昨年創設60周年を迎えた航空自衛隊が“新記録”を達成しようとしている。とはいっても、おめでたい話ではない。空自戦闘機が日本領空に接近した軍用機などに緊急発進(スクランブル)した今年度の回数が、昭和59年度の過去最多(944回)を上回る勢いなのだ。防衛省統合幕僚監部の集計によると、昨年12月末の第3四半期までで744回。単純計算すれば1年間で992回に達することになる。
一触即発の危険にさらされるスクランブルの中軸を担うのが、自衛隊向けにライセンス生産されたF15J戦闘機だ。同機が最新鋭機として新田原基地(宮崎県)に配備されたのは昭和56年。戦闘機の世界ではベテランの域に入りつつあるが、今後も空の守りを担い続ける。息の長い選手生活の秘訣(ひけつ)は「拡張性」の高さにある。
「拡張性が高い」とは、新たな装備をより多く搭載できることを意味する。空自関係者は「F15はもともと機体が大きく、設計に余裕がある。レーダーやミサイルなど新たな機能が追加できるので、何年たっても『古い戦闘機』にならない。コンパクトな機体のF2戦闘機と比べると、格段に拡張性が高い」と解説する。
これまでに防衛省が調達したF15は213機。このうち102機について、拡張性を生かした「近代化改修」が進められている。
新レーダーAPG63V1は探知能力が向上した一方、故障も少なくなった。セントラル・コンピューターの演算処理速度も増し、多くの敵機を同時追跡することができる。短距離空対空ミサイルAAM5は発射角度がより幅広くなり、中距離型AAM4Bは搭載レーダーが敵機に誘導する。データリンク16も搭載し、空中警戒管制機AWACSなどから得られたデータを共有。ディスプレーで敵味方の位置情報を瞬時に把握することができる…。
こうした一連の改修で“若返り”を果たした戦闘機は「F15J改」、「F15MJ」と呼ばれる。防衛省が見据えるのは、ステルス性を持つ第5世代戦闘機の台頭だ。中国は第5世代戦闘機の開発を急ピッチで進めており、日本政府も次期主力戦闘機に最新鋭ステルス機F35を選定した。こうした中で、F15はいかに生き残るのか。
第4世代に当たるF15は不利な状況に追い込まれるとの声もあるが、空自関係者は「先に発見されてもチャフ・フレア・ディスペンサー(ミサイル誤誘導装置)で敵ミサイルから逃げることもできる。接近戦になれば装弾数が多いF15が有利だ」と説明する。
昨年12月末までの9カ月間で最もスクランブルが多かったのは、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海上空をカバーする南西航空混成団。平成27年度予算案では築城基地(福岡県)のF15戦闘機部隊を那覇基地に移動し、「第9航空団」を新編することが盛り込まれた。これで南西航空混成団のF15は約2倍になる。F15が晴れて現役を引退できるのは、10年先とも15年先ともされている。
1970年代に登場したF15戦闘機は、長い間、世界最強の戦闘機として君臨し続けたが、最近はF22、F35、ロシアのSu27、T50、中国のステルス戦闘機群など世界最強の戦闘機も40年以上の年月を経てさすがに老朽化が見えてきている。しかし、日本の主力戦闘機は現在もなおF15であり、F35が主力の座を引き継ぐのはまだまだ先の話だ。F15は大型の戦闘機で搭載余力が大きいので改良も容易だと言う。比較的新しい機体102機を改良して戦闘能力を高めると言うが、きな臭さが漂う東アジアの空で日本の安全を守るのは当分この戦闘機に委ねることになる。現在の体制が完成するとF35が42機、F2が80機、そしてF15が非改良型も含めて190機程度、その後はF35が100機、F15改が100機、そしてF2とその後継機がF35に置き換えられるのか、それとも国産戦闘機開発を行うのか、どうなっているだろうか。
Posted at 2015/03/07 22:11:15 | |
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