米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、政府と県は23日、福岡高裁那覇支部が両者に「円満解決」を求めた和解条項に基づく初の協議に臨む予定だ。4日の和解では訴訟乱立を回避し「再訴訟」に一本化することで合意した両者だが、判決後の対応を定めた和解条項の解釈ではすれ違いが目立っており、不信感を抱きながらの協議開始となる。
◇「是正指示」めぐり火花
すれ違いは早速、和解プロセスの最初に定められた政府から県への「是正指示」で表れた。辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事に対し、政府は7日に是正指示を発送したが、県側は和解に基づく協議前の指示に「大変残念だ」と反発。国地方係争処理委員会に対して14日、審査を申し出た際に「是正指示の『理由』がないのは地方自治法に反する」と不備を指摘した。
政府側には「和解前の訴訟で『理由』は示していた。県の対応は係争委に『全面協力する』とした和解の趣旨に合わない」として問題ないとする声もあったが「手続き論に時間を費やすのは全く本意ではない」(菅義偉官房長官)として16日に是正指示を出し直し、16ページに及ぶ「理由」も添付した。相互の不信感は如実だ。
◇敗訴リスク回避が目的
そもそも「100%勝てる」(高官)と確信して法廷闘争に踏み切った政府が、唐突に見える和解に応じたのは、敗訴を懸念したためだ。1月29日の裁判所の和解案は、今後の訴訟合戦で「(政府が)勝ち続ける保証はない」「敗訴するリスクは高い」と、政府に軟化を迫った。移設のさらなる遅れを懸念した防衛省は和解拒否を主張し、菅氏も主戦論だったが、完全拒否は裁判所の心証が悪くなり、その分、敗訴リスクも高まる。
安倍晋三首相は2月2日に首相官邸に防衛、法務などの関係省庁幹部を集め、検討を指示。そこで「実は和解案が政府に有利と読めることに気付いた官僚がいた」と官邸幹部は明かす。和解案の中の、再訴訟の判決に沿った手続き実施を政府と県が「相互に確約する」とする部分がそれに当たる。和解条項では「その後も(判決の)趣旨に従って互いに協力して誠実に対応すると相互に確約する」との文言に発展した。
こうした検討の結果、首相は2月末、和解受け入れの意向を固めた。主戦論だった菅氏も首相の判断を受け、調整に奔走した。官邸関係者は、昨年末の慰安婦問題を巡る日韓合意になぞらえ「これで『最終的かつ不可逆的』な解決に向かう」と解説した。
◇首相重視の「不可逆性」に疑問符
「不可逆性」は首相が最も重視した点。再訴訟の最高裁判決を対立の終止符とするという意味だ。政府の勝訴により県が移設に協力してくれるなら、工事を中断しても得るものは大きい。首相は「急がば回れだ」と周囲に説き、米国にも和解発表直前に外務省幹部を派遣して工事中断に理解を得た。官邸幹部は「米国との意思疎通はしっかりできていた。『安倍首相が決めたことは信頼する』ということだ」と語る。
ところが、誠実な対応を確約した和解条項の解釈の違いはすぐ表面化した。政府は県側敗訴の判決確定により、翁長氏が移設を妨害しなくなる効果を期待していた。しかし、翁長氏は政府の是正指示直後の8日、「和解は(これまでの)訴訟についてのもの。今後の国からの設計変更などは、法令に従い適切に判断する」と述べ、移設阻止に向けた知事権限の行使は制限されないとの立場を示している。
再訴訟の最高裁判決は年明けにも出る公算が大きいが、判決で翁長氏や県庁側をけん制できても、移設反対が多数の県民感情を縛るのは難しく、「最終決着」となる可能性は低そうだ。
もういい加減にすべきだろう。次の訴訟で最高裁判決が出れば、どっちが負けても勝ってもそれを以って結審とすべきだろう。裁判でそれを確約として盛り込めばいい。普天間の危険を放置して何時までやっていても仕方のないことだ。また時間も金も労力も無駄になる。もっともトランプ氏が大統領になれば、「米軍のアジア駐留はムダ」と言っているので米軍が全部引き上げるかもしれないが、・・。そうしたら沖縄はどうなるだろう。
Posted at 2016/03/22 18:41:59 | |
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