防衛省が、新型潜水艦の導入を目指すオーストラリアに、潜水艦の船体の共同生産を提案していることが分かった。日本側は、潜水艦に使用する特殊な鋼材や音波を吸収する素材技術を両国で共同開発し、船体の主な組み上げを請け負う方式での生産体制を想定している。豪側も前向きな姿勢を示しており、合意すれば初の他国との潜水艦生産となる。2015年中にも正式に合意する可能性が高まっている。
豪側は現有の潜水艦6隻の老朽化が進んでおり、30年ごろから新型潜水艦12隻を導入する予定で、協力する相手国を15年中に決める方針。海上自衛隊の最新鋭潜水艦「そうりゅう」型について、広範囲の哨戒が可能な航続距離▽航行の静音性--を評価しており、協力を求めている。新潜水艦には米国の戦闘システムを搭載して運用する方針で、日米豪3カ国がアジア太平洋地域での海洋権益の拡大を進める中国に対抗する狙いもある。
ただ、日豪の共同生産には、豪州の潜水艦を建造してきた豪国内関連企業から反発の声が上がっている。このため、日本側は船体の主なパーツの生産と組み上げを担い、豪側が一部の部品の生産に加え、最終的な建造と整備を行う方式を検討している。
日豪間ではこれまで、日本の技術を生かして潜水艦を含めた船舶の流体力学分野に関する共同研究を始め、船舶の水の抵抗やスクリューから発生する音を低減させる研究を進めている。日本側は豪側への全面的な技術提供には慎重だが、豪側との共同研究の成果を生かしながら、船体の素材などの共同開発を行うことは、日本国内企業の生産力強化につながると判断した。
政府は防衛装備移転三原則を昨年4月に閣議決定し、一定の条件を満たした場合の武器輸出を解禁したが、輸出可能な装備品は「救難、輸送、警戒、監視、掃海」などに限定されており、日本の潜水艦輸出は事実上、不可能になっている。ただ、「国際共同開発・生産」の場合は、日本の安全保障に資する場合に限り認められている。政府は14年に防衛相が5回の会談を重ねた豪州を安全保障の協力関係を深めた「準同盟国」と位置付けた。
日本の武器輸出に関する政治的制約とオーストラリアの自国産業保護の方針を折衷させるとこういう方法になるのだろう。最高の軍事機密に入る潜水艦開発技術を丸ごと外国に輸出するというのも防衛省としては抵抗があるだろう。共同開発と言う形を取って相応のレベルの潜水艦を輸出するのはお互いにとって最大公約数となるだろう。こうして同盟国を増やしていくのも日本の安全保障にとって悪くはない方法だと思う。共同開発の形を取るとは言え、潜水艦を輸出するなどこれまでの日本からすれば隔世の感がある。
Posted at 2015/01/05 22:47:04 | |
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