民主党と維新の党の合流によって発足する新党「民進党」の結党大会が27日午後、東京都内のホテルで開かれる。「自民党に代わって日本の政治を担い得る政党」(民主党の岡田克也代表)を目指し、衆院選での単独過半数獲得を大眼目に掲げるが、肝心要の「選挙の強さ」はどうなのか。データを検証すると、やはり「あの人たち」が足を引っぱりそうな気配が…。
「日本の政治をど真ん中で担っていける政党を、ひとりひとりが力を合わせて作っていくんだ。そういう思いで気持ちをひとつにして頑張っていきたい」
岡田氏は3月23日、民主党本部で開いた党常任幹事会で言葉の端々に強い高揚感をにじませた。
今回の合流で所属国会議員155人(衆院96人、参院59人)という巨大野党が誕生する。「政権交代のリアリティーのある(衆院で)100人規模の政治集団」(維新の党の松野頼久代表)の結成にこぎつけたわけだが、「数」もさることながら、より重要なのは「質」ではないか。
「客観的な手法」という理由から世論調査で党名を決めた政党である。ここは数字に基づいて「客観的」に検証してみたい。
当選者の得票数に対する落選者の得票数の比率を示す「惜敗率」という選挙用語がある。90%台や80%台なら「一歩及ばなかった」、70%以下なら「有権者からノーを突きつけられた」という評価でいいだろう。
新党に参加する衆院議員のうち、平成26年12月の前回衆院選での比例復活当選者の惜敗率を見ると、「70%以下」に該当したのは12人だった。
注目すべきは、その出身政党である。なんと11人が維新の党の議員なのだ。所属衆院議員(21人)の半数以上がこの枠に収まるという驚異的な割合だ。選挙区で勝ち抜くことができない議員たちが民主党にすがりついているという今回の合流の実相を、数字は「客観的」に物語っている。
しかも、11人のうち7人はかつて民主党に所属していた「出戻り組」である。選挙に弱い議員たちが、さまざまな政党を渡り歩いたあげくに元の鞘に収まる-。その姿は「日本の政治をど真ん中で担う」政党像からは程遠い。
選挙に弱いだけならまだしも、口だけは達者という者もいるからタチが悪い。初鹿明博国対委員長代理(惜敗率57・54%)はその筆頭格といえそうだ。
初鹿氏は、維新の党が分裂する前の昨年6月、安全保障法制反対のイベントに共産党の志位和夫委員長らと参加し、遠藤敬国対委員長代理(現・おおさか維新の会国対委員長)ら大阪系議員から猛批判を浴びた。謝罪の意思を示して役職を辞任した初鹿氏は、当時のブログで次のような反省の弁をつづっている。
「安保法制の議論が進み党内が一致団結しなくてはならない時に、私の行動によって党内を混乱させたことは事実ですので、その点については謝罪し、副幹事長並びに組織副局長の職を辞任する旨伝え、幹事長に辞表をお預けしました」
しかし、党分裂によって大阪系と決別したとたん、この神妙さもどこへやら。がぜん威勢のいい物言いを際立たせるようになった。夏の参院選で野党を支援する市民団体系の組織「市民連合」が今年1月に開いた街頭演説会では、大阪系への怨念をここぞとばかりに爆発させた。
「(安保法制反対イベントへの参加で)同じ党の中から『役職辞めろ』とか、いろいろ批判を受けた。維新の党は分裂した。なんで分裂したか。答えは簡単だ。中に安倍(晋三首相)さんと一緒にやりたい人たちがいたからだ。その人たちがいなくなったからもう安心してください!」
3月13日には、市民団体の集会で志位氏らとともに気勢を上げている写真を自身のフェイスブックに掲載し、「志位さんと握手しても誰からも文句言われなくなり、違和感がなくなりました」とコメントしている。
重しがとれて清々したのかもしれないが、政治家の発言としてはいかがなものか。「安倍さんと一緒にやりたい人たち」の政党から公認されて衆院選を戦い、その党が獲得した比例票によって自身がバッジを付けている現実を都合よく忘れ去ってしまっているように映る。
もっとも、「無所属や他の野党では当選できなかった」と臆面もなく公言するような人物だから、こうした選挙戦の切り抜け方を恥とも思わないのかもしれないが…。
初鹿氏と同じく出戻り組の石関貴史国対委員長(惜敗率62・74%)は、維新の党とたもとを分かった「改革結集の会」所属議員の新党への合流に物言いをつけた。
「物事には筋目やケジメがある。まず維新の党との関係をどうするかのケジメをつけていただき、民主党のお誘いを考える(べきだ)。そこがウヤムヤにならないようにお考えいただきたい」
かつて後ろ足で砂をかけるように民主党から逃げ出した石関氏が「ケジメ」の大切さを訴えることの滑稽さは、拙稿「出戻り維新幹部の石関氏が特大ブーメラン あなたが『筋目』『ケジメ』を説きますか!?」で触れた通りだが、選挙の強さという物差しで考えてみても石関氏の主張は分が悪い。
民進党に合流する改革結集の衆院議員4人のうち、小熊慎司氏と重徳和彦氏は選挙区で自民党候補を破っている。比例復活の村岡敏英氏と鈴木義弘氏も、それぞれ惜敗率は94・03%と75・97%だ。石関氏と改革結集出身の面々、どちらが「自民党に代わって日本の政治を担いうる政党」作りに貢献できるかは論じるまでもない。
ここで挙げてきたような極端に惜敗率の低い議員たちは、年内とも衆参同日選ともいわれる衆院解散・総選挙で姿を消す可能性も高い。持ち前の威勢のよさで「選挙落ちた日本死ね!!!」なんて逆ギレするようなことはご勘弁願いたいものだ。
勢いを求めてあっちへ動きこっちに鞍替え、挙句の果てに数しか頼むものがないもの同士がくっついた民進党、天下国家、国民よりも選挙の手合いだから落選すれば、「選挙落ちた、日本死ね!!」などと言いかねない。まあ、言っても誰も相手にはしないだろうが、・・。
Posted at 2016/03/27 13:24:24 | |
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