐賀市)への配備を計画している飛行部隊(700~800人)の新型輸送機オスプレイ(17機)と一体運用する狙い。
南西諸島も強化される。中国軍機への緊急発進(スクランブル)などに対応している空自那覇基地は15年度中、F15戦闘機の飛行隊が1個から2個に増強され、機数も倍の約40機になる。14年春には早期警戒機「E2C」数機による新部隊も発足しており、併せて隊員は250~450人程度の増となりそうだ。
沖縄本島以外の「防衛の空白」とされるエリアは、4離島に陸自部隊を新設する。うち与那国島(沖縄県)は150人規模の沿岸監視部隊を15年度に配備することで手続きが進む。同県の宮古島、石垣島、鹿児島・奄美大島には各350人規模の警備部隊を設ける計画だ。
一方、在日米軍は、岩国基地が米軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機部隊の移転先となっている。17年度までに実施予定で、岩国の所属機数は約120機となり、米軍嘉手納基地(沖縄県)を超え極東最大規模になる。日米両政府は空母艦載機部隊の陸上離着陸訓練(FCLP)を鹿児島・馬毛(まげ)島で実施することも模索している。
米ソ冷戦時のソ連による北海道あるいは新潟からの首都東京侵攻は全面戦争を招くおそれがある軍事行動なのでそうそう簡単には出来なかっただろうが、離島は単なる地域紛争で局地戦なので全面戦争に発展する恐れは少ない。やる側にとってはその分やり易いと言えばやり易い。尖閣諸島などの争奪は何時起こってもおかしくない「今そこにある危機」だろう。部隊の配備はもちろんだが、いざという時の覚悟が必要だろう。侵攻された時に領土を武力で奪還するのか、それとも国際社会に訴えると言う形で泣き寝入りするのか、その点をまず明確にすべきだろう。意思決定のないところに行動はない。
Posted at 2015/01/04 22:59:17 | |
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